小説版
;「さて、父さんはどうするのかしらね。 アスノ家の血がどうとか言うのに、私をガンダムに乗せるなんて事は全く考えない、あの男権主義者は」
:小説版四巻での初登場場面での台詞。いきなりの父への嫌悪感を強く滲ませた台詞で、以下に綴られる彼女の父への尋常ではない嫌悪感と共に、アニメ版の彼女を知る多くの読者に衝撃を与えた。
;「そんな私が、よい叔母を演じて、こうしてディーヴァに乗っているのだから……フフ……シャナルアはいい面の皮よね……」
:両親を徹底的に嫌悪しながらも、結局「逃げ出した人間」である自身を自嘲する。慕い、恋い焦がれた兄と違う自身を。この台詞から察するに、シャナルアの素性にも気付いていたようであり、自身も彼女同様に、内通相手こそ違えど、似たような行動をしている為、より自嘲の念を抱かずにいられなかったのかもしれない。
;「一年と二十二日ぶりね、兄さん」
:サルガッソー宙域にて兄と再会して。過去のガンダムシリーズの[[ルクレツィア・ノイン|あの人]]を彷彿させる台詞。
;(結局……私は父にかまって欲しくて、不良ごっこをやっている……)
:小説版五巻より。ミンスリーにてディーヴァを降り、出航するディーヴァを見送りながら呟く。スパイ行為が発覚しても、シャナルアの時と違って、ユノアは立件される事は無かった。その事実が今では重大な事ではなく、フリットにとってユノアがその程度の存在でしかないという事の立証でもあった。ユノアの行動は、憎んでいても本心では完全に捨てきれない父への思慕の裏返しでもあった。独りこれからの事を逡巡するユノアだったが、そんな彼女の前に現れて手を差し出したのは、母と義姉だった。
;「兄さんは兄さんなりに、この世界に正しいことを、人の光を見せようとした。そう思わなければ、それこそキオが救われないでしょう……?違って?」
:ヴェイガンギア・シドとの最終決戦にて、家族を捨ててビシディアンに転身してからの自身の行いを「傲慢だった」と詫びるアセムに対して、彼女なりの言葉で兄を後押しする。
;「愛してるわ」
:上記の場面の後、再びシドとの戦いに赴く兄を見送り、その背中に向けて呟いた言葉。その声は戦場には小さすぎて、兄に届く事は無かった。
;「安楽な死を捨てて、屈辱の生を選びましょう。父さん。あなたには、英雄になってもらう。私や兄さんと一緒に」<br />「そう。この時代に作られた英雄に。世界の人々はアスノの家を憎む。嫉む。さげすむ。そのようなものが不要な社会を望む。そのような英雄に」
:最終決戦が終わり、独り自決を図ろうとしたフリットを阻止して。全てを清算するためにも、キオたち未来の若い世代のためにも、一族全員で今度こそ戦乱の原因そのものたる貧困と無知と偏見に立ち向かい、世界を再建していく事を促す。ユノアがようやく父と向き合い、彼女の憎しみが昇華されていくと共に、フリットが今度こそ生きての未来を見出し、父娘が通じ合った瞬間でもあった。