木星帝国
木星帝国(Jupiter Empire)
木星を拠点とする軍事国家。元は「木星公社」と呼ばれる木星圏の運営を担う組織であったが、クラックス・ドゥガチが地球連邦政府に対する激しい憎悪を抱くのに伴って秘密裏に組織された。「帝国」と名乗っているがその性質は一種の秘密組織に近く、帝国の実態は地球に伏せられており、表向きは「親しい隣人」として接していた。
ドゥガチを総統として厳格な階級制度が採用された独裁国家であり、軍人や工作員は手の甲に刻まれたナンバーによって身分が明確化され、その階級差や権限は絶対である。また、地球圏から離れた木星では生活が困窮しており、空気や水といった生活に必要な物資ですら自分たちで生み出す必要があった。このため、人命と物資の主客が逆転しており、物資も配給制によって管理され、割り当てを超えた量の消費は許されず、他者に譲り渡す事も禁止されている。MSパイロットも、戦闘で機体を失った場合例え生還したとしても「貴重なマシンを失った」という理由で公開処刑に処される事になる。
帝国は地球侵攻の準備を宇宙世紀0120年代には開始しており、秘密裏に地球圏で戦乱を起こそうとする者達に武器の供与や経済的な支援を行っていた。コスモ・バビロニア建国戦争の裏でも暗躍し、同時に毒ガスや核兵器を地球圏から密輸すると共に、地球の各地に工作員を潜り込ませていた。宇宙世紀133年、地球への親善訪問に偽装してジュピトリス9で地球圏へ侵攻した帝国軍は地球連邦政府へ宣戦布告し、木星戦役を勃発させた。ドゥガチは地球全土を焦土にするべく全面核攻撃を画策したが、宇宙海賊クロスボーン・バンガードと連邦軍の反攻に各スペースコロニー軍の軍事介入によってミリタリー・バランスが覆され、総統のドゥガチの戦死も重なった事で敗北。
木星戦役後、連邦政府の監査が木星のコロニーに入り、帝国は解体されたが、残存戦力は地球圏で残党化し、様々な事件を引き起こした。そして新たに総統となったカリスト兄弟によって秘密裏に組織が再建され、宇宙世紀0136年に神の雷計画を決行。コロニーレーザー「シンヴァツ」で木星から地球を直接砲撃を画策したが、海賊軍が実施した「鋼鉄の7人」作戦によって阻止され、シンヴァツの破壊とカリスト兄弟の戦死、レジスタンスによる指揮系統の掌握によって復活した木星帝国は再び敗北。その後、「鋼鉄の7人」の生き残りであるミノル・スズキとその妻ローズマリーの監査によって残存勢力の掃討・監査が行われ、ドゥガチが生前に構成していた政治団体は完全に解体され、木星共和国へと再編。残されたドゥガチの資産の一部はドゥガチの娘であるテテニス・ドゥガチに引き継がれ、彼女が設立したユピテル財団によって運用された。
地球から遠く離れた木星で生活を行っている事もあって独自の生活文化を築いており、国民のほとんどが長時間を無重力環境で生活を送っている[1]。木星ではスペースコロニーを自力で建造するだけの国力は持たず、地球圏で建造された物を数年がかりで輸送し、使用している。木星圏のコロニーは地球圏のものの半分程度の直径・全長であり、容積は8分の1。木星にはこの方式のコロニーが全8基しか存在しておらず、その殆どが密閉型を採用している[2]。首都のヴォルティセは複雑にくねったシリンダー状のパーツが数珠つなぎになった独特な外観を持つが、これはスペースコロニーではなく木星を訪れたヘリウム採取船がその都度置いていくパーツをつなぎ合わせた巨大ステーションであり、サイズもスペースコロニーよりも小さい。
登場作品と役柄
人物
- クラックス・ドゥガチ
- 指導者。
- カラス
- トビア・アロナクスの留学生時代の恩師。その正体は木星帝国の特殊工作員。
- ザビーネ・シャル
- 宇宙海賊クロスボーン・バンガードのエースパイロットだったが、貴族主義を盲信するあまり、木星帝国に寝返った。
- ギリ・ガデューカ・アスピス
- 死の旋風隊のリーダーを務める少年。
- バーンズ・ガーンズバック
- 死の旋風隊のメンバー。トビアに亡き息子の面影を見出だす。
- ローズマリー・ラズベリー
- 死の旋風隊のメンバー。元傭兵で、金銭的な保証がある方につく。