シン・アスカ

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シン・アスカ
外国語表記 Shinn Asuka
登場作品
声優 鈴村健一
デザイン 平井久司
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プロフィール
種族 人間(コーディネイター)
性別 男性
生年月日 C.E.57年9月1日
年齢 16歳
出身 オーブ連合首長国
身長 168cm
体重 55kg
血液型 O型
職業 MSパイロット
所属組織 民間人 ⇒ ザフト軍
所属部隊 ミネルバ(後に特務隊FAITH
称号 ザフトレッド
主な搭乗機 インパルスガンダムデスティニーガンダム
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概要 

機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の主人公。キラ・ヤマトアスラン・ザラに続く「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」における「第3の主人公」に位置する。

人種はコーディネイターであり、人種を問わず、法さえ守れれば国民となれるオーブ連合首長国で平和に暮らしていた。両親と妹の4人家族。 彼自身述懐しているように、当時は「遠い世界の戦争の話より、テレビゲームの発売日が気になるような」普通の少年だった。コーディネーターの意識としてはあくまでも「病気などに悩まされるよりは生まれる前から耐性があればいい」というレベルでしか考えておらず、ナチュラルへの特権意識や敵愾心は持っていなかったようだ。

しかしC.E.71年の地球連合軍によるオーブ侵攻で、家族と共に避難艇に向かっている最中、妹マユの落とした携帯を拾おうと家族から離れた瞬間にフリーダムカラミティの戦闘に巻き込まれて家族を失う。(但し、映像的にはフリーダムとカラミティが互いに砲撃を行った直後に起きた爆風で家族は死んでいるだけで、両機の戦闘が直接原因かどうかは不明)。その時の絶望と哀しみ、戦争の諸悪への激しい怒りが、彼の行動の機軸となる。

家族を失った後は、トダカの勧めでプラントへ移住した。家族を失い、戦争を憎む執念が原動力となり、優秀な成績でアカデミーを卒業。晴れてザフト軍に入隊、エリート集団「赤服」の一員となる。そして、新型モビルスーツインパルスを駆り、活躍する事になる。

パイロットとしての技量は、エリートとはいえまだ新米ということもあり、アスランやキラ、イザークなど前作から引き続き登場するキャラと比べると劣り、劇中序盤はさしたる戦果を挙げられなかった。しかし中盤にS.E.E.D.能力が覚醒して以降は目覚ましい成長を遂げる。特に大きな戦果としては、無敵を誇っていたフリーダムをインパルスのドッキングシステムを利用して撃破した事や、デストロイとの戦闘で素早く反応して格闘戦に持ち込み、単独で3機、レイやルナマリアと協力して1機の計4機を撃破した事などが挙げられる。射撃よりは格闘を好み、万能機であるデスティニーでも積極的に格闘戦を仕掛けていた。拳銃射撃は日頃からレイと共に訓練しているが、最終的に銃口を向ける相手が居なかったので生かされなかった。

ガンダムシリーズではOVAを除けば最初から軍人である唯一の主人公である。しかし終盤においては、軍人であり続けた事が悲劇に繋がったと言える。また歴代のガンダム主人公達が戦いの中で多くの人間に出会って成長していった事に比べると、彼自身は最初から同世代の軍人に囲まれ歴代主人公と比べ安定していた反面、良き大人との出会いに恵まれず、人間的な成長の描写が乏しかったことが挙げられる。

彼の「主人公」としての扱いは各メディアによって大きく違い、TV版、漫画版、小説版のいずれの作品も最後は敗北という結末を迎えるものの、そこに至るまでの描写や表現が異なっている。

ボンボン版(執筆した作家の高山瑞穂から高山版とも言われる)の評価は特に高く、シン・アスカを最後の最後まで主人公として描いた本作は高山氏が、「作家生命を賭けてでも描き切る」とまで発言したという逸話があるほど。かつての自分を投影し、戦いをやめさせようとするアスランに対し、それを理解しながらも自分自身の信念を持って対峙する。激闘の末敗れたシンは、それでも生きている限りは前に進み続けるという、敗北の苦味と未来へ歩み行く希望を含ませて終わる。

久織ちまき氏の『THE EDGE』版も高山版に匹敵するほどの人気を誇る。「アスランからの視点で物語を見る」というコンセプトではあるが、アスランがシンに対して抱く感情とシンの感情の衝突を通じてシンというキャラクターを伝える、という描かれ方をされている。絶望の感情に満ちて力に傾倒し、アスランと一進一退の攻防を繰り広げるも敗北。月面に墜落した後の顔に明るさは無かったものの、力の呪縛から一時的に解き放たれて、必死に希望を掴もうとする表情のシンが立ち上がった所で彼のパートは終了となる。後にアスラン以外の様々な主要メンバーの視点で補完したオムニバス『THE EDGE Desire』も追加され、そこでは士官学校時代のシンも描かれている。

小説版では、ステラを助ける為に連合へ送った事で起きたデストロイの被害(ステラを返さなかったとしても、スティングが搭乗したであろうが)、アスランを撃墜した後の精神の不安定さ、そして最後のレイとの会話等、様々な部分が書き足されている。

TV版では、序盤ではカガリ関連を除けば口や態度がちょっと悪いが仲間思いな少年として描かれていたものの、中盤以降になって過激で物騒な発言や、自己中心的・身勝手な行動がだんだんと増えていき、視聴者に悪い印象を与えていくようになっていく。家族を失った事による怒りや憎しみによる「負の要素」からの人間関係のもつれ・視野狭窄故に周囲が見えてない事などから、視聴者には主人公として悪いイメージが付きまとった。これは彼の人間的未熟さに起因するものではあるが、こういった描き方が本作においてキラ・アスランとは違った等身大の少年兵の視点として後に評価されている。

『平成のファーストガンダム』を標榜するSEEDの2作目、つまり機動戦士Zガンダムの主人公カミーユ・ビダンを意識して「非常に感受性が高く繊細な内面」と「他者に内面を見られることを極度に嫌う」という二面性を持ち、優しく複雑な内面と、それを弱みと捉えた未熟さ、弱さを隠すために他者に攻撃的な態度を取ってしまう自己防衛本能といったかたちで踏襲している。それゆえに放映当時では視聴者の共感は多くは得られず、誤解されやすいというキャラクター性をある意味では発揮したといえるかもしれない。もちろん、そのうえでシン・アスカを愛して止まないというファンは数多いことは付記しておく。

シンの声優を担当した鈴村氏は、キラやアスランなどのシンが反目するキャラクターを好きな視聴者から「キラと対立するから嫌い」「アスランの言う事を聞かないから嫌い」等の批判の手紙が送られてきたということもあってか「シンの人格を理解したうえで彼を嫌ってくれるなら嫌いでいいですし、役者冥利に尽きます。しかし、折角各キャラクターを多面的に見られるアニメという媒体で、デュランダル議長に与するから、キラやアスランの敵だからという記号的な理由でシンを嫌うのはどうなのでしょうか?(意訳)」との感想を小説版第4巻のあとがきに綴っており、シン自体は嫌われてもしょうがないキャラクターである事は理解しながらも、その嫌われる理由に対しては演じた鈴村氏なりの見解を示した。

のちに劇場版公開の際のインタビューにおいて、シンの扱いに対しての不満は演じた鈴村健一としてではなく作中におけるシン=アスカの立場・視点で気持ちを代弁してものであること、監督への尊敬ともっと認めてもらいたかったという気持ちを語り一部で悪意的に語られた監督との確執や自身の言葉を引用した作品・脚本批判を全否定した。最後にガンダムSEED DESTINYへの愛を叫んで締めくくった。

登場作品と役柄

機動戦士ガンダムSEED DESTINY
主人公。ただしストーリー後半では実質キラ(ラクス陣営)が主役であり、シンも彼が所属するZ.A.F.T.陣営も敵役のような扱いを受けている。
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
ルナマリアと共にコンパスへ参加する。スペシャル版のフィナーレとなるキラとの和解を経たことで性格的にも丸くなった。常に単独行動を執るキラに信頼されていないのではないか、という疑念を持ちつつも信念に従って戦い続けた。DESTINY期と比べると負の感情を表に出すことがほとんどなくなり、人格的にも大きく成長。パイロットとしては愛機デスティニーを駆り、作中でも群を抜いた戦闘力で4体のブラックナイツを圧倒。最も成長したとの評価も。しかし実際はマユやステラ、レイとの死別が深刻なPTSDとして残っており、ブラックナイツとの戦闘では精神干渉を仕掛けたアコード側がシンの内面の『地獄』を垣間見て逆に恐慌状態に陥るほどの深い深い闇が未だに渦巻いている。
HGに恋するふたり
主人公の一人であるOLの神崎さやか(1988年生まれ)が、放映当時同い年だったシンを「全てを受け止められるほど大人でもなく、全てを委ねられるほど子供でもない」と評し、「目を背けたくなるほど自分とそっくりだった」と述懐している。作者の工藤マコト先生曰く「(シンが子供っぽいという声もあったけど)あれが等身大の16歳だった」とのこと。
作中では「主人公取られたやつ」「(乗機のデスティニーは)悪役の機体」と酷評されている。実際、当時の視聴者からはそのような扱いをされることも少なくなかった。

人間関係

家族 

マユ・アスカ
実妹。シンにとって可愛い妹であったが、オーブで戦闘が行われた際、フリーダムかカラミティの砲撃に巻き込まれて死亡。シンはマユの落とした携帯電話を拾いに行ったために砲撃に巻き込まれずに済んだ。シンは彼女の遺品である携帯電話を大切に保管しており、留守録に吹き込まれたマユの肉声を聞いている描写があった。また『THE EDGE Desire』においては、士官学校の同期にその携帯を見つけられただけでシンがヒステリックな反応を示すシーンがあり、心の傷の深さを改めて読者に訴えかけている。ちなみにマユの担当声優は後にシンと恋仲になるルナマリアと同じ坂本真綾氏。声が似ているというのは付き合ったことには直接は関係ないと思われるが、福田監督のインタビューで「シンが心を開ける存在であることを視聴者に意識させるためにヒロインと妹に同じキャストを当てた」と語っている。

ザフト

ルナマリア・ホーク
士官学校からの友人。シンにとっては数少ない、うち解け合う関係に。ストーリー中盤でシンが彼女の妹であるメイリンをアスラン討伐に巻き込む形で撃墜してしまい、彼女に涙ながらに責められる。しかし、シンもまた妹を失っており、自分が受けた悲しみを生むことを、自分自身が行ったことを後悔し、傷ついていることを感じ取ったルナマリアは彼を許し、戦争が原因で肉親を失ったトラウマを共有することで恋仲に近い関係になった。最終話では撃墜されたシンを介抱し、陥落するメサイアを目前にしつつ、共に涙を流した。
レイ・ザ・バレル
士官学校からの友人。のちにシンに自分の過去を打ち明ける。アニメではシンを利用する悪役のような面が目立ったが、小説版ではシンを親友と思いつつも利用しなければならないレイの心の葛藤が描かれ、メサイア陥落後に自分を助けるためにインパルスで駆けつけたシンとルナマリアに遺言を託した。
アスラン・ザラ
直属の上官で作戦指揮官。常にそりが合わず衝突していて、後に引導を渡される形となってしまった。シンは本気で彼のことを尊敬しており、だからこそ毅然たる「ヒーロー」として振舞ってくれない彼に苛立ちをぶつけてしまっていたことも原因である。何かと挑発してみたり、突っかかってみたりしたのはそのため。後に彼と対峙する時の極端な怒りの感情の中にも逡巡が見え隠れする。これは、彼の故郷であるオーブ連合首長国が「非戦争」を貫くとしながらも結局は戦いに巻き込まれ、結果、シンは家族を目の前で失うという「裏切り」にあったためである。シンがアスランを尊敬もし、信頼していたからこそ「裏切られた」と感じたことが(実際裏切りではあるが)反動となったことが理由といえる。シンがアスランを一人の人間として受け入れられるだけの度量を持っておらず、人間的に未熟だったこともあるが、アスランもまたシンを受け入れてやれるだけの大きさがなかった。本来ならば、その間を取り持つのがハイネ・ヴェステンフルスであったのだろうか。
ハイネ・ヴェステンフルス
上官。ハイネの性格によりアスランと少しは打ち解けるきっかけとなるが、ダーダネルス海峡での戦闘で戦死している。
ギルバート・デュランダル
シンをインパルス、デスティニーのパイロットに任じた最高評議会議長。後にFAITHの権限を与え、メサイア攻防戦に至るまで彼を重用している。

ファントムペイン

ステラ・ルーシェ
ファントムペイン所属のパイロットでエクステンデッドの少女。第1話でシンが偶然胸を触ってしまう。その後ディオキアの海で溺れた際に助けられたことが切っ掛けで惹かれ合う。最初は溺れる原因となったステラの行動に怒ったシンであったが、無意識にステラのブロックワードである「死」を口走ってしまい、錯乱した彼女を『戦争でトラウマを負った少女』と誤解して必死に宥め、その後も優しく接していた。このシチュエーションはアスランとカガリが初めて出会った時と似ている。何気なく再会を約束した両者であったが、皮肉にも戦場で敵として遭遇してしまう。シンはステラを戦場から引き離すために奔走したが、結局ステラは戦場から逃れられず、乗機であったデストロイを脅威と感じたキラに機体を大破させられた時の怪我により絶命。その死はシンの今後に暗い影を落とした。最終回では月面に墜落し一時気を失っていたシンの精神世界に魂となった彼女が現れ、明日への希望をシンに語った。なお、最終回の描写は前作『SEED』では魂となってキラに語りかけたフレイ・アルスターとの対比となっている。敗れたシンにはステラの声が届いていたが、勝利するキラにはフレイの声が届いていなかったという興味深い違いがある。鈴村氏はシンとステラの関係について「ステラは恋人というより戦争を感じさせる人間」と述べている。(恋人として死にゆく彼女に寄り添うよりも一人の人間として生きていてほしいという願いを最優先したから、ステラをネオの下へと帰した。恋愛とは人間関係の一つの形だが決して最上級のものではなく、シンとステラの間にはもっと大きな繋がりがあると考えて演技した、とも述べている。)

オーブ

キラ・ヤマト
フリーダムのパイロットで、シンにとってはステラの仇。ただ、キラ本人が仇と知るのは「機動戦士ガンダムSEED DESTINY FINAL PLUS ~選ばれた未来~」の中で、アスランがキラをフリーダムのパイロットとして紹介した時である。キラが「一緒に戦おう」と語りかけると、シンは涙ながらに「はい」と答え、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」は本当のエンディングを迎えるのであった。
カガリ・ユラ・アスハ
現オーブの代表。シンからは家族を失った元凶の如く忌み嫌われており、2年を経た現在は彼女とオーブに対する憎悪はさらに増幅されている。
トダカ
オーブ軍一佐。オーブ解放戦の時に家族を失ったばかりのシンを保護し、プラントへの移住を進めた。しかし、後のクレタ島沖海戦の時に皮肉にもシンの手によって命を失っている。

名台詞

DESTINY

「何でこんな事…また戦争がしたいのか!アンタ達は!!」
記念すべき1話で登場。1話における彼の出番自体が少なく、番組終了間際に飛び出た台詞から各所で話題を呼んだ。
「さすが奇麗事はアスハのお家芸だな!」」
奇麗事を言い続けるカガリに対し発言。しかし、普通に考えれば元オーブ国民とはいえ、今はザフト軍人であるシンが他国のトップであるカガリに対して罵声を浴びせるというのは国際的に考えて大問題なのだが、なぜか罰せられることはなく、その後もシンはカガリに対して罵声やわざと肩をぶつけるなどの問題行為をする。カガリは非常にそのことを気にしており、この頃の気遣いのできる彼女であれば、カガリのほうから不問に付すように要請があったのかもしれない。
「俺を助けろ!この野郎!とか…」
墜落寸前のアスランを助けた際に。他人を頼ろうとせず、自分で抱え込みすぎるアスランに「こんな時くらい人を頼ってくれ」という彼なりの思いやり。素直になってくれないアスランに、ついひねくれた物言いをしてしまうシンの未熟さ、青さがまた良い。
「あの人が可哀想だよ!」
またしてもカガリに。ユニウスセブンの破壊を成功させ、帰艦したアスランをねぎらったつもりのカガリだったが、ユニウスセブンを落としたのはパトリック・ザラの言葉を信じていたコーディネイターで、多くの破片は地上に降り注ぎ、少なくない被害をもたらした。それによって悲しむ人々、コーディネーターへの憎悪を募らすことを危惧するアスランに、シンが言うまで知らなかったカガリの賞賛はむしろ重荷になってしまっていた。それを咎めての言葉。ちなみにこれも立派な問題行為であり、情報漏洩を堂々としている。
「いくら綺麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす…」
オーブに降りた際のキラとの邂逅での台詞。
「しっかしどうすりゃいいんだ?この子は泳げないし。……後で何言われるかわかんないけど……ま、いっか!」
21話「さまよう眸」から。崖から落ちて溺れたステラを救出するも、入り組んだ地形に入り込んでしまった二人。本来民間人との接触は避けなければならない立場ではあったが、周りは断崖、怪我をしたステラを置いてはいけないと判断したシンは緊急時用のドッグタグを割って救助を要請するのだった。短絡的ながらも「誰かのために」という無私の行動原理は、本質的に善良なシンらしい。
「今は大丈夫だよ。僕が……うーんと、俺がちゃんとここにいて、守るから」
上記の続き。救助を待つ間、ステラを心配してかあれこれと語りかける。そのさなか、一度だけ自分を「僕」と呼んでしまう。そこには普段の「俺」という自分とのギャップが伺える。ちなみにシンの一人称がオーブ時代は「僕」であったことからも、普段のシンが虚勢を張って無理をしているとも、かつての自分を見せられる相手としてステラに妹を見出していたとも解釈されている。
「守るって言ったのに…俺、守るって言ったのに…!ステラ…ごめん…!」
死亡したステラを葬った別れの際に。失ってしまったものを守れるように軍人になった彼が、再び守れなかった無力感から涙を流しながら詫びる。鈴村氏迫真の演技が胸を打つ。その後、形相が変わってしまうほどの憎悪にゆがんだシンの顔つきに驚いた視聴者は少なくないという(一方でステラの出自を考えれば、連合側に返したところで彼女を解放する訳がないため、ある意味本人が招いた結果とも言える)。
「アンタは俺が討つんだ…今日、ここで!」
エンジェルダウン作戦時にキラに対して。フリーダムの戦闘データから徹底的にフリーダムの戦い方を研究した上でインパルスの性能を活かしきり、フリーダムを撃墜する。
「ク…ハハハ…やった…ステラ…やっと…これで…ハハハハハハ…」
フリーダムを撃墜し、執念の勝利に。それでも何も得られない虚しい笑い声が哀しい。フリーダムの爆発を至近距離で受けたインパルスは全壊一歩手前という被害を被った。あるいはシンは刺し違える覚悟で挑んでいたのだろう。アスランはシンのこのような「命を捨てる復讐」をやめさせようとしたが・・・。この後、シンは無敵のフリーダムを撃墜したスーパーエースとして自信を膨張させ「増長」してゆく。
「仇は討ちましたよ。あなたの分もね」
キラを討たれ(実際は生きていたが)、歓声でもって迎えられたシンの前に、浮かない顔のアスランへ。完全な挑発だったが、これをもって「もうフリーダム(キラ)はいないのだから、スッパリとアークエンジェルへの未練を断ち、煮え切らない態度はやめろ」という意図もあったと思われる。だがアスランからは本気パンチでの返答。確かに上官への態度ではなかったが、いくらなんでも反射的に殴りつけるのはアスランらしくない。
しかし、見ようによってはアスランとアークエンジェルの関係を知りながらそれを嘲笑する悪意以外の何物でもないのも事実である(そればかりか、かつてキラと戦って落命したニコルやミゲルの事まで勝手に引き合いに出して『彼らの仇も代わりに取ってあげた』とアスランを嘲笑している様にも解釈出来てしまう)。そもそもカガリだっていたのだから、尚のこと悪意にしか見えない。シンのカガリへの感情は別にしても何も言えないルナマリアの方が良識はある。イザークがいれば間違いなくシンに対して激怒していたかもしれない(軍属であるアスランが、現在対立している両勢力の間でフラフラしていること自体は軍人としては不適当ではあるので、非は圧倒的にアスランにあるのだが)。
「アンタって人はぁぁぁぁ!」
裏切ったアスランに対する一言。彼を象徴する台詞。
「アンタが悪いんだ、アンタが……アンタが裏切るから!」
アスランとレイの双方からの説得に耐えきれず、S.E.E.D.を覚醒させた直後の台詞。激昂と共に突き出した凶刃は、容赦なくアスランに襲いかかり…
「こんな事をする…こんな事をする奴ら…ロゴス!許すもんかぁぁぁ!」
ヘブンズベースでのデストロイとの戦闘時の台詞。対艦刀でデストロイを一刀両断する等、シンの気迫を感じられる。
「お前達のようなのがいるから…世界はぁ!」
上記と同じく、パルマフィオキーナでデストロイの頭を吹き飛ばす際の台詞。もっともそのデストロイに搭乗しているのが自身が同情していたはずのステラと同じ境遇のエクステンデッドである可能性もあるのだが…。

FREEDOM

「こないだはジャスティスだったから負けたんだ!デスティニーならお前らなんかにぃっ!」
『FREEDOM』より。ブラックナイトスコード ルドラ4機を相手にしながらSEEDを発動する。
セリフだけ聞けば負け惜しみのようにも聞こえるが、デスティニーはイモータルジャスティスよりも火力が心許なく、ブラックナイツに対抗するには性能的に厳しいと言われていたのだが……。
「そんな寝ぼけた分身が通用するかぁっ!」
ルドラの分身を伴う攻撃を瞬間移動かと見紛う超高速戦闘で回避した後、アロンダイトを構え直して。さらにその後……。
「分身は、こうやるんだぁぁっ!」
再び攻撃を回避した後、この台詞と共に無数の幻影が生成される。そしてブラックナイツ4人のうちヒルダに敵討ちを譲ったリデル以外の3人を瞬く間に撃墜した。

その他の媒体

「あんたらの理想ってやつで、戦争が止められるのか!?」
 「戦争のない世界以上に 幸せな世界なんて……あるはずがないっ!!」
ボンボン版の台詞。理想を追求するアスランに放った一言。その他、ゲーム『ガンダム無双3』等にもこの台詞が登場する。
「これがデスティニーの力だ!」
ボンボン版のアスランとの最終戦にて。単機でジャスティスのミーティアや右腕を破壊しアスランを追い詰める等、嘘偽りのない戦果を挙げている。
「もう俺は選んだんだ!!この道を!!なら行くしかないじゃないかっ!!」
「あんたが正しいって言うのなら!俺に勝ってみせろ!」
上記と同じボンボン版のアスランとの最終戦時の台詞。パルマフィオキーナでジャスティスの右腕を破壊する。
「アスラン…あんた、やっぱ強いや…」
ボンボン版での最終決戦でアスランに敗れた際の台詞。
「でもっ……生きろ!レイ!」
「言ったじゃないか、前に!どんな命でも、生きられるのなら生きたいだろうってっ!」
小説版より。自分と同じ短い寿命を持つステラに対してレイが言った言葉であり、その言葉をシンが彼に言う印象深い場面の一つ。
「俺だって!!守りたかったさ…俺の力で、すべてを!」
「だけど…俺が撃ってるのは敵じゃないって、撃つのは奪うことだって…"力"で解決できることなんて何もないって!!アンタが俺に言い続けてきたんじゃないか!!」
『THE EDGE』より。民間人として戦争による絶望を味わったシンが軍人としても希望を見失い、その絶望をアスランにぶつける場面。
アスランが事あるごとに口を酸っぱく説教してきた訓告をシンはきちんと覚えていた。しかしその言葉だけでは「戦争で大切なものを失う」という同じ痛みを持つはずの二人は互いに歩み寄ることが出来なかった。アスランは伝えたいことをきちんと伝えられず、シンはデスティニープランに縋り付くしかなかった。
直後にインフィニットジャスティスの右腕がデスティニーの攻撃で吹き飛ぶ。
「でも…議長とレイは戦争のない世界を作るために…俺の力が役に立つって言ってくれたんだ…!」
「この"力"ですべてを終わらせて…その先に平和があるのなら、俺は!!」
『THE EDGE』より。シンを(正しいかどうかはさておき)導けた議長やレイと、導けなかったアスランとの対比、そしてシンの力に対する傾倒っぷりが顕れた言葉。
アスランは「諦めるな!こんな風に"力"を使ってしまったら…お前は永遠に"力"の呪縛から逃れられなくなるんだぞ!」と、本気でシンを心配して言葉を返す。
直後にシンの信じる"力"の象徴であるアロンダイトを奪われ、議長の提示する"力"の象徴であるレクイエムを破壊される。
「…ひとりで立てます」
『THE EDGE』より。月面でアスランに手を差し出された際、それを振り払っての台詞。アスランは「そうか…」とだけ返すしかなかった。
シンは吹っ切れてこそいないものの、その目に強い意志を秘めていた。
「でも…同じことじゃないか?」
「俺のデスティニーとあの兵器に、結局どんな違いがあるっていうんだ?」
『THE EDGE Desire』より。議長の手に渡ったレクイエムが地球軍アルザッヘル基地に向けて発射されたことに疑念の声が上がったのを受けて。
ヴィーノに「デスティニーがもし撃たれたら、シンが死ぬだろ!」と返される。いい仲間を持ったな…。
この時のシンは死んだ魚のような目をしており、精神的に極限状態だったことが覗える。
「レイの運命は…変わらないのか?」
「議長は、定められた運命を受け入れることが幸せだっていってたけど、レイは…」
『THE EDGE Desire』より。頭ではデスティニープランに納得していてもあえて尋ねたのは、プランを適用しても全く救われない無二の親友のことを考えると心に引っかかるものがあったから。
レイは一瞬だけ虚を突かれた表情を見せるも、「そろそろ出撃だぞ」と言って答えをはぐらかした。そしてレイがメサイアで亡くなったことで、シンがその答えを聞くことは永遠に叶わなくなった。
「そんなの、ただの言葉じゃないか。誰がそんなことを決めたんだ!
失っている過去を守るのは間違いで、今ある現実を守ることだけが正義なのかよ!
それを決めていいのはあんたじゃない!オレなんじゃないのか!
オレは決めたんだ!過去を放ってはおかない!決着をつけるんだ!
ガンダム無双2より。アスランとの掛け合いで「過去に囚われたまま戦うのはやめろ、そんなことをしても何も戻りはしない」と諭された際に答えて。失った大切な過去があるからこそ、未来のために戦うのだという決意。
「大切なものを守るために戦う、それでいいんだ。
でも、だからって、俺も戦わないわけには行かないんだ!」
ガンダム無双2より。キラの戦う理由を理解しながらも、真正面から自分の信念をぶつけて。
「やめてくれよ、ルナ。もうエースの力はいいんだ。必要ない。
スーパーエースなんて、もう捨てていい過去だって、決めたんだ。オレ自身で。」
ガンダム無双2より。シンが過去に囚われているのではなく、悲しみを乗り越えて未来に向かって行くという人間的な成長が見て取れるセリフ。

迷台詞

「なんで議長までチェックしてるんだぁぁぁ!」
放送当時のフレッツCMより。デュランダルにCMで「CMの方が喋ってる」と揶揄される。あながち間違っていない?

搭乗機体・関連機体

インパルスガンダム
前半の搭乗機。
デスティニーガンダム
後半の搭乗機。
イモータルジャスティスガンダム
『SEED FREEDOM』前半での搭乗機。
デスティニーガンダムSpecII
『SEED FREEDOM』後半での搭乗機。

余談

  • シンを演じた鈴村健一氏は2011年8月にルナマリア役の坂本真綾氏と結婚している。
  • ゲーム『真・ガンダム無双』ではなんと、ミネルバ隊と同行したキラと共にデストロイガンダム軍団に挑み、ステラをはじめとする強化人間ほぼ全員を救出可能なオリジナルシナリオが用意された。
  • 2023年に発表された『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のプレビューで、多くのメインキャラクター達が一様にお辞儀をしているなか、シンだけが値踏みするように不遜な態度で頭を下げていないという「らしい」映像が公開された。これにファンは「これでこそシン・アスカ」「解像度が高すぎる」と絶賛。ただし映画のキービジュアルはキラ・ヤマトとラクス・クライン。なお、頭を下げていなかった実際の理由は「他に気が逸れていて頭を下げるのを忘れていた」というウッカリであった。それはそれでやっぱりシンらしい?
  • 2023年7月28日に発売された「機動戦士ガンダムSEED DESTINY HDリマスター Complete Blu-ray BOX(特装限定版)」の描き下ろしボックスアートはシンとステラの2ショット、裏面は傷つきボロボロになったディスティニーガンダム。「3人の主人公」という「DESTINY」のコンセプトからすれば特段の扱い。

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