30行目: |
30行目: |
| | | |
| == 概要 == | | == 概要 == |
− | [[Ζプロジェクト]]によって開発された[[エゥーゴ]]の[[可変モビルスーツ]]。[[ティターンズ]]から強奪した[[ガンダムMk-II]]の[[ムーバブルフレーム]]技術と、[[リック・ディアス]]などに用いられている装甲材質「[[ガンダリウム合金|ガンダリウムγ]]」を用いており、[[カミーユ・ビダン]]のアイデアが合わさり、オプション装備無しで大気圏突入が可能な機体として完成した。<ref>この機体は当初、カミーユ・ビダンが「ガンダムMk-IIとリック・ディアスの長所を掛け合わせたものを設計してみた」という設定だったが、後々ではこの設定が変化しており「元々アナハイムが設計していたが、背部フライングアーマー部を変形時にどうやって機体下面に配置させるかで頭を悩ませていた(本来、フライングアーマー部は一体形成で、それを大きく移動させる為に質量移動の大きさやフライングアーマーを支えるアームの強度などが問題となっていた)所を、カミーユのアイデアでフライングアーマーの主要部を2分割し、機体の左右から回り込ませ、中央の空間をシールドで接合し塞ぐ事で解決した」という説へと変化している。</ref>カミーユの搭乗した1号機の他、仕様変更型の3号機が複数機生産されている。背部にはバックパックが無い代わりにWR形態の主用パーツである左右一対二基の「フライングアーマー」と航空機の垂直尾翼の様な「ロングテールスタビライザー」を備える。 | + | [[Ζ計画]]によって開発された[[エゥーゴ]]の[[可変モビルスーツ]]。[[ティターンズ]]から強奪した[[ガンダムMk-II]]の[[ムーバブルフレーム]]技術と、[[リック・ディアス]]などに用いられている装甲材質「[[ガンダリウム合金|ガンダリウムγ]]」を用いており、そこに[[カミーユ・ビダン]]のアイデアが合わさり、オプション装備無しで大気圏突入が可能な機体として完成した<ref>この機体は当初、カミーユ・ビダンが「ガンダムMk-IIとリック・ディアスの長所を掛け合わせたものを設計してみた」という設定だったが、後々ではこの設定が変化しており「元々アナハイムが設計していたが、背部フライングアーマー部を変形時にどうやって機体下面に配置させるかで頭を悩ませていた(本来、フライングアーマー部は一体形成で、それを大きく移動させる為に質量移動の大きさやフライングアーマーを支えるアームの強度などが問題となっていた)所を、カミーユのアイデアでフライングアーマーの主要部を2分割し、機体の左右から回り込ませ、中央の空間をシールドで接合し塞ぐ事で解決した」という説へと変化している。</ref>。カミーユの搭乗した1号機の他、仕様変更型の3号機が複数機生産されている。 |
| | | |
− | エゥーゴはその結成当初から[[ジャブロー]]への進行を目的に「オプション装備無しで大気圏突入可能なMS」を旗印として欲しており、その機体が当機の祖先とも言える[[デルタガンダム]]だった。デルタガンダムは[[ムーバブルフレーム]]の強度不足により変形を諦め、[[百式]]へと再設計された。 | + | エゥーゴはその結成当初から[[ジャブロー]]への進行を目的に「オプション装備無しで大気圏突入可能なMS」を旗印として欲しており、そのコンセプトを織り込んだ[[デルタガンダム]]を開発するが、デルタガンダムは[[ムーバブルフレーム]]の強度不足が露見した事で設計は中断され、その後[[ガンダムMk-II]]のノウハウを得てΖガンダムの完成に繋がった。 |
| | | |
− | 本機の変形後はウェイブライダー(WR)形態と呼称される。これは大気圏突入の際、衝撃波(Shock Wave)に乗る(Ride)事で機体を再突入の摩擦熱から守る事に由来する。この呼称は本機の系譜となる全可変MSの変形後の形態に(大気圏突入能力が無いものであっても)採用されている<ref>本機の祖先と言える[[デルタガンダム]]とその量産機である[[デルタプラス]]にしても同様の呼称が使用されている</ref>。また、当機には大気圏内での飛行に最適化されたフライングアーマーが別途設計<ref>WRはSFSの方の「フライングアーマー」の設計を踏襲しており一定レベルの大気圏内飛行力を有するが最適とは言い難い物であった。</ref>されており、こちらの変形後は区別する為にウェイブシューター(WS)と呼称される。ウェイブシューター形態や[[サブ・フライト・システム|SFS]]的な運用法なども有ってこれ等の変形形態は[[モビルアーマー]]というより既存の航空・航宙戦闘機の延長として扱われている。
| + | 背部はバックパックを持たない代わりにWR形態の主用パーツとして「フライングアーマー」と左右一対二基備え、その間にロングテールスタビライザーを備える。 |
| | | |
− | 高性能だが可変機構によって機体構造が複雑化しており<ref>可変機構を備えた胴体部の構造が特に顕著。</ref>、生産コストもそれ相応に高い為、機体の量産化は見送られたものの、後にこの機体をベースにした量産型として[[Ζプラス]]シリーズが開発され、後継機として可変機構を簡略化した[[ΖII]]が、さらに後に可変機構をオミット、機動性確保のためのモジュールを外付けする[[リ・ガズィ]]がそれぞれ開発される。
| + | 本機の変形後はウェイブライダー(WR)形態と呼称される。これは大気圏突入の際、衝撃波(Shock Wave)に乗る(Ride)事で機体を再突入の摩擦熱から守る事に由来する。この呼称は本機の系譜となる全可変MSの変形後の形態に(大気圏突入能力が無いものであっても)採用されている<ref>本機の祖先と言える[[デルタガンダム]]とその量産機である[[デルタプラス]]にしても同様の呼称が使用されている</ref>。また、当機には大気圏内での飛行に最適化されたフライングアーマーが別途設計<ref>WRはSFSの方の「フライングアーマー」の設計を踏襲しており一定レベルの大気圏内飛行力を有するが最適とは言い難い物であった。</ref>されており、こちらの変形後は区別する為にウェイブシューター(WS)と呼称される。ウェイブシューター形態や[[サブ・フライト・システム|SFS]]的な運用法などもあってこれら変形形態は[[モビルアーマー]]というより既存の航空・航宙戦闘機の延長として扱われている。 |
| + | |
| + | Ζガンダムは高性能だが可変機構によって機体構造が複雑化しており<ref>胴体部から股関節部にかけての構造が特に顕著。その為Ζガンダムのジェネレーターは胴体ではなく脚部に備わっている。</ref>、生産コストもそれ相応に高騰化した為、本格的な量産は見送られた。可変機構を簡略化、もしくは可変機構そのものを省いた量産計画は複数展開されているものの、[[リゼル]]が開発されるまではいずれも試作や少数生産の域を出る事はなかった。 |
| | | |
| == 登場作品と操縦者 == | | == 登場作品と操縦者 == |
| ;[[機動戦士Ζガンダム]] | | ;[[機動戦士Ζガンダム]] |
− | :後半の主役機。第21話で初登場し、[[アポリー・ベイ]]によって届けられた後、[[カミーユ・ビダン]]の搭乗機となる。 | + | :後半の主役機。第21話で初登場し、[[アポリー・ベイ]]によって届けられた後、[[カミーユ・ビダン]]の搭乗機としてグリプス戦役で活躍した。 |
| ;[[機動戦士ガンダムΖΖ]] | | ;[[機動戦士ガンダムΖΖ]] |
| :序盤は[[ジュドー・アーシタ]]が搭乗。ジュドーが[[ΖΖガンダム]]に乗り換えた後は[[ルー・ルカ]]が専属パイロットになるが、機動力を重視する場面ではジュドーが乗ることがあった。 | | :序盤は[[ジュドー・アーシタ]]が搭乗。ジュドーが[[ΖΖガンダム]]に乗り換えた後は[[ルー・ルカ]]が専属パイロットになるが、機動力を重視する場面ではジュドーが乗ることがあった。 |
49行目: |
51行目: |
| === 特殊機能 === | | === 特殊機能 === |
| ;[[バイオセンサー]] | | ;[[バイオセンサー]] |
− | :簡易[[サイコミュシステム|サイコミュ]]の一種。[[ニュータイプ]]が搭乗することで、機体のコントロールを補助する。高いニュータイプ能力を持つパイロットが搭乗した場合、下記のサイコフィールドなどの現象を引き起こす事がある。 | + | :簡易[[サイコミュシステム|サイコミュ]]の一種。[[ニュータイプ]]が搭乗することで、機体のコントロールを補助する。高いニュータイプ能力を持つパイロットが搭乗した場合、サイコフィールドなどの現象を引き起こす事がある。 |
− | ;サイコフィールド | + | :;サイコフィールド |
− | :バイオセンサーが起因している原因不明のエネルギーフィールド。パイロットやパイロットに関わった人物、機体の周囲にいる周囲の人物の意志に反応し、様々な挙動を見せる。本機の場合、ビームを弾く、定格を大幅に超えた出力でビーム・サーベルを発振させる、敵のバイオセンサー搭載機を金縛りにする、などの現象を引き起こしている。 | + | ::バイオセンサーが起因している原因不明のエネルギーフィールド。パイロットやパイロットに関わった人物、機体の周囲にいる周囲の人物の意志に反応し、様々な挙動を見せる。本機の場合、ビームを弾く、定格を大幅に超えた出力でビーム・サーベルを発振させる、敵のバイオセンサー搭載機を金縛りにする、などの現象を引き起こしている。 |
| ;変形 | | ;変形 |
| :ウェイブライダー形態に変形する。この形態ではノンオプションでの大気圏突入が可能。 | | :ウェイブライダー形態に変形する。この形態ではノンオプションでの大気圏突入が可能。 |
59行目: |
61行目: |
| :頭部に2門内蔵、MS形態専用武装。 | | :頭部に2門内蔵、MS形態専用武装。 |
| ;グレネード・ランチャー | | ;グレネード・ランチャー |
− | :前腕部手首の手の甲側が開いて射出される擲弾発射機。こちらもMS形態専用武装。追加弾倉のカートリッジもあるが、シールドの設置部を塞いだりカートリッジを付けたままでは収納クリアランスが足りず変形できない。ワイヤー内蔵型に換装することができる。 | + | :前腕部手首の手の甲側が開いて射出される擲弾発射機。こちらもMS形態専用武装。追加弾倉のカートリッジもあるが、シールドの設置部を塞いだりカートリッジを付けたままでは収納クリアランスが足りず変形できない。カートリッジを切り替える事でワイヤー内蔵型に換装することができる。 |
| ;[[ビーム・サーベル]] | | ;[[ビーム・サーベル]] |
| :出力0.65MWあるいは1.3MW。腰部サイドスカート両方に内蔵されている。WR形態ではアーマーの先端が前に向き、ビーム・ガンとして機能する。 | | :出力0.65MWあるいは1.3MW。腰部サイドスカート両方に内蔵されている。WR形態ではアーマーの先端が前に向き、ビーム・ガンとして機能する。 |
| :;ビーム・ガン | | :;ビーム・ガン |
− | ::WR形態で前方固定機銃的に使用可能。だがサーベルの収納部を展開して発砲する為その部分がフライングアーマーで塞がるWSでは使用不可。 | + | ::WR形態でサイドスカートからビーム・サーベルを露出させビーム・ガンとして使用可能。ただし、サーベルの収納部を展開して発砲する為その部分がフライングアーマーで塞がるWSでは使用不可。 |
| ;シールド | | ;シールド |
| :ガンダリウムγ製。盾であると同時に、WR形態では機体下面で両腕及び胴体内部を保護する。また、大気圏突入時に大気に「乗る」ために必要なパーツでもある。シールド裏にはミサイルが搭載されている。 | | :ガンダリウムγ製。盾であると同時に、WR形態では機体下面で両腕及び胴体内部を保護する。また、大気圏突入時に大気に「乗る」ために必要なパーツでもある。シールド裏にはミサイルが搭載されている。 |
| ;[[ビーム・ライフル]] | | ;[[ビーム・ライフル]] |
− | :長銃身の本機専用ビームライフル。WR形態では機体上部中心軸線上のロングテールスタビライザー前に銃身を短縮化した状態で装着される。ロング・ビーム・サーベル機能を採用している。使用するEパックはガンダムMk-IIのビームライフルと同一規格の物でありこちらもライフルの駆動電源は本体供給ではなくEパックから供給される物となっている。 | + | :長銃身の本機専用ビームライフル。WR形態では機体上部中心軸線上のロングテールスタビライザー前に銃身を短縮化した状態で装着される。銃口からロング・ビーム・サーベル発振させ、銃剣のように使用する事も可能。使用するEパックはガンダムMk-IIのビームライフルと同一規格の物でありこちらもライフルの駆動電源は本体供給ではなくEパックから供給される物となっている。 |
| :;ロング・ビーム・サーベル | | :;ロング・ビーム・サーベル |
| ::ビーム・ライフルの銃口から長めのビーム刃を展開した銃剣を模した形態。敵を斬り付ける他、ビーム刃を展開した状態で投擲する事も可能。 | | ::ビーム・ライフルの銃口から長めのビーム刃を展開した銃剣を模した形態。敵を斬り付ける他、ビーム刃を展開した状態で投擲する事も可能。 |
90行目: |
92行目: |
| | | |
| == 関連機体 == | | == 関連機体 == |
| + | === 試作機・発展機 === |
| ;[[プロトΖガンダム]] | | ;[[プロトΖガンダム]] |
| :本機の試作機。この段階では可変機構は考えられていない。 | | :本機の試作機。この段階では可変機構は考えられていない。 |
102行目: |
105行目: |
| ;[[レッド・ゼータ]] | | ;[[レッド・ゼータ]] |
| :正式名称はΖガンダム3号機P2型。型式番号MSZ-006-P2/3C。C型の改良機でありサイコミュを搭載している。パイロットは[[ユウリ・アジッサ]]。当初は「ジョニー」という人物が予定されていたという。 | | :正式名称はΖガンダム3号機P2型。型式番号MSZ-006-P2/3C。C型の改良機でありサイコミュを搭載している。パイロットは[[ユウリ・アジッサ]]。当初は「ジョニー」という人物が予定されていたという。 |
− | ;[[Ζプラス]]
| |
− | :ZガンダムのWR形態に注目した[[カラバ]]が、空戦用MSとして再設計した機体。カラバと連邦軍の双方で少数が量産されている。
| |
| ;[[ΖII]](ゼッツー) | | ;[[ΖII]](ゼッツー) |
| :Ζガンダムと[[メタス]]の設計を統合し、コストダウンを図った機体。 | | :Ζガンダムと[[メタス]]の設計を統合し、コストダウンを図った機体。 |
109行目: |
110行目: |
| :発展型として開発された機体の1つ。 | | :発展型として開発された機体の1つ。 |
| ;[[ハーフゼータ]] | | ;[[ハーフゼータ]] |
− | :本機に似た機体。 | + | :アナハイム製試作機をベースに本機に似せて製造された機体。 |
− | ;[[量産型Ζガンダム]]
| |
− | :可変機構をオミットして量産化を目指した機体。以前としてコストが高かったため試作機数機の生産に留まっている。
| |
− | ;[[リ・ガズィ]]
| |
− | :可変機構を外部ユニットに委ねることよってコストダウンを計ったが、あまり改善されなかったため試作機数機で開発が終了した。
| |
− | ;[[リゼル]]
| |
− | :ΖIIの設計を基に、ジェガンの設計を組み込むことで更なるコストダウンを図り、量産化が可能なレベルに仕上げた。
| |
| ;[[バウ]] | | ;[[バウ]] |
− | :ネオ・ジオンがΖプロジェクトの設計を参考に開発した機体。 | + | :ネオ・ジオンがΖ計画の設計を参考に開発した機体。 |
| ;[[ΖΖガンダム]] | | ;[[ΖΖガンダム]] |
| :本機直系の発展機。 | | :本機直系の発展機。 |
| ;[[Ζプルトニウス]] | | ;[[Ζプルトニウス]] |
| :Ζプラスを完全新規設計した機体。『[[機動戦士ガンダム ムーンクライシス]]』オリジナル設定の機体である。 | | :Ζプラスを完全新規設計した機体。『[[機動戦士ガンダム ムーンクライシス]]』オリジナル設定の機体である。 |
− | ;[[Ζガンダム炎]]、[[ハイパーΖガンダム炎]] | + | |
| + | === 量産機・量産検討機 === |
| + | ;[[Ζプラス]] |
| + | :ZガンダムのWR形態に注目した[[カラバ]]が、空戦用MSとして再設計した機体。カラバと連邦軍の双方で少数が量産されている。 |
| + | ;[[量産型Ζガンダム]] |
| + | :可変機構をオミットして量産化を目指した機体。依然としてコストが高かったため試作機数機の生産に留まっている。 |
| + | ;[[リ・ガズィ]] |
| + | :可変機構を外部ユニットに委ねることよってコストダウンを計った量産試作機。問題点の改善が成されなかった為、試作機数機で開発が終了した。 |
| + | ;[[リゼル]] |
| + | :ΖIIの設計を基に、ジェガンの設計を組み込むことで更なるコストダウンを図り、量産化が可能なレベルに仕上げた。 |
| + | |
| + | === その他 === |
| + | ;[[Ζガンダム炎]] / [[ハイパーΖガンダム炎]] |
| :『[[ガンダムビルドファイターズ炎]]』に登場するガンプラとその改修機。 | | :『[[ガンダムビルドファイターズ炎]]』に登場するガンプラとその改修機。 |
− | ;[[A-Zガンダム]]、[[アメイジングΖガンダム]] | + | ;[[A-Zガンダム]] / [[アメイジングΖガンダム]] |
| :『[[ガンダムビルドファイターズ バトローグ]]』に登場するガンプラとその改修機。 | | :『[[ガンダムビルドファイターズ バトローグ]]』に登場するガンプラとその改修機。 |
| ;[[ライトニングΖガンダム]] | | ;[[ライトニングΖガンダム]] |