熱核融合炉
熱核融合炉(Nuclear Fusion Reactor)
原子核を融合させる際に生じるエネルギーを利用する動力機関。ガンダム世界、特に宇宙世紀作品ではエネルギー発生機として「ジェネレーター」と呼称されるのが一般的。
宇宙世紀では、「ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉[1]」と呼ばれるタイプが主流となっている。これはミノフスキー物理学を応用し、Iフィールドでプラズマを封じ込める事で高温高圧縮状態の維持を行い、熱核融合炉実現の為の技術的ハードルを解決した物である。また、この技術によって数百m~km単位のサイズを有する炉をm単位サイズまで小型化したとされている。稼働により電力や熱エネルギーなどが産出される他ミノフスキー粒子も副次的に生成される。これらのエネルギーの生成が行われる期間は長く実質的に無尽蔵と呼べるレベルの期間作動し続け人為的な操作による動作停止や破壊以外で停止する事は無い。
M&Y型の問題点として、燃料となるヘリウム3が高圧環境下でミノフスキー粒子と結合することで臨界反応が発生し、ジェネレーターに直撃被害を受けた場合臨界爆発を引き起こす点が挙げられる[2]。この爆発の威力はスペースコロニーの外壁に容易に穴を開けてしまう規模のため、コロニー内でのモビルスーツ戦が躊躇われる一因となっている。
第二期モビルスーツ用のジェネレーターは、ヘリウム3と重水素をIフィールドで圧縮・縮退寸前の状態で貯蔵し、炉心で直接縮退させ高出力を取り出せる改良型熱核融合炉が搭載されており、これによって燃料搭載スペースが縮小された他、既存の物よりも高出力化が容易となった。ただし、融合炉のシステムが破壊された場合、貯蔵されたヘリウム3がより危険なレベルの臨界爆発を引き起こすなど、そのリスクも高くなっている[3]。
熱核融合炉はその性質上熱を発するため、これを搭載した兵器は排熱を行う必要があり特にモビルスーツにとっては推進剤と共に行動時間を決定するファクター[4]になっている。排熱は母艦や基地機材での冷却の他、自前の冷却装置や放熱フィンで行動中に熱を処理する例もある。また、この熱を利用して推進剤に熱を添付して加熱し[5]、推力を生み出すのが熱核ロケットエンジン及び熱核ジェットエンジンである。
スペースコロニーでは太陽光発電の他に熱核融合炉による発電も行われており、M&Y型よりも大出力を得られる従来型の大型核融合炉が用いられている[6]。
これら融合炉の燃料は木星より採取されるヘリウム3と重水素を用いており、木星から地球圏にヘリウム3を輸送する木星船団公社が組織されている他、各サイドにはヘリウム3の備蓄基地が建設されている[7]。
登場作品
初期の作品は後付けであるが、宇宙世紀に登場するMSやMAは、ほぼ全てこれが動力源と考えて間違いない。
関連用語
余談
現実の核融合テクノロジーは現状主流の核分裂に比べ安全と言われているが、放射線が出ないという訳では無い。あくまで反応を維持する事が困難である為、異常があった場合、即座に機能が停止するという点を指しての事である。現在、現実世界で開発が進められているSF技術の中では比較的現実的なものではあるが、反応には超高温、真空状態が必要である為、まだ完成には時間を要すると言われている。問題点は、その環境を作る為に大型の施設が必要である為、開発資金が莫大であったり、超高温(1億度以上)のプラズマに直接触れても耐えられる素材が無い事等である。また超高温系の問題を解決する為に「常温核融合」の研究も進められているがこちらは更に技術ハードルは高い物とされている。
リンク
脚注
- ↑ M&Y型とも略される
- ↑ リゼルやジャベリンなど。作品によっては「核爆発」と呼ばれる場合もあるが、炉心への着火はレーザーによって行われる為、放射能汚染等のリスクはない。また、意図的にヘリウム3を臨界爆発させるには大量のミノフスキー粒子が必要となる。
- ↑ ジェネレーターの出力が変更できる為、出力を低く設定する事で爆発のリスクを軽減する事は可能(チャッペなど)。
- ↑ 先述の通り融合炉自体の稼動燃料枯渇による停止は原則生じない為。
- ↑ 同時に熱が移動し推進剤が冷却機能を持つ冷媒の機能を兼ねる事になる。
- ↑ 機動戦士ガンダムF91など。
- ↑ ガスの備蓄タンクは宇宙艦艇が影に隠れる程の大きさであり、これが数十~数百単位で並んでいる。