クリスマス作戦
クリスマス作戦
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』の作中で決行された作戦。
概要
宇宙世紀0079年12月25日のクリスマスに、サイクロプス隊唯一の生き残りであるバーナード・ワイズマン(バーニィ)が単独で決行したガンダムNT-1破壊作戦。決行日がそのまま作戦名の由来となっている。
同月19日のルビコン計画失敗を受けて、作戦総責任者キリングはサイド6への核攻撃を独断で決意。内通者であるチャーリーから公国軍による同コロニーへの核攻撃を聞かされたバーニィは、単身コロニーからの脱出を図ろうとしたものの、アルフレッド・イズルハ(アル)やコロニーの事を案じ、本作戦の決行を決意。アルの協力を得て、同月22~24日に作戦の準備を進ませた。
二名はサイクロプス隊が秘匿していた装備やダミーに用いるクリスマス用のバルーン等を入手。また、連邦軍のモビルスーツの残骸から修理用のパーツを拝借し、唯一の戦力であるザクII改を修復。こうして作戦の準備は済み、バーニィは作戦の決行日を12月25日のクリスマスと定めた。
そして作戦決行日。バーニィは予定の14時に作戦を決行。しかし、作戦決行前に決行する原因であった核ミサイルを搭載したフォン・ヘルシング艦隊が連邦軍に降伏。決行の直前にその事を知ったアルはバーニィを止めようと彼のもとに行こうとするものの、既に作戦は開始されており、止める手立ては無かった。
両機は森林地帯で接近戦を繰り広げるものの、互いに小破し、パイロット両名も負傷。ガンダムも射撃武器を失ったため、決着をつけるべく互いにビーム・サーベルとヒート・ホークを構える。
そして最後の一撃を繰り出そうとしたところへアルが到着するものの、彼の必死の制止も空しく両機は相討ちになる。これによりザクII改は撃破され、ガンダムも中破。バーニィは戦死し、直後にガンダムのパイロットがアルのお隣であるクリスチーナ・マッケンジー(クリス)であることが発覚。彼に辛い現実を突きつける結果となった。
なお、小説版『0080』では著者の結城恭介により、バーニィが負傷しながらも辛うじて生存。物語に僅かな希望を残している。
登場作品
- 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
- 第6話「ポケットの中の戦争」より。
関連人物
- バーナード・ワイズマン(バーニィ)
- 作戦の決行者。この戦いが彼の最期の戦いとなる。
- アルフレッド・イズルハ(アル)
- 作戦の下準備を手伝った。後に核攻撃中止を知り、戦いを止めようとするものの…
- クリスチーナ・マッケンジー(クリス)
- ガンダムNT-1のテストパイロット。バーニィとは互いに相手が誰であるかを知らぬまま戦う事となる。
- チャーリー
- 酒場「ピンクエレファント」の経営者でジオン公国軍の内通者。バーニィにジオンが核攻撃を計画している事を伝えた。ただ、彼自身はコロニーに残る事を決意している。
- クリス似の赤毛の娘
- バーニィがコロニーから脱出する前に立ち寄った空港のバーにいたクリスに似た女性。彼氏との別れ話が原因で酔いつぶれており、彼氏に電話越しでその恨み辛みをぶちまけていた。その際の一言がバーニィにコロニーに残ることを決意させる。ある意味、その後の結末の遠因となった人物とも言える。
作戦の経緯
- 宇宙世紀0079年12月19日~
- ルビコン計画失敗。サイクロプス隊、バーニィを残し全滅。
- 作戦総責任者のキリング中佐、作戦失敗を受けサイド6への核攻撃を独断で決意。反対したグラナダ基地指令のルーゲンスを射殺し、基地の指揮権を掌握する。
- バーニィ、内通者であるチャーリーから核攻撃の計画を聞かされる。コロニーから脱出しようとするも後に決意を改め、クリスマス作戦の決行を決意する。
- 12月22日~24日
- バーニィ、アルの両名が作戦の準備を開始。連邦軍のモビルスーツの残骸から乗機のザクII改を修復するためのパーツを入手し、さらにサイクロプス隊が秘匿していたヒート・ホーク1丁、ハンド・グレネード12発を入手。また、ダミーバルーン用に商店からクリスマス用のバルーン、発炎筒を窃盗している。戦闘場所は人的被害を出さずに済む森林地帯に決定。
- 作戦の準備完了。決行日を12月25日と定める。バーニィ、アルにビデオレターを手渡す。
- 12月25日 0時00分~
- キリングの命令を受け、フォン・ヘルシング率いる核ミサイルを搭載した1個艦隊がグラナダを発進。その後、サイド6宙域の掃討作戦に参加していた連邦軍第3艦隊第14戦隊に発見され、戦闘後に降伏する。連邦軍、核ミサイルを没収。この戦闘をアルの父イームズ・イズルハが目撃している。
- 12月25日 14時00分~
- クリスマス作戦開始。アル、父親の話から核攻撃の中止を知り、バーニィのもとへと向かう。
- バーニィ、ザクII改を起動させU.N.メディカルセンターを襲撃。
- 連邦軍、リーア軍へ支援行動を要求するものの、19日の戦闘で多大な被害を受けていた同軍はこれを拒否。やむなく整備中のガンダムNT-1を再出撃させる。この時、ガトリング砲の残弾は右腕の500発のみだった。
- ザクII改、ガンダムNT-1と接触。ミラー面を通過しつつ森林地帯へ後退し、ガンダムNT-1を誘い込む。クリス、平地での戦闘による人的被害が出るのを避けるべく、独断でザクII改を追撃。
- アル、現場へ到着。バーニィ、森林地帯に設置したトラップ(煙幕、ダミーバルーン)を作動。ガンダムNT-1にガトリング砲を浪費させ、接近戦に持ち込む。
- ガンダムNT-1、接近するザクII改にガトリング砲で応戦。弾体がザクII改の胸部装甲を貫通する。バーニィ、頭部を負傷するも応戦し右腕のガトリング砲を破壊。立て続けにコックピットを攻撃する。クリス、右腕を負傷。
- ザクII改、ガンダムNT-1に体当たりを敢行。斜面を滑り落ちる最中、ワイヤートラップによるグレネードの爆発を受け、ザクII改が左腕を損失。両機、平地へ滑り込む。
- アル、相対する2機のもとに到着するも、直後に両機は接近戦用の武器で最後の攻撃を敢行。制止しようとするも互いに相討ちとなる。ザクII改はコックピットを破壊された後、上半身が爆散。バーニィ戦死。ガンダムNT-1は頭部・バックパックを破壊され、直後にザクII改の爆発に巻き込まれ中破。クリス、アルの両名、駆けつけた連邦兵により救助される。
関連用語
- ルビコン計画
- 当初、サイクロプス隊が実行していた新型ガンダム奪取・破壊作戦。作戦の失敗が結果として本作戦の実施に繋がった。
- バーニィのビデオレター
- 作戦の実行前にバーニィがアルに渡したビデオレター。上記の結末の後に流れ、アルだけでなく視聴者により深い悲しみを与えた。