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− いま、神の世紀に別離を告げる我々は、契約更新の時を迎えようとしています。今度は超絶者としての神ではなく、我々の中に存在する神――より高みに近づこうとする心との対話によって。宇宙世紀の契約の箱は、人類がその総意から生み出したものであるべきでしょう+
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わたしはどのような宗教にも属していませんが、無神論者ではありません。高みを目指すため、自らの戒めとするため、己の中により高次な存在を設定するのは、人の健康な精神活動の表れと信じています。西暦の時代、それは神の言葉としてさまざまに語られてきました。人はどのように生きるべきか。いかにして世界と向き合うべきか。モーセが授かった十戒の例を持ち出すまでもなく、それらに対する教えはあらゆる宗教に伝えられています。人間の言葉ではなく、人と神の契約の説話として。
わたしはどのような宗教にも属していませんが、無神論者ではありません。高みを目指すため、自らの戒めとするため、己の中により高次な存在を設定するのは、人の健康な精神活動の表れと信じています。西暦の時代、それは神の言葉としてさまざまに語られてきました。人はどのように生きるべきか。いかにして世界と向き合うべきか。モーセが授かった十戒の例を持ち出すまでもなく、それらに対する教えはあらゆる宗教に伝えられています。人間の言葉ではなく、人と神の契約の説話として。
いま、神の世紀に別離を告げる我々は、契約更新の時を迎えようとしています。今度は超越者としての神ではなく、我々の中に存在する神――より高みに近づこうとする心との対話によって。宇宙世紀の契約の箱は、人類がその総意から生み出したものであるべきでしょう
この首相官邸の名前、<ラプラス>の語源についてはご存じの方も多いでしょう。十八世紀のフランスに生まれた物理学者の名前です。ラプラスは、過去に起こったすべての事象を細大もらさず――原子一個の動きに至るまで――分析することで、未来は完全に予測できると考えました。この考えは、のちに量子力学の発達によって否定され、いまでは未来を完全に予測する術はないことが証明されています。我々は、その経緯を逆説として受け取り、この首相官邸に<ラプラス>の名を冠しました。「未来にはあらゆる可能性がある」という意味を込めてのことです。
この首相官邸の名前、<ラプラス>の語源についてはご存じの方も多いでしょう。十八世紀のフランスに生まれた物理学者の名前です。ラプラスは、過去に起こったすべての事象を細大もらさず――原子一個の動きに至るまで――分析することで、未来は完全に予測できると考えました。この考えは、のちに量子力学の発達によって否定され、いまでは未来を完全に予測する術はないことが証明されています。我々は、その経緯を逆説として受け取り、この首相官邸に<ラプラス>の名を冠しました。「未来にはあらゆる可能性がある」という意味を込めてのことです。