ビグ・ラング

提供: ガンダムWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
ビグ・ラング
外国語表記 BIG-RANG
登場作品 機動戦士ガンダム MS IGLOO
デザイナー
  • 出渕裕
  • 柳瀬敬之
テンプレートを表示
スペック
分類 試作モビルアーマー(機動前線橋頭保)
生産形態 試作機(急造機)
型式番号 MA-05Ad
全長 203.0m
全高 138.0m
本体重量 12,000t
全備重量 17,900t
主動力 熱核融合炉
スラスター総推力 4,600,000kg(アーマー、ホリゾント両ブースター使用時)
装甲材質 超鋼スチール合金
開発組織 ジオン公国軍
所属 ジオン公国軍
所属部隊 第603技術試験隊(カスペン戦闘大隊)
主なパイロット オリヴァー・マイ
テンプレートを表示

概要 [編集 | ソースを編集]

一年戦争末期にジオン公国軍技術本部が開発した試作型モビルアーマービグロに巨大な「Adユニット」を接続した機体である。

宇宙世紀0079年12月の段階で事実上の中断状態にあった様々なプロジェクトを技術本部が直接管理し、それらを基に実用レベルの兵器を一週間から数日の内に生み出すという条件の下に開発が進められた。その過程で全く異なる3つのプロジェクトが着目され、それらを組み合わせる形でビグ・ラングは完成に至った。しかし、継ぎ接ぎ同然の設計は機体構造に綻びを招き、要求性能を満たしつつも大きな欠陥を抱える事になった。

型式番号末尾の「Ad」は「Ammunition Depot(可搬補給廠)」を意味し、前線における小型戦闘艇やモビルスーツの補給拠点となる「前線橋頭堡」としての運用が想定されている。Adユニットはその前線橋頭堡としての機能を司るシステムであり、強固な装甲の内部に簡易補給設備を有し、最前線における友軍機の応急修理や補給作業を行う。

機体に接続されたビグロは後期型に属する6号機を使用。同機は機体のシステム全体の管制を担うと同時に、運用に際して必要最低限とされる攻撃兵器を備えた火力プラットフォームとして機能する。ビグロはターレットにより中枢ユニットに連結され、水平方向に180度の回転が可能。また、前方30度と後方90度にわたる可動構造を有している。ただし、これによってビグロ本来の機動性が損なわれ、機体本来の長所を殺す結果を招いている。

ビグ・ラングはAdユニットの前部に弩級装甲ブースターを連結し、その結合部の上部にビグロを配した機体構造を採用している。しかし、この構造は機体後方が無防備になるという致命的な欠陥を抱える結果となり、本来はそれをカバーする動的装甲システムを装備する予定であった。

ア・バオア・クー戦の直前に1機が完成し、オッゴの補助兵器としてカスペン戦闘大隊に配備・運用された。

登場作品と操縦者[編集 | ソースを編集]

機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079-
初登場作品。第2話ラストで機体データが出た後、第3話(最終話)でカスペン戦闘大隊に配備された。本来はモニク・キャディラックが搭乗する予定だったものの、彼女は前話にて弟エルヴィンを失ったショックで精神失調に陥っており、戦闘参加は不可能と判断したヘルベルト・フォン・カスペンによってオリヴァー・マイがパイロットに指名された。
ア・バオア・クー攻防戦の際にEフィールドの防衛戦力として投入され、相対した敵部隊を一度は後退させる高い戦果を挙げた(機体色が赤いため、連邦兵に「赤い彗星」と誤認された事も影響している)。最後は撤退する友軍を守るべく殿を努め、その最中に連邦の猛攻を受け撃破されたものの、マイは無傷で生還し、603の残存機と共にヨーツンヘイムへの帰還を果たしている。

装備・機能[編集 | ソースを編集]

特殊機能[編集 | ソースを編集]

Adユニット
機体後方に接続された前線橋頭堡となる簡易補給設備。スカート・シェルと呼ばれる強固な装甲で保護された内部にMSやオッゴ等をクレーンを用いて1機ずつ収容し、応急修理と補給作業を行う。Adユニットの補給修理作業はビグロのコクピットから行われ、それらの作業を行う為の機器を追加する改修も加えられている。
ユニット下方には装甲が施されていないという致命的な欠点を有し、本来であればそれをカバーする為の動的装甲システムを装備する予定であった。
30連装ビーム撹乱弾発射筒
近接戦闘用のビーム撹乱弾の発射装置。Adユニットのスカート・シェル前方に計4基装備。採用の背景には、ソロモン戦で連邦軍の運用したビーム撹乱幕の有用性が再認識された経緯がある。
散布後に急速に拡散する性質上、遠距離からの投射には適さないが、近距離では極めて有効に機能し、その巨体故に被弾が避けられないビグ・ラングにとって必要不可欠な装備だったと言える。また、周囲に撹乱幕を散布する事で僚機を守る事も可能であった。
弩級装甲ブースター
自推能力を持たないAdユニットを速やかに前線に投入するべく、機体前部に接続された大型ブースター。推進剤に重元素を用いた大出力熱核ロケットエンジンであり、元々は地球や月から大質量物を打ち上げるシステムの一環として開発されていた物である。

武装・必殺攻撃[編集 | ソースを編集]

大出力メガ粒子砲
ビグロの機首部に内蔵された大型メガ粒子砲。非使用時にくちばし状のカバーで隠される点は原型機から変更点は無いが、ビグロの後期型に施された出力向上により、大型艦艇を撃沈出来る程に威力が増強されている。
ミサイルランチャー
ビグロの初期タイプから引き継がれた固定兵装。本体に4基ずつ、計8基を備える。ランチャーが完全に内装されているために射界は限定されるが、ミサイルの連続発射が可能で、機体前方に弾幕を展開する用途に適している。
クロー・アーム
ビグロの前部に1基ずつ、計2基装備された大型のクロー・アーム。関節が増設され、クローは多目的大型マニピュレータとなっている。初期型のビグロより強度は劣っていたとも考えられるが、より柔軟で精密な動作が可能。本装備による格闘戦は想定していなかった可能性は高いものの、実戦においては敵機の接近に対して咄嗟に用いられた。
ガトリング砲
ビグロの機体の前方に装備。装備数を2基とする資料も見られるが、外観からは砲口が一箇所しか確認出来ない。初期型ビグロには装備されていなかった装備であり、後期型で採用されたものか、ビグ・ラングへの転用時に増設されたものかは不明。ビグ・ラングのターレット構造によってある程度の射界が確保されており、近接防御に用いられた。
3連装大型対(宇宙)艦ミサイル
Adユニットのスカート・シェル後方の表面に2基装備されたミサイル発射管。3基のランチャーを束ねた単純な構造で、ターレット型の接続方式によってある程度の発射角度の調整が可能であったと考えられる。撃ち切り式だが威力は高く、一発で巡洋艦クラスの艦艇を撃沈する事が可能だった。

対決・名場面[編集 | ソースを編集]

雷鳴に魂は還る
『黙示録0079』第3話(最終話)より。ア・バオア・クー戦の最終局面でEフィールド宙域に出撃し、劣勢に立たされていた友軍を援護し、奮戦していたオリヴァー・マイの駆るビグ・ラング。その最中に全軍に停戦命令が下された事で事なきを得たかに見えたが、連邦兵は恨み辛みから命令を無視して次々と攻撃を再開。マイは味方を守るべく已む無く応戦し、戦闘は泥沼化してしまう。熾烈を極める戦いの中で覚悟を決めたマイは最後の戦闘映像を記録するようヨーツンヘイムへ伝え、モニターに次々と敵味方が散っていく光景が映し出される中、遂に限界を迎えたビグ・ラングも爆発し映像は途切れた。戦闘後、多くの仲間を失い沈痛な空気に包まれるヨーツンヘイムのクルー達だったが……

関連機体[編集 | ソースを編集]

ビグロ / ビグロ (後期型)
本機の管制ユニットを担う。設定資料集「機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete」においてビグロ後期型の6号機が用いられているとする記述が見られる。
ラング
『0083 REBELLION』に登場。Adユニットにビグロに代わって装甲板を装着した突撃強襲機。内部にガンダム試作2号機を収容し、観艦式に対し核攻撃を仕掛ける際の隠れ蓑として用いられた。
オッゴ
補助対象の1つ。多数のオッゴを従えるように戦闘を行ったため、相対した連邦兵からは「ドラム缶の親玉」と形容された。

リンク[編集 | ソースを編集]