アルベルト・ビスト

提供: ガンダムWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
The printable version is no longer supported and may have rendering errors. Please update your browser bookmarks and please use the default browser print function instead.

アルベルト・ビスト(Arberto Vist)

アナハイム・エレクトロニクス社の重役として、ラプラスの箱の解放を阻止すべく、ネェル・アーガマへと乗り込んでくる。 小太りで温和そうな見た目をしているが、時折冷酷で狡猾な表情を覗かせる。 名前から判るとおり、ビスト一族の人間であり、アナハイムエレクトロニクスとの太いパイプを利用して現在のポストに収まったフシがある。
カーディアス・ビストの息子(つまりバナージ・リンクスの兄)だが、父から認められなかったことから劣等感が強く、反対にユニコーンガンダムを託されたバナージ・リンクスに対しては憎悪と嫉妬の渦巻く感情を抱いている。実は少年時代にバナージと会っているのだが、寄宿舎に入っていたアルベルトは実家と離れて生活していたため、まさか異母弟とは思っていなかったようで、その事実を知るのは後年のことになる。

彼の認められたいという意識を叔母のマーサ・ビスト・カーバインに利用され、忠実な犬として奔走。父親であるカーディアス・ビストを撃ち、小説版ではマーサ・ビスト・カーバインとは近親相姦関係にあるなど歪んだ部分も抱え込んでいる。しかし、一方で冷酷になりきれず(いずれは箱の真実ごと闇に葬られる運命にある)ネェル・アーガマのクルーに後ろめたさを感じていたり、マリーダ・クルスの再調整では目を背け、変貌した彼女に戸惑うなど、むしろ情深いところもあるなど、苦悩するキャラクターとしても描かれていた。 人物像としては小物という言葉がこれ以上ないほどに似合う、ある意味で稀有なキャラクター。 序盤はネェル・アーガマに乗り込んで、アナハイム・エレクトロニクスの重役というバックを盾にあれこれと要求するも事態は好転せず、驚いたり悲鳴を上げたり情けない姿ばかりがひたすらクローズアップされた。ブリッジでこれほど情けない姿を見せたのは機動戦士ガンダムSEED DESTINYアーサー・トライン以外には彼くらいのものだろう。 ネェル・アーガマが襲撃された際に命を助けられたことから、マリーダ・クルスには淡い恋慕の情を抱いていたようで、その後もたびたび彼女のことを気にかける姿が見られた。

物語が進み、ビスト財団も地球連邦もラプラスの箱の維持と隠蔽に固執することをやめ、むしろその解放へのリスクを考慮し「箱」を求めるものすべてを闇に葬るというプランへとシフトする。そのためアルベルトはネェル・アーガマを降り、マーサの元へと戻った。そこでマリーダ・クルスの再調整の場に同席することになり、罪悪を感じながらも、マーサに逆らうことはできなかった。 しかし、これは彼に何かしらの心境の変化をもたらしたようで、後にリディ・マーセナスがマーセナス家の人脈を利用してアルベルトと会談を持った際には、バンシィ・ノルンを乗機とするよう手配する代わりにマリーダ・クルスを救出するように要求するなど、マーサに知られない範囲で根回しをしていた。

「箱」をめぐる戦いの終盤、マリーダ・クルスが死と同時に放った感応波の「声」を聞き、その死を知って泣き崩れる。その後、「箱」を知るすべてを葬るコロニーレーザーの起動直前、「男の理屈を否定し続けてきた」マーサに喰ってかかるなど、物語序盤とは異なる姿を見せた。

序盤は完全にヘタレキャラクターとして視聴者に笑われる立場であったが、感応波を受けて何かを感じ取って以降はどことなく魅力的になり、最後のセリフで一気に男を上げた。

登場作品と役柄

機動戦士ガンダムUC
登場時からダメキャラとして活躍した。OVA版ではダメダメな部分だけが目立っているが、冷酷な顔もチラリと覗かせる、油断のならない人物像が垣間見えた。アナハイム・エレクトロニクスの重役は「箱」の魔力だけではない、彼自身の実力もあったのではないか?……と思えなくもない、かもしれない。

人間関係

カーディアス・ビスト
親子。おそらくは厳しく育てられたのであろうことは想像に難くない。そのためか卑屈で相手の顔色を伺うような性格になったのではないだろうか。カーディアスの口癖であった「大を活かすために小を犠牲にする」という理屈をひどく嫌っていた。
サイアム・ビスト
曽祖父。箱の正体は知っていたようだが、彼と「箱」の居場所に関しては知らなかった。
バナージ・リンクス
異母弟。といっても愛情はなく、むしろ父の希望を託され、その象徴であるユニコーンガンダムを駆る彼に対しては嫉妬と憎悪を抱いていた。
マーサ・ビスト・カーバイン
叔母。忠実な犬として彼女のために手を汚すこともいとわなかった。小説版では肉体関係にあるものの、OVA版を見る限り首をかしげる趣味といわざるを得ない。しかし、Episode7の劇場ポスターでは目を見張る美女に描かれており、これならば納得である。

名台詞

「あれは……シナンジュだ!赤い彗星だ!勝てるわけがない……!」
高木渉氏の演技が光る、これ以上ない情けなさ。その後もダメダメなところを存分に見せた。
「彼は戦ってくれるよ……ユニコーンが破壊されるまで」
アルベルトの黒い部分がちらりと覗く一言。裏にはバナージへの嫉妬と憎悪もあったと思われる。
「ユニコーンやバンシィのような魔物を造り出してしまう我々は、既に破滅の戸口に立っているのだろうが……」
ビスト一族の祖父は曽祖父サイアムに殺され、父カーディアスは自分が殺し、また「箱」の真実を隠すために弟すらも殺そうとしている自分達の所業を顧みて。あまりにも血塗られた歴史だが、後にEpisode7のラストシーンでマリーダ・クルスのセリフと、バナージ・リンクスがこれを否定することになる。
「男の論理を否定し続けてきたあなたが!!」
マーサの強引で「目的のためにほかを捨てる」という(彼女の定義するところの男の論理そのもの)やり口に、ついにアルベルトが反発。絶対服従のマーサを相手に、これまでとはうってかわった強い口調でつかみかかるほどであった。
「リディ少尉がいるんだ!バンシィのパイロットは、リディ少尉だ!彼の意向に、私が許可を……!」
マーサのボディガードに取り押さえられながらも、コロニーレーザー発射ボタンを前にしたローナン・マーセナスに必死で叫ぶ。しかし発射スイッチはすでに押されており、視聴者も心の中で「もっと早く言えよ」とつぶやいたという。
「……もうよしましょう、叔母さん。『箱』の魔力は失われたのです。」
「終わったのです。また、始めましょう。」
『箱』が解放されたことをまだ認めず、なおも食い下がり、メガラニカごと真実を葬ろうとするマーサに言い放ったセリフ。凛々しい顔つきでマーサと対峙し、そして柔和な笑顔を見せた。このアルベルトの変貌にはマーサも驚き、去り際に笑顔を見せるなど、箱をめぐる一連の騒動は、彼をも成長させていたことが伺える。