ダカール演説

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ダカール演説(Dakar Speech)[編集 | ソースを編集]

エゥーゴクワトロ・バジーナが世論を味方につける為、宇宙世紀0087年11月16日にカラバルオ商会の協力を得てダカールの連邦議会を占拠し、全世界にテレビ中継で行った演説。

クワトロは、この演説で自らの正体がかつてのジオンのシャア・アズナブルであると共にジオン・ズム・ダイクンの遺児である事やティターンズの悪事を明らかにした。これにより、議員だけでなく地球の一般市民、更には地球連邦軍ティターンズ内部にまでもティターンズに対する疑念や不信感が生まれ、更にジェリド・メサ中尉率いる追撃部隊が町の被害を顧みない攻撃をしたり、友軍のアッシマーを攻撃する様子やその流れ弾が議事堂に当たる光景も放送されたことで地球の人々からも見放され、ティターンズとエゥーゴの立場が逆転して、グリプス戦役前半のターニングポイントにもなるのである。

劇場版Ζでは「ダカールの日」のエピソードが削られているが、同劇場版を基にした、ことぶきつかさの漫画「デイアフタートゥモロー」ではハヤト・コバヤシが演説を行っている。

内容[編集 | ソースを編集]

機動戦士Ζガンダム [編集 | ソースを編集]

閉会するな!この席を借りたい!

議会の方と、このテレビを見ている連邦国々民の方には、突然の無礼を許して頂きたい。(サングラスを外し、青い目を晒す)

私はエゥーゴのクワトロ・バジーナ大尉であります。

話の前に、もう一つ知っておいてもらいたい事があります。私はかつてシャア・アズナブルという名で呼ばれた事もある男だ。

私はこの場を借りて、ジオンの遺志を継ぐ者として語りたい。もちろん、ジオン公国のシャアとしてではなく、ジオン・ダイクンの子としてである。

ジオン・ダイクンの遺志は、ザビ家のような欲望に根差したものではない。ジオン・ダイクンがジオン公国を作ったのでは無い。

現在ティターンズが地球連邦軍を我が物にしている事実は、ザビ家のやり方より悪質であると気付く。

人が宇宙そらに出たのは、地球が人間の重みで沈むのを避ける為だった。そして、宇宙そらに出た人類が、その生活圏を拡大した事によって、人類そのものの力を身に付けたと誤解をして、ザビ家のような勢力をのさばらせてしまった歴史を持つ。それは不幸だ。もうその歴史を繰り返してはならない。

宇宙そらに出ることによって、人間はその能力を広げる事が出来ると、何故信じられないのか?

我々は地球を人の手で汚すなと言っている。ティターンズは地球に魂を引かれた人々の集まりで、地球を食い潰そうとしているのだ。

人は長い間、この地球と言う揺り籠の中で戯れてきた。しかし!時は既に人類を地球から巣立たせる時が来たのだ!その後に至って何故人類同士が戦い、地球を汚染しなければならないのだ!地球を自然の揺り籠の中に戻し、人間は宇宙そらで自立しなければ、地球は水の惑星では無くなるのだ!このダカールさえ砂漠に飲み込まれようとしている!それほどに地球は疲れ切っている!

今、誰もがこの美しい地球を残したいと考えている。ならば自分の欲求を果たす為だけに、地球に寄生虫のようにへばりついていて、良い訳がない。

現にティターンズは、このような時にも戦闘を仕掛けてくる。見るが良い!この暴虐な行為を。彼らはかつての地球連邦軍から膨れ上がり、逆らう者は全てを悪と称しているが、それこそ悪であり、人類を衰退させていると言い切れる!

テレビを御覧の方々はお分かりになる筈だ!これがティターンズのやり方なのです!我々が議会を武力で制圧したのも悪いのです。しかしティターンズはこの議会に自分達の味方となる議員がいるにも関わらず破壊しようとしている!

機動戦士Ζガンダム (小説版) [編集 | ソースを編集]

私は、元ジオン公国のシャア・アズナブルである。ジオン・ダイクンの子である。そして、今は、エゥーゴとカラバのスタッフである。我々の主張を聞きたいと思っている人々は、地球上にも、宇宙にも多いはずだ。絶対民主政治を標榜する地球連邦政府議会ならば、私の発言を止められるはずはない!

私がこの場を借りて、父、ジオン・ダイクンの意志を継ぐものとして語るのは、地球連邦軍を私物化するティターンズの動きが、現在、極めて横暴になってきたからに他ならない。これはかつてのザビ家である。いや、地球上で始まったこの動きは、ザビ家以上に危険である。

ティターンズの名を借りて、ジャミトフ・ハイマンが、地球連邦軍を我がものにしようとしている事実は、ザビ家よりも悪質である。

人が宇宙に出たのは、なぜか、と思い出してもらいたい。地球が人の重みで沈むのを避けるためだったのだ。

人類が宇宙に生活圏を拡大したことによって、人類そのものが力を身につけたと誤解した。その結果が、ザビ家なのだ。人類の生活圏の拡大が、人類に力をつけたと誤解し、ザビ家のような勢力を認めてしまいたいと思ったのだ。それは、過ちである。この意味は重要である。人類は、もともと、己の中に過ちの根を持っているという証拠である。それは不幸なことだ、と認識する必要がある。もう、この歴史を繰り返してはならない。

人類が宇宙に出ることによって、手に入れられるのは、純粋にその能力を広げることができることなのである。

新しい環境で、人の能力は刺激を受けて、今まで眠っていた能力が拡大する。たとえば、人同士が、より理解できるようになるということだ。俗にいわれるテレパシーとも異なる分かり方ができるのだ。なぜできるか? 簡単なことだ。人が住む環境が地球以上に巨大になったために、人が種として共存する同一意識を持つためには、人の共同認識の能力が拡大しなければ、一つの種として共生することが出来ないからにすぎない。これまで、地球に住む我々の大脳皮質の能力は、五十パーセントも使っていなかったといわれる。残りの能力は、宇宙に進出したときのために、神が我々人間に与えて下さったものなのだ。地球を故郷と思うあまり、地球を離れずに暮らすことが最良と思う人々は、地球に魂を引かれた者である。人の能力の拡大の可能性を否定して、人の間に戦闘状況を生み出すことによって、人類を生き続けさせようとするのがジャミトフの狙いである。

しかし、それでは、過去から言われていたように、戦争が文明を発展させたという古い規範から、人は一歩も出ることは出来ない。

違う!人は、違うのだ。宇宙に出て、心を開き、まだ目覚めていない人の能力を高めれば、人は、戦争なくして、永遠に発展し、増殖し続けることができる。宇宙は、無限である。この無限という意味を考えていただきたい。

どのような叡智をも呑み込むだけの果てしなさを持ったもの、という意味である。その果てしなさに対して、永遠に叡智を放出できるのもまた人類でしかない。その叡智と気力、そして、精神を、なぜ人は、他人にぶつけることだけで満足して死んでゆけるのか?

それが、人に与えられた使命ではない。神は、宇宙駆ける者として人を創造されたのである。

ティターンズは、地球の重力に魂を引かれた人々で、地球の論理だけで革命を進めようとしているのだ。しかし、それは改革ではない。

地球に住む人と宇宙に住む人という階級だけを作り、その緊張感の中で、特定の人々だけが、利益を得る社会構造を作るだけである。

それでは、中世である。人に成長するなと言うに等しい。

人は、長い間、この地球という揺り籠の中で戯れてきた。しかし、時は、すでに人類を地球から巣立たせているのだ。この期に及んで、なぜ、人類同士が戦い、地球を汚染しなければならないのだ? 地球を自然の揺り籠の中に戻し、人類は、宇宙で自立しなければ、地球は干涸らびて水の星ではなくなる日は近いのである! しかし、今ならば、まだ地球はまだ美しく、残す価値がある。ならば、自分の欲望を満たすためだけに、地球に寄生虫のようにへばりついて、地球を汚すことは、何人にも許されない。

ティターンズは、このような時でさえも、戦闘を仕掛けてくるのだ。この暴虐な行為は、かつての地球連邦軍から膨れあがった組織が、逆らう者は全て悪と称して、掃討しようという意志を持っている証明である。これこそ悪であり、人類を衰退させてゆくと言い切れる。テレビをご覧になっている方々は、お分かりのはずだ! これがティターンズのやり方なのだ! そして、冷静に事態をご覧になっていただきたい。ティターンズは、この議会に自分たちの味方がいるにも拘わらず、私一人の口を封じるために地球連邦政府の象徴である議事堂まで破壊しようとしているのです!

登場作品と状況[編集 | ソースを編集]

機動戦士Ζガンダム(TV版)
第37話より。作中では上記の演説の合間に戦闘シーンが多く挿入されているため、作品世界での実際の全文はこれより長い可能性がある。
機動戦士Ζガンダム (小説版)
第4部 PART5より。言っている事の中身は概ねTV版と同じだが、台詞はより文語調になっており、尺がある分、ジャミトフに対する名指しでの批判や宇宙に出る事によって人類に何が齎されるかの説明などの追加部分がある。
ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに
小説EPISODE 6.1ラスト、ガンルームに集まったエリアルド達がモニタースクリーンで演説の様子を眺めている。ただ、末端の兵士であるエリアルドらにとってティターンズの横暴は与り知らぬ事であり、演説を前にエリアルドは「ジオンのやり方はいつもこうだ」と口にしている。
機動戦士ガンダム クライマックスU.C. 紡がれし血統
主人公カムナ・タチバナがティターンズ兵としてダカールに居合わせており、最初は演説を批判していたが、燃え盛る街の中で泣き崩れる子供を目の当たりにし、「見るがいい!この暴虐な行為を」の一節が深く突き刺さってしまう。これが切っ掛けでカムナはティターンズに疑問を抱き、その後の離反に繋がった。
機動戦士ガンダムNT
回想シーンで演説の一部分が流れる。

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