「ガルマ追悼演説」の版間の差分
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2020年7月5日 (日) 00:02時点における最新版
ガルマ追悼演説[編集 | ソースを編集]
ギレン・ザビによる演説。
内容[編集 | ソースを編集]
機動戦士ガンダム [編集 | ソースを編集]
…我々は、一人の英雄を失った! しかし、これは敗北を意味するのか!? 否、始まりなのだ!
地球連邦に比べ、我がジオンの国力は三十分の一以下である。にもかかわらず、今日まで闘い抜いてこられたのは何故か!? 諸君!! 我がジオン公国の戦争目的が正義だからだ!
これは諸君らが一番知っている。我々は地球を追われ宇宙移民者にさせられた!そして一握りのエリートが、宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して五十余年! 宇宙に住む我々が、自由を要求して、何度、連邦に踏みにじられたか! ジオン公国の掲げる、「人類一人ひとりの自由の為の戦い」を、神が見捨てるわけはない!
…私の弟、諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ!何故だ!?
戦いは、やや落ち着いた。諸君らはこの戦争を、対岸の火と見過ごしているのではないか!? ガルマは諸君らの甘い考えを自覚させる為に死んだ! 諸君の、父も、兄も、子も、その連邦の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ!この悲しみも、怒りも、忘れてはならない! それをガルマは、死を以て我々に示してくれた!
我々は、この怒りを結集し!連邦軍に叩き付けて、初めて真の勝利を得る事が出来る!…この勝利こそ、戦死者全てへの最大の慰めとなる!
国民よ!悲しみを怒りに変えて! 立てよ、国民よ!!我らジオン公国々民こそ、選ばれた民である事を忘れないで欲しいのだ! 優良種たる我らこそ、人類を救い得るのである!!
ジーク・ジオン!!
機動戦士ガンダム (冒険王版) [編集 | ソースを編集]
我々はひとりの英雄を失った しかしこれは終わりではない はじまりなのだ!
この悲しみを 怒りを 忘れてはならない すべてを結集して連邦軍にたたきつけるのだ………
そして この戦いを我々の勝利に終わらせることが 戦死者への最大のなぐさめとなる勝利をこの手に!
もうひとつ 諸君はこの戦いが聖戦であることを忘れてはならない!
連邦軍の人道主義の美名にかくれたあまい妥協政策は劣悪なものの増長をゆるし 人類を衰退させる危険性をはらんでいる!
それを未然にふせぐためには優越人類が管理せねばならない!それができるものこそ われらジオン公国でありジオン軍の使命なのだ!!
機動戦士ガンダム (小説版) [編集 | ソースを編集]
……ジオン公国の栄誉ある国民一人ひとりに問いたい!
……諸君らの父が、友人が、恋人たちが死してすでに幾月が流れ去ったか、憶い起こすことを忘れたわけではないと信ずる。しかし、ルウム戦役以後、諸君らはあまりにも自堕落に時を過ごしてはいないだろうか? 地球連邦軍の物量と強権の前に、屈服も良し、とする心根が芽生えてはいないだろうか? なぜ、そのように思うのか? 選ばれた国民であるはずの、諸君らが、なぜに地球連邦軍の軟弱に屈服しようとするのか? 我、ジオンの創業の闘志、ジオン・ズム・ダイクンは、我らに言い残したではないか!
……宇宙の民が地球を見守り、その地球を人間発祥の聖地とすべき時代に、地球を離れる事を拒む旧世代が、宇宙の民たる我らを管理支配しようとする。宇宙の広大無比なるものは、人類の認識域を拡大して、我等は旧世代との訣別を教えられた。その新しき民である我等が、旧世代の管理下におかれて、何を全うしようというのか? 我らこそ、旧世代を排除し、地球を聖地として守り、人類の繁栄を永遠に守り続けなければならない。これが、ジオンの創業の志であったことは、周知である。 にもかかわらず、諸君らは、肉親の死と生活の苦しさに、旧世代に屈服しようとしている。ジオン創業の時代を思い起こしたまえ! 地球より最も離れたこの新天地、サイド3こそ、諸君らの父母が選んだ、真に選ばれた人類の発祥の地である事を思い起こせ! ジオン・ズム・ダイクンのあの烈々たる演説『新人類たちへ』を知らない者はいない! 思い起こせよ! 我らジオン公国の国民こそ、人類を永遠に守り伝える新の人類である……!
……何の洞察力も持たない地球連邦の旧世代に人類の未来を委ねては、人類の存続はあり得ないのである。ただただ絶対民主主義、絶対議会主義による統治が、人類の平和と幸福を生むという不定見! その結果が、凡百の無能者と人口の増大だけを生み出してゆくのである。その帰結する処は何か?……無能な種族の無尽蔵な増加は、自然を破壊し宇宙を汚すだけで、何ら文明の英知を生み出しはしない! 種族の数が巨大になり、自然の体系の中で異常と認められるに至った時は、鼠であろうと蝗、蟻であろうと集団自殺をして自然淘汰に身を任せてゆく本能を持ち合わせている。これは、生物が自然界に対して示すことのできる唯一の美徳である。
それがどうだ! 知恵がある故に、人類は自然に対して傲然として傲慢である。自然に対して怠惰である。ジオンは、諸君らの総意をもって、諸君らの深い洞察力ある判断をもって、自らに鉄槌を下したのである。人類が自然に対して示す事のできる贖罪を成したのである。時すでに八か月余り! ここに至って諸君らが、初心を忘れたとは言わない!
……思い起こせよ! 我、ジオンの光栄ある国民よ! 諸君らの肉親の死を追って、我、愛するガルマが死んだ! なぜか!
……ガルマは、闘いに疲れた我等に鞭うつために死んだのである! 同胞の死を無駄にするなと叫んで死んだのである! 彼は……! 諸君らの愛してくれたガルマは、ジオン公国に栄光あれと絶叫して死んだ! なぜか! ジオンの、いや、諸君ら、英知を持った人類による人類の世界こそ、真の人類のあるべき姿と知るからこと叫べたのである。ジオン公国に栄光あれ、と! 起てよ! 国民! 今こそ、我等の総意を持って地球の軟弱を討つ刻である!
登場作品と状況[編集 | ソースを編集]
- 機動戦士ガンダム
- 第12話にて、将来を嘱望されていたガルマ・ザビが戦死した後に、ジオン軍の士気を高めるために使用された。
「私の弟、諸君らが愛してくれたガルマは死んだ!何故だ!?」の直後にバーで中継を見ながら飲んでいるシャア・アズナブルが「坊やだからさ」と揶揄している。 - 機動戦士ガンダム (冒険王版)
- Vol.4にて、ホワイトベース隊がランバ・ラル隊を退けたタイミングでTV中継が行われた。地球連邦の政策に対する痛烈な批判をしているのだが、とても子供向け漫画とは思えない内容である。なお、放送の最後に血気盛んなアムロがテレビの画面を叩き割るという衝撃的なコマがあり、同漫画でも特に有名なシーンとなっている。一部復刻版では同コマが削除されてしまっているが、完全復刻版などではそのまま残されている。
- 機動戦士ガンダム (小説版)
- 第1巻PART 5にて。ザビ家でありながらジオンの名を出してはいるものの、ギレン本人としては神格化した存在であるため利用せざるを得ない悔しさがあった。
問題点 [編集 | ソースを編集]
この演説が戦意高揚を目的としている以上、第三者的目線から見れば突っ込みどころは多くなる。
- 戦争が継続できた理由は「戦争目的が正義だから」ではなく、モビルスーツ運用による制宙権確保、地球降下作戦など先手を打てた事などの純軍事的なもの。
- 一握りのエリートによる地球連邦の政治を批判しているが、ザビ家による一族独裁体制のジオン公国の方がもっと酷いのではないか。これはアラブの王制国と同じ。
- 一週間戦争やコロニー落としにおける無関係なコロニー住人、地球在住の一般市民の虐殺については全くと言っていいほど触れられていない。
- ガルマの死の原因は、彼の状況認識の甘さ、戦果への焦りをシャアにつけこまれた為。
活用のされかた[編集 | ソースを編集]
- 「私の弟、諸君らが愛してくれた○○は死んだ!何故だ!?」に対して「坊やだからさ」と返すなど、サビの部分を用いて、「××だからさ」とツッコミを入れる。
例:ツァラトゥストラ「諸君らが愛してくれた神は死んだ!何故だ!?」ニーチェ「坊やだからさ」