ニュートロンジャマー
ニュートロンジャマー(Neutron Jammer)
プラント最高評議会議員オーソン・ホワイトによって開発された、全ての核分裂を抑制する装置。資料によっては「Nジャマー」とも表記される。
血のバレンタインでユニウスセブンに核攻撃を受けた報復としてザフト軍によって実戦投入され、世界樹攻防戦で初めて実戦に使用された後、続くオペレーション・ウロボロスで地球の地下深くに大量に打ち込まれた。
稼働させる事で自由中性子運動を阻害するフィールドを発生させ、それによって核分裂を抑制する。副次的に電波の伝達も阻害される為、レーダーや通信、精密誘導兵器を無力化するジャミングとしての側面も持つ。その為、艦艇やMSに搭載してジャミングとして活用されるケースも多い。Nジャマー影響下では電波通信の代替として赤外線やレーザー通信が用いられる他、量子通信も阻害される事なく使用可能。
1基だけでも地球全土の殆どを覆う事が可能な程の効果範囲を有しているが、オペレーション・ウロボロスでは数百基ものNジャマーが地球に打ち込まれており、これによって地球全体で深刻なエネルギー不足が誘発された。ザフトではこれを利用してエネルギー供給を用いた政治カードを駆使した(そもそもプラントには変換率80%の太陽光発電技術が存在したので、過去にはそれを輸出する事で地球圏のエネルギーを賄っていた)のだが、これを受託してのは地球国家の中でも反地球連合色の強い「親プラント国」や中立国だけであったため、地球連合加盟国では10億人にも及ぶ大量の餓死者を生み出した(エイプリルフール・クライシス[1])。地中に打ち込まれたNジャマーは地下数百メートルに位置し、更に外部からのあらゆるアクセスを受け付けない為、これを投入したザフトですら回収は不可能とされている。ただし、電源には寿命があるため、その効果は永続ではない。また、ある時期から地球連合軍もNジャマーを製造しており、主に電波妨害手段として活用している。
登場作品
- 機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
- 宇宙世紀のミノフスキー粒子や西暦のGN粒子の様にモビルスーツを使った局地戦に説得力を持たせる為に考案されたギミックであり、同時に核兵器の使用を抑制する南極条約を機械装置として再現したという側面もある。ただしミノフスキー粒子やGN粒子と違ってニュートロンジャマーはビーム兵器やサイコミュなど他分野へ活用できる部分に乏しいという点が大きく異なる。
- ユニウスセブンを核攻撃された報復として、地球に大量に投下された。これにより地上では核エネルギーの利用が事実上不可能となり、深刻なエネルギー危機に陥った。加えて地球軍がエネルギーインフラの復旧ではなく開戦準備に注力した事から、大量の死者を生む「エイプリルフール・クライシス」が引き起こされた[1]。
関連用語
余談
Nジャマーが抑制するのは「中性子を用いた核分裂反応」(つまり中性子が核物質に入った時に発生する連鎖反応)であり、中性子をトリガーにしない核反応には影響がない。つまり原理上原子爆弾やその爆発力を利用して原子核融合を誘発させる水素爆弾は止められるが、触媒核融合なりレーザー水爆なりの純粋水爆を実現する技術があれば、ニュートロンジャマーでは止められないという事になる[2]。こうした理由から、当然「核融合」には影響を及ぼさない。また、中性子を介さない同位体等を利用した放射性崩壊も活用できる(原子力電池)。
核エネルギーを封印する技術は古典的なSF作品では珍しくなく、アイザック・アジモフ著「銀河帝国興亡史」における「ファウンデーション対帝国」は有名。
尚、プラントには「アジモフ局」という軍事兵器開発部門が存在する設定である。
リンク
脚注
- ↑ 1.0 1.1 地球連合加盟国において被害が甚大化した理由として、「SEED」の世界観では既に化石燃料が枯渇していたことと、(地球へのエネルギー供給基地として)この世界における太陽光発電インフラを持っていたプラントのエネルギー部門がブルーコスモスのテロに遭い、地球圏へエネルギー輸出が行えなくなった結果、連合加盟国がこぞって原子力発電に転換した経緯がある。もっとも、地球連合加盟国(とりわけ大西洋連邦)はこの時点で既に件の太陽光発電技術を入手していたにも関わらずアークエンジェルのような軍事装備にのみ使用していた。また、中立国であるオーブ連合首長国では火山を利用した地熱発電が行えたため、この案件によって相対的に国際影響力を増す結果となった。
- ↑ コズミック・イラは実用レベルの核融合炉技術の開発に失敗した世界観となっている。ただし、レーザーを使って爆縮を行う技術は現実世界同様に存在するため、エネルギーペイの見込めない科学ロケットとしてレーザー核融合パルス推進は存在する。