ガンダムブレイカー2
ガンダムブレイカー2(Gundam Breaker 2)
2014年12月18日発売。Playstation3とPSVITAの2機種で発売され、ハードをまたいでのクロスプレイは不可能だが、セーブデータをハード間で行き来することはできる。
「ガンプラ」を題材にした「創懐共闘アクション」第二弾。これまでの「兵器」としてのガンダムではなく、あくまでも「ガンプラ」を自分の好きなようにカスタマイズし、「俺ガンダム」を作ることがコンセプト。ビルドファイターズシリーズに近い位置づけと思われる。
プレイヤーは架空世界のイベント「ガンプラワールドフェスタ2024」に参加し、目玉企画である「ガンプラバトルシュミレーター2.0」を体験する、というもの。ストーリーはガンプラバトルシュミレーター2.0の中での出来事であり、その都度「俺ガンダム」をカスタマイズして挑むことになる。シミュレーターなので失敗しても命にかかわるようなこともなく、何度でも、時系列に制限なくプレイすることが可能となっている。
概要
前作「ガンダムブレイカー」はこれまでのガンダムとは異なった新しいシリーズとして注目を受けた。プレイ感としてはガンダムバトルシリーズに近い。自機カスタマイズの自由度がきわめて高く、勢力やシリーズを問わずパーツを組み替えてプレイヤーごとの「俺ガンダム」を作り出すという夢のような発想が根幹であった。
しかし、ゲーム自体はまだ未成熟(一説には新シリーズということもあり、予算や納期に余裕がなかったとも言われている)なもので、残念ながらそのコンセプトや意欲的なアプローチに対するユーザーの期待に応えられたとはいいがたく、発売後の評価は「ファンアイテムとして妥当」というものであった。つまり、一般的なゲームとしての評価としてはハッキリ言って芳しいものではない、ということである。
ガンダムブレイカーは体験版からユーザーの要望や意見を非常に多く取り入れ、膨大な量のデータを製品版でフィードバックして修正していた。それらは目に見えた変化として高い評価を受けていたが、ガンダムブレイカー2でも同様に、あるいはそれ以上に問題点を改善。 キャラクターデザインに有名作家を起用、ガンプラを組み立てるというコンセプトは変えないままに、より快適に遊べるようにランダム要素を廃してパーツ成長システムを取り入れるなど前作のノウハウを活かして制作された(このあたりは後述するプロモーション動画にもネタとして取り入れられている)。
その結果、これまでのように原作を追うものでもなく、スーパーロボット大戦やG-Generationシリーズのようなミキシングしたものでもない、まったく新しい物語を生み出すことに成功。原作ファンはもちろん、シリーズをまったく知らないプレイヤーにも「自分で自由にカスタマイズできる」という部分が興味を引いているという。
テーマソングには放映中のアニメ「ガンダムビルドファイターズトライ」の主題歌も歌うBack-ONを前作から引き続き起用、ビルドファイターズトライに登場する機体を早くも取り入れ、非ゲームプレイヤー層にもアピール。ガンプラ杯を開催して他媒体とのメディアミックスを意欲的に行うなど、ゲームの枠を飛び出して「ガンプラ」としての展開を前作同様に行っている。
勿論ファンサービスも手ぬかりなく、前作ガンダムブレイカーの頃から取沙汰されていたプロモーション動画(PV)は原作ファン爆笑必至のネタ満載で、ガンダムブレイカー2でも同様に制作された。また、ガンプラは作ったら見せたくなるもの、という心理を突いて「ガンダムブレイカー2モビルスーツ開発室」をオープン。これはプレイヤーが制作した「俺ガンダム」をウェブサイトにアップロードして公開するというソーシャルサービスで、ゲーム内ハンガーで撮影した映像をワンタッチでアップロードすることができるもの。
こうした丁寧な作品作りとガンプラファンの心をくすぐるセールスポイントにより、ファン層はもとより多くのゲームファンからも高い評価を受けている。
評価
大量100種類以上(ダウンロードコンテンツによってさらに追加される予定)の機体を登場させ、それらのすべてのパーツを頭・胴・両腕・両足・バックパックの5箇所に自由に付け替えてカスタマイズすることが可能。また、近接武器・遠距離武器の2種とシールド・オプション装備など「百億通りの組み合わせ」の謳い文句に偽りない。
ゲームそのものも意外や骨太の作りで、シチュエーションによってパーツや武装を付け替えることで有利・不利がある程度生じる。ただ1機にこだわるもよし、状況に応じて乗り換えるもよし、というプレイヤーの判断に依存するスタンスでバランスを取っており、無理押しすれば難易度は上がるが、作戦や機体性能の見直しによって容易にすることもできる。
「ガンプラ」が題材となっているだけに、HG・MG・PGといったスケール(縮小率)によって超巨大なガンプラが立ちふさがるなど視覚的な迫力も備えており、またモビルスーツ戦のみではない艦隊戦・対モビルアーマー戦など多岐にわたる。
ストーリーも取り立ててみるところのなかった前作から「ガンプラバトルシュミレーター2.0の仮想世界」での出来事として宇宙と地球を舞台に完全オリジナルの物語を展開。演出面も大いに強化された。
一方、不満が出なかったかというとそうでもなく、第一には難易度調整の問題点がある。これは通常では問題にならないレベルではあるが、単純な殲滅はまだしも拠点防衛などの複雑な状況での戦闘で、味方のAIがまったく頼りにならず、難易度が跳ね上がってしまっている。ただ単に敵を倒せばよいというものではないと言う事や味方機が活躍し過ぎても意味がないと言う子ど等から調整が難航したことは容易に想像できるが、非常に残念なところ。
可変機体が変形できないという部分に関してはやはり不満が挙げられるが、そもそも変形プロセスが異なる機体を組み合わせた場合に確実に不具合が出ることが予想できるため、その点に関しては残念としながらもおおむね理解されている模様。
さらに、登場する機体や武装の制作に要求されるCAD(設計書)の入手ルートが限られており、最初期に入手できる武装の設定になっているにも関わらず、肝心のCADがゲームクリア後でなければ手に入らない、あるいはそもそも手に入らないという調整ミスも目立つ。これはのちにDLCでの配信やアップデートも視野に入れていると言われているため、何らかの形で改善されることが期待されている。
また、前作に比べると使用可能なガンプラ数は増えたものの一年戦争を中心とした時代の機体バリエーションに比べ、以降の作品の、特に敵対勢力側のモビルスーツが非常に少なく、シリーズごとの偏りも大きいことが挙げられる。 主人公勢力の機体は多く取り入れられている割に、敵勢力機体は2、3種類がせいぜいという偏り(作品によっては敵味方問わず量産機が登場しない)ようで、ブルーデスティニー1、2、3号機はまだしもペイルライダー、ガルマ専用ザクといったマニア向けの機体を採用する一方、シリーズごとにも偏りがあり、新機動戦記ガンダムWからは仲間たちの機体それぞれの機体にTV版、EndlessWalts版、カスタム版とバリエーションを持たせているが、機動武闘伝Gガンダムのシャッフル同盟からはサイ・サイシーのドラゴンガンダムのみという扱いの悪さである。余談だがチボデーの乗るガンダムマックスターはゲーム作品でもほとんど登場しない不遇の機体である。機動新世紀ガンダムXからはガンダムX(ディバイダーを含む)、ガンダムヴァサーゴHBのみ(ガンダムDXは後に配信予定)で、∀ガンダムに至っては∀ガンダムのみ(ターンXは後に配信予定)となっている。 機動戦士ガンダムSEEDも同様であり、シンの乗るインパルスとデスティニーを敵側勢力とカテゴライズすればつり合いは取れるものの、ジンやゲイツと言った非ガンダムタイプの量産機が登場しないがガンダムタイプや外伝であるアストレイシリーズ等からも多岐に渡り登場している。機動戦士ガンダムOOはファーストシーズンを中心に一部セカンドシーズンの機体が登場し、劇場版からはダブルオークアンタのみなっている。機動戦士ガンダムAGEからはガンダムAGE-1、ガンダムAGE-2、ガフランとなっている。ガンダムAGE-2は本編に登場したタイプはノーマルの色違いの特務隊仕様を除き一通り出ているものの、ガンダムAGE-1はタイタスだけの登場となり、ガンダムAGE-1スパローや強化形態のフラット、グランサはおろか基本形態であるガンダムAGE-1ノーマルはタイタスとの共通部だけとなっている。ガンダムAGE-3や最終機体であるガンダムAGE-FXも登場していない。 このあたりの取捨選択はガンダムがシリーズとしてモビルスーツの数が膨大になり過ぎたせいもあって制作側も断腸の思いがあったことは想像に難くないが、若干ながら疑問の残る点と言えなくもない。
そして何より(完全なゲーム進行ができなくなるわけではないが)バランスが崩壊しかねない重大なバグが多少なりともあるということも挙げられる。これはユーザー側に有利なものであるため一概にバグとはいえず(あるいは難易度が高すぎると感じるプレイヤーのための救済処置ともとれる)、一方で協力プレイでは最も効率のよいバグ利用のみをしていればよい、という声もあり、非常にもったいない。
決して未完成品を発売したというわけではないし、それを推奨するものではないが、いずれはアップデートやダウンロードコンテンツによって改善されていくことが望まれている。