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== 熱核融合炉(Nuclear Fusion Reactor) ==
 
== 熱核融合炉(Nuclear Fusion Reactor) ==
原子核を融合させる際に生じるエネルギーを利用する動力機関。ガンダム世界、特に[[宇宙世紀]]作品ではエネルギー発生機として「ジェネレーター」と呼称されるのが一般的。
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原子核を融合させる際に生じるエネルギーを利用する動力機関。ガンダム世界、特に[[宇宙世紀]]作品ではエネルギー発生機として「ジェネレーター」と呼称されるのが一般的。宇宙世紀では、[[トレノフ・Y・ミノフスキー]]とその友人イヨネスコによって研究・開発された「ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉<ref>M&Y型・MYとも略される</ref>」と呼ばれるタイプが主流となっている。
  
宇宙世紀では、「ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉<ref>M&Y型とも略される</ref>」と呼ばれるタイプが主流となっている。これは[[ミノフスキー粒子|ミノフスキー物理学]]を応用し、[[Iフィールド]]でプラズマを封じ込める事で高温高圧縮状態の維持を行い、熱核融合炉実現の為の技術的ハードルを解決した物である。また、この技術によって数百m~km単位のサイズを有する炉をm単位サイズまで小型化したとされている。稼働により電力や熱エネルギーなどが産出される他ミノフスキー粒子も副次的に生成される。これらのエネルギーの生成が行われる期間は長く実質的に無尽蔵と呼べるレベルの期間作動し続け人為的な操作による動作停止や破壊以外で停止する事は無い。
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ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉は、[[ミノフスキー粒子|ミノフスキー物理学]]を応用して[[Iフィールド]]でプラズマを封じ込め、高温高圧縮状態の維持と放射線の封じ込めを行っている。炉心内に展開されたIフィールドは核反応で発生したエネルギーを直接電力に変換する為、ボイラーやタービンといった機器が不要となる。これらの性質は、数百m~km単位のサイズを有する炉をm単位サイズにまで小型化させる一助となった。これによって電力や熱エネルギーなどが産出される他ミノフスキー粒子も副次的に生成される。これらのエネルギーの生成が行われる期間は長く実質的に無尽蔵と呼べるレベルの期間作動し続け人為的な操作による動作停止や破壊以外で停止する事は無い。
  
M&Y型の問題点として、燃料となるヘリウム3が高圧環境下でミノフスキー粒子と結合することで臨界反応が発生し、ジェネレーターに直撃被害を受けた場合臨界爆発を引き起こす点が挙げられる<ref>[[リゼル]]や[[ジャベリン]]など。作品によっては「核爆発」と呼ばれる場合もあるが、炉心への着火はレーザーによって行われる為、放射能汚染等のリスクはない。また、臨界状態にないヘリウム3を意図的に爆発させるには大量のミノフスキー粒子が必要となる。</ref>。この爆発の威力は[[スペースコロニー]]の外壁に容易に穴を開けてしまう規模のため、コロニー内でのモビルスーツ戦が躊躇われる一因となっている。
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M&Y型の開発は宇宙世紀0047年に開始され、0070年代には幅広く普及する事になり、[[モビルスーツ]]や宇宙艦艇、更には大型航空機や潜水艦等の動力源として使用された。
  
第二期モビルスーツ用のジェネレーターは、ヘリウム3と重水素をIフィールドで圧縮・縮退寸前の状態で貯蔵し、炉心で直接縮退させ高出力を取り出せる改良型熱核融合炉が搭載されており、これによって燃料搭載スペースが縮小された他、既存の物よりも高出力化が容易となった。ただし、融合炉のシステムが破壊された場合、貯蔵されたヘリウム3がより危険なレベルの臨界爆発を引き起こすなど、そのリスクも高くなっている<ref>ジェネレーターの出力が変更できる為、出力を低く設定する事で爆発のリスクを軽減する事は可能([[チャッペ]]など)。</ref>。
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宇宙世紀0100年代に入るとMSの小型化に伴って構造の仕様変更が行われ、ヘリウム3と重水素をIフィールドで圧縮・縮退寸前の状態でIフィールド・シリンダーに貯蔵し、それらを炉心内で直接縮退させる改良型熱核融合炉が搭載されている。これによって燃料スペースの縮小による小型化と、さらなる高出力化を実現。更に出力レベルの可変も容易となり、ピークパワーの持続時間も長かったとされる。
  
熱核融合炉はその性質上熱を発するため、これを搭載した兵器は排熱を行う必要があり特にモビルスーツにとっては推進剤と共に行動時間を決定するファクター<ref>先述の通り融合炉自体の稼動燃料枯渇による停止は原則生じない為。</ref>になっている。排熱は母艦や基地機材での冷却の他、自前の冷却装置や放熱フィンで行動中に熱を処理する例もある。また、この熱を利用して推進剤を加熱し<ref>同時に熱が移動し推進剤が冷却機能を持つ冷媒の機能を兼ねる事になる。</ref>、推力を生み出すのが[[熱核ロケットエンジン]]及び[[熱核ジェットエンジン]]である。
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高い安定性と小型・高出力を誇るM&Y型ではあるが、燃料となるヘリウム3が高圧環境下でミノフスキー粒子と結合することで臨界反応が発生し、ジェネレーターに直撃被害を受けた場合臨界爆発を引き起こすという問題も孕んでいた<ref>[[リゼル]]や[[ジャベリン]]など。作品によっては「核爆発」と呼ばれる場合もあるが、炉心への着火はレーザーによって行われる為、放射能汚染等のリスクはない。また、臨界状態にないヘリウム3を意図的に爆発させるには大量のミノフスキー粒子が必要となる。</ref>。この爆発の威力は[[スペースコロニー]]の外壁に容易に穴を開けてしまう規模のため、コロニー内でのモビルスーツ戦が躊躇われる一因となっている。改良型熱核融合炉では構造上この問題が顕著であり、MSの運用に際して大幅な制限が課せられる場合もあった<ref>ジェネレーターの出力が変更できる為、出力を低く設定する事で爆発のリスクを軽減する事は可能([[チャッペ]]など)。</ref>。ただし、炉心部はMSの装甲よりも強固な構造を採用しており、通常手段では破壊される事は無いとされ、MSの爆発は主に推進剤や内装火器の誘爆である事が多いとも言われている。
  
[[スペースコロニー]]では太陽光発電の他に熱核融合炉による発電も行われており、M&Y型よりも大出力を得られる従来型の大型核融合炉が用いられている<ref>[[機動戦士ガンダムF91]]など。</ref>。
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熱核融合炉はその性質上熱を発するため、これを搭載した兵器は排熱を行う必要があり特にモビルスーツにとっては推進剤と共に行動時間を決定するファクター<ref>先述の通り融合炉自体の稼動燃料枯渇による停止は原則生じない為。</ref>になっている。排熱は母艦や基地機材での冷却の他、自前の冷却装置や放熱フィンで行動中に熱を処理する例もある。また、この熱を利用して推進剤を加熱し<ref>同時に熱が移動し推進剤が冷却機能を持つ冷媒の機能を兼ねる事になる。放射性物質はIフィールドによって遮断される為、放射能汚染の危険性も無い。</ref>、推力を生み出すのが[[熱核ロケットエンジン]]及び[[熱核ジェットエンジン]]である。
  
これら融合炉の燃料は[[木星]]より採取されるヘリウム3と重水素を用いており、木星から地球圏にヘリウム3を輸送する木星船団公社が組織されている他、各[[サイド]]にはヘリウム3の備蓄基地が建設されている<ref>ガスの備蓄タンクは宇宙艦艇が影に隠れる程の大きさであり、これが数十~数百単位で並んでいる。</ref>。
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[[スペースコロニー]]では太陽光発電の他に熱核融合炉による発電も行われており、コロニーや宇宙船など、サイズ上の制約や性能上の問題が少ない場合は大型だが大出力を得られる非M&Y型核融合炉が用いられているケースも存在する<ref>[[機動戦士ガンダムF91]]など。</ref>。
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これら融合炉の燃料は[[木星]]より採取されるヘリウム3と重水素を用いており、木星から地球圏にヘリウム3を輸送する木星船団公社が組織されている他、各[[サイド]]にはヘリウム3の備蓄基地が建設されている<ref>ガスの備蓄タンクは宇宙艦艇が影に隠れられる程の大きさであり、これが数十~数百単位で並んでいる。</ref>。
  
 
== 登場作品 ==
 
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*[[小道具]]
 
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== 脚注 ==
 
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2020年7月28日 (火) 22:33時点における版

熱核融合炉(Nuclear Fusion Reactor)

原子核を融合させる際に生じるエネルギーを利用する動力機関。ガンダム世界、特に宇宙世紀作品ではエネルギー発生機として「ジェネレーター」と呼称されるのが一般的。宇宙世紀では、トレノフ・Y・ミノフスキーとその友人イヨネスコによって研究・開発された「ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉[1]」と呼ばれるタイプが主流となっている。

ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉は、ミノフスキー物理学を応用してIフィールドでプラズマを封じ込め、高温高圧縮状態の維持と放射線の封じ込めを行っている。炉心内に展開されたIフィールドは核反応で発生したエネルギーを直接電力に変換する為、ボイラーやタービンといった機器が不要となる。これらの性質は、数百m~km単位のサイズを有する炉をm単位サイズにまで小型化させる一助となった。これによって電力や熱エネルギーなどが産出される他ミノフスキー粒子も副次的に生成される。これらのエネルギーの生成が行われる期間は長く実質的に無尽蔵と呼べるレベルの期間作動し続け人為的な操作による動作停止や破壊以外で停止する事は無い。

M&Y型の開発は宇宙世紀0047年に開始され、0070年代には幅広く普及する事になり、モビルスーツや宇宙艦艇、更には大型航空機や潜水艦等の動力源として使用された。

宇宙世紀0100年代に入るとMSの小型化に伴って構造の仕様変更が行われ、ヘリウム3と重水素をIフィールドで圧縮・縮退寸前の状態でIフィールド・シリンダーに貯蔵し、それらを炉心内で直接縮退させる改良型熱核融合炉が搭載されている。これによって燃料スペースの縮小による小型化と、さらなる高出力化を実現。更に出力レベルの可変も容易となり、ピークパワーの持続時間も長かったとされる。

高い安定性と小型・高出力を誇るM&Y型ではあるが、燃料となるヘリウム3が高圧環境下でミノフスキー粒子と結合することで臨界反応が発生し、ジェネレーターに直撃被害を受けた場合臨界爆発を引き起こすという問題も孕んでいた[2]。この爆発の威力はスペースコロニーの外壁に容易に穴を開けてしまう規模のため、コロニー内でのモビルスーツ戦が躊躇われる一因となっている。改良型熱核融合炉では構造上この問題が顕著であり、MSの運用に際して大幅な制限が課せられる場合もあった[3]。ただし、炉心部はMSの装甲よりも強固な構造を採用しており、通常手段では破壊される事は無いとされ、MSの爆発は主に推進剤や内装火器の誘爆である事が多いとも言われている。

熱核融合炉はその性質上熱を発するため、これを搭載した兵器は排熱を行う必要があり特にモビルスーツにとっては推進剤と共に行動時間を決定するファクター[4]になっている。排熱は母艦や基地機材での冷却の他、自前の冷却装置や放熱フィンで行動中に熱を処理する例もある。また、この熱を利用して推進剤を加熱し[5]、推力を生み出すのが熱核ロケットエンジン及び熱核ジェットエンジンである。

スペースコロニーでは太陽光発電の他に熱核融合炉による発電も行われており、コロニーや宇宙船など、サイズ上の制約や性能上の問題が少ない場合は大型だが大出力を得られる非M&Y型核融合炉が用いられているケースも存在する[6]

これら融合炉の燃料は木星より採取されるヘリウム3と重水素を用いており、木星から地球圏にヘリウム3を輸送する木星船団公社が組織されている他、各サイドにはヘリウム3の備蓄基地が建設されている[7]

登場作品

初期の作品は後付けであるが、宇宙世紀に登場するMSMAは、ほぼ全てこれが動力源と考えて間違いない。

機動戦士ガンダム
機動戦士Ζガンダム
機動戦士ガンダムΖΖ
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
機動戦士ガンダムUC
機動戦士ガンダムNT
機動戦士ガンダムF91
機動戦士Vガンダム

関連用語

ミノフスキー粒子
Iフィールド
モビルスーツ
モビルアーマー
熱核ロケットエンジン
熱核ジェットエンジン

余談

現実の核融合テクノロジーは現状主流の核分裂に比べ安全と言われているが、放射線が出ないという訳では無い。あくまで反応を維持する事が困難である為、異常があった場合、即座に機能が停止するという点を指しての事である。現在、現実世界で開発が進められているSF技術の中では比較的現実的なものではあるが、反応には超高温、真空状態が必要である為、まだ完成には時間を要すると言われている。問題点は、その環境を作る為に大型の施設が必要である為、開発資金が莫大であったり、超高温(1億度以上)のプラズマに直接触れても耐えられる素材が無い事等である。また超高温系の問題を解決する為に「常温核融合」の研究も進められているがこちらは更に技術ハードルは高い物とされている。

リンク

脚注

  1. M&Y型・MYとも略される
  2. リゼルジャベリンなど。作品によっては「核爆発」と呼ばれる場合もあるが、炉心への着火はレーザーによって行われる為、放射能汚染等のリスクはない。また、臨界状態にないヘリウム3を意図的に爆発させるには大量のミノフスキー粒子が必要となる。
  3. ジェネレーターの出力が変更できる為、出力を低く設定する事で爆発のリスクを軽減する事は可能(チャッペなど)。
  4. 先述の通り融合炉自体の稼動燃料枯渇による停止は原則生じない為。
  5. 同時に熱が移動し推進剤が冷却機能を持つ冷媒の機能を兼ねる事になる。放射性物質はIフィールドによって遮断される為、放射能汚染の危険性も無い。
  6. 機動戦士ガンダムF91など。
  7. ガスの備蓄タンクは宇宙艦艇が影に隠れられる程の大きさであり、これが数十~数百単位で並んでいる。