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== 概要 ==
 
== 概要 ==
[[一年戦争]]時に開発された[[ジムシリーズ]]のバリエーションの1つ。戦時量産型として開発された[[ジム]]に代わって、基本設計により忠実な機種として開発された後期生産型ジムの1種である。「ジム・コマンド (コロニー戦仕様)」と表記される場合もある。
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[[一年戦争]]末期に開発された[[ジムシリーズ]]のバリエーションの1つ。いわゆる[[ジム]]の後期生産型に属し、生産や設計などのノウハウがそれなりに蓄積されて以降の機体であるため、規格が乱立していた最初期の機体よりも整備性や操作性などが格段に向上している。
  
本機の特徴として、ランドセルの換装が可能、右肩付け根へのアンテナ追加、従来のジムシリーズとは異なりビームサーベルをリアスカートに装備している点が挙げられる。また、ジム系列機としては初めてモノアイ式のメインカメラユニットを採用している。
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これらの機体の多くは補充用として様々な地域へ配備されたため、生産数そのものは多くはなかったが、[[モビルスーツ]]の配備自体が先送りにされていた部隊などには小隊規模で供給されているケースもあり、トータルでの実働実績は相当数に上る。特にジム・コマンドは主戦場を除く地域に配備されるケースが多く見受けられた。
  
本機はジムD型をベースとしており、機体各所にスラスターを分散配置、D型で実績のあった補助冷却機構の搭載、1,400kWに迫る出力を持つタキム社製新型ジェネレーターの採用等により、高出力化と高機動化を実現した。しかし、このクラスのジェネレーターの生産には無重力環境下の生産設備が必要であり、当時は[[ルナツー]]にしか大規模な生産設備が無かった事から、MS経験者への優先配備機として、配備は限定的なものとなった。「指揮官」を意味する「コマンド(Command)」が機体名に用いられているのも、MS経験者が小隊の隊長を任じられ、結果的に指揮官が使用するケースが多数見られた事に起因している。また、MS経験者が貴重な人材であり、ジムとは性質の異なる任務が宛がわれる傾向にあった事から、特殊部隊機(Commando)であると誤解を生じる場合もあったようだ。
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RGM-79Gは[[スペースコロニー]]内と周辺宙域での運用を想定した拠点防衛用に特化されており、「コロニー戦仕様」とも呼ばれている。同系統の79D、79GSとともに各コロニーの防空、防衛用として中立勢力を含むコロニーの港湾設備の警備や補修などにも用いられた他、地上においては極地など戦略上の重要度が低い地域の通信施設の防衛などのために配備されていた<ref>こういった極端に環境が異なる領域に率先して同系機が配備されたのは、次期主力量産機開発に用いる基礎データの収集を目的としたためとされる。</ref>。スペック的には[[ゲルググ]]に匹敵すると言われているが、緊急性が低い領域へ多く配備されていたためか、各機能が抑制されている場合が多く、ポテンシャルを充分に発揮出来ない局面も多かったとされている。
  
終戦後はジェネレーター生産に関する問題も技術的に解決されたため、[[ジム改|C型]]には及ばずとも一定数が製造され、公国軍残党狩りを専門とする遊撃部隊や特殊部隊のパイロット達に好んで使用された。
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ジム・コマンドは各装甲やランドセルなどの換装も比較的容易であり、基礎構造にほとんど手を加える事なく仕様の変更が可能であった。コロニー戦仕様は運用環境の都合上、過剰な破壊力を抑制する事をコンセンサスとしており、各バーニアスラスターはコロニー内稼働への最適化シミュレーションに基づいて配置され、バックパックはサーベルラックデバイスを持たない代わりに各種センサーなどが増設されている。
  
本機のスペックは数値の上ではガンダムと同等以上のものを持っているが、『0080』本編では従来のジム同様に敵に撃破される描写が多い。これは『0080』や『0083』に登場する[[ジム改]]などの他の量産機と同様に、本機も元々はただデザインをリファインしただけで[[ジム]]と同一の機体であるとされていたためで、「ジムのバリエーションの1つで性能が上」とする設定は後付けのものだからである。
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頭部は通常のジムとは異なり、人間が生存可能かどうかを詳細に探知する外部環境モニタリングセンサーなどが増設され、対人・対物の回避能力が向上。胸部も、ジェネレーター出力の向上に伴い、冷却機能強化のためにインテーク/ダクトが増設されている。
  
設定が整理されて以降は、第11独立機械化混成部隊やファントムスイープ隊など実戦豊富とされる部隊や、ティターンズやエゥーゴにも配備されている他、コロニー駐留部隊や地上の拠点防衛向けに配備されたとされている。前述の被撃墜描写に関しても「スペック的には公国軍のMS-14[[ゲルググ]]に匹敵すると言われているが、緊急性が低い領域へ多く配備されていたためか、各機能が抑制されている場合が多く、ポテンシャルを存分に発揮できない局面も多かったとされている」と考察する資料<ref>[[ガンプラ]]「MG 1/100 ジム・コマンド (コロニー戦仕様)」のインストより。</ref>も存在する。
+
コロニーの施設や設備に接触しないよう右肩の襟元にアンテナを備えているのも特徴の一つで、通信機能の強化に加え、特にコロニー内外で民間利用されている周波数帯との混信や減衰を防ぐ機能を持つ。
  
 
== 登場作品と操縦者 ==
 
== 登場作品と操縦者 ==
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== 武装・必殺攻撃 ==
 
== 武装・必殺攻撃 ==
 
;60mmバルカン砲
 
;60mmバルカン砲
:頭部に2門内蔵されている迎撃用バルカンシステム。主に相手の牽制などに用いられる。
+
:60mm口径の実体弾を射出する近接戦闘用の固定武装。連邦軍系MSの標準兵装となっている。
;ブルパップ・マシンガン
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;[[ブルパップ・マシンガン]]
:90mm口径のプルバップ式マシンガン。一年戦争後期のジム系統に代表される武装の1つで、後発作品にも多数登場している。
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:一年戦争末期に量産機向けとして配備された武装で、当時の標準的な戦闘車両などに採用されていた機銃などと同規格の90mm実体弾を射出する。マガジンとチャンバーを後端部に備えるブルパップタイプで、全長を短くしつつ銃身を長くしている。
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;ビーム・ガン
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:一年戦争後期にジム系の量産機に配備された武装の改良型。規格としてはビーム・スプレーガンに相当するが、[[エネルギーCAP]]の設計コンセプトが独自のものになっているため、他の機体との互換性に乏しい。
 
;ハンド・グレネード
 
;ハンド・グレネード
 
:モビルスーツ用の特殊擲弾。モルモット隊所属機が装備。
 
:モビルスーツ用の特殊擲弾。モルモット隊所属機が装備。
;ビーム・サーベル
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;[[ビーム・サーベル]]
:ビーム刃を発生させる近接戦闘武装。リア・スカートのサーベルラックに2本装備されている。2本装備の理由としては、本機のバックパックが機動性重視の設計によりエネルギー充填機能がオミットされ、1本を使い回す事ができなかったためである。また、従来のジムタイプと比べて、グリップの形状が若干異なる(ジム・ガンダム系というより[[リック・ディアス]]の物に近い)。
+
:ビーム刃を発生させる近接戦闘武装。ジム・コマンド系の機体ではサーベルの取り回しについても再考されており、サーベルラックの腰部への移設はその顕著な例である。<br/>この設計コンセプトは後に[[ネモ]]などにも採用されている。
 
;シールド
 
;シールド
:ビームコーティングがなされている曲面的なシールド。『0080』劇中では未装備だが、後発作品において頻繁に登場している。
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:機体の装甲材とほぼ同じ材質を使用するシールド。堅牢さよりも衝撃吸収/拡散に特化した形状と表面処理が施されている。
 
;シールド (モルモット隊)
 
;シールド (モルモット隊)
 
:モルモット隊所属機が装備しているシールド。[[ジム寒冷地仕様]]などが装備するシールドに似ているが、上下先端にスパイクが付いている等、若干の差異がある。
 
:モルモット隊所属機が装備しているシールド。[[ジム寒冷地仕様]]などが装備するシールドに似ているが、上下先端にスパイクが付いている等、若干の差異がある。
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;ハイパー・バズーカ
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:ジム系列機が使用する無反動ロケットランチャー。
  
 
== 対決・名場面 ==
 
== 対決・名場面 ==
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;[[ジム・コマンド宇宙戦仕様]]
 
;[[ジム・コマンド宇宙戦仕様]]
 
:本機の宇宙戦装備。バックパックが空間戦仕様の物に換装されている。
 
:本機の宇宙戦装備。バックパックが空間戦仕様の物に換装されている。
;ジムD型
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;[[ジムD型]]
:[[寒冷地用ジム]]の通常仕様。本機のベース機である。
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:[[ジム寒冷地仕様]]の通常仕様。本機のベース機である。
 
;[[ジム・スナイパーII]]
 
;[[ジム・スナイパーII]]
 
:本機をベースに[[ジム・スナイパーカスタム]]の開発コンセプトを取り入れて完成させた傑作機。
 
:本機をベースに[[ジム・スナイパーカスタム]]の開発コンセプトを取り入れて完成させた傑作機。
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;[[ジム・スパルタン]]
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:本機をベースにして、亜熱帯や密林をはじめとした地上戦を想定した局地戦仕様機。
 
;[[ジム・コマンド・ライトアーマー]]
 
;[[ジム・コマンド・ライトアーマー]]
 
:[[ジム・ライトアーマー]]と同様、軽量化によって機動力を向上させた機体。
 
:[[ジム・ライトアーマー]]と同様、軽量化によって機動力を向上させた機体。

2023年9月11日 (月) 21:22時点における最新版

ジム・コマンド
外国語表記 GM COMMAND
登場作品
デザイナー 出渕裕
テンプレートを表示
スペック
分類 汎用量産型モビルスーツ
型式番号 RGM-79G
頭頂高 18.0m
本体重量 43.5t
全備重量 56.4t
主動力 熱核融合炉
ジェネレーター出力 1,330kW
スラスター総推力 67,000kg
装甲材質 チタン・セラミック複合材
センサー有効半径 6,000m
開発組織 地球連邦軍
開発拠点 オーガスタ工廠(基礎設計)
ルナツー工廠(大量生産)
所属組織 地球連邦軍
所属部隊 第11独立機械化混成部隊 (モルモット隊)
ファントムスイープ隊
他多数
主なパイロット ユウ・カジマ
サマナ・フュリス
フィリップ・ヒューズ
ユーグ・クーロ
地球連邦軍一般兵
他多数
テンプレートを表示

概要[編集 | ソースを編集]

一年戦争末期に開発されたジムシリーズのバリエーションの1つ。いわゆるジムの後期生産型に属し、生産や設計などのノウハウがそれなりに蓄積されて以降の機体であるため、規格が乱立していた最初期の機体よりも整備性や操作性などが格段に向上している。

これらの機体の多くは補充用として様々な地域へ配備されたため、生産数そのものは多くはなかったが、モビルスーツの配備自体が先送りにされていた部隊などには小隊規模で供給されているケースもあり、トータルでの実働実績は相当数に上る。特にジム・コマンドは主戦場を除く地域に配備されるケースが多く見受けられた。

RGM-79Gはスペースコロニー内と周辺宙域での運用を想定した拠点防衛用に特化されており、「コロニー戦仕様」とも呼ばれている。同系統の79D、79GSとともに各コロニーの防空、防衛用として中立勢力を含むコロニーの港湾設備の警備や補修などにも用いられた他、地上においては極地など戦略上の重要度が低い地域の通信施設の防衛などのために配備されていた[1]。スペック的にはゲルググに匹敵すると言われているが、緊急性が低い領域へ多く配備されていたためか、各機能が抑制されている場合が多く、ポテンシャルを充分に発揮出来ない局面も多かったとされている。

ジム・コマンドは各装甲やランドセルなどの換装も比較的容易であり、基礎構造にほとんど手を加える事なく仕様の変更が可能であった。コロニー戦仕様は運用環境の都合上、過剰な破壊力を抑制する事をコンセンサスとしており、各バーニアスラスターはコロニー内稼働への最適化シミュレーションに基づいて配置され、バックパックはサーベルラックデバイスを持たない代わりに各種センサーなどが増設されている。

頭部は通常のジムとは異なり、人間が生存可能かどうかを詳細に探知する外部環境モニタリングセンサーなどが増設され、対人・対物の回避能力が向上。胸部も、ジェネレーター出力の向上に伴い、冷却機能強化のためにインテーク/ダクトが増設されている。

コロニーの施設や設備に接触しないよう右肩の襟元にアンテナを備えているのも特徴の一つで、通信機能の強化に加え、特にコロニー内外で民間利用されている周波数帯との混信や減衰を防ぐ機能を持つ。

登場作品と操縦者[編集 | ソースを編集]

機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
初登場作品。第1話で中立コロニー群サイド6・リボーコロニーの内部に威力偵察で進入したジオン軍のMS部隊を迎撃する姿が描かれているが、大概は撃墜されている。後にバーニィが、ザクII改の修理に本機の残骸から得た部品を使用している。その描写から、ジオンと連邦軍でモビルスーツのパーツの共有化が図られている事が窺える。
機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY
ユウ・カジマの所属する第11独立機械化混成部隊(モルモット隊)に主力機として配備されている。カラーリングは宇宙戦仕様と同様、赤と白のツートンカラー。なお、本編はオデッサ作戦終了直後、後期生産型のジムの量産が始まっていない時期であるため、本来であれば本機の登場は時系列的におかしい。その為か、後出する作品ではジム陸戦型ジムに差し替えられる事があり、また、『サイドストーリーズ』のリメイク版では先行配備機として設定されている。
機動戦士ガンダム戦記 (PS3版)
ユーグ・クーロの所属するファントムスイープ隊に主力機として配備されている。シールドには部隊章であるドクロのマークが描かれている。
MS ERA 0001~0080 ガンダム戦場写真集
ジオン軍に鹵獲された機体が登場している。緑のジオンカラーに塗装され、ジオンマークが塗装された六角形のシールドを装備している。
機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う
7、8話で海賊側のMSとして登場。全身に2の文字が多数かかれている。カークス隊基地まで侵入するが、カークス隊基地の崩落に巻き込まれる。

武装・必殺攻撃[編集 | ソースを編集]

60mmバルカン砲
60mm口径の実体弾を射出する近接戦闘用の固定武装。連邦軍系MSの標準兵装となっている。
ブルパップ・マシンガン
一年戦争末期に量産機向けとして配備された武装で、当時の標準的な戦闘車両などに採用されていた機銃などと同規格の90mm実体弾を射出する。マガジンとチャンバーを後端部に備えるブルパップタイプで、全長を短くしつつ銃身を長くしている。
ビーム・ガン
一年戦争後期にジム系の量産機に配備された武装の改良型。規格としてはビーム・スプレーガンに相当するが、エネルギーCAPの設計コンセプトが独自のものになっているため、他の機体との互換性に乏しい。
ハンド・グレネード
モビルスーツ用の特殊擲弾。モルモット隊所属機が装備。
ビーム・サーベル
ビーム刃を発生させる近接戦闘武装。ジム・コマンド系の機体ではサーベルの取り回しについても再考されており、サーベルラックの腰部への移設はその顕著な例である。
この設計コンセプトは後にネモなどにも採用されている。
シールド
機体の装甲材とほぼ同じ材質を使用するシールド。堅牢さよりも衝撃吸収/拡散に特化した形状と表面処理が施されている。
シールド (モルモット隊)
モルモット隊所属機が装備しているシールド。ジム寒冷地仕様などが装備するシールドに似ているが、上下先端にスパイクが付いている等、若干の差異がある。
ハイパー・バズーカ
ジム系列機が使用する無反動ロケットランチャー。

対決・名場面[編集 | ソースを編集]

関連機体[編集 | ソースを編集]

ジム・コマンド宇宙戦仕様
本機の宇宙戦装備。バックパックが空間戦仕様の物に換装されている。
ジムD型
ジム寒冷地仕様の通常仕様。本機のベース機である。
ジム・スナイパーII
本機をベースにジム・スナイパーカスタムの開発コンセプトを取り入れて完成させた傑作機。
ジム・スパルタン
本機をベースにして、亜熱帯や密林をはじめとした地上戦を想定した局地戦仕様機。
ジム・コマンド・ライトアーマー
ジム・ライトアーマーと同様、軽量化によって機動力を向上させた機体。
ハイブースト・ジム
移動速度の向上を目的に改修された機体。
ジム・ドミナンス
後期生産型のジムを改修した機体であり、機体パーツに本機との類似点が見られる。
ジム改[ケラウノス所属機]
組み立ての際の不足パーツに本機のパーツが使用されている。
ガンダム (ハンマーヘッド)
本機もしくはコマンド宇宙戦仕様がベース機となっている。
ジム改
本機と同様、後期生産型のジムに分類される機体。

余談[編集 | ソースを編集]

  • 機体名の「コマンド」についてだが、指揮・司令(転じて司令部等)を示す「Command」であり、特殊部隊や奇襲部隊を示す「Commando」は誤り。

商品情報[編集 | ソースを編集]

ガンプラ[編集 | ソースを編集]

書籍 [編集 | ソースを編集]

リンク[編集 | ソースを編集]

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. こういった極端に環境が異なる領域に率先して同系機が配備されたのは、次期主力量産機開発に用いる基礎データの収集を目的としたためとされる。