ラスタル・エリオン

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ラスタル・エリオン

概要

『鉄血のオルフェンズ』第二期に登場する月外縁軌道統合艦隊「アリアンロッド」艦隊の総司令官。銀髪に碧眼、黒く太い髭と眉を蓄えた初老の男性で、軍服の上着に袖を通さず羽織っていることが多い。豪快な性格で出自を問わず有能な人材を登用する柔軟さを持つ反面、目的のためなら犠牲や卑劣さを顧みない冷酷さも持ち合わせている。
彼自身はセブンスターズの一つであるエリオン家の当主であり、高い地位を持って生まれた人材だが、それに十分見合う戦術家・戦略家・政治家としての才覚を持っているため部下や周囲からの信頼は厚い。またギャラルホルンと五大経済圏を軸とした世界統治体制に肯定的で、イズナリオ・ファリドの失脚によって地に落ちたギャラルホルンの権威を回復させることで世界の安定を望むとともに、父である彼を排除した張本人であるマクギリス・ファリドの急速な勢力拡大や、彼の側についた鉄華団を脅威ととらえて警戒している。


物語終盤には、クーデターを起こして本性を現したマクギリスと全面対決を宣言。ジュリエッタや密かに回収し手を結んでいたガエリオ、更には禁忌の兵器であるダインスレイヴなど持てる全ての手駒を効果的に用い、マクギリス派の青年将校と鉄華団を徹底的に叩く。マクギリス派が壊滅しオルガ・イツカが降伏を打診してきても拒否し、あくまでマクギリスと鉄華団(厳密にはその象徴と言える「モビルアーマーを倒した悪魔」)を「倒した」という事実を掴むことでギャラルホルンの復権を狙い、それを成し遂げた。


「マクギリス事件」終結後はセブンスターズなどの貴族的な制度を排して民主的な組織として再編されたギャラルホルンの初代代表となり、火星の代表となったクーデリアとともに火星の地位向上やヒューマンデブリの根絶[1]に乗り出している。

登場作品と役柄

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
イオク・クジャンやジュリエッタを従え、マクギリスや鉄華団に立ちふさがる強敵として登場。旧友であるガラン・モッサを使って分裂を誘うなど様々な謀略を張り巡らせる一方、イオクの功名心や鉄華団の強大な戦闘力など想定外の事態に直面することもあった。それでも最終的には「力」を求めるマクギリスを冷静に追い詰め、主犯であるマクギリスだけでなく鉄華団をも「生贄」とすることでギャラルホルンによる秩序の回復を果たした。敵対者には手段を選ばない反面ある程度の利害は捨てて味方の感情を汲む人間性を持ち合わせており、複雑な人物描写の中でも特に善悪の二面では語れない人物となっている。

人間関係

ギャラルホルン

ジュリエッタ・ジュリス
平民出身だが、MSパイロットとしての腕を買ってガランを通じて入手した部下。恩人である彼に「人間」として全幅の信頼を寄せる彼女に対してラスタル当人は「兵士」として全幅の信頼を寄せており、非常に使い勝手の良い存在だった。[2]とはいえ雑に扱っていたわけではなく、セブンスターズの会議に同行させたりガランの死に涙する彼女を励ましたりと彼女の心情への配慮も多く、最終的にはギャラルホルンの代表となった自身の後継者と呼ばれるまでに育て上げる。
イオク・クジャン
クジャン家の当主で、自身が後見人を務める部下。体面からか第二艦隊を任せているが、彼の鉄華団やタービンズに対する独断専行がハシュマル暴走やダインスレイヴ使用などのマクギリスに有利な政治状況を作ってしまう。とはいえ彼の熱意や反省を認めてマクギリス派との戦闘前には謹慎を解くなど情状酌量の余地も見せている。
ガエリオ・ボードウィン
エドモントンでマクギリスに敗れた彼を極秘に回収し、治療と乗機の修復を行うとともに対マクギリスで利害が一致、手を組んでいた。元々の地位やMSパイロットとしての腕、何よりマクギリスへの執念と「マクギリスに殺された親友」という事実を買ってのことだったが、「マクギリスの目的を確認し、自らの手で決着をつけたい」という意思も多分に尊重している。
ヤマジン・トーカ
整備主任。新鋭機であるレギンレイズ・ジュリアだけでなくガンダム・ヴィダールも整備を一任するなど、整備の手腕だけでなく人物としても信頼していたことが窺える。
ガルス・ボードウィン
ガエリオの父。マクギリスの実質的な義父にあたるが、ガエリオの生存と真実を知ってマクギリスに反旗を翻したのは恐らくラスタルの計算のうちだろう。
マクギリス・ファリド
最大の政敵であり、自らの求める「力」のために世界の安定を脅かす存在。着々と地位・権力を手にする彼を危険視しており、彼がクーデターを起こしたことを機に対立を表面化。カウンター・クーデターによって打倒した。
新江・プロト
マクギリスによって火星支部の本部長に就任した三佐。しかしマクギリスの敗北後にラスタルが懐柔に成功し、マクギリスに牙をむくことになった。とはいえ完全には寝返っておらず、革命が成功する可能性も考慮してマクギリスと鉄華団の火星降下を見過ごす。

鉄華団

三日月・オーガス
単機でモビルアーマーすら倒す「鉄華団の悪魔」であり、同組織の象徴でもある。彼のバルバトスを倒すことで鉄華団の撃滅とギャラルホルンの復権を世に知らしめようとした。
オルガ・イツカ
鉄華団の団長。鉄華団を急成長させた手腕を警戒こそしていたものの三日月ほどではなく、彼の身柄と引き換えの降伏の打診も拒否している。またノブリスの部下が彼を殺害した際もそれほど重要視していなかったため、戦場での表立った活躍の少ない彼は利用価値が低いと判断していたのだろう。
昭弘・アルトランド
グシオンリベイク(フルシティ)のパイロット。三日月とともにガンダムパイロットとして名を挙げた彼の命も宣伝材料としての価値があったのかもしれない。
ノルバ・シノ
MSパイロット。マクギリス派との総力戦では船を盾にする奇策で座乗艦を狙われたが、ジュリエッタによって間一髪救われた。
ユージン・セブンスターク
鉄華団の副団長。他の団員とともに戸籍を偽造して生存し、クーデリアの部下として顔を合わせることになる。そのことを知っていたかは不明だが、仮に勘づいていたとしても鉄華団の名を捨てた彼らを無暗に殺めることはなかった。

その他

ガラン・モッサ
士官学校時代からの親友。ラスタルの為に軍を辞め、傭兵として非合法な手段も含めて協力し、死に際にラスタルとの関係を示す情報を全て消し彼の名を呟いていることから相当に信頼は厚い模様。また経緯は不明だがジュリエッタを見出したのも彼である。
ノブリス・ゴルドン
火星の実力者。鉄華団を追い込むにあたり手を結び、情報統制を担った。
マクマード・バリストン
テイワズを率いる圏外圏最大の権力者。イオクのタービンズ襲撃の件で密約を結んだほか、その後も蜜月の関係を築いている。
クーデリア・藍那・バーンスタイン
マクギリス・ファリド事件後に火星連合の代表となった人物。鉄華団と繋がりが深い人物だが、知名度や人気が高く自身やギャラルホルンにとって実害のない彼女を排除するはずもなく、地球圏と火星の代表としてヒューマンデブリ根絶にむけ手を結ぶ。

名台詞

関連用語

スキップジャック級
座乗艦。通常のハーフビーク級を上回る巨艦である。
ギャラルホルン
所属組織。
アリアンロッド
自身が率いる艦隊。練度が高く、装備も最新である。

脚注

  1. クーデリア同様人道的な理由もあるが、鉄華団のような反体制的な武装勢力を減らすという政治的な側面も強いだろう。
  2. ガエリオにはこの関係を看破されたのか、ジュリエッタにラスタルへの盲信を指摘している。