教育型コンピュータ

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教育型コンピュータ(Education Type Computer)[編集 | ソースを編集]

地球連邦軍系のモビルスーツに搭載されている学習機能を有するコンピュータ。電子回路ではなく光結合回路を使用した非ノイマン型コンピュータであり、ミノフスキー粒子の特殊電磁場効果の影響を受ける事はない。ニュータイプの持つ先読み能力を理論化した「先天的行動予測理論」を取り入れており、パイロットの意図を汲み取って挙動を選択する。学習型コンピュータ、INC(推論型ナビゲーション・コントロール)とも呼ばれている。

一年戦争時に開発されたガンタンクガンキャノンガンダム、そして各機に搭載されたコア・ファイターの制御システムとして開発された。コアブロックシステムもパイロットの脱出装置以外に、教育型コンピュータに蓄積されたデータを回収するという側面もあった。また、コア・ファイターはその性質上戦闘機とモビルスーツ双方の操縦系統が存在しており、操作系の素早い切り替えと補助も担っている。

最大の特徴は戦闘[1]を経験する事でそのデータを蓄積し、動作プログラムを自ら更新する事が出来る点にある。データの蓄積と解析をコンピュータ自身が行い、MSの動作を最適化していく為、既存の動作パターンで対応困難な状況に直面した場合、それに適したパターンを推測し、作成・実行する。そのため、戦闘を経る毎に機体は強化され、パイロットの慣熟にも大きく寄与している。また、戦闘データは複製・共有が可能であり、アムロ・レイの戦闘データをコピーし、複数機のジムに移植する事も出来る。

教育型コンピュータの発展型として、「IMPC(Integrated Maneuver Propulsion Control/統合機動推進制御)」がある。これは発進、巡航、空間戦闘、着陸、歩行の五つの基本機動を自動的に制御するシステムであり、パイロットがスイッチを切り替えるだけで機体がそれに対応した動作を自動で行う。システムのアップデート方法も教育型コンピュータの学習機能に準ずるが、データにはない動作を覚えさせるにはパイロットによる操作が必要となり、データ通りの動作に不満を持つ場合も、自身が操縦してデータを修正する必要があった。IMPCはパイロットの重要性はそのままに、操作時の負担を大幅に軽減させる代物であるが、熟練パイロットからは人間を堕落させる妖精「インプ」の蔑称で呼ばれている。

教育型コンピュータは設計開発システムにも応用されており、「JCAP(教育型コンピュータ支援による統合プロダクツ)」と呼ばれる生産システムが、アナハイム・エレクトロニクス社によって開発されている。これはCAD/MACシステムの発展型であり、システム内で「エージェント」と呼ばれる仮想的な技術者が二十四時間体制で活動し、ネットワークにより情報を共有しあっている。JCAPは最終的な意思決定は人間の手に委ねられるが、ハイスクールレベルの知識があればある程度の機体を設計・開発することが可能である。このシステムは機体の生産管理も担い、MSの開発期間の大幅な短縮に繋がっている。

教育型コンピュータの調整を担う専門職を「シューフィッター(靴の調整師の意)」と呼ぶ。戦闘経験の無いコンピュータに戦闘データを入力する技術職を指す言葉だが、戦闘を経てデータを入力するテストパイロットと同義として扱われる場合もある。

登場作品 [編集 | ソースを編集]

機動戦士ガンダム
初登場作品。第4話「ルナツー脱出作戦」にて言及されたのが初出。アムロの乗るガンダムシャアを初めとするエースパイロットとの戦いを経て「連邦の白いヤツ」と恐れられる程の機体に成長していった。また、物語中盤ではマチルダ・アジャンによって度々戦闘データのコピーが取られており、それがジムの完成に繋がっている。
機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
シューフィッターが本作で設定され、その一人であるクリスチーナ・マッケンジーが登場。ガンダムNT-1の調整を担った。NT-1自体も、ガンダムより高性能な教育型コンピュータである「NICN(新推論型ナビゲーションコントロール」が搭載されている。
また、短編小説「クリスが見る夢」では、教育型コンピュータには疑似人格のようなものがあり、シューフィッターはそれを訓練する姿から技術職というよりも教師に近かったとされる。同作では連邦公認のシューフィッターは12人、内8人が女性であるとされている。
機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像
アムロのデータを移植したジム・コマンド (外宇宙戦仕様)が登場。射撃に対する回避性能が向上したが、パイロットへの負担も大きかった。
ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者
機体の改修に伴い既存の動作プログラムが使用出来なくなったジム改[ワグテイル]の教育型コンピュータに人工知能モジュールを接続しシミュレーター上で戦わせる事で新たに動作プログラムを構築している。
この他、ヴァンが負傷した際にワグテイルIIに搭乗したフォルカーが、ヴァンが復帰した時の事を考え、自身のモーションデータを機体に学習させるなど、様々な場面で登場している。
ガンダム・センチネル
IMPCの初出作品。ニューディサイズも本来はこのIMPCのデータ供給の為の教導隊であった[2]。決起の前にIMPCの最新バージョンを残していたが、これには予め論理爆弾が仕組まれており、月での作戦でα任務部隊のネロ部隊を苦しめた。また、IMPCの発展系として開発された無人モビルスーツの制御用AIがALICEである。
機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122
バイオコンピューターが未完成だったガンダムF91のメインコンピュータとして搭載されており、第2次オールズモビル戦役後にバイオコンピューターへ換装された。
機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91
サナリィのバイオコンピューターを再現出来なかったアナハイム社が、代替措置としてシルエットガンダムに搭載している。同機には、量産化に向けた機動プログラミング用にMACSS(マニューバ・コントロール・サンプリング(サポート)・システム)が搭載されている。
機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート
収録エピソードの一つである「最終兵士」で登場。ガンダムに搭載されていた戦闘データのマスターが木星帝国残党によって強奪され、グレイ・ストークがこれの奪還を宇宙海賊クロスボーン・バンガードに依頼する所から物語は始まる。
木星軍残党は製造したバイオ脳を戦闘データとシミュレーターで戦わせ、アムロの戦闘データのみをコピーした最終兵器ならぬ「最終兵士」を開発。試作MSアマクサにその完成系を搭載し、猛威を奮った。

関連技術 [編集 | ソースを編集]

コアブロックシステム
パイロットの脱出と、戦闘データの回収を行う為の脱出システム。教育型コンピュータもコア・ファイター側に搭載されている。
ALICE
教育型コンピュータを発展させた機体管制AI。最終的には複雑なMSの動作を全て担う予定だった。
AMC
ザクグフ等に搭載された、ジオン系MSの機体制御プログラム。パイロットの操縦を基に、データバンクから最適な動作パターンを呼び出し実行するが、戦闘で得たデータを基に独自に動作パターンを作り出す事は無い。後に教育型コンピュータと同等の機能を持ったAAMCに発展した。
AGEシステム
機動戦士ガンダムAGEにおける教育型コンピュータに相当するシステム。

リンク[編集 | ソースを編集]

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. 実戦は元より、模擬戦やシミュレーションも含む。
  2. 前述のワグテイルに接続した人工知能に入力されたデータも教導隊の物。