キゾ
キゾ | |
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外国語表記 | Kizo |
登場作品 | 機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト |
デザイナー | 長谷川裕一 |
プロフィール | |
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種族 | 人間(スペースノイド) |
性別 | 男 |
年齢 | 37歳以上 |
没年月日 | 宇宙世紀0153年 |
出身 | 木星 |
職業 | ザンスカール帝国軍将校 → エル・ザンスカール帝国司令官 |
所属組織 | ザンスカール帝国 → エル・ザンスカール帝国 |
所属部隊 | ゴールデン・エッグス |
階級 | 中将 |
主な搭乗機 |
概要[編集 | ソースを編集]
独立特殊部隊ゴールデン・エッグスの司令官を務めるザンスカール帝国軍中将。派手な装飾が特徴的な青竜刀を携えている。
戦いの中で生を実感する戦闘狂。それと同時に徹底した実力主義、成果主義の持ち主であり、役に立つならば得体の知れない相手であろうと利用するが、逆に役に立たなければ忠実な部下であっても切り捨てる。唯一彼が信頼しているのは、自らの妻であるマリア・エル・トモエのみ。
その正体は、クラックス・ドゥガチが地球連邦との政略結婚を持ちかけられる以前に内縁の妻との間に生まれた息子であり、テテニス・ドゥガチの異母兄。ドゥガチの政略結婚を理由にフォンセ・カガチの下に預けられ、以降は彼の養子として育てられた。本来であれば木星の有力者となりえた筈の血筋であったが、この一件によってそれが叶う事はなくなり、その代わりとしてカガチから地位や権力を与えられて育った。しかし、それが彼の中に反骨心と不満を生み、次第に歪んだ野心を抱くようになった。
また、キゾの成長はカラスを通じてドゥガチに報告されており、彼が地球侵攻時の「駒」として利用できるかどうかを監視されていた。その事実から「親の愛情」という物を知らずに成長する事になり、同時にドゥガチに対しても嫌悪感を抱くようになる。そういった経緯の為、出自を公表すれば旧木星帝国支持者からの援助も受けられた可能性があったにも関わらず、敢えてそれを伏せ、自力で自らの野望を達成する事を自身の至上命題とした。
自身の野望を実現させるべく、木星から齎されたエンジェル・コールに目をつけ、これを入手するべくサーカスと手を組み、お互いを利用し合う歪な共闘関係を構築する。だが、自らがエンジェル・コールを手中に収めると協力関係は破綻。同時に、カガチ率いるザンスカール主流派へも反攻し、独自にエル・ザンスカール帝国を建国。エンジェル・ハイロゥへエンジェル・コールに汚染された兵器をぶつけ、更にエンジェル・ハイロゥそのものを地球へと降下させることで世界を屈服させようと画策したが、蛇の足の策略により細菌汚染された艦隊はソーラ・システムによって破壊され、残った艦も林檎の花の特攻によって太陽へと進路を向ける。それでもなお自らの野望を諦めきれないキゾは林檎の花を制圧し、ベルをエル・ザンスカールの次期女王として再起を図ろうと画策するが、林檎の花を追跡して来たフォント・ボーらとの決戦で命を落とした。
登場作品と役柄[編集 | ソースを編集]
- 機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト
- 初登場作品。実力主義と成果主義を掲げ、不要となった部下を平然と切り捨て、必要とあらば子供すらもギロチンにかけようとする冷血漢として描かれた。一方で、その人格が形成されるまでに至る過程も描かれており、そこには単なる悪役としては片付けられない一面も覗かせている。
最期はフォントとの決戦で自らの乗るミダスの能力を逆に利用され敗北。今際の際にフォントに「勝ったなら笑え」と言い遺すが、それがフォントの心に後に続く禍根を残した。
人間関係[編集 | ソースを編集]
近親者 [編集 | ソースを編集]
- マリア・エル・トモエ
- 妻。カガチによって「失敗作」とされた彼女を「真のマリア」として担ぎ出し、エル・ザンスカール帝国を建国した。トモエとはお互いに利用し合う仲ではなく真に愛情を育んでおり、彼女が子供を作れない事を知っているが故に、その事を話したベルに「優しくしてやってくれ」と促す一面も見られた。
- クラックス・ドゥガチ
- 実父。連邦の持ちかけた政略結婚の為に内縁の妻との間に生まれたキゾをカガチに託した。その後もドゥガチはカラスを通じて監視を行っており、そこに親の愛情が無い事を幼少の頃から悟ったキゾは、ドゥガチに激しい憎悪を向け、己の出自を敢えて隠して野望を叶えようとした。
ザンスカール帝国 [編集 | ソースを編集]
- フォンセ・カガチ
- ザンスカール帝国首相。木星船団に所属していた頃にドゥガチからキゾを預かり、以降キゾを何不自由なく育てたが、それが彼の中の反骨心を生む事になった。
度を越した彼の行動に対して自重を促したが、最終的に「マザコン」と断じられ、キゾに反旗を翻された。
キゾにとって打倒すべき相手であり、自らの手で殺す事を目的の一つとしていた為、彼がエンジェル・ハイロゥで死亡した報を受けた際は激昂している。 - 後の漫画『F90FF』では両親が別れる原因となった木星と地球の縁談に関してカガチが一枚噛んでいることが判明しており、このことも反骨心を生む原因になったのかもしれない。
- モルセゴ
- ベスパ大佐。その正体はザンスカール主流派から送り込まれたお目付け役であり、カガチの命令でマリア・シティに向けて核ミサイルを発射した。エンジェル・ハイロゥ攻略の為にエンジェル・コールを利用するキゾに作戦の危険性を説くも、細菌弾で銃殺された。
木星共和国 [編集 | ソースを編集]
- テテニス・ドゥガチ
- 異母妹。彼女がその事を知っているか否かは不明だが、結果として対立する立場を取る事になった。ただし、両者の間に面識は無い。
- ベルナデット・ドゥガチ
- 姪。トモエによってその才覚を見いだされ、彼女の次の女王として擁立するべく最終決戦の際に拉致したが、フォントによって奪還される。
- カーティス・ロスコ
- 蛇の足のエージェント。戦場で幾度となく交戦し、エル・ザンスカール帝国建国時の戦闘で撃破する。しかし、その際に自身の作る国は「死者の国」であり、自身が欲しているものが「人」ではなく「操り人形」であると断じられた。
- フォント・ボー
- 彼の技量に目をつけ、ミート・オブ・トゥーンで彼をおびき出す為に彼の両親を脅迫。その為に子供をギロチンにかけようとした事で対立関係が確たる物となる。最期は彼の仕掛けた策や機転の前に敗れ去るが、同時にフォントに呪いとも呼べる禍根を残した。
- クォ・グレー
- サーカス団長。エンジェル・コール捜索の為に共闘するが、エンジェル・コールの「独占」を目的とした事から共闘関係は崩れ去り、対立。敵対後はキゾから宇宙細菌を掠め取り、胸にギムレット・ビットを打ち込まれてなおミダスに一矢報いるなど、キゾを上回る行動を見せた。
- カラス
- ドゥガチの腹心。木星戦役以前、時折キゾの下に訪れていた。にこやかに振る舞い、その成長を見守るふりをしていたが、その裏ではドゥガチの目としてドゥガチの地球侵攻の駒として利用できるか見極めていた。
因みにカラスがキゾの下を訪れる回想にはティラノザクの玩具がさり気なく描かれている。
名台詞[編集 | ソースを編集]
- 「なるほど」
「銃口が向いているのに生身をさらせる」
「その度胸は気に入ったぜ!」 - 第7話より。初登場時の台詞。敵となるやも知れない相手の母艦に乗り込み、その中でジャバコに銃口を向けられながらもサウザンド・カスタム各機のコクピットハッチを開放させたクォ・グレーを評価する。
- 「へ! 負けたのはてめぇらが悪いんだろうがよ」
「おれは――おれの役に立つならなんだって構いやしねえぜ?」 - 同上。サーカスと手を組む事に懐疑的な部下に対して。この時点から既に実力主義者である事を匂わせる。
- 「――言っただろう? おれの役に立つなら――なんだっていいんだ!」
「ひっくり返しゃあな――役に立たねぇんなら――」
「誰であろうと必要ないんだよっ!」 - 同上。自分たちを海賊とリガ・ミリティアをおびき寄せる為の囮に使った事に意見する部下に対して。キゾの冷徹さを象徴する一言。
- 「”いいもの”だ!」
「とても…いいものさ!」 - 第10話。クォ・グレーとの通信を締める際に海賊軍にある物を運ばせていた事を匂わせる。それがカーティスの同僚であったエージェントの首である事は、直後の蛇の足の側の視点から判明する事になる。
- 「仕方ねえだろう? 為政者としては」
「約束は守らなきゃあな!」
「そうしてこのコロニーの連中の脳裏に刻みつけてやるのさ!」
「おれたちに逆らうことがどれほど恐ろしいのかを!」
「二度と反抗する気も起きないほど徹底的にな!」
「いい考えだろう? それでこその平和な支配だろう?」 - 第13話より。自らの目的を遂行する駒であるフォントを手中に収め、自分の為に働かせるべく人質の子供達をギロチンにかける事を促して。自身の行動を「平和のため」と正当化しているが、その手段は子供の命を奪うというものであり、その冷徹な行動が、結果としてジャックがサーカスを離反する切っ掛けの一つとなる。
- 「教えなかったか?」
「絶対の服従は完全な絶望からしか生まれない」
「支配される者に”心”も感情も必要ない!」
「おれが欲しいのは”良い”部品だ なに――じきにおまえもそうなる」 - 第15話より。ファントムを押さえつけられ、脱出させた子供達も取り押さえられ絶体絶命に陥ったフォントに対し、自らの持論を語る。
- 「おれが”悪”に見えるか? 違うな? 逆らう者の唯一人としていない世界こそが!」
「混乱のない――真の人類の平和につながる一番の近道だ!」
「より”少ない犠牲”でそれを手に入れられるならそれは”善”だ……」
「わかるだろう? おれは正しいことをしているんだよ?」 - 同上。自らの行いを善行であると語る。しかし、ファントムを完全に起動させたフォントからそれに対して真っ向から反論を向けられる事になる。
- エリン「きみを――招待した覚えはないのだがな? キゾ中将?」
キゾ「おれも招待された覚えはないっ」
キゾ「だが――従ってはもらう! おれと――」
キゾ「おれの”マリア”にな!」 - 第23話より。ジャブローでビルケナウに乗り、エリン・シュナイダーの乗るパピヨンと対峙して。これまで通信画面やホロスコープ越しでの登場だったキゾ本人が直接戦場に現れた初めての瞬間でもある。
- 「指揮官用重MAビルケナウだ!」
「どうだ? ちょっとしたもんだろう!」 - 第24話より、自らの乗るビルケナウで蛇の足のMS部隊を圧倒する。内2機は一騎当千をコンセプトとしたファントムとデスフィズであり、『Vガンダム』本編でのビルケナウの末路を知っていると衝撃的な展開でもある。
- キゾ「46秒――か?」
カーティス「何?」
キゾ「決まってんじゃねえか! 人間が溶けちまうまでの時間だよ!」
カーティス「貴様?」
キゾ「いいじゃあねえか いい細菌だ」
キゾ「一分足らずで不要な人間を完全に始末できるんだぜ? 面白えっ!」 - 第25話。エリンからの警告を聞き、更に自らの部下がエンジェル・コールに感染して絶命する様を見てなおそれを欲する狂気を見せる。
- 「何が――と言うなら その全部ですよ!」
「私が継ぐことが叶わなかった国のかわりに あなたが私にしてくれようとした 全部だ!」
「”新兵器開発部隊”という退屈な任務も! 張り子の肩書きも!」
「そしてそれらをぶら下げている 貴様の造ったマザコンの帝国もな!」
「年寄りになったらマザコンは卒業するんだな! じじい!」 - 第32話より。宇宙細菌を廃棄しなければマリア・シティに核ミサイルを発射する事を告げ、ザンスカール本流への恭順を示すよう促すカガチに対して。「何が不満なのか」と問われると、キゾは遂にカガチにその胸中を全て打ち明け、宣戦布告する。
- トモエ「マリアを…カガチを…罰して! キゾ」
キゾ「…わかっている おれは決しておまえを裏切らない… おれとおまえは同じものだ」
キゾ「おまえの望むものはおれの望みだっ! マリアも――フォンセ・カガチもおれがこの手で殺す――そして」
キゾ「俺たちが…手に入れるはずだった国を取り戻すんだっ!」
キゾ(それでも…どうしても 望むものが手に入らないというのなら…)
キゾ(そんな世界なぞ) - 第40話より。自らのコンプレックスの大本となる女王マリアとカガチを殺すよう懇願するトモエに対して。その後、キゾはエル・ザンスカール帝国建国とザンスカールへの宣戦布告の演説に望む。
- 「ククク心配するなっ!」
「おれの要求はすでにザンスカールにも連邦にも伝えてある!」
「おれを止めたけりゃ向こうがそれを飲めばいいだけさ!はっはっはっはっは!」
「そうだ! だから人類にはこの先2つの結末しか残されていないっ!」
「全てが……要求どおりおれの”支配”を受け入れるか? 死を選ぶか?」
「おれを”王”と崇めるか? 絶滅するかだっ!」 - 同上。エンジェル・ハイロゥをエンジェル・コールの巣に変えるという作戦内容を知り、それに反対意見を見せるモルセゴに対して狂気を伴った笑みを浮かべて。直後、彼を細菌弾で射殺。部下にもゴールデン・エッグス以外の兵士を射殺し、乗艦を細菌で汚染するよう命令する。
- 「おれの目的はただ”国を手に入れる”ことではないからだ それをこの手で 自分の力で」
「もぎとることだからだっ!」 - 第43話。クォ・グレーから自分の出生を利用すれば楽に協力者を得られ、敵対勢力に混乱をもたらせたのではないかと問われた際の返答。あくまでコネや伝手を使わずに自分の力で国を獲る事こそが自分の至上命題であると反論する。対するクォ・グレーはそれをつまらぬ感傷と言って捨てる。
- 「トモエはな――遺伝子をいじられて自分の子を持てなくなっている」
「だから…優しくしてやってくんねぇかな」
「ちいっとでいいからよ」 - 第49話より。敵愾心を向けるベルに対して。本編中でほぼ唯一見せる彼の優しさの一端であり、トモエへ抱く感情への現れでもある。
- 「いいね! これで足場は動く”塔の上”になっちまった!」
「油断すればビームの帆が待つ奈落へ真っ逆さまだ!」
「命懸けで殺し合うにはもってこいの舞台じゃねえかっ? ええっ? 小僧ォっ」 - 第51話。エンジェル・ハイロゥへ向けて加速する林檎の花を塔に例え、フォントと最後の戦いに興じる。
- 「死んだ? だと? カガチのおじきが?」
「ふざ…けるなっ なぜ死ぬーーっ!」
「なぜ…おれに殺される前に死んだ? てめえが死んじまったらおれは誰を殺せばいいっ?」
「おれは…おれの奪われた全てを! 誰から奪い返せばいいっていうんだ?」 - 第52話。フォントとの最後の戦いの最中、エンジェル・ハイロゥが崩壊しカガチとマリアが死亡した事を聞かされて激昂する。奪われ続けてきた物を奪い返すという名目から始まった戦いは、「奪った者すらも奪う」という戦争の現実によって失われた。
- 「ははは そうとも! おれは何度でもやるぜ!」
「宇宙細菌がこの手にある限り! おれは負けやしねえ!」
「逆らう奴を力でねじ伏せ! ぶっ殺し…」
「敗者をあざ笑い続けるんだよォ」 - 同上。戦略的な意味を成さなくなった戦いの中で、まだ宇宙細菌が手中にある事を理由に再起を図ろうとするが、既に彼に切れる戦略は数える程度しかなかった。
- 「ふ ふふ ははは」
「なんて顔してやがる!」
「お前は勝ったんだぞ」
「笑えよ…わ…ら…」 - フォントとの決着の直後。勝者となったフォントが者悲しげな顔をしているのを見て「笑え」と言い、自らの傷が深い事を知り事切れる。勝者を讃えた言葉ではあったが、この最後の言葉が後年フォントを苦しめる事になるのを、彼は知らない。
搭乗機体・関連機体[編集 | ソースを編集]
余談[編集 | ソースを編集]
- モチーフは木曽義仲。治承・寿永の乱(源平合戦)にて源氏の嫡流(鎌倉の源頼朝)に対抗意識を持ちながらいち早く都を占拠し、戦火に包んだ後に後白河院の院宣を得た頼朝陣営に討伐された。