バリュート

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バリュート (Ballute) 

モビルスーツ及び艦艇用の大気圏突入用装備。

「バリュート」とは元々バルーン(風船)とパラシュートを組み合わせた物を指す造語「Baloon-con-Parachute = BALLUTE」であり、現実世界においては無誘導爆弾の大気制動装置として実用化されている。このエアバッグタイプのエアブレーキは機械的な展開翼よりも確実かつ簡易であるため、惑星探査機の保護装置などのようなバリエーションを生み出し続けている。

ガンダムシリーズでは主に宇宙世紀作品におけるMS用の特殊装備として登場しており、背部に装備する耐熱・難燃性繊維で出来たボウル状のバルーンとパラシュートが内蔵されたサブプロペラント付きのバリュートパック、胸部に装備する減速・着地用のサブバーニアユニット、脚部に装備する地上移動用ホバーユニットをまとめて「バリュートシステム」とも呼称される。

手動スイッチによるバルーン展開以外にも、規定高度より降下すると自動的にバルーンが展開するセンサー類が装備されており、大気圏突入時にバリュートパックの外装が分解し機体の進行方向に向けてボウルの底部が来るようにバルーンを展開。展開されたボウル状のバルーンに機体が完全に収まり、バルーン中央の小さな穴からロケットノズルだけが露出した状態となる。

バルーン展開後は唯一露出しているロケットノズルから燃焼ガスが噴射され、バルーンごと機体全体を覆うように包み込み、空力加熱でプラズマ化した大気とバルーン表面を絶縁しさらにバルーンに充填されているガスによって機体が熱から保護される。この噴射されるガス自体かなりの高温ではあるものの、空力加熱の温度よりはるかに低温のため機体にダメージを与える事は無い。そして大気圏の上層まで高度を下げてくると大気の抵抗で減速。これを利用して軌道変更や大気圏再突入を行う。

大気圏突破後はバリュートパックからパラシュートが展開し、さらに減速。地表に近づいた際にパックが放棄され、胸部バーニアで地表へと降下する。

HLVなどと比べ圧倒的にローコストであるのが特徴であり、大気圏上層において活動する場合などに携行が義務付けられているケースもある他、任務によっては所謂救命ボート的に認識されてもいる。欠点としては大気圏突入中は機体の左右までバルーンに覆われて火器の射角が極端に狭くなり上方しか狙えなくなるため、左右や下方からの攻撃に対し無防備になる事が挙げられる。

バリエーション 

通常仕様
バリュートパック、胸部サブバーニアユニット、ホバーユニットで構成された一般的なバリュートシステム。使用勢力によってバリュートの色が異なっており、地球連邦軍及びティターンズの物は黄色、エゥーゴの物は白となっている。
ΖΖガンダム
ΖΖガンダム用のバリュートパック。装備する際にはバックパックの21連装ミサイル・ランチャーを取り外す必要がある。代わりにバリュートパック自体に連装ミサイルが2基搭載されている。
バウ
バウ用のバリュートパック。通常2基のノズルが4基になっており、バックパックを換装して装備する。
キュベレイMk-II
キュベレイMk-II用のバリュートパック。ノズルが6基ある大型サイズのパックで、通常上下に設けられているプロペラントタンクは下方の1つだけとなっている。
艦艇用
主に艦艇の後部に装備されるバリュートユニット。アーガマネオ・ジオンの艦艇など勢力によって形状が異なる他、バリュートの色もアーガマは白、ネオ・ジオンの物は黄色となっている。

登場作品

機動戦士Ζガンダム
初登場作品。第11話~第12話に登場し、エゥーゴとティターンズのMS部隊がジャブローへ降下する際に使用した。第20話でもアーガマが大気圏を離脱するガンダムMk-IIを回収する際に使用している。
機動戦士ガンダムΖΖ
第23話~第24話に登場。地球へ降下するネオ・ジオン艦隊と艦載機の一部、そしてそれを追撃するアーガマとその艦載機の一部が使用した。ただこれ以降の作品ではほとんど登場しなくなっている。

関連技術 

HLV
重量物打ち上げロケット。降下カプセルとしての機能も有しており、一年戦争時にジオン軍が大気圏突入用の手段の1つとして運用した。
耐熱フィルム / 耐熱フィールド
RX-78-2 ガンダムに搭載された大気圏突入用装備。耐熱性のフィルムまたは冷却ガスの噴射により機体を空力加熱から保護する。
フライングアーマー
バリュートに代わる大気圏突入用システムとして開発されたサブ・フライト・システム
ウェイブライダー / ウェイブシューター
Ζガンダムなどの可変モビルスーツに実装されているフライングアーマーとしての機能を有するMA形態の呼称。名称だけで大気圏突入機能を有さない場合もある。
ビーム・シールド
シールドビームにより敵弾を防御する防御兵装。大気圏突入時に機体を空力加熱から守る装備としても使用できる。
ランディング・ディバイス
ガンダム・センチネル』に登場する月面降下用オプション装備。

余談

  • 現実世界においては宇宙航空研究開発機構 (JAXA)が2017年に超小型衛星「EGG」を用いた大気圏再突入の実証実験を行っており、ガス充填で展開するエアロシェルによって展開から約3か月かけて大気圏再突入に至った。このエアロシェルについては『Ζ』におけるバリュートがイメージソースとして仄めかされている。

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