「ウズミ・ナラ・アスハ」の版間の差分

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「オーブの理念」すなわち「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない」という国是を掲げて中立国化しながらも、一方でザフトに追われていたアークエンジェル隊を「追い払った」とうそぶいて入港させるなど、平然と「本音」と「建前」を使い分ける政治家でもある。
 
「オーブの理念」すなわち「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない」という国是を掲げて中立国化しながらも、一方でザフトに追われていたアークエンジェル隊を「追い払った」とうそぶいて入港させるなど、平然と「本音」と「建前」を使い分ける政治家でもある。
 
無論、その対価としてアークエンジェル隊からはストライクの戦闘データとパイロットの[[キラ・ヤマト]]の技能の提供を受けるなど抜け目ない。これによって[[モルゲンレーテ社]]は国産モビルスーツ開発に大きな利益を得て次々に新型モビルスーツの開発に成功。オーブ連合首長国としての武器である「技術外交」に利用した。
 
無論、その対価としてアークエンジェル隊からはストライクの戦闘データとパイロットの[[キラ・ヤマト]]の技能の提供を受けるなど抜け目ない。これによって[[モルゲンレーテ社]]は国産モビルスーツ開発に大きな利益を得て次々に新型モビルスーツの開発に成功。オーブ連合首長国としての武器である「技術外交」に利用した。
つまり国是といっても絶対の理念では決してなく、まずは国家があってこそという「国を守るため」にはそれを曲げることを厭わなかった。のだがのちに理念を優先して国そのものを滅亡に導くとも取れる行為を選択する当たり、思考に一貫性が乏しい。
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つまり国是といっても絶対の理念では決してなく、まずは国家があってこそという「国を守るため」にはそれを曲げることを厭わなかった。
  
 
彼の言う中立とは「どちらにも肩入れしない」というよりは「どちらにも肩入れする」ことでバランシングを行う、能動的な中立であった。
 
彼の言う中立とは「どちらにも肩入れしない」というよりは「どちらにも肩入れする」ことでバランシングを行う、能動的な中立であった。
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彼が代表を退いたのは、オーブと地球連合によるモビルスーツ共同開発――G計画に関わる責任を負ったためであるが、これはサハク家の独断によって行われた「中立国の立場を危うくするもの」ことが理由とされている。一方で自らはアークエンジェル隊に肩入れするなど、徐々に立場が悪化。地球連合からもザフトからもその技術力を脅威視されていたこともあり、その去就を巡ってさまざまなアプローチが行われた。
 
彼が代表を退いたのは、オーブと地球連合によるモビルスーツ共同開発――G計画に関わる責任を負ったためであるが、これはサハク家の独断によって行われた「中立国の立場を危うくするもの」ことが理由とされている。一方で自らはアークエンジェル隊に肩入れするなど、徐々に立場が悪化。地球連合からもザフトからもその技術力を脅威視されていたこともあり、その去就を巡ってさまざまなアプローチが行われた。
  
後に地球連合とプラントとの関係悪化・開戦に伴う参戦要求を受け、やむを得ず代表に復帰し実質連合に敵対しているにもかかわらず明らかに無理のある中立宣言を行うが、モルゲンレーテ社の最先端のモビルスーツ施設やマスドライバー施設を必要とした地球連合軍によるオーブ開放戦線によって対応を余儀なくされる。しかしウズミは交渉するそぶりを見せて時間を稼ぐ等の行為を行わず国の財産である施設を独断で爆破。同時にそれに巻き込まれる形で自害した。
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後にパナマ陥落によって地球連合の旗色が悪くなったことで連合側としての参戦を要求されると「これからも中立を貫く意志は変わらない」とこれを拒否するが、モルゲンレーテ社の最先端のモビルスーツ施設やマスドライバー「カグヤ」を必要とした地球連合軍によるオーブ解放作戦によって対応を余儀なくされる。義勇軍としてオーブ側に協力したアークエンジェルやアスラン・ザラ、ディアッカ・エルスマンらの活躍もあって二度の撃退に成功するも相手との物量差は如何ともし難く、また再三にわたる会談要請もムルタ・アズラエルが突っぱねたことから最終的にウズミはモルゲンレーテの施設とカグヤを爆破。それに巻き込まれる形で自害した。
これは戦争によってどちらの勝利に終わったとしても、オーブは中立国としての立場を失ってしまうからであり、あまりに地球連合に肩入れしすぎてしまった結果、その一部として編入されてしまうことで小国であるオーブの独立性を失うことを危惧したため。言い換えれば「プラントが勝ったときの余地を残しておきたかった」のである。国家の財産の私物化といえる行為や国民の避難を一切考えず行動した意図は不明。
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これは戦争によってどちらの勝利に終わったとしても、オーブは中立国としての立場を失ってしまうからであり、あまりに地球連合に肩入れしすぎてしまった結果、その一部として編入されてしまうことで小国であるオーブの独立性を失うことを危惧したため。言い換えれば「プラントが勝ったときの余地を残しておきたかった」のである。
  
 
しかし、ヤキン・ドゥーエ戦役を終え、地球連合とプラント間で停戦が行われた後にオーブ首長連合国は地球連合の統治下におかれ、独立国としての主権を失うなど、結果的には国家としては一度滅ぼされてしまっている。スピンオフ作品の「ASTRAY」で[[ロンド・ミナ・サハク]]はウズミの行動を「国とは国民のことであり、場所ではない」とし、ウズミの行動を極めて否定的に評している。[[シン・アスカ]]は中立といいながらも国を焼かれ、家族を失ったことを「アスハ家の裏切り」と断じている。
 
しかし、ヤキン・ドゥーエ戦役を終え、地球連合とプラント間で停戦が行われた後にオーブ首長連合国は地球連合の統治下におかれ、独立国としての主権を失うなど、結果的には国家としては一度滅ぼされてしまっている。スピンオフ作品の「ASTRAY」で[[ロンド・ミナ・サハク]]はウズミの行動を「国とは国民のことであり、場所ではない」とし、ウズミの行動を極めて否定的に評している。[[シン・アスカ]]は中立といいながらも国を焼かれ、家族を失ったことを「アスハ家の裏切り」と断じている。
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続編となる[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]では国家元首となりながらも、その大きすぎる責任に悩むカガリに、生前残していた映像データで登場する。
 
続編となる[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]では国家元首となりながらも、その大きすぎる責任に悩むカガリに、生前残していた映像データで登場する。
 
そこでは厳しかった父の真意、そして想いを継ぐことの本当の意味を語り、カガリにアカツキを託した。
 
そこでは厳しかった父の真意、そして想いを継ぐことの本当の意味を語り、カガリにアカツキを託した。
アカツキはストライクと同時期に開発された機体であったが、ストライク(G計画)はサハク家の独断として責任を取っておきながら、しれっとそのデータを用いて新機体を開発させているあたりはさすがの狸ぶりである。国の財産と技術でこんなものを暇があったら国民のために避難船の一隻でも作っておけと思うのは無粋だろうか。
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アカツキはストライクと同時期に開発された機体であったが、ストライク(G計画)はサハク家の独断として責任を取っておきながら、しれっとそのデータを用いて新機体を開発させているあたりはさすがの狸ぶりである。
  
カガリはヤマト夫妻から託された娘であり、義理ではあったが実の娘同然に育て、一方で自分の後継者としての重責を背負わせることを申し訳なくも思っていたようだ。厳しく育てられたカガリは時々父に背き、その真意を汲もうとはせず、ウズミも顔がはれ上がるほどの平手打ちを見舞うなど、決して円満な親子関係ではなかったかも知れない。
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カガリはヤマト夫妻から託された娘であり、義理ではあったが実の娘同然に育て、一方で自分の後継者としての重責を背負わせることを申し訳なくも思っていたようだ。厳しく育てられたカガリは時々父に背き、その真意を汲もうとはせず、ウズミも顔がはれ上がるほどの平手打ちを見舞うなど、決して円満な親子関係ではなかったかも知れない。それでもカガリは立派に成長し、その後を継ぐことになる。
  
 
== 登場作品と役柄 ==
 
== 登場作品と役柄 ==
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;[[ロンド・ギナ・サハク]]<br />[[ロンド・ミナ・サハク]]
 
;[[ロンド・ギナ・サハク]]<br />[[ロンド・ミナ・サハク]]
:ウズミの政策を一貫して否定するサハク家の姉弟。弟ギナは「価値ある者(自分)のために万人が支配される世界」を望み、姉ミナは「国とは場所ではなく民そのものである」との理念を抱いている。
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;[[シン・アスカ]]
 
;[[シン・アスカ]]
:オーブ解放作戦によって家族を皆殺しにされた少年。憎悪を抱いたまま[[ザフト軍|ZAFT]]の一員となり、後に故国に対して復讐の牙を剥く事になる。
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== 名台詞 ==
 
== 名台詞 ==

2016年11月25日 (金) 19:27時点における版

ウズミ・ナラ・アスハ(Uzmi Nalla Athha)

オーブ連合首長国の前代表首長で、カガリ・ユラ・アスハの義父。「オーブの獅子」と呼ばれている。グレーの長髪をオールバックに、口ひげを蓄えたナイスミドル。物語登場時にはすでに代表首長を退き、弟のホムラに譲り勇退していたが、その手腕とカリスマから影響力は衰えてはいなかった。

「オーブの理念」すなわち「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない」という国是を掲げて中立国化しながらも、一方でザフトに追われていたアークエンジェル隊を「追い払った」とうそぶいて入港させるなど、平然と「本音」と「建前」を使い分ける政治家でもある。 無論、その対価としてアークエンジェル隊からはストライクの戦闘データとパイロットのキラ・ヤマトの技能の提供を受けるなど抜け目ない。これによってモルゲンレーテ社は国産モビルスーツ開発に大きな利益を得て次々に新型モビルスーツの開発に成功。オーブ連合首長国としての武器である「技術外交」に利用した。 つまり国是といっても絶対の理念では決してなく、まずは国家があってこそという「国を守るため」にはそれを曲げることを厭わなかった。

彼の言う中立とは「どちらにも肩入れしない」というよりは「どちらにも肩入れする」ことでバランシングを行う、能動的な中立であった。

一方、その理念と現実を使い分ける、ある意味では二枚舌をカガリは嫌い、ウズミはそんな彼女を心配し、大局を見よと諭すと同時にまっすぐなところを愛してもいたようだ。父親として非常に厳しく育てはしたが、いずれは国を譲ることになる彼女にはそうした取捨選択、あるいは本音と建前を使い分ける度量を、国を生かすために身に着けて欲しいと望んでいたためであり、むしろ愛していたがために厳しい態度を取っていたことが、後に録音音声ではあったが、カガリに告げられた。

彼が代表を退いたのは、オーブと地球連合によるモビルスーツ共同開発――G計画に関わる責任を負ったためであるが、これはサハク家の独断によって行われた「中立国の立場を危うくするもの」ことが理由とされている。一方で自らはアークエンジェル隊に肩入れするなど、徐々に立場が悪化。地球連合からもザフトからもその技術力を脅威視されていたこともあり、その去就を巡ってさまざまなアプローチが行われた。

後にパナマ陥落によって地球連合の旗色が悪くなったことで連合側としての参戦を要求されると「これからも中立を貫く意志は変わらない」とこれを拒否するが、モルゲンレーテ社の最先端のモビルスーツ施設やマスドライバー「カグヤ」を必要とした地球連合軍によるオーブ解放作戦によって対応を余儀なくされる。義勇軍としてオーブ側に協力したアークエンジェルやアスラン・ザラ、ディアッカ・エルスマンらの活躍もあって二度の撃退に成功するも相手との物量差は如何ともし難く、また再三にわたる会談要請もムルタ・アズラエルが突っぱねたことから最終的にウズミはモルゲンレーテの施設とカグヤを爆破。それに巻き込まれる形で自害した。

これは戦争によってどちらの勝利に終わったとしても、オーブは中立国としての立場を失ってしまうからであり、あまりに地球連合に肩入れしすぎてしまった結果、その一部として編入されてしまうことで小国であるオーブの独立性を失うことを危惧したため。言い換えれば「プラントが勝ったときの余地を残しておきたかった」のである。

しかし、ヤキン・ドゥーエ戦役を終え、地球連合とプラント間で停戦が行われた後にオーブ首長連合国は地球連合の統治下におかれ、独立国としての主権を失うなど、結果的には国家としては一度滅ぼされてしまっている。スピンオフ作品の「ASTRAY」でロンド・ミナ・サハクはウズミの行動を「国とは国民のことであり、場所ではない」とし、ウズミの行動を極めて否定的に評している。シン・アスカは中立といいながらも国を焼かれ、家族を失ったことを「アスハ家の裏切り」と断じている。 一方でウズミに近しい人物達からは地球連合の一地方としてではいずれオーブは消滅するとも語られており、それには技術を盾にした外交で独立を守る必要があったともされる。 これらはどちらの意見も誤りとは言えず、結果としてウズミの方針が「そうならなかった」というべきだろうか。

皮肉なことだが、義理ではあるがカガリの姉弟であるキラ・ヤマトの活躍によってプラントの勢力が大幅に減じたことがその原因である。

続編となる機動戦士ガンダムSEED DESTINYでは国家元首となりながらも、その大きすぎる責任に悩むカガリに、生前残していた映像データで登場する。 そこでは厳しかった父の真意、そして想いを継ぐことの本当の意味を語り、カガリにアカツキを託した。 アカツキはストライクと同時期に開発された機体であったが、ストライク(G計画)はサハク家の独断として責任を取っておきながら、しれっとそのデータを用いて新機体を開発させているあたりはさすがの狸ぶりである。

カガリはヤマト夫妻から託された娘であり、義理ではあったが実の娘同然に育て、一方で自分の後継者としての重責を背負わせることを申し訳なくも思っていたようだ。厳しく育てられたカガリは時々父に背き、その真意を汲もうとはせず、ウズミも顔がはれ上がるほどの平手打ちを見舞うなど、決して円満な親子関係ではなかったかも知れない。それでもカガリは立派に成長し、その後を継ぐことになる。

登場作品と役柄

機動戦士ガンダムSEED
厳しい父として登場。物語としては非常に大きな転換期となり、オーブ開放戦以降を物語の終盤と評する向きもある。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
回想等で登場。秘密裏にアカツキを開発させているなど、相変わらずの手回しである。

人間関係

カガリ・ユラ・アスハ
義理の娘。
ホムラ
弟。代表首長の座を譲る。
キラ・ヤマト
義理の娘の弟。一目で彼がカガリの弟ということを見抜いていた。
ムウ・ラ・フラガ
マリュー・ラミアス
ロンド・ギナ・サハク
ロンド・ミナ・サハク
シン・アスカ

名台詞

「想いを継ぐ者なくば、全て終わりぞ!何故、それがわからん!?」
「父とは別れるが、お前は一人ではない。…兄弟もおる」
「そなたの父で、幸せであったよ」

搭乗機体・関連機体

アカツキ
モルゲンレーテ社に密かに開発させていた。