概要
[[Ζ計画]]によって開発された[[エゥーゴ]]の[[可変モビルスーツ]]。
[[ティターンズ]]から強奪した[[ガンダムMk-II]]の[[ムーバブルフレーム]]技術と、[[リック・ディアス]]などに用いられている装甲材質「[[ガンダリウム合金|ガンダリウムγ]]」を用いており、そこに[[カミーユ・ビダン]]のアイデアが合わさり、オプション装備無しで大気圏突入が可能な機体として完成した<ref>この機体は当初、カミーユ・ビダンが「ガンダムMk-IIとリック・ディアスの長所を掛け合わせたものを設計してみた」という設定だったが、後々ではこの設定が変化しており「元々アナハイムが設計していたが、背部フライングアーマー部を変形時にどうやって機体下面に配置させるかで頭を悩ませていた(本来、フライングアーマー部は一体形成で、それを大きく移動させる為に質量移動の大きさやフライングアーマーを支えるアームの強度などが問題となっていた)所を、カミーユのアイデアでフライングアーマーの主要部を2分割し、機体の左右から回り込ませ、中央の空間をシールドで接合し塞ぐ事で解決した」という説へと変化している。</ref>。カミーユの搭乗した1号機の他、仕様変更型の3号機が複数機生産されている。
エゥーゴはその結成当初から[[ジャブロー]]への侵攻を目的に「オプション装備無しで大気圏突入可能なMS」を旗印として欲しており、そのコンセプトを織り込んだ[[デルタガンダム]]を開発するが、デルタガンダムは[[ムーバブルフレーム]]の強度不足が露見した事で設計は中断され、その後[[ガンダムMk-II]]のノウハウを得てΖガンダムの完成に繋がった。
Ζガンダムのボディユニットには機体の変形機構のほとんどが集中しており、独自のフレーム構造を持っている。頭部形状も独自のシルエットを持ち、この頭部は俗に「ゼータタイプ」とも呼ばれている。背部はバックパックを持たない代わりにWR形態の主用パーツとして「フライングアーマー」を左右一対二基備え、その間にロングテール・バーニア・スタビライザーを備える。フライングアーマーは後年開発された機体と比較しても相当なボリュームであり、これが当時の技術で達成可能な薄さであったとされる。ロングテール・バーニア・スタビライザーと違ってAMBAC用デバイスとして充分に機能している様子もなく、MS形態時にはデッドウェイトとなるが、シールド兼スラスターユニットとしての機能や、プロペラントの積載などに不可欠な装備でもある。
通常のMSの主動力炉はボディに設けられている場合が多いが、Ζガンダムのメイン・ジェネレータは脚部に配置されている。これは、変形機構の大部分がボディに集中していることが主な理由である。ただし、胸部には各部位との統合制御ユニットやリンケージシステム、大気内稼働に必要な冷却構造、バーニアスラスターやコ・ジェネレータなどが内装されており、変形時の動力伝達ルート変更のための構造物や部品なども高密度に実装されている。
本機の変形後の形態はウェイブライダー(WR)形態と呼称される。これは大気圏突入の際、衝撃波(Shock Wave)に乗る(Ride)事で機体を再突入の摩擦熱から守る事に由来する。この呼称は本機の系譜となる全可変MSの変形後の形態に(大気圏突入能力が無いものであっても)採用されている<ref>本機の祖先と言える[[デルタガンダム]]とその量産機である[[デルタプラス]]にしても同様の呼称が使用されている。</ref>。また、当機には大気圏内での飛行に最適化されたフライングアーマーが別途設計<ref>WRはSFSの方の「フライングアーマー」の設計を踏襲しており一定レベルの大気圏内飛行力を有するが最適とは言い難い物であった。</ref>されており、こちらの変形後は区別する為にウェイブシューター(WS)と呼称される。ウェイブシューター形態や[[サブ・フライト・システム|SFS]]的な運用法などもあってこれら変形形態は[[モビルアーマー]]というより既存の航空・航宙戦闘機の延長として扱われている。
Ζガンダムのフレーム構造はコピーが容易な上、既存の構造とは比較にならない程の強度を機体に持たせる事ができた。これは構造材の質的向上も相まって、より効率の高い内部構造レイアウトを実現させる事となり、以後のMSの殆どは、どこかにこの機体の開発途上で生み出された機構や構造を取り入れていると言っても過言ではなかった。
しかし、優秀な性能や戦績に反してΖガンダムが本格的に量産される事はなく、Ζ計画の範疇では航宙戦闘挺への変形に特化したものや量産機、試作型と呼ばれる機体の設計案がいくつか存在したが、運用やコストの側面からその殆どが量産を見送られている。[[カラバ]]がΖ直系の改造機[[Ζプラス]]を少数生産したが、本格的な量産と言える規模のものではなく、1機辺りのコストも量産型と呼べるレベルには収まっておらず、「Ζ系量産機」の完成はその後の[[リゼル]]のロールアウトを待つ事になった。