ガエリオ・ボードウィン

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ガエリオ・ボードウィン(Gaelio Bauduin)

ギャラルホルンの名家であるボードウィン家の長男。マクギリス・ファリドと同じく監査局に属する特務三佐で、自らもMS戦闘に長けたエースパイロットである。
少々憎まれ口の多いところはあるが、名門の出であり強い正義感と矜持の持ち主。幼少期からの友人であるマクギリスと共に腐敗した組織の改革を目指している。年の離れた妹のアルミリアがおり、実家に戻るたびにからかったりしているが内心では溺愛している。彼女はマクギリスと婚約していることから、将来的にはマクギリスとは義理の兄弟となる予定。 鉄華団との因縁が強まる中、ボードウィン家の家宝であったガンダム・キマリスに自ら搭乗してアイン、カルタ達と共に幾度となく追撃していった。

物語後半、議事堂を目指すクーデリア・藍那・バーンスタインと鉄華団を阻止しようと市街へと追撃するが、謎の男モンタークの駆るグリムゲルデと交戦。 そのさなか、モンターク(=マクギリス・ファリド)の目的はギャラルホルンの粛清および掌握であったことを聞かされる。セブンスターズや自身、カルタはその野望の捨て石に過ぎず、妹のアルミリアすらもその踏み台であると明かされ、幼馴染であり、親友でもあると信じていたマクギリスからのまさかの告白に、騙されていたことへの怒りよりも号泣でもってこれを問いただした。

涙ながらにギャラルホルンの改革を夢見た想い、死に瀕してもマクギリスを想ったカルタ、そして妹アルミリアの幸せなどを訴え、奮闘するも虚しく無念の敗北。それにより公式記録では戦死し、埋葬された事になっていた。

しかし実は彼は生きており、第二期では仮面を被って「ヴィダール」と名乗りラスタルの元に身を寄せていた。ほとんど口を開くことはなかったが、時折ジュリエッタ・ジュリスには彼女のラスタルへ向けた真っ直ぐで妄信的な信頼に警告とも取れる言葉をかけることもあった。パイロットとしての技量は第一期の彼をも遥かに凌駕する実力を身に着けており、その圧倒的な戦闘力はジュリエッタが言葉を失うほど。
長らくアリアンロッド艦隊の一員としてマクギリスの動向を窺い真意を探っていたが、クーデターの際にマクギリスがガンダム・バエルの元に来た事で彼の望む物が力だと結論付け、マクギリス打倒を決意して再びガエリオ・ボードウィンとして表舞台に戻る事になる。 戦う理由を問われた際、「ヴィダール」は「復讐」と答えたが実際は異なっている。誰よりもそばにいながらもマクギリスの心の闇や力への渇望を気づいてやれなかったこと、そして止められなかったことを自分の責任でもあると考えており、お互いの友情を信じ、「親友」とさえ思っていた自分の不明を恥じてすらいる。マクギリスの裏切りを受けてさえ、なおも憎悪を彼に向けず、一度信じた友情を破棄することもなく「親友だからこそ間違いを正す」「間違いが正せないのなら戦ってでも止める」「止められないのであればせめて自分の手で」という悲壮な覚悟を覗かせている。

第一期の彼は、育ちの良さからか言動は気さくだが義理堅く、また他者の心情を汲むこともできる。クランク・ゼントに心酔し、何としても敵討ちを果たしたいと願うアイン・ダルトンを直属の部下として取り立てて彼の後見人となる。またアインが重傷を負い、生命維持がやっとという彼に地球では禁忌とされている阿頼耶識システムによる機械化に難色を示すと同時に「願いをかなえてやりたい」という葛藤に悩むなど、本質は良くも悪くも高潔な人物と言える。
第二期にヴィダールからガエリオへと戻った素顔の彼は顔の右側に大きな傷跡が残っており、前髪の一房以外は短髪に切りそろえられている。育ちの良いお坊ちゃん風であった第一期とは別人のように凛々しい顔立ちに変わっており、彼の内面の変化が伺えるが、一方で自分やカルタを利用し裏切ったマクギリスに対して自ら阿頼耶識を初めとした禁忌の力に手を出しマクギリスが信じる力を持ってマクギリスを打ち倒し否定する事でマクギリスと分かり合い救おうとするなど本質的な部分は変わってはいない。

ガンダム・バエルを手中に収め、火星圏へと逃走したマクギリスを逆賊として追撃。激しい戦闘を繰り返しながら猛追し、ひどく傷つき対峙した二人は銃を向け合い、お互いの信念に従って引き金を引いた。 動乱の終結後には車椅子生活を余儀なくされているが、これはエドモントンでの戦いでマクギリスに敗れた際に重傷を負い自力では歩く事すらままなままならない状況となり、ガンダム・ヴィダールに搭載されている阿頼耶識システムTypeEによる補助を受けていた為でマクギリスとの決着後には阿頼耶識TypeEとの接続を完全に外した事による物だが、彼の表情は険が取れて1期の頃のように明るく、にこやかな笑顔も見せた。

ちなみに死亡したと思われていた彼がどのように助かったかは結局のところ明らかになっていない。当初のシナリオでは1期で退場する予定であったが、シリーズ構成の岡田麿里氏がガエリオの声優であった松風氏の人柄を気に入ったため予定を変更して続投することになったと明かされている。そのため大なり小なり不整合が発生してしまっている。

登場作品と役柄

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
当初は火星支局への査察に赴いたマクギリスの衛士として同行。支局長コーラル・コンラッドの不正を紐解いていく中で、偶然にも三日月達と遭遇(このときは自身の運転する車がクッキー達を撥ねそうになったため、激昂した三日月に首根っこを掴み上げられる羽目になった)。直後の火星軌道上の戦闘では初めて刃を交える事になった。乗機は、当初は専用のランスユニットを装備した紫色のシュヴァルべ・グレイズだったが、後にボードウィン家の蔵に眠っていたガンダム・キマリスを戦線投入。自らが搭乗してガンダム・バルバトスと互角の戦闘を披露している。

人間関係

ギャラルホルン

マクギリス・ファリド
幼少期からの親友。元はファリド家に迎えられた妾腹の子であったが、出会った頃から対等な付き合いをしてきている。共にギャラルホルンに属してからは妹アルミリアとの婚約の事もあり、良好な関係にあった。
アイン・ダルトン
鉄華団追撃任務に際して、新たに部下として迎えたパイロット。火星では日陰者とされていたが、ガエリオはいち部下として接していた。しかし、鉄華団との戦闘でアインが重体に陥った際には彼を救うために奔走。マクギリスの進言で禁忌とされる阿頼耶識システムの投入を決意した。
カルタ・イシュー
ギャラルホルンの名家であるイシュー家の長女にして、マクギリスと同じく幼馴染の1人(付き合いに関してはマクギリスよりも長い)。周囲に流されず、他者に対等に接するといった共通点があり、ガエリオにとっては憎まれ口を叩く事もあったが、よき親友である。
イズナリオ・ファリド
マクギリスの義父にして地球本部長。
ラスタル・エリオン
セブンスターズのエリオン家当主。アリアンロッド艦隊の司令官で利害の一致から彼の側近となり、ヴィダールの素性をする数少ない相手。マクギリスの真意を知った後は、ラスタルと共に戦う事になる。
ジュリエッタ・ジュリス
アリアンロッド艦隊所属のパイロット。当初は素顔を隠していたガエリオの事を不審に思っていたが、その戦いを見て認められれる。自身を見出したラスタルに対して絶対的な忠誠を誓う姿に、ガエリオにかつてのアインを思い出させる。
ヤマジン・トーカ
アリアンロッド艦隊所属の整備兵。ガンダム・ヴィダールを初めとした機密性の高い機体の整備を任されている。
イオク・クジャン
セブンスターズのクジャン家当主にてアリアンロッド艦隊第二艦隊司令官。
石動・カミーチェ
マクギリスの部下。マクギリスの目指す未来に夢を見て彼が部下の事すら道具にしか思っていない事を知りながらも付き従っている。かつてはの自分と同様にマクギリスの語る理想に夢を見た者同士ではあったが、その夢が偽りの物であると知り夢から覚めたガエリオと最後までマクギリスの未来に夢を見ていた彼とは分かり合う事は無かった。

鉄華団

三日月・オーガス
自身にとって因縁浅からぬ宿敵(と本人は思っている)。火星で締め上げられた事に端を発し、軌道上での戦いは回線越しの声からお互いに相手の正体を看破することもあった。
しかし出会う度に「チョコレートの隣の人」だの「ガリガリ」だの好き放題に呼ばれており、名前をまともに覚えて貰えない模様。後にギャラルホルンの本部で交戦した際には阿頼耶識の施術を受けている彼らを唾棄すべき存在だとした事を謝罪している。

家族

アルミリア・ボードウィン
年の離れた幼い妹。マクギリスに恋焦がれており、後に婚約が成された。
ガルス・ボードウィン
父親。ボードウィン家の現当主。

名台詞

「そのクソ生意気な声、あの時のガキか!?」
火星軌道上で三日月と邂逅した時の台詞。思いもよらない相手であったが、この戦闘を期に幾度となく相見えていく事になる。

搭乗機体・関連機体

シュヴァルべ・グレイズ(ガエリオ機)
当初の搭乗機。自身のスタイルに合わせてランスユニットを装備するなど専用機として改修されている。
ガンダム・キマリス
ボードウィン家から投入したガンダム・フレーム機。
ガンダム・キマリストルーパー
キマリスを地上様に改修した形態。窮地に陥ったカルタの救援やエドモントンでの戦闘において使用されている。
ガンダム・ヴィダール
仮面の男ヴィダールを名乗っていた時に搭乗した機体。戦死したアインの脳を介した疑似阿頼耶識を搭載している。
ガンダム・キマリスヴィダール
ガンダムヴィダールの偽装を解き、本来の姿を取り戻した機体。