「ザクIIJ型」の版間の差分
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J型が本格的に生産されたのは2月の地球侵攻作戦の実施以降だったと言われ、3月1日に始まる第一次降下作戦においてはF型がそのまま投入され、現地でJ型に改修された。それに前後する時期、いわゆる「純正のJ型」の生産は[[グラナダ]]で行われており、第二次降下作戦以降暫時投入され、第四次降下作戦において主力となったとされている。地上では[[キャリフォルニアベース]]でも生産が行われたが、同時期に局地戦用MSの開発が本格化したこともあって、同基地での生産数は決して多くはない。 | J型が本格的に生産されたのは2月の地球侵攻作戦の実施以降だったと言われ、3月1日に始まる第一次降下作戦においてはF型がそのまま投入され、現地でJ型に改修された。それに前後する時期、いわゆる「純正のJ型」の生産は[[グラナダ]]で行われており、第二次降下作戦以降暫時投入され、第四次降下作戦において主力となったとされている。地上では[[キャリフォルニアベース]]でも生産が行われたが、同時期に局地戦用MSの開発が本格化したこともあって、同基地での生産数は決して多くはない。 | ||
− | + | J型は、F型から空間戦闘に必要なパーツを取り除き、大気圏内での使用を前提として推進剤や冷却材の削減などとともに、空冷式熱核反応炉への転換、関節部の強化、各部の軽量化など重力下での長時間運用に耐え得るよう改造が施された。生産ラインはF型のものをほぼそのまま利用できたのみならず、現地改修という形でF型からJ型への仕様変更も容易であった。例えば頭部は基本的にF型と同じモジュールが使用されており、純正のJ型との違いは各部のシーリングやハッチのロック機構の変更程度だった。F型の頭部をそのまま使用する事も可能だったが、J型のセンサー類は受光端末や計測系のソフトウェアが大気層の存在に対応したものに刷新されている。 | |
− | 生産時期の関係もあり、四肢モジュールも基本的にF型のパーツを強化した上で流用しているため基本構造はほぼ同じである。しかし、塵埃などの侵入防止のためのコーティングや、重力下環境に対応したソフトウェアが新たに上書きされている他、空間戦闘に不可欠な[[AMBAC]] | + | 生産時期の関係もあり、四肢モジュールも基本的にF型のパーツを強化した上で流用しているため基本構造はほぼ同じである。しかし、塵埃などの侵入防止のためのコーティングや、重力下環境に対応したソフトウェアが新たに上書きされている他、空間戦闘に不可欠な[[AMBAC]]システムはオミットされている。F型でそれらパーツに使用されていた空間には、地上用に開発された対地センサーや冷却システム、ウェポンラッチなどが増設されている場合が多い。時期によっては脚部サブスラスターなどがハウジングされたままの機体もあり、それらの有効性が後のホバー走行のヒントになったとする説もある。 |
ジェネレーターの空冷化に伴い、インテークの内部構造やフィルターなどが専用のものに換装されており、大気の滞留や循環を有効利用している。これは稼働に際してプロペラントを消費する必要がほとんどなく、主な移動方法として歩行が用いられるであろう事が想定されていたためで、これにより地上での稼働時間は格段に延長されている。緊急時や最大戦闘機動時以外で稼働させる必要性がほとんど認められなかったため、バーニアの口径なども、F型として小規模なものであったが、これは大気圧が存在する事による反作用も勘案した上で設定されたものであり、当初の運用において必要充分なスペックであった。 | ジェネレーターの空冷化に伴い、インテークの内部構造やフィルターなどが専用のものに換装されており、大気の滞留や循環を有効利用している。これは稼働に際してプロペラントを消費する必要がほとんどなく、主な移動方法として歩行が用いられるであろう事が想定されていたためで、これにより地上での稼働時間は格段に延長されている。緊急時や最大戦闘機動時以外で稼働させる必要性がほとんど認められなかったため、バーニアの口径なども、F型として小規模なものであったが、これは大気圧が存在する事による反作用も勘案した上で設定されたものであり、当初の運用において必要充分なスペックであった。 |
2024年5月3日 (金) 02:20時点における版
ザクIIJ型 | |
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外国語表記 | Zaku II Ground Type |
登場作品 |
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デザイナー | 大河原邦男 |
スペック | |
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分類 | 地上用量産型モビルスーツ |
生産形態 | 量産機 |
型式番号 | MS-06J |
頭頂高 | 17.5m |
全高 | 18.0m |
本体重量 | 49.9t |
全備重量 | 70.3t |
主動力 | 熱核融合炉 |
ジェネレーター出力 | 976kW |
スラスター総推力 | 45,400kg |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
開発組織 | ジオニック社 |
所属組織 | ジオン公国軍 |
所属部隊 |
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主なパイロット |
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概要
ザクIIF型を改修し、地上環境に適応させた機体。「陸戦型ザクII」とも呼ばれる。
一年戦争開戦当初、ジオン公国軍は連邦軍との短期決戦を目論んでいたが、ルウム戦役に至るまでの損耗や地球侵攻作戦が戦略上の選択肢として現実味を帯びていく中で、ザクIIの重力下運用が検討される。しかし、コロニー国家であるジオン公国は遠心力による擬似的な1G環境しか持たず、コロニーで地球環境を想定した演習や実験を行うには不適当であり、月面のグラナダの試験場を利用する事もあったが、重力の違いもあり満足な実働データを得る事は出来なかった。これらのデータとシミュレーションに基づいてMSの稼働を想定する事は出来たが、それはあくまで想定にすぎず、得られるデータも予測値でしかなかった。この段階で純粋に地上用に局地化したMSを開発する事は技術的にも難しいという結論から、F型の汎用性を利用し、予想値に基づいて仕様変更を行ったのがJ型である[1]。
J型が本格的に生産されたのは2月の地球侵攻作戦の実施以降だったと言われ、3月1日に始まる第一次降下作戦においてはF型がそのまま投入され、現地でJ型に改修された。それに前後する時期、いわゆる「純正のJ型」の生産はグラナダで行われており、第二次降下作戦以降暫時投入され、第四次降下作戦において主力となったとされている。地上ではキャリフォルニアベースでも生産が行われたが、同時期に局地戦用MSの開発が本格化したこともあって、同基地での生産数は決して多くはない。
J型は、F型から空間戦闘に必要なパーツを取り除き、大気圏内での使用を前提として推進剤や冷却材の削減などとともに、空冷式熱核反応炉への転換、関節部の強化、各部の軽量化など重力下での長時間運用に耐え得るよう改造が施された。生産ラインはF型のものをほぼそのまま利用できたのみならず、現地改修という形でF型からJ型への仕様変更も容易であった。例えば頭部は基本的にF型と同じモジュールが使用されており、純正のJ型との違いは各部のシーリングやハッチのロック機構の変更程度だった。F型の頭部をそのまま使用する事も可能だったが、J型のセンサー類は受光端末や計測系のソフトウェアが大気層の存在に対応したものに刷新されている。
生産時期の関係もあり、四肢モジュールも基本的にF型のパーツを強化した上で流用しているため基本構造はほぼ同じである。しかし、塵埃などの侵入防止のためのコーティングや、重力下環境に対応したソフトウェアが新たに上書きされている他、空間戦闘に不可欠なAMBACシステムはオミットされている。F型でそれらパーツに使用されていた空間には、地上用に開発された対地センサーや冷却システム、ウェポンラッチなどが増設されている場合が多い。時期によっては脚部サブスラスターなどがハウジングされたままの機体もあり、それらの有効性が後のホバー走行のヒントになったとする説もある。
ジェネレーターの空冷化に伴い、インテークの内部構造やフィルターなどが専用のものに換装されており、大気の滞留や循環を有効利用している。これは稼働に際してプロペラントを消費する必要がほとんどなく、主な移動方法として歩行が用いられるであろう事が想定されていたためで、これにより地上での稼働時間は格段に延長されている。緊急時や最大戦闘機動時以外で稼働させる必要性がほとんど認められなかったため、バーニアの口径なども、F型として小規模なものであったが、これは大気圧が存在する事による反作用も勘案した上で設定されたものであり、当初の運用において必要充分なスペックであった。
登場作品と操縦者
- 機動戦士ガンダム
- 出典元。量産機として多数の機体が登場する。この頃はF型やJ型の設定が無く単なる「ザク」としての扱いとなる。
- ガンダムセンチュリー
- 「ザクII」としての設定と共にF型、J型の区分も用意された。以降、公式設定にも取り入れられるようになる。
- ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079
- 闇夜のフェンリル隊に配備されている。
- 機動戦士ガンダム MS IGLOO 一年戦争秘録
- 第2話に連邦軍のセモベンテ隊が運用する鹵獲機が登場。第603技術試験隊のヒルドルブと交戦している。第3話では宇宙空間でボールに翻弄される機体が登場している。宇宙に上がった機体の武器はその後、オッゴに転用されている。
- 機動戦士ガンダム MS IGLOO2 重力戦線
- 全話で登場。特に第1話は歩兵視点から描かれているため、対峙するザクが驚異的な存在となっている。第3話では既に連邦軍にモビルスーツが配備されているため、他の作品の様にやられ役として扱われている。
- 機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う
- 7話で海賊のMSとして登場。基地の入り口でジオン残党と遭遇、ザク・マリナーやジムIIIと共に、交戦するもザク・デザートタイプにハンド・グレネードを投げられ撃破される。
- 機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク
- 地上でのマルコシアス隊の機体として登場。
- 機動戦士ガンダム アグレッサー
- 第1話からジオンの量産機として多数登場する。第11〜13話ではハングマンが秘匿していた機体にチェイス・スカルガードが搭乗する。正式なメンテを受けていない機体のためスペックは落ちている。グレイブの実行部隊の陸戦型ジムと交戦し撃破した。
装備・機能
武装・必殺攻撃
- ザク・マシンガン
- 一年戦争初期より多用されたモビルスーツ用マシンガンで、新旧ザクのもっとも一般的な携行武装。スコープとモノアイを連動させる事で精密射撃も可能であった。弾種も豊富で、徹甲弾をはじめ隊宇宙艦艇用徹甲弾、散弾なども用意されていた。
- ヒート・ホーク Type5
- 斧状の近接戦闘用の斬撃装備。セラミック系高分子化合物のブレード部分を赤熱化し、その高熱で敵の装甲などを溶断する。対艦・対建造物が主な用途だったが、後に対MS用に使用されるようになった。
- ザク・バズーカ
- 240mmの弾頭を射出する携行用のキャノン砲。。開戦当初は核弾頭の射出にも使用されたが、南極条約締結後は通常弾頭を装備し、対艦用や支援射撃用の兵装として位置づけられている。
- クラッカー
- 対モビルスーツ用の投擲兵器。直撃でなければ威力が低いので牽制用として用いられる。
- 3連装ミサイル・ポッド
- 陸戦用にあつらえられた3連想のミサイルポッド。脚部などにマウントして使用する。
- マゼラ・トップ砲
- マゼラアタックの175mm砲を手持ち武器に改修したもの。
初出の『機動戦士ガンダム』ではラル隊による現地改修の武器とされていたが、後に『第08MS小隊』でJ型の標準装備として設定し直された。 - シュツルム・ファウスト
- モビルスーツ用の使い捨てロケットランチャー。セモベンテ隊の機体の1つが装備している。
- Sマイン
- 対人近接防御兵装。機体各部の発射口から小型鉄球入りの弾頭を発射、敵の頭上で炸裂し小型鉄球の雨を降らせる。
『MS IGLOO2』に登場する機体が装備している。
対決・名場面
機動戦士ガンダム
- 「アコース、クラッカーだ!」
- 第12話より、クラッカーの初使用シーン。ランバ・ラルの命令を受けたアコースがガンダムに向けてクラッカーを投擲。ガンダムを後方へ吹き飛ばした。グフの初登場に加え、ザクの新武器が披露されるなど、視聴者に新たな強敵の出現を印象付けた。
機動戦士ガンダム MS IGLOO
- 対ヒルドルブ
- "溺れる"ザク
- 『一年戦争秘録』第3話より。オデッサから脱出したHLVを軌道上で待ち伏せていた連邦軍が攻撃。接近してくるボールに対し、HLVからザクが次々と飛び出し迎撃しようとするも、姿勢制御がままならず、その場で空転。ろくに抵抗ができないままボールに撃墜されてしまう。ボール相手に一方的に撃墜されるザクに苛立ちを隠せないモニクに対し、オリヴァーは「あのザクIIは地上仕様のJ型なんです!溺れているんです!」と説明する。地上用にバーニアを調整・オミットしたザクでは、彼の言うように宇宙空間で"溺れて"しまうのだ。
関連機体
パーソナルカスタム機
- ザクII (エルマー・スネル大尉専用機)
- 「ホワイトオーガー」の異名で恐れられるエルマー・スネルの専用機。白い機体にパーソナルマークのトカゲが描かれている。
仕様バリエーション
系列機・派生機
- 陸戦高機動型ザク
- G型と呼称される性能向上型。
- ザク・デザートタイプ
- 本機をベースとした砂漠熱帯仕様。
- ザクキャノン
- 本機をベースに対空キャノンを装備した機体。
- ザク・ハーフキャノン(MSV-R版)
- ザクキャノンのバックパックを装備した機体(オリジン版ではC型が装備)。
- ザクタンク
- 破損したザクIやザクIIを再利用した機体。
- プロトタイプグフ
- 本機をベースに開発されたグフのプロトタイプ。
- サイコ・ザクMk-II試験機
- 本機をベースに開発されたサイコ・ザクMk-IIの試作1号機。