ヤザン・ゲーブル
ヤザン・ゲーブル | |
---|---|
外国語表記 | Yazan Gable |
登場作品 | |
声優 | 大塚芳忠 |
デザイナー | 安彦良和 |
プロフィール | |
---|---|
偽名 | ヴァースキ・バジャック(ジョニー・ライデンの帰還) |
種族 | 人間(アースノイド) |
性別 | 男性 |
年齢 | 27歳 |
職業 | MSパイロット |
所属組織 | ティターンズ ⇒ 地球連邦軍 |
所属部隊 |
ヤザン隊(ティターンズ) ナイトイェーガー隊 ⇒ ヴァースキ隊(ジョニー・ライデンの帰還) |
役職 | MS中隊隊長 |
階級 | 中尉 ⇒ 大尉 |
主な搭乗機 |
ギャプラン ハンブラビ ゲゼ ジム・ナイトシーカー (ヴァースキ機)、他多数 |
概要
ティターンズに所属するモビルスーツパイロット。27歳。粗暴で軍規違反も意に介さない豪放な性格の男だが、パイロットとしての腕は一流で、ギャプランやハンブラビといった高機動の機体を自在に乗りこなしていた。特にハンブラビに乗りかえてからは、部下のラムサス、ダンケルとの「海ヘビ」や「クモの巣」などの連携攻撃で、エゥーゴのパイロット達を大いに苦しめた。
戦闘自体を好む激しい性格の持ち主で、ティターンズの理念には関心が無い。自分の戦闘を邪魔する存在は敵味方に関わらず容赦しない。その反面、戦う手段を持たない人間を一方的に虐殺するような作戦(コロニー落としやサイド2への毒ガス攻撃など)に対しては嫌悪感を顕にしている。また、部下に対して面倒見の良い一面もあるなど、粗暴ながらも一定のモラルは持ち合わせている。
自分の主義と合わない者はたとえ上官でも排除する自己中心的な面を持ち、実際にジャマイカン・ダニンガンの謀殺を画策し、これを成し遂げている。その後、シロッコのスケールの大きさに興味を持ち、その野望に協力することになる。
グリブス2争奪戦において、仲間達の死を目の当たりにしΖガンダムのバイオセンサーを発動させたカミーユによって撃墜される。しかしカミーユに撃墜された時に脱出しており、サイド1のシャングリラにたどり着く。そのコロニーにアーガマが入港していることを知り、自分を助けてくれたジュドー・アーシタ達をそそのかし、アーガマのΖガンダムを奪おうとするが、サエグサに重症を負わせたことでジュドーの怒りをかい、失敗してしまう。その後、ジャンク屋のゲモン・バジャックと協力して、モビルスーツ・ゲゼでアーガマを襲うが、ジュドーのΖガンダムに撃墜された。
第一次ネオ・ジオン抗争後、宇宙世紀0089年時には「ヴァースキ・バジャック」という名で連邦軍に復籍。特殊部隊『ナイトイェーガー』の中隊長となり、かつての上官筋であるゴップたっての依頼で、彼の養女であるイングリッド0の身辺警護を請け負う事になる。
登場作品と役柄
- 機動戦士Ζガンダム
- 初出作品。第24話「ムーン・アタック」から初登場する[1]。いわゆる主人公の敵だが悪人ではないキャラとして、存在感を強めている。ジャマイカンの乗り込むアレクサンドリアを背にして戦い、スーパーガンダムの攻撃を寸前で避けることで、ブリッジに命中させるなど、策士としての一面を覗かせる。その後も主人公であるカミーユ・ビダンやクワトロ・バジーナを手玉に取る活躍を見せるが、最終的にカミーユに撃墜され、戦線を離脱する事になった。
- 機動戦士Ζガンダム A New Translation
- TV版ではレコア・ロンドが務めたドゴス・ギアを撃沈する役割を担う。
- 機動戦士ガンダムΖΖ
- グリプス戦役終盤にイジェクションポッドで漂流していた所をジュドー・アーシタに救われ、彼らを利用してアーガマへの報復を企んだ。この頃から黒い帽子に黒マントと、なぜか『戦闘メカ ザブングル』のティンプ・シャローンのような格好をするようになっている。最終的に物語序盤でフェードアウトするが、ダカールで彼らしき人物を一瞬だけ確認する事ができる。小説版ではシャングリラで意気投合したゲモンに加えマシュマー・セロを仲間に引き入れ、地球までジュドーを追いかけるが、その後は砂漠の民として生きる事となった。なお、マシュマーの死を悼んで墓を作る事を提案する場面もあり、ゲモンから「意外と優しい人間」と評されている。
- 機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
人間関係
ティターンズ
- ラムサス・ハサ
- 部下の一人。サラサラの金髪に鋭い目つきの男性。ヤザンに軽口を叩けるほど信頼されている模様。彼がただの野獣ではなく、部下には慕われていることがわかる。
- ダンケル・クーパー
- 部下の一人。黒髪をビシッと決めた男性。冷静沈着なタイプで戦況の分析に優れる。なお、ラムサスとともにハンブラビを乗りこなし、意気のあったコンビネーションを見せていたあたり、相当な技量を持っているようだ。
- アドル・ゼノ
- ヤザン隊の新入り。出撃前、緊張している彼に対し活を入れた(セクハラ)。戦闘開始前も彼に生き残るための心構えについて説くが、戦闘中、ジャマイカンの砲撃により死亡してしまう。劇中、初めてヤザンからセクハラを受けた人物である。
- ジャマイカン・ダニンガン
- ヤザンの当初の上官。上官であるが完全に見下しており、結果的にヤザンの行動によって死亡する。
- ガディ・キンゼー
- ジャマイカン戦死後の上官。部隊内でのヤザンの横暴さから、旧来の知り合いであるジェリドやシロッコの肝いりであるサラを重用、ヤザンに先鋒を任せるとしながらも裏で囮に用いるなどの厄介払いをした。
- パプテマス・シロッコ
- ガディに続く上官。不思議と馬が合った彼から、ハンブラビの受領などの厚遇を受ける。後に彼の事を「面白いヤツ」と評している。
- サラ・ザビアロフ
- ヤザンの人柄を「野獣」と評した。
- レコア・ロンド
- 自機に必死に組み付いてくる彼女から何かを感じ取り、撃墜後に回収する。その後、仲間にはなるが折り合いが悪かった。
- バスク・オム
- 劇場版Ζではレコアに代わり彼に引導を渡す役割を務めた。
エゥーゴ
- カミーユ・ビダン
- 作中で何度も激闘を繰り広げるが、最終的にはカミーユの怒りの覚醒によって倒される。
- エマ・シーン
- 仲間のカツとヘンケンを立て続けに殺害するが、激昂した彼女によって部下2人を撃墜される。その後、レコアとの決着をつけた彼女に追い討ちをかけ、致命傷を負わせた。
- カツ・コバヤシ
- 岩石に衝突し、大破したところにトドメを刺した。
- ヘンケン・ベッケナー
- エマを庇い、ヤザンによって撃沈される。
- サエグサ
- 『ΖΖ』冒頭、Ζガンダムの強奪を止めようとした彼に攻撃し、重傷を負わせる。これが引き金となり、ジュドーに敵対される。
シャングリラの住人
- ジュドー・アーシタ
- 『ΖΖ』冒頭で彼に助けられる事になり、共にΖガンダムの強奪を謀るが、すぐに敵対。最終的には敗れる。
- ゲモン・バジャック
- ジュドーに敗れた後、彼と組んでリベンジを謀るが結果的には敗れる。ヤザンが「ヴァースキ」を名乗った際にはファミリーネームとして「バジャック」の名を借用している。
ネオ・ジオン
- マシュマー・セロ
- 『ΖΖ』の小説版では共闘。彼の死後、手厚く弔う。
地球連邦軍
- イングリッドO
- 『ヴァースキ』として復帰した後、身辺警護を請け負う事になったお嬢様。
- ゴップ
- 一年戦争時の上官筋だった男。宇宙世紀0089年時には連邦議会の議長に抜擢されており、『ヴァースキ』である彼にイングリッドの身辺警護を依頼する。その上で、彼等にキマイラ隊の遺産であるミナレットの破壊をも依頼している。
- バレンスタイン / カワセ
- ナイトイェーガー隊の部下。
名台詞
機動戦士Ζガンダム
- 「まだ子供の間合いだなァ!」
- 第25話より、ギャプランのMA形態で機動力を活かしZガンダムの懐に飛び込み、目の前で変形するという大胆な戦術を披露して。遠い間合いで打ち合うのではなく、お互いが大きなリスクを負う接近戦で勝負をつけようというヤザンの高い技量、胆力、経験を裏付けている。
- 「Ζと言ったか、このマシーンの弱点を知っているのか!?」
- 上記の直後にΖガンダムを追い詰めかけるも、全天周囲モニターの真下が見えないという弱点を突かれ、グレネードランチャーが直撃した際に。弱点を流したのはアーガマで捕虜にされていたサラであり、それを聞かされたカツからファへと、そしてそこからカミーユへと伝わった事で、思いも寄らぬ形で逆転される事となった。
- 「縮んどるぞぉ!まだ出撃前だ。しっかりせい!」
- 第26話より、2度目の実戦を前に緊張する部下のアドルに対し、活を入れるため彼の股間を握るセクハラを実行。手段は非常にアレではあるが、彼の部下に対する思いやりが強いという一面を如実に表している。
- 「戦場では、びびった者が死ぬんだ。覚えておけ!」
- 出撃後、相手の砲撃に怖気づくアドルに「怖いのか?」と聞いた上で発破をかけるヤザン。戦場では野獣の如く戦いを楽しむヤザンだが、上記の通り部下を大事にする想いは本物であり、それがよく滲み出ている台詞である。しかし、直後の戦闘中、不幸にもアドルは味方の攻撃で命を落とす事になってしまう。
- 「ここは戦場だからな…」
- 同話より。Ζガンダムと戦闘の末、撤退に追い込まれたヤザンは、このままで終わらせまいと、敵を味方ごと艦砲射撃する暴挙を働いたジャマイカンの謀殺を決行。相手のスーパーガンダムをアレキサンドリア近くまで誘き出し、攻撃を誘発。自機を狙った攻撃をブリッジに直撃させ、憂さを晴らした。
- 「オレの乗る船には、旧式な人形も、その半端な戦闘人形なんかも、乗せておきたくないのさ」
- 第27話より。ガディの指揮下に入ったヤザンだったが、ジャマイカンというストッパーがいなくなった事で増長。アレキサンドリアの格納庫からハイザックを独断で処分しようとし、止めに入ったジェリドを挑発。さらにはシロッコの肝いりであるサラを「戦闘人形」と揶揄するなど横暴の限りを尽くした。クルーもヤザンが実戦で活躍しているがために勝手な振舞いを黙認するしかなかったものの、次第にガディによって厄介払いされていくという形で報いを受ける事になる。
- 「得体の知れない力を感じる。あの感じ、好きではない」
- 第33話より、ハンブラビに乗った感想をシロッコから尋ねられた際に。この反応からネット上では「ハンブラビにはバイオセンサーが搭載されているのではないか?」と考察されている他、小説版Ζでは実際に搭載されている。結局、シロッコが「ヤザン大尉が今まで楽をしてきたからだ」とはぐらかしたため、搭載されていたかどうかについては判然としないのが現状である。
- 「クモの巣は一発勝負だ!ぬかるな!」
- 第33話より、ダンケルとラムサスをグリプスから召集してからの最初の実戦でさっそくクモの巣に投入した際に。ラムサスは「相変わらず人使いが粗いですな」と茶化しているが、それでも全員でしっかり使ってしまうところにヤザン隊の技量の高さが伺える。
- 「よーし電流流せえぃ!」
- クモの巣使用時の台詞。ウェイブライダー状態のZガンダムの高速機動を逆手に取り、見事クモの巣にかけるあたりはさすがはヤザン隊。
- 「女が戦場にいるなんてのは気に入らないんだよぉ!消えなぁっ!」
- クモの巣でΖガンダムを捉えるものの、突如として機体に組み付いてきたメタスのレコアに対して。彼なりの戦いへのポリシーが全面に出ている。
- 「お前もその仲間に入れてやるってんだよォッ!」
- 第49話より、ヘンケンやエマを討たれ「いっぱい人が死んだんだぞ」と激昂するカミーユに対して。戦いを生きがいとするヤザンにとって敵は狩るものでしかなく、相手の生き死になど全く関わりあいのない事だった。しかし、人の哀しみを知るカミーユにとってそれは命を蔑ろにする許し難い行為であり、Ζガンダムに新たな力を目覚めさせる事になってしまう。
- 「あ、あの光…バリアーなのか!?」
- 上記の直後、ヤザンを「生きていちゃいけない奴」と断じたカミーユの怒りに呼応し、Zガンダムからオーラが放たれる。謎の怪現象を起こしたΖガンダムには一切の攻撃が通じず、ヤザンは怯えて逃走するも、巨大化したビーム・サーベルによってハンブラビは一瞬にして両断された。機体が爆散する直前、ヤザンはイジェクションポッドで脱出するものの、これで歴史の表舞台から一旦姿を消す事になる。
劇場版Ζ
- 「ハイパーボイルを食らえぃ!」
- 劇場版でのクモの巣使用時の台詞。ボイルは英語で「Boil(沸騰させる)」の意だが、釣り用語ではそれに準えた「水面に追い込まれた魚や餌を追ってきた魚が起こす水しぶき・捕食音」の事を表す。クモの巣を投網に例えた場合、後者が当てはまると思われる。一方、スペル違いで「Voile(薄織物)」というのもある。
- 「そっちにはそっちの事情があるって言うなら、こっちにはこっちの事情があるって事よ!!」
- 劇場版でバスク諸共ドゴス・ギアを沈めて。
- 「お前にもそれを体感させてやるってんだよォッ!」
機動戦士ガンダムΖΖ
ジョニー・ライデンの帰還
関連機体
- ギャプラン
- 『Ζ』における最初の乗機。本来は強化人間にしか扱えない機体だが、一般兵士でも扱えるように調整されている。元々地上で造られた機体を宇宙用へと急遽組み上げた為、全天周囲モニターの真下が映らないという欠陥ができてしまった。
- 『ジョニー・ライデンの帰還』では「ヴァースキ隊」の機体として青色の機体に搭乗している。
- ハンブラビ
- ギャプランに代わりシロッコから与えられた機体。連携攻撃など様々な戦法でエゥーゴのパイロットらを苦しめてきた。
- ゲゼ
- 『ΖΖ』におけるハンドメイドの建設用の機体。Ζガンダムを倒すためなら手段は選ばない彼の性格がここに現れているのだが、尤もギャグ扱いされたヤザンを象徴する機体でもあるが。
- ジム・ナイトシーカー (ヴァースキ機)
- 『ジョニー・ライデンの帰還』に登場する連邦軍特務部隊「ナイトイェーガー隊」の機体。ベース機がジムIIIとなっているが、型番・IFFはRGM-79Vとなっている。
- ジム・ナイトシーカー (ヴァースキ隊仕様)
- 宇宙に上がった後のヴァースキ隊に配備された機体。以前搭乗していたナイトシーカーをジェガンのパーツで強化した機体である。
- ガンダムMk-II (ヴァースキ大尉機) / フルアーマーガンダムMk-II
- ギャプラン、ナイトシーカーに次ぐ搭乗機。ゴップによって封印を解かれた機体を受領した。
- マラサイ
- 『Define』で試験運用機の機体に搭乗している。
余談
- 上述した通り『ジョニ帰』では「ヴァースキ」として登場し、作中でヤザンである事は会話などで僅かに仄めかされる程度に留まっているのだが、単行本の帯では
「”野獣”ヤザン復活!(4巻)」
「ヤザン&可変MSギャプラン復活!(8巻)」
「ヤザン専用ガンダム出る!(18巻)」
…と悉くネタバレされてしまっている。3つ目に至っては「”野獣”ヴァースキ大尉に用意された機体は…。」という前振りがあるので尚更わざとらしさが溢れている。
リンク
脚注
- ↑ 名前自体は第22話予告のナレーションで先に登場している。