「ラプラスの箱」の版間の差分

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しかし、のちにジオン・ズム・ダイクンによって「宇宙に出た人間は、進化しうる」というジオニズム思想が世に出たことにより、スペースノイドの権利と政治への優先的介入を明記した「箱」の第七章碑文が、連邦政府にとって噂の域を超えた本物のタブーとなってしまったことで全てが狂い始める。もし「箱」の存在がジオニズムの信奉者達に知れれば、彼らはその碑文を根拠に政治的権利を主張するのは必然であり、それを拒む連邦との間に衝突が起こることも明らかであった。そのため連邦政府は、真実を隠匿し続けた。
 
しかし、のちにジオン・ズム・ダイクンによって「宇宙に出た人間は、進化しうる」というジオニズム思想が世に出たことにより、スペースノイドの権利と政治への優先的介入を明記した「箱」の第七章碑文が、連邦政府にとって噂の域を超えた本物のタブーとなってしまったことで全てが狂い始める。もし「箱」の存在がジオニズムの信奉者達に知れれば、彼らはその碑文を根拠に政治的権利を主張するのは必然であり、それを拒む連邦との間に衝突が起こることも明らかであった。そのため連邦政府は、真実を隠匿し続けた。
  
この結果、「箱」=宇宙世紀憲章の石碑という単純な真相が世に出ることのないまま、サイアムの存在からその(政府にとっての)危険性だけが一人歩きし、ある種の都市伝説として広まっていくことになった。
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その後、既得権益を守りたい地球側と、権利を主張するコロニー側との対立が表面化し、一年戦争が勃発。戦争終結後も箱が解放されることで再び同様の戦争が起きることを危惧し、宇宙世紀憲章によって予期されていた新しい人類=ニュータイプは箱の存在ごとタブー視されることになる。
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そうして「箱」=宇宙世紀憲章の石碑という単純な真相が世に出ることのないまま、サイアムの存在からその(政府にとっての)危険性だけが一人歩きし、ある種の都市伝説として広まっていくことになった。
  
 
宇宙世紀0096年、「シャアの反乱」の終結と、それに伴う[[ネオ・ジオン]]総帥[[シャア・アズナブル]]の戦死により、ジオンは反連邦勢力としての力を失う。生きながらえていたサイアムはこれを期に、連邦政府の絶対的統治のもとに人類が逼塞する危機を憂えて財団本来の目的である「箱」の開放を決断。
 
宇宙世紀0096年、「シャアの反乱」の終結と、それに伴う[[ネオ・ジオン]]総帥[[シャア・アズナブル]]の戦死により、ジオンは反連邦勢力としての力を失う。生きながらえていたサイアムはこれを期に、連邦政府の絶対的統治のもとに人類が逼塞する危機を憂えて財団本来の目的である「箱」の開放を決断。
  
これを受けた当主・カーディアスは「箱」をネオ・ジオンの残党に譲渡しようとしたが、この時彼は連邦軍再編計画と銘打たれたニュータイプ殲滅計画「UC計画」のフラグシップ機である[[ユニコーンガンダム]]を利用することを考案。「ニュータイプ・デストロイヤー・システム」の中枢に細工を施し、特定の場所でシステムが起動するたび「箱」のありかへと少しずつ搭乗者を導いていく仕掛け「ラプラス・プログラム」をインストールした。
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これを受けた現当主の[[カーディアス・ビスト]]は「箱」をネオ・ジオン残党、通称「袖付き」に譲渡しようとしたが、この時彼は連邦軍再編計画と銘打たれたニュータイプ殲滅計画「UC計画」のフラグシップ機である[[ユニコーンガンダム]]を利用することを考案。「ニュータイプ・デストロイヤー・システム」の中枢に細工を施し、特定の場所でシステムが起動するたび「箱」のありかへと少しずつ搭乗者を導いていく仕掛け「ラプラス・プログラム」をインストールした。
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カーディアス・ビストが「袖付き」に箱を譲渡しようとしたのは、財団と共犯関係にあった地球連邦では箱の解放は望めなかったためであるが、一方で「袖付き」に対しても「ジオンの再興」という狭矮な主義者には箱は在処を示さないとも釘を刺している。事実、「袖付き」の首魁、[[フル・フロンタル]]はサイド共栄圏の実現のための取引の材料としてしか箱を捕らえておらず、サイアム・ビストやカーディアス・ビスト、そして宇宙世紀元年に人類を宇宙へと送り出した人々の「願い」とはかけ離れたものであった。
  
 
だが、この計画を嗅ぎ付けた[[マーサ・ビスト・カーバイン]]は甥の[[アルベルト・ビスト]]を通じ、インダストリアル7を訪れたガランシェール隊を強襲させる。混乱の中でカーディアスは死亡したが、ユニコーンガンダムは数奇な偶然を経て彼の妾腹の息子、[[バナージ・リンクス]]が受領し、戦火に身を投じる。
 
だが、この計画を嗅ぎ付けた[[マーサ・ビスト・カーバイン]]は甥の[[アルベルト・ビスト]]を通じ、インダストリアル7を訪れたガランシェール隊を強襲させる。混乱の中でカーディアスは死亡したが、ユニコーンガンダムは数奇な偶然を経て彼の妾腹の息子、[[バナージ・リンクス]]が受領し、戦火に身を投じる。
  
その後、紆余曲折を経て氷室へとたどり着いたバナージとミネバに対し、サイアムは「箱」の真実と己が元年に見た幻の意味、そして進化を続けてきた人間の可能性を語りつくして落命。「箱」の真実は[[ミネバ・ラオ・ザビ]]により、世界に公表された。
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その後、紆余曲折を経て氷室へとたどり着いたバナージとミネバに対し、サイアムは「箱」の真実と己が元年に見た幻の意味、そして進化を続けてきた人間の可能性を語り、「箱」の真実は[[ミネバ・ラオ・ザビ]]により、世界に公表された。その演説を聴きながら、サイアムは息を引き取った(小説版では自ら生命維持装置を止め、OVA版でもそれを示唆する描写がある)。
  
それが後の世にどのような影響を与えたかは語られていないが、少なくともそれによって戦火が収まることがなかったのは確かである。
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それが後の世にどのような影響を与えたかは語られていないが、すでにリリースされている他の作品からも、少なくともそれによって戦火が収まることがなかったのは確かである。小説版では「何も変わらない」としながらも、人々の心に「希望という光」が僅かながらも灯ったことをバナージ・リンクスは感じ取って幕を閉じる。
  
 
== 登場作品 ==
 
== 登場作品 ==
 
;[[機動戦士ガンダムUC]]
 
;[[機動戦士ガンダムUC]]
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:いつしかささやかれるようになった「解放されれば地球連邦政府による体制が崩壊する」という曰くつきの存在。または都市伝説。しかしその「箱」は実際に存在し、しかもそれを持つビスト財団からネオ・ジオンを名乗る「袖付き」の手へと渡るという。謎の少女[[オードリー・バーン]]は新たな戦争を止めるために取引場所であるインダストリアル7へと向かう。
  
 
== 関連用語 ==
 
== 関連用語 ==

2014年7月17日 (木) 02:56時点における版

ラプラスの箱(Box of Laplace)

機動戦士ガンダムUC』に登場する用語。

ビスト財団が所有する箱。
その正体は連邦政府・軍だけでなく世界を覆す物とも言われている。ビスト財団はこれにより莫大な資金と権力を作り上げた。

その正体は、宇宙世紀元年を祝してセレモニーで公開されるはずだった、宇宙世紀憲章を認めた石碑。サイアムの眠る氷室を収めた航宙艦メガラニカに封印されている。

サイアムの持ち帰った「箱」はオリジナルの石碑であり、これにはレプリカにも刻まれた第六章に加え、後に言うスペースノイドの権利を明文化した七番目の章立てが存在していた。
これは、マーセナス首相の暗殺が連邦政府の自作自演であることを裏付ける決定的な証拠となりえたが、サイアムは上手く立ち回ることでそれを握る己を守りつつ「箱」を自身から切り離して秘匿し、同時にいずれ来たる「箱」の開放に備えてビスト財団を作り上げていた。

しかし、のちにジオン・ズム・ダイクンによって「宇宙に出た人間は、進化しうる」というジオニズム思想が世に出たことにより、スペースノイドの権利と政治への優先的介入を明記した「箱」の第七章碑文が、連邦政府にとって噂の域を超えた本物のタブーとなってしまったことで全てが狂い始める。もし「箱」の存在がジオニズムの信奉者達に知れれば、彼らはその碑文を根拠に政治的権利を主張するのは必然であり、それを拒む連邦との間に衝突が起こることも明らかであった。そのため連邦政府は、真実を隠匿し続けた。

その後、既得権益を守りたい地球側と、権利を主張するコロニー側との対立が表面化し、一年戦争が勃発。戦争終結後も箱が解放されることで再び同様の戦争が起きることを危惧し、宇宙世紀憲章によって予期されていた新しい人類=ニュータイプは箱の存在ごとタブー視されることになる。

そうして「箱」=宇宙世紀憲章の石碑という単純な真相が世に出ることのないまま、サイアムの存在からその(政府にとっての)危険性だけが一人歩きし、ある種の都市伝説として広まっていくことになった。

宇宙世紀0096年、「シャアの反乱」の終結と、それに伴うネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルの戦死により、ジオンは反連邦勢力としての力を失う。生きながらえていたサイアムはこれを期に、連邦政府の絶対的統治のもとに人類が逼塞する危機を憂えて財団本来の目的である「箱」の開放を決断。

これを受けた現当主のカーディアス・ビストは「箱」をネオ・ジオン残党、通称「袖付き」に譲渡しようとしたが、この時彼は連邦軍再編計画と銘打たれたニュータイプ殲滅計画「UC計画」のフラグシップ機であるユニコーンガンダムを利用することを考案。「ニュータイプ・デストロイヤー・システム」の中枢に細工を施し、特定の場所でシステムが起動するたび「箱」のありかへと少しずつ搭乗者を導いていく仕掛け「ラプラス・プログラム」をインストールした。 カーディアス・ビストが「袖付き」に箱を譲渡しようとしたのは、財団と共犯関係にあった地球連邦では箱の解放は望めなかったためであるが、一方で「袖付き」に対しても「ジオンの再興」という狭矮な主義者には箱は在処を示さないとも釘を刺している。事実、「袖付き」の首魁、フル・フロンタルはサイド共栄圏の実現のための取引の材料としてしか箱を捕らえておらず、サイアム・ビストやカーディアス・ビスト、そして宇宙世紀元年に人類を宇宙へと送り出した人々の「願い」とはかけ離れたものであった。

だが、この計画を嗅ぎ付けたマーサ・ビスト・カーバインは甥のアルベルト・ビストを通じ、インダストリアル7を訪れたガランシェール隊を強襲させる。混乱の中でカーディアスは死亡したが、ユニコーンガンダムは数奇な偶然を経て彼の妾腹の息子、バナージ・リンクスが受領し、戦火に身を投じる。

その後、紆余曲折を経て氷室へとたどり着いたバナージとミネバに対し、サイアムは「箱」の真実と己が元年に見た幻の意味、そして進化を続けてきた人間の可能性を語り、「箱」の真実はミネバ・ラオ・ザビにより、世界に公表された。その演説を聴きながら、サイアムは息を引き取った(小説版では自ら生命維持装置を止め、OVA版でもそれを示唆する描写がある)。

それが後の世にどのような影響を与えたかは語られていないが、すでにリリースされている他の作品からも、少なくともそれによって戦火が収まることがなかったのは確かである。小説版では「何も変わらない」としながらも、人々の心に「希望という光」が僅かながらも灯ったことをバナージ・リンクスは感じ取って幕を閉じる。

登場作品

機動戦士ガンダムUC
いつしかささやかれるようになった「解放されれば地球連邦政府による体制が崩壊する」という曰くつきの存在。または都市伝説。しかしその「箱」は実際に存在し、しかもそれを持つビスト財団からネオ・ジオンを名乗る「袖付き」の手へと渡るという。謎の少女オードリー・バーンは新たな戦争を止めるために取引場所であるインダストリアル7へと向かう。

関連用語

ビスト財団
袖付き
地球連邦政府
アナハイム・エレクトロニクス社
ユニコーンガンダム

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