デルタアストレイ
GSF-YAM01 デルタアストレイ (Δ Astray)
- 登場作品:機動戦士ガンダムSEED C.E.73 ΔASTRAY
- デザイナー:大河原邦男
- 分類:モビルスーツ
- 装甲材質:不明
- 全高:17.64m
- 重量:76.93t
- 主動力:核エンジン
- 開発:オーストレールコロニー ユートピア・プラニティア・ファクトリー、ロウ・ギュール
- 主なパイロット:アグニス・ブラーエ、アイザック・マウ
マーシャンのモビルスーツ。オーストレールコロニーのユートピア・プラニティア・ファクトリーで開発された機体で、初の火星製MSである。ガンダムタイプのOSと頭部を持つ事から「マーズファーストガンダム(ファーストマーシャンガンダム)」とも呼ばれる。開発には当時火星を来訪していたロウ・ギュールの協力も得ており、そのおかげで予定よりも早期に完成している。当初は純粋な戦闘用として完成する予定だったが、ロウの意向でそれ以外の目的でも運用可能なよう調整された。
各所にはD.S.S.Dやロウ等からもたらされた地球の技術が導入されているが、特殊な関節機構や曲線が多用されたデザインなど地球製MSとは一線を画す外見を持つ。
「火星では太陽との距離が開きすぎているせいで太陽光発電に適さない」という理由から動力は核エンジンを採用している。加えて地球での任務に使用する目的からニュートロンジャマーキャンセラーも搭載し、ニュートロンジャマーの影響を受ける事なく無制限にエネルギー供給を受け続けられる。
最大の特徴は背部に搭載されたヴォワチュール・リュミエールで、高い加速性能を発揮する。ただし通常時は起動しておらず、従来型のスラスターで推進力を得ている。重力下での単独飛行も可能。
武装はビームライフルと実体剣のみと非常にシンプルで、シールドは装備していない。
当初の名称は「デルタ」だったが、ロウが勝手に「デルタアストレイ」と呼んだ事がきっかけでそちらが定着する事になった(当然だが、本機とアストレイシリーズとの間には関連性はない)。「デルタ」はギリシャ文字からとられているが、これは元々「扉」という意味も持っている。
本機は実は「テラナー(地球人)がマーシャンにどのような対応を取るのかを調べる」という裏の目的の為に用意された機体でもある。これは火星圏でNジャマーキャンセラーのベースマテリアルとなるレアメタルの鉱脈が発見された為で、これが原因で地球圏の争いが火星圏へと飛び火する事を恐れていた火星政府は密かに特殊な自爆装置を本機と母艦アキダリアに搭載し、期限内に火星へと帰還できるか確認しようとした。帰還できなかった場合、政府はアグニス達とテラナーとの間にトラブルがあったと判断、「交渉の余地なし」として地球圏と完全に断絶する予定であった。
この装置の存在を知っていたのは政府とナーエ・ハーシェルのみで、パイロットのアグニスすら知らされていなかった(ちなみにナーエは「アグニスなら任務をやり遂げてくれる」と信じていたので、あえて教えていなかった)。
登場作品と操縦者
- 機動戦士ガンダムSEED C.E.73 ΔASTRAY
- パイロットはアグニス・ブラーエ、アイザック・マウ。
プラントを訪れた際に地球連合軍が宣戦布告・侵攻してきた為、防衛に協力する目的で出撃している。地上の連合軍基地でもファントムペインのMS部隊と交戦し、オーブではカガリ・ユラ・アスハを浚ったフリーダムガンダムの攻撃を受けて頭部を損傷している。そのまま追撃を試みるがロンド・ミナ・サハクのガンダムアストレイ ゴールドフレーム天ミナに止められて断念した。
オーブ出国時の戦闘でスウェン・カル・バヤンのストライクノワールと戦い、左腕を犠牲にノワールストライカーを破壊して墜落させたが、スウェンがワイド・ラビ・ナダガのスローターダガーIWSPからI.W.S.P.を奪った事で再び攻撃され撃墜されている。その損傷は激しく、自爆装置が作動してもおかしくない状態だったが奇跡的に作動しなかった。
その後、可能な範囲で修復が行われ、ターンデルタのパワー供給用として使用されている(戦闘は不可能)。エミリオ・ブロデリックのロッソイージスと戦った時にはアイザックが乗り込み、機体をアグニスの元へと運んでいる。アキダリアが火星へと戻る際、本機も一緒に帰還した。
装備・機能
特殊機能
- ヴォワチュール・リュミエール
- D.S.S.Dが開発した推進システム。背部に独特な形状の発生装置を有している。使用すると光の翼が発生するが、本機のそれはシステムを強化した影響で安定性に欠けており、千切れ飛ぶ現象が起きている。
同組織のスターゲイザーが搭載している物とは基礎技術こそ同じだが別の方向に発展しており、あちらは光の膜で太陽風を受け止めるソーラーセイルのシステムが基本であり惑星間航行用スラスターとして機能するが、こちらは緊急推進システムとして機能し、システム起動と同時に光圧推進による急加速が可能。この加速は有人の機動兵器としては最速とされる。機体各所に設置された黄色のパネルはサブシステムで、方向転換など推力バランスに使われる。
システム起動中はパイロットに強烈なGが襲い掛かる為、対応策として専用コクピットを採用。シートに体を固定して体圧や血流を制御する事で本来耐えられないはずの加速運動にも(短時間だが)耐えられるようになった。なお、このコクピットは機体特性に合わせて作られた専用パイロットスーツと組み合わせて使用する事を前提としており、それを着用していない状態だと負担が増大する。
ストライクフリーダムガンダムやデスティニーガンダムも本機に近いタイプのシステムを搭載しているが、あくまでも基礎技術のみが共通した近縁種であり同一ではない。 - パワー送信
- ヴォワチュール・リュミエールを利用し、ターンデルタにパワーを送る。
本機からターンデルタへの核エンジンとNジャマーキャンセラーの移植が不可能だった為、代替案として考案された。 - ニュートロンジャマーキャンセラー
- ニュートロンジャマーを無効化する装置。
- 自爆装置
- ロウの帰還後、オーストレールコロニー政府によって搭載された。母艦アキダリアにも搭載されていて、デルタアストレイが自爆するとあちらも同時に自爆する仕組みである。
本機が戦闘で大破するとその瞬間にエンジンが暴走して自爆するようになっている。また鹵獲等の事態も想定し、エンジン周りを整備しただけでも自爆する。更に予定された期日までにデルタアストレイとアキダリアが帰還しなかった場合も自爆してしまう。
武装・必殺攻撃
- ビームライフル
- 携行式のビーム砲。他の機体の物との違いは特に見受けられない。
- ソード
- 接近戦用の実体剣。不使用時は左腰部の鞘に収められている。
VPS装甲製のノワールストライカーをも破壊できる威力がある(設定を把握していなかった可能性もあるが)。
対決・名場面
関連機体
- ターンデルタ
- ロウが造り上げた機体で、アグニスの新たな乗機。火星で得た技術が使用されている。
- ガードシェル
- 火星製MSの2号機。
- スターゲイザー
ガンダムアストレイ レッドフレーム改
デスティニーガンダム
ストライクフリーダムガンダム - それぞれヴォワチュール・リュミエールやその近縁種の推進システムを搭載している。
- アキダリア
- 母艦。デルタアストレイと連動した自爆装置を有している。