概要
前作「ガンダムブレイカー2」は発売後も継続して行っていたダウンロードコンテンツの配信を2015年3月に終了。その高い完成度からロボットアクションとしての評価も高く、シリーズとしての今後が注目された。<br />2015年夏ごろに「続編の制作が決定<b>か?</b>」という噂が流れたものの続報はなく、表立った動きはなかった。しかし2015年12月初頭に突如ガンダムブレイカー3の発売が2016年に予定されているとアナウンスされ、続報では発売日も決定。大きな期待のなか、2016年3月3日に発売。<br />
ハードウェアをプレイステーション4へ移行し、非常に高い描画精度を実現。プレイステーションVITAにも対応しているため、気軽な「共闘」が楽しめる。<br />基本的なコンセプトである「ミッションに出撃して敵を倒して素材と資金を集める」「素材と資金を用いてガンプラをカスタマイズ」というゲームシステムは前作までの時点ですでに完成度の高いものとなっていたため大きな変更は行われず、基本はそのままで少なくない不満点や問題点を解消してゲームとしてより発展した形となっている。<br />
バトルコンテンツ
メインコンテンツである戦闘関連のシステムではおおむね前作までのシステムを踏襲し、操作方法にも大きな変化はない。<br />最大8種類まで装備できたオプション武装の選択に「斜め」入力を廃して十字キーを上下左右それぞれ押すごとに1番と2番のスロットに設定した武装を入れ替える方式に変更。ワンタッチで8種類の武装を一瞬で切り替えることが可能になり、複数の武器を組み込んだ多彩な連続攻撃がやりやすくなった。<br />
AI関連も様々に強化されており、まず僚機への指示が細かくできるようになった。基本的についてくるだけだった前作と異なり、戦う敵を指定する、攻撃を止めさせる、防衛対象を守ってもらうなど攻略内容に大きな自由度を与えることに成功。また敵AIも強化されており、距離があるうちは手持ちの武器で射撃を中心に行ってあまり積極的に近寄ってこなかったり、こちらの不用意な攻撃を回避するなど、目に見えて「敵」としての立ち回りを行うようになった。<br />
その他には武器それぞれに攻撃モーションの種類が増えていたり、属性システムなどが採用され、より快適で爽快なプレイ感を演出。<br />
<br />
そのほか「必殺技」であるEXアクション、「超必殺技」であるバーストアクションに熟練度が設定された。これを最大まで溜めることで武装に関係なく使用解禁となり、ズゴックの手でゴッドフィンガーも可能に。これにより戦術の自由度が広がるとともにカスタマイズにも様々な対応ができるようになった。一部、対応する装備を持っていないと性能が下がってしまうものなどもあり、制作スタッフのこだわりが垣間見える。
<br />
かねてより要望が多かったという「SDガンダムBB戦士」も登場。さすがにデフォルメされたSDガンダムのパーツを付け替えるとなると整合性が取れなくなるためか、こちらは「御伴(おとも)」専用機体となっている。パーツの付け替えはできないものの、様々な種類のSDガンダムを選ぶことができ、カラーリングのカスタマイズも可能。<br />
カスタマイズ
もう一つのメインコンテンツでもあるカスタマイズ関連では「1」と「2」の要素をミックスした進化型となっている。単純に「強化」するだけであったこれまでと異なり、「レアリティ」やパーツごとの「アビリティ継承」などが盛り込まれ、やりこみ要素を大幅強化。ただ攻撃といっても手数で戦うのか、一発で戦うのか。通常攻撃主体なのか、必殺技主体なのか。耐久力を高めた持久型、射撃能力を強化した支援型、なんでもできる汎用型など、それぞれの遊び方に合わせたセッティングが可能になった。また、パーツごとの固有機能も継承できるようになっており、「ラミネート装甲」や「マグネットコーティング」を施したザクや「サイコフレーム搭載」のジムなども作れる。これは性能としてだけではなく、自分の思い描いた「俺ガンダム」としての個性や思い入れを表現するのに非常に大きな役割を持っていると思われる<br />
<br />
「3」の目玉である「ビルダーズパーツ」の存在も大きな反響があった。例えばズゴックに「隊長アンテナ」をつけたり、ザクに「ツインアンテナ」をつけるなどのアクセサリ要素として自由度の高いカスタマイズを可能にした。しかもこれらはつける場所が自由に設定でき、位置の微調整や角度までも細かく指定できる。さらに見た目だけではなく、それぞれのパーツに設定された武装・機能が機体に反映されるというゲームシステムそのものにまで影響を及ぼすものとなっている。例えば太陽炉を搭載すれば機体を問わず「トランザム」が可能になる、格闘機体に射撃武器を搭載して弱点を補うといった具合である。<br />
<br />
前作「2」ではパーツごとの性能が大きく異なり、「強いパーツ」「弱いパーツ」の差が非常に激しかった。そのため効率を突き詰めていくと最終的には概ね似たような組み合わせになってしまうという自由度と性能のトレードオフ関係に対する一つの回答といってもいいだろう。
評価
全部で150を超える機体数が登場し、それらすべての部位パーツが自由に組み合わせられることで750億通りのカスタマイズが可能だが、ビルダーズパーツの組み合わせ、カラーリングなども含めれば文字通り無限大。「究極のガンプラシュミレーター」の謳い文句に恥じないものとなった。<br />今作での追加機体が20体前後と、期待されたシリーズにしては若干物足りないように思われるが、実際は前述のオプションパーツの存在によってシステム面はもちろん、パーツごとに取り付けられる場所が破綻なく機能するように作り変えた結果である。見た目はあまり変わっていないように見えるかも知れないが、内部での変更は甚大なものであることが伺える。<br />また、放映中の「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」からガンダムバルバトス、「機動戦士ガンダム サンダーボルト」からフルアーマーガンダム、サイコザクを採用するなどホットな話題にも対応しているなど、敏感なアンテナは相変わらず。
<br />
ガンダムブレイカーはユーザーの要望や意見を非常に多く取り入れ、膨大な量のデータを製品版でフィードバックして修正してきたが、ガンダムブレイカー3でも同様に、あるいはそれ以上に問題点を改善。これまでどおりガンプラを組み立てるというコンセプトは変えないままに、より快適に、より自由に進化。メディアクリエイト社の調査結果では、PS4/PS VITA両方の売上を合わせて初週14万本と、前作ガンダムブレイカー2よりもさらに売上を伸ばした。この数字だけを見ても、それが評価されていることは疑いないだろう。
メディアミキシング
ファンサービスも相変わらず、前作ガンダムブレイカーの頃から取沙汰されていたプロモーション動画(PV)はガンダムブレイカー3でも同様に制作された。<br />
なんと11分を超える長編動画で、アムロとシャアの永遠のライバルがガンプラのありかたをめぐってぶつかり合うというストーリー仕立てのプロモーションとなっている。これまでの抱腹絶倒の紹介内容ではなく、なんとなく感動的な作りになっているあたり制作スタッフのちからの入れようも伺える。<br />また小野坂昌也氏と小西克幸氏のプレイ動画も収録され、発売前に期待されている要素を惜しげなく公開。前述のPVやプレイ動画には未公開の情報も各所にみられ、あれこれと組み合わせてパーツを付け替えるだけで様々な機体が簡単に作れてしまう手軽さと、機体コンセプトによって性能面までカスタマイズできる奥深さを紹介。視聴者の購買意欲を大いにくすぐった。<br />なお、この動画内で小野坂氏は小西氏が「3」に出演(ミスターガンプラ役)していると知り、「(3を)作っているなら教えてほしかった、自分も出演したかったなぁ」と非常に残念がっていたのだが、のちにDLCで出演している。<br />
コミュニケーションツールとして「ガンダムブレイカー3モビルスーツ開発室」も引き続きオープン。映像をワンタッチでアップロードし、全国のプレイヤーの俺ガンダムを見せ合うだけではなく、それらの俺ガンダムと対戦できる「バウンティハンターモード」も搭載。育てた最強の俺ガンダムでランキングを競い合うなど擬似対戦要素まで追加。<br />
そしてテーマソングはBack-ONがみたび担当。ゲーム発売に先駆けて2016年1月7日に「Mirrors」を配信開始。なお、「ガンダム」への楽曲の提供は本作が7度目となり、タイアップアーティスト最多を達成。全世界からオファーのかかるBack-Onとともに、ガンダムブレイカーも今後の大きな飛躍が期待される。