フリット・アスノ

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フリット・アスノ(Flit Asuno)

機動戦士ガンダムAGEの主要人物。第一部の主人公であり、物語全体の主軸を担う存在である。
モビルスーツ鍛冶として有名なアスノ家出身であり、自身もガンダムAGE-1を設計・開発、UEの進攻からパイロットとなる。

性格はかなり頑固で完璧主義。何事も自分の判断は正しいものだと確信し、相手の意見に耳を傾けないことが多い(小説版ではより顕著に描かれている)がアルグレアスは普段は柔軟な対応をしているという事から相手の意見にも理があるなら聞き入れてはいるものの、ヴェイガンへの徹底抗戦し打倒すべきという意見のみは例外的でアルグレアスもその点だけは決して譲らない謎だと話している。

ガンダムAGE-1開発当初は機体を救世主として特別視し、パイロットになってからはガンダムAGE-1への独占欲が強くなり別のパイロットが乗る事を強く拒絶するが、このガンダム信仰は第二部以降なくなっている。

少年時代の悲劇的な経験から、第二部以降はヴェイガンへ対する憎しみが尋常でないものとなっており、全てのヴェイガンを殲滅するという思想を持つまでに至っている。アセムやキオと比べると過激な発言が多く、三世代編においては実際に非道な行いをしようとするも最終的には誰かに止められるなど実行できたことはない。またこれらの殲滅思想は、大切なものを守るための裏返しである。

過剰なまでのヴェイガン殲滅論は、コウモリ退治戦役まで連邦政府の情報操作によりヴェイガンが正体不明の異星人やモンスターと言われていたことや、目の前で母親を殺され、民間人の虐殺や軍の配備されていないコロニーの破壊、戦闘中に動けないMSのコッピットを潰す、戦いをする人では無かったユリンを拉致して無理やり戦わせるなど、非人道的な行為を目の当たりにするなど、少年時代にヴェイガンが自分達と同じ人間だと思えない経験をした背景もある。

戦争では非情に徹して、許可を取ったとは言え、開発中で友軍を巻き込む可能性のあるプラズマダイバーミサイルを使おうとしたり、基地の投降と引き換えに部隊の撤退を見逃すと条件で話しは付いたのにも関わらず、撤退する敵を攻撃しようとし、ヴェイガンに対しては捕虜すら皆殺しにしろと命じたが、一方でラ・グラミス攻略戦で機体を大破させて自力で脱出出来なくなったセリックを助けようとしたり戦争に勝つ為に自身を犠牲にするように言い戦死したセリックに対して敬礼をするなど、味方に対する敬意はしっかりとある。

天使の落日の日に生まれ、第三部が勇気の日から始まり、その日にフリットの誕生日パーティがある事からフリットの誕生日に天使の落日、ノートラム侵攻、ヴェイガンの一斉蜂起、終戦と何かと歴史に残る事態が起きている。

ラ・グラミス攻防戦から37年後には地球連邦首都「ブルーシア」のガンダム記念博物館の前に銅像が置かれている。そこにキオとアセムが全てが終わった事を報告している事からその時には既に亡くなっていると思われる。

ガンダムパイロットとしてはかなり高齢の部類だが、AGE内にもより高齢でガンダムレギルスを操縦したフェザール・イゼルカントや、他の作品であれば物語開始前に長期間コールドスリープしていたロラン・セアックのような例があるため、最高齢ではない。コールドスリープなしでも普通に70代でクロスボーン・ガンダムX1を操縦していたウモン・サモンや、ガンプに乗っていた木星じいさんなどの例がある。

月刊コロコロコミックでのコミカライズ『クライマックスヒーロー』では本編と比べてかなり飄々とした性格となっており、ギャップの差があまりにも激しい。しかし、ヴェイガンに対する憎しみが無ければ、案外こういう孫煩悩な性格になっていたのかもしれない。

登場作品と役柄

機動戦士ガンダムAGE(第一部)
主人公として登場。
UEのMSに対抗しうるMSの開発を行い自身で多大な戦果を上げる。当初は人類をUEから守るために戦っていたが、母に始まり多くの大切な人を奪われた経験からUEヴェイガンに対する憎しみを募らせる。
機動戦士ガンダムAGE(第二部)
アセムの父親・上官として登場。
25年で軍の総司令部の司令官にまで登り詰めており、少年時代とは異なり冷静な判断力も健在、指揮官としては量産機に指示を出してXラウンダーを抑え、パイロットとしては旧式のMSで最新鋭機を圧倒。また、これまで多くの物を奪われてきた経験からヴェイガンに甘さを見せるとそこに付け込まれ、更に多くの物を奪われると考え、速やかにヴェイガンを排除するためならば部下や民間人の被害も厭わないとも取れる指示を出し、それがアセムの反感を持つ要因の一つにもなっている。エピローグにおいては今まではヴェイガンを宇宙から一掃する事を目的としていたがグルーデックやウルフと言ったコウモリ対峙戦役からの戦友を失った事で「ヴェイガンの殲滅」と更なるヴェイガン憎しの心情を露わにしている。その後は粛清委員会を設立し、連邦政府や軍上層部のヴェイガンへの内通者を一人残らず摘発した。(小説版ではヴェイガンのみならず、ヴェイガンと内通したとされる連邦側の人間も悉く粛清、摘発しており、ギロチンのアスノの通り名で数多くの人間から畏怖されていた)。
機動戦士ガンダムAGE(第三部)
キオの祖父として登場。
既に軍務からは退役しており、ヴェイガンとの戦いに備えてガンダムAGE-3の製造。並行して孫のキオに対してMSバトルシュミレーターでガンダムの操縦の訓練させた。軍人時代に比べると普段はキオを可愛がり、シャナルアが戦死した時はキオを優しく慰める良き祖父であるが、ヴェイガンへの憎しみは衰えてはおらずキオにヴェイガンを『魔物』、イゼルカントを『魔王』などと呼称し反ヴェイガン教育していた。また60を過ぎた高齢にも関わらず、飛んでいるコアファイターから走っているGセプターが隠しているトレーラーに飛び乗ったり、自身でMS乗り戦場に出るなど、肉体的な衰えを見せていない。退役してなおかつての右腕で現連邦軍の総司令官のアルグレアスからの信頼も厚く連邦軍へ多大な影響力を持つがそのせいで一部の軍人からは良く思われてはいない。しかし、キオがヴェイガンに捕まった時はかつて無く動揺した。ディーヴァの安全よりもキオを優先する命令、損傷したガンダムAGE-1 フラットの修理を最優先で指示、あげく自分一人で修理を行うと言い出すなど、尋常ならざる動揺っぷりで周囲を困惑させ、娘のユノアの言葉や親と逸れディーヴァに保護された子供達が手伝いを買って出る健気な姿を見て落ち着きを取り戻す。
また、息子のアセムが宇宙海賊として生きていた事を嬉しく思うが、素直に表にする事はなく、キオにアセムは連邦軍の軍人として死んだと言いつつも、妻のエミリーには伝えようか迷うなど、素直になれない一面も持っている。
機動戦士ガンダムAGE(第四部)
主人公の一人として登場。
キオが無事に火星圏から戻って来た後にアセムと13年ぶりに再会するが互いの理念が食い違い話は並行線のまま終了する。また、火星圏でルウなどと出会い、ヴェイガンと和解の道を模索するキオの意見を否定し、聞く耳を持たなかった。
ルナベース奪還作戦に参加し、ガンダムAGE-1 グランサで出撃し、熟練のパイロットの技量でフラムを圧倒し、Xラウンダー能力の暴走したジラードのテェルヴァを撃墜しているルナベース奪還後は連邦軍に復帰して宇宙要塞ラ・グラミス攻略戦の総指揮を任される。
ルナベース奪還後に再びアセムと口論となり、その時の言葉がきっかけとなり、キオにただ憎しみを晴らすために戦っていると今までフリットがなろうとしていた救世主を完全に否定され、苦悩する事になる。
ラ・グラミス攻防戦の終盤に自ら出撃して、囮となって撃沈するディーヴァの最後を看取る。ヴェイガンギア・シドの暴走の際にはプラズマダイバーミサイルを使いセカンドムーンごとラ・グラミスを陥落させようとするが、キオとアセムの説得と、戦いの中で失った人達のイメージで、大切な人を奪ったヴェイガンへの憎しみと大切な人を守れなかった自責の念から解放され、連邦軍とヴェイガンの双方に呼び掛けて、セカンドムーンを救った。
機動戦士ガンダムAGE トレジャースター
第一部の設定で登場。
機動戦士ガンダムAGE(PSP版)
22歳に成長した青年時代の物語が描かれる。アスノ隊の隊長を務め、連邦軍の基地「トルージンベース」に配属される。
機動戦士ガンダムAGE UNKNOWN SOLDIERS
機動戦士ガンダムAGE EXA-LOG
ガンダムEXA VS
A.G.世界のGAデータで登場。初めてAGE-1に乗った時にアル・アダが駆るザ・ガンダムに襲撃され、テミスのジェノアスと共に戦うもAGE-1とジェノアスを一撃で破壊されてしまう。アル・アダには「エースパイロットが力をつける前にその要因を排除する」という目的があり、フリットを襲撃して殺害しようとしたのはそのためである。
フリット自身は死ななかったためGAデータの破損は免れたが、ネット上ではフリットがアル・アダに挑んで殺されたというデマが流布している。
その後『EXVS-Force』発売記念読み切りではアイレテレノが残した緊急プログラムによりAGE-1でハイネデスティニーベルリG-セルフ三日月バルバトスと共にレオスの救援に駆けつける。

人間関係

家族

マリナ・アスノ
母。死に際の彼女から「AGEデバイス」を託される。フリットが最初にヴェイガンによって奪われた人となる。
エミリー・アモンド
幼馴染み。彼女から好意を寄せられていたが、気づいてはいなかった。後に結婚し、アセムとユノアを授かる。
アセム・アスノ
エミリーとの息子。アセムのコンプレックスとフリットの性格から尊敬こそはされていたが、やや冷めた関係であった。第三部では信念が食い違い、対立する。
キオ・アスノ
孫。ゲームと称したバトルシミュレーターを買い与えており、アスノ家の後継者として、ヴェイガンから世界を救う救世主になり得る存在として大いに期待しているようであったが、ヴェイガンの民との邂逅を経て自身の考えるヴェイガンの殲滅とは真逆のヴェイガンとの和平の道を模索し、自身が憎しみに囚われていると真向から否定し、ヴェイガンの民をプラズマダイバーミサイルで一掃しようとした時も体を張って止めて、過去の憎しみから解放し救世主となるきっかけを作った。
ユノア・アスノ
エミリーとの娘。第三部で共にディーヴァに搭乗する。
バルガス・ダイソン
エミリーの祖父。フリットの才能に惚れこみ、ガンダム開発を支援していた。一応フリットにとっては上司であるが、かなり気心知れた間柄であるようで、フリットは常に呼び捨てにしている。第二部ではトルディアのアスノ邸に同居している。
ロマリー・ストーン
部下。後に息子のアセムと結婚し、義理の娘となる。

共通

ディケ・ガンヘイル
幼馴染。第二部では旧知の仲であるウルフやミレースと共にディーヴァの乗員として配属。彼にAGEシステム担当技師を任せる。第一部ではディケはフリットに対抗心を持っているとされているが、作中ではそのような様子は見せていない。小説版では彼の孫のウットビットにディケとは立ち場を超えた強い友情で結ばれていた事を話す。
グルーデック・エイノア
7話で非公式ながら、ガンダムのパイロットに任命された。その後、アンバット攻防戦まで共に戦い抜く。
第二部では、時を経て再会した時に、彼からある重要な秘密を託されるが……。
ウルフ・エニアクル
出会って早々に「白い機体は俺の物」と無茶苦茶な言いがかりをつけられた。その後は互いに良き戦友となっていく。
第二部では、彼がアセムの上官になる。
ミレース・アロイ
アリンストン基地の指令補佐。後のディーヴァの艦内システムの統括を経て艦長となる。第二部ではウルフ同様に20年来の付き合いとなり、信頼する部下の一人であり、民間人を巻き込みかねない作戦に面と向かって反対意見を述べ、フリットのヴェイガンに対する憎しみが未だに衰えていない事を感じた。
デシル・ガレット
ファーデーンで出会い、後にXラウンダー能力でゼダスのパイロットだと知る。アンバット攻防戦の果て、ユリンを殺し憎むべき仇敵となる。第一部の終盤で追い詰めるも、顔を見知った幼い子どもを殺すことはできなかった。第二部では再び戦う事になり、フリットを付け狙うが、フリットからはユリンの仇ではあるが、デシルほどの執着はなくあしらわれている。戦友のウルフを殺し、息子のアセムが彼を討たれた。
ララパーリー・マッドーナ
第一部からの知り合いで、第三部まで生き残った数少ない知人。
フェザール・イゼルカント
最も憎むべき存在。
フレデリック・アルグレアス
参謀。フリットの右腕とも言える存在。退役してからは総司令の座を彼に託すが、退役後もフリットの事を慕い以降も彼からは色々な便宜を図って貰っている。


第一部

ラーガン・ドレイス
AGE-1の元テストパイロットでフリットの兄貴分。
イワーク・ブライア
ファーデーンで出会いファーデーンの実情を知る。
ユリン・ルシェル
ノーラ脱出時に出会った少女。彼女とUEを撃退してからはしばらく会えなかったが、後に再会しお互いに強く惹かれあっていく。しかしその後彼女を誘拐したデシルによって互いに望まぬ戦いを強いられ、最後はデシルの攻撃からフリットを庇う形で死亡。
結果的に彼女の死はフリットに心に大きな傷を残し、後に『全てのヴェイガンを排除する』という歪んだ考えを持たせてしまうこととなった。
ムクレド・マッドーナ
技術者同士、意気投合する。
ヘンドリック・ブルーザー
ノーラのアリンストン基地司令。孤児となったフリットを引き取る。アスノ家の生き残りのフリットの才能を見出すと同時に孫のようにも思っていた。最後はフリットにガンダムと共に救世主になる事を託した。
ドン・ボヤージ
ザラムのリーダー。フリットの言葉とUEを目の当たりにした事で自分達がして来た事は戦争ではなく子供の喧嘩でしかないと悟る。最後は旧敵のラクトに部下を託し、フリットなら世界を変えられると信じて散った。
リリア・ブライア
イワークの養女。
ラクト・エルファメル
ギーラ・ゾイ
アルザック・バーミングス

第二部

フロイ・オルフェノア
連邦政府首相だが……。

第三部

ナトーラ・エイナス
ディーヴァの3代目艦長。いち早く艦長としての才能を見抜いて厳しくも経験の未熟な彼女を指導し後押しする。
ロディ・マッドーナ
軍に入った彼に、バルガスやディケと同じくディーヴァにあるAGEシステム担当技師を任せる。
セリック・アビス
オリバーノーツ以来共に戦い続け、評価し信頼をしている。但し、常に論理的な彼とは時折意見が合わず、対立してしまう事もあるが、彼の最後には敬意を払った。
アンディ・ドレイムス
オリバーノーツ基地司令官。退役したのにも関わらず、軍に対して強い影響力を持つフリットを疎ましく思い、ディーヴァを出港させろと命令された時に意趣返しとしてディーヴァのクルーに問題児を乗せる。

第四部

フラム・ナラ
実戦不足の新兵だと見抜く。
ジラード・スプリガン
裏切り者と糾弾し、引導を渡す。

ガンダムEXA VS

アル・アダ
マーズIを本拠地とする「人類進化の頂点に立つ王」。将来のエースパイロットを力をつける前に殺害する計画の一環でAGE-1初搭乗時のフリットを殺害しようとする。
彼もまたヴェイガンと同じマーズIという火星の人間であり、救世主として語り継がれた機体にそっくりなザ・ガンダムで襲撃されるという、本編外でも火星の人間に煮え湯を飲まされることとなった。
テミス・キロン
アル・アダに共に立ち向かおうとしたが共に乗機を破壊された。

名台詞

第一部

「僕の造るガンダムは、人類を守る救世主なんです」
当時はまだ純粋な少年であった。
「ガンダムは僕のものだ!」
「昨日の喧嘩を今日に引きずるなんて男らしくないよ!」
過去に拘り戦い続けるザラムとエウバに対して放った言葉。皮肉にも後にフリットも過去に拘って戦う事になる。
「そんなの意味がないですよ!」
「命は…オモチャじゃないんだぞおおおおっ!」
ユリンを玩具のように扱い、死なせても反省の色を見せないデシルに対してのセリフ。これにより本格的にXラウンダーへと覚醒した。尚、クロスオーバー作品などでは敵対者に激怒した際によく言い放っている。
「何が…救世主だ…ユリンさえ救えないなんて…僕は…僕はああああああああっ!!」
いろんな大人から救世主になる事を託されたが、好意を寄せる少女すら守れなかった事で救世主になる事に挫折した瞬間。この時を境に、フリットは苛烈な反ヴェイガン思想を貫いていく事になる。

第二部

「始まってしまったか…これが私達の宿命なのだ…お前には味わってほしくない…大切な者を守れない悔しさを…」
過去にユリンを失った経験から、アセムには自分と同じ苦しみを味わわせたくないと言う親心だが、その他のヴェイガンへの憎しみの籠った発言が多い為、余り記憶に残り難い。
「償って貰うぞ!」
「これは戦争だ、どんな手を使ってもお前を陥とす!」
ビッグリング攻防戦において、かつての敵デシル・ガレットと戦った時の台詞。ユリンをはじめ、コウモリ退治戦役で犠牲となった人々への思いを踏まえ、尚且つ戦争であることを利用した上でデシルを倒そうとしていた。
「お前の動きは読めているぞ、デシル!」
マジシャンズ8を引き連れてディーヴァを襲撃したデシル・ガレットに対しての言葉。感情に任せて攻撃を仕掛けるデシルに対して相手の動きを容易に予測し、クロノスを近づけさせなかった。第一部とは力量が逆転している事を暗に示した言葉と言える。
「もとよりそのつもりだ、私が目指すのは…ヴェイガンの殲滅なのだから!!」
アセム編最終話におけるクーデターにて、フロイ・オルフェノアが自分がいなくなればどちらかは滅ぶまで戦いは終わらないと自身の裏切り行為を正当化しようとしたオルフェノアに向かって堂々と言い放った殲滅宣言。

第三部

「キオ! 気を付けろ!」
「ヴェイガンは人間じゃない!!人の命を簡単に奪う」
過激な発言だが、事実オリバーノーツで無差別破壊をしている為間違ってはいない。そもそも母マリナやユリン等大切な人々を殺された経緯を顧みれば、フリットにそのような思想が根付いても無理は無いと言える。
邪悪な存在人類を滅ぼそうとする『魔王』だ」
この時は単にフリットのヴェイガンへの憎しみを示すだけの言葉だったが、後にあながち間違いでない事が判明する。

第四部

「若いな……気合に実力が伴っていないぞ!」
ルナベース奪還作戦時にフラムと交戦した時のセリフ。蝙蝠退治戦役から戦い続けている為、フラムの実力不足を的確に見抜いている。口を開けばヴェイガンを殲滅すると言った過激発言の多いなか熟練のパイロットらしいセリフとも言える。
「輸送だと? ヴェイガンの捕虜など全員処刑すれば良いのだ!
フレデリックからヴェイガンの捕虜を地球へ輸送する報告の際に、何の迷いもなく私怨を交えて言い返した台詞。フリットを慕っているフレデリックもさすがにこの返答には困惑し、アセム及びキオとの対立が決定的となる。
「私には守れなかった者がいる…守れなかった者達が…私は誓ったのだ。敵を打ち倒し、皆も守る救世主になると…どんな手段を使っも…」
周囲だけでなく家族からも糾弾された一人で悩み思いつめた台詞。脳裏にはヴェイガンによって命を落とした者が浮かんでいる。50年以上経過した今でも彼らのことを忘れていない。なお、ガラス越しに少年時代が映し出される演出がされた。
「長い間、ご苦労だった」
ラ・グラミス攻防戦にてディーヴァの最後を見届けた時のセリフ。フリットにとってノーラから共に戦場を戦った母艦の最後でその時にかつての戦友達とのディーヴァでの一ページが蘇る。
「聞こえるか、地球圏と火星圏の全ての戦士達よ。私の声が届いている全MSに告ぐ。戦闘を止めて聞いて欲しい!このままではヴェイガンの移動コロニー『セカンドムーン』は崩壊し、多くの命が失われる!これを防ぐには誘爆を始めている球体ブロックを切り離すしかない!もはや時間はない!ここにいる全ての者たちの協力がなければ間に合わないのだ!多くの命を救うため!君たちへの協力を要請する!」
キオとアセムの説得や今までに失った人達のイメージによって、ヴェイガンへの憎しみと自責の念から解放され、セカンドムーンを救う為に戦場のMSに語りかけた。それによってフリットは真の救世主となった。
「ああ……あれがキオ・アスノ、私の孫だ」
最後まで自分のやり方を貫き、ゼラを殺す事なくヴェイガンギア・シドを倒したキオをフリットは誇らしげにしていた。
「いいの?ユリン…あいつらはユリンに酷いことをした、あいつらを許してもいいの…」
ゲーム版の台詞。最終決戦、かつての湖でユリンの幻影と語り合うシーンにて。

小説版

「わたしが根絶やしにしたいのはな、キオ。国民でも民族でもないのだよ、キオ。思想だ。ヴェイガンという思想を、ことごとく根絶せねばならん」
(中略)
「キオよ。よいか。相対的な正義しかこの世には存在せん。我々には絶対的な真理を示してくれる神なるものは必要ない。そのようなものに従いたい、という反知性主義、己の思考を捨てる考えこそが、討つべき敵なのだ」
小説版五巻より。火星圏から帰還したキオよりイゼルカントとヴェイガンの実情を聞かされ、イゼルカントの思想を「くだらないこと」と切り捨てると共に、ヴェイガンの民衆を「自分達が苦境にあることに甘え、自分達の意思決定を独裁者に投げ出した自堕落な人々」と断じ、改めてヴェイガン殲滅の意思を強めると共にその意思をキオに語った台詞の一節。
(ファルシア……!殺人を強要されたユリン・ルシェルを縛ったモビルスーツ、それを今また私の孫に向けてくる、その歪みきった精神性!やはりきゃつらは根絶やしにせねばならん……!)
小説版五巻より。ルナベース戦にてフラムの駆るフォーンファルシアを目の当たりにし、過去の忌まわしき悲劇を想起すると同時に、心中でヴェイガンへの憎悪を一層燃え上がらせる。
(こんな……こんな哀しみを広げるために、私は戦ってきたというのか……エミリー!)
小説版五巻より。シドの出現によってより混迷を極めるエスペランス・ゾーンでの乱戦にて、Xラウンダー同士の共鳴の中でキオとジラードがようやく分かり合えようとした時、ジラードの意思に関係なく暴走としたティエルヴァのビットがAGE-FXを撃とうとしていた為、孫を救う為にやむなくティエルヴァとジラードに引導を渡して。孫を救う為とはいえ、自らの手でまた悲劇を生み出してしまった事に、声もなく慟哭する。
「出ている! 出ているとも!きゃつらを生かしてはおけんのだ!」
「そうではない!イゼルカントの虚妄、その虚妄を受け入れて、自分達の責任を放棄しようとするヴェイガンの精神性そのものが間違っているのだ!」
「嬰児殺しの罪を被るつもりはある!EXA-DBのデータも吸収したガンダムの進化ならば、太陽系のヴェイガンのことごとくを殲滅することは可能だ!その後で私という独裁者を討って平和を取り戻すのは、キオでもナトーラでも、若者がやればいいことだ!」
小説版五巻より。ヴェイガンとの最終決戦にて、セカンドムーンのヴェイガンを殲滅せんとしたところ、その行動や思想をキオに否定されるフリット。そして、FXバーストモードが発動し、フリットの意識は精神世界へと誘われる。そこで再会したのは、初恋の人であると共に、ヴェイガンによって奪われたものの象徴である、ユリンだった。アニメ版やゲーム版と同じく、フリットの憎悪を諌め、その心を救おうとするように語りかけるユリンだが、フリットはそれを頑として受け入れる事無く、その偽らざる本音を吐露する。イゼルカントという悪も、ヴェイガンという堕落も、自らの愚行も、彼は全てを許せなかった。ユリンに続いて現れたブルーザーやウルフ、グルーデックやドン・ボヤージ達を前にしても、その想いは変わらなかった。
フリット・アスノ! あなたは、間違っている!!
忘れ去って、記憶の奥底に封じ込めていた声が、「今のフリット」を否定する。そして、虐殺用の装備に身を固めた鉛色のガンダムAGE-1 グランサの前に、かつて自身が作り上げた白いMS・ガンダムAGE-1が現れる。
「自分の過ちを認めて、他人の過ちを許して―――戦争を終わらせることが、僕の勝利条件じゃなかったのか、フリット・アスノ!僕は、僕が、救世主になることをあきらめるなんて、決して許さないぞ!」
精神世界でのガンダムAGE-1同士の激突の中、フリットの傲慢と独善を、少年時代のフリットが断罪する。罪に殉ずる覚悟があるのなら、殺しても、テロリズムを行ってもいいのか。それがイゼルカントと何の違いがある。デシルと何の違いがある。憎む仇敵達の所業と自身の過ちに何ら違いがない事を突きつけられ、自身の業を憎む敵と自分自身を断罪する事で清算しようとする本心と、その心の弱さを突きつけられる。過去の自分自身の怒りの一閃にグランサは斬られ、そしてフリットは、あの日、何故自分が生き延びる事が出来たのかを思い出し、フリットの中の英雄が、今度こそ目覚める事に――。
「それでも、キオたちにあらゆることを押し付けるよりはいい……そうだな」
「我々は、大人だ。大人は子供たちに、少しでもよい未来を残すためだけに死んで行くべきだ」
戦いが終わり、人々が歓喜に沸く中、独り自身の罪を清算すべく、グルーデックの遺品である拳銃で自決を図るフリットだったが、それをユノアに阻止される。罪を背負ったまま、生きて償い、未来のために、今度こそ「英雄」になるように促されて、静かに笑みを浮かべての返答。直前のイゼルカントが息を引き取る場面では、イゼルカントも下段とほぼ同じ台詞を言っており、罪を償う事も出来ず死にゆくイゼルカントと、生きて罪を償う未来を選んだフリットと、両者の対比をより印象付けている。
「天才など不要の世を作るのだ。英雄など必要ない。誰もが、その愛する人と家庭を築き、次の世へ怨念を渡さなくてすむように。そのために、技術を、社会を、もっと多様に発展させねばならぬ」
晩年の口癖。自己神格化を嫌い、英雄詩を嫌い、私欲を持たず、ただ一身にその後半生を平和と秩序の回復、貧困と飢餓と無知との戦いに身を奉げ、戦い続けた。

ガンダムEXA VS

「あれもUEのMS? まるでガンダムじゃないか」
テミスの駆るジェノアスの制止を振り切って倉庫から出てきたフリットの目に飛び込んだのはリフェイザー・タキオン。彼はUEのMSとは明らかに異なるその機体の存在に困惑した。さらに…
「あれは――― 伝説の救世主… ガンダム なぜ なぜなんだ」
リフェイザー・タキオンの撤退後、上空から飛来してきたMS。その機体はアスノ家に語り継がれてきた「救世主」とそっくりな機体であり、存在するはずのない機体、ザ・ガンダムであった。しかし、その機体にはヴェイガンと異なる火星からの征服者、「究極のアダム」―――マーズIアル・アダが搭乗していた。その存在は彼の困惑をさらに深めた。
その後、テミスと共にザ・ガンダムに立ち向かうも、「進化」の芽を摘まんとする「人類進化の頂点に立つ王」アル・アダにより「征服者」と変貌したザ・ガンダムの無慈悲な一撃がAGE-1とジェノアスの胴体を両断する…

搭乗機体・関連機体

ガンダムAGE-1 ノーマル
ガンダムAGE-1 タイタス
ガンダムAGE-1 スパロー
連邦軍の支援を受け自らが中心となって開発。後にパイロットとなる。
ガンダムAGE-1 レイザー
青年時代の搭乗機
ガンダムAGE-1 フラット
第二・三部で搭乗したAGEシステムが取り外されたAGE-1。
ガンダムAGE-1 グランサ
第四部で搭乗。大破したAGE-1 フラットの武装強化形態。
ガンダムAGE-1 フルグランサ
第四部で搭乗。ガンダムAGE-1の最終決戦仕様。
ガンダムAGE-2 ノーマル
自身が指揮を執り軍のMS技術研究部門が総力を挙げて開発した機体。
ガンダムAGE-3 ノーマル
来るべきヴェイガンとの戦いに備えグランサの前に、密かに開発していた。当初は実戦経験不足のキオをサポートするために搭乗。
ジェノアス
5話でデシルにAGE-1を奪われた時に搭乗。ラーガンの搭乗機だと思われる。その時にデシルの乗るAGE-1に踏み台にされている。
ジェノアスカスタム
小説版でジェノアスの変わりに搭乗している
デスペラード
6話にリリアを探すためにサブシートに搭乗。小説版ではイワークの所有していた機体に搭乗し、本編のイワーク以上の戦果を上げている。
シャルドール
9話での戦闘でウルフと共にマッドーナ工房の物に搭乗。
シャルドール スカウト
ディーヴァ
第一部から乗艦し、約半世紀にも渡る戦いを共にして最後を看取る。
ザ・ガンダム
ガンダムAGE-1を開発する際に参考にした肖像画のMSの復元したMS。フリットの死後に生前の証言も復元の際に参考になっている。漫画「ガンダムEXA VS」では衝撃的、そして悲劇的な対面を果たすことになる。

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