ユニコーンガンダム
RX-0 ユニコーンガンダム(Unicorn Gundam)
- 登場作品:機動戦士ガンダムUC
- デザイナー:カトキハジメ
- 分類:ニュータイプ専用試作型モビルスーツ
- 装甲材質:ガンダリウム合金
- 全高:19.7m(ユニコーンモード)、21.7m(デストロイモード)
- 重量:23.7t
- 主動力:熱核融合炉
- 出力:3480kW(ユニコーンモード)、測定不能(デストロイモード)
- スラスター総推力:142,600kg(ユニコーンモード)、測定不能(デストロイモード)
- 開発組織:アナハイム・エレクトロニクス社
- 主なパイロット:バナージ・リンクス、他
地球連邦軍の「UC計画」に基づき、その旗機とするべくアナハイム・エレクトロニクス社が開発した試作型モビルスーツ。
全身のフレームをサイコフレームで構成した「フル・サイコフレーム」と呼ばれる構造を採用しており、追従性が極めて高い。
機体に搭載されたOS「NT-Dシステム」により、通常の「ユニコーンモード」から最大稼動が可能な「デストロイモード」へと「変身」する事が可能で、瞬間移動さながらの高い機動性も発揮できるようになり、それは強化人間ですら気配を察知できない程と言われる。この時、各部の装甲が展開して体格も一回り大きくなり、頭部もユニコーンのような一本角からV字型アンテナのガンダムフェイスが現れるようになっている。これはUC計画の真の目的である「ジオニズムの象徴たる『ニュータイプ』の殲滅」を実行する機体として「ガンダム」が最も相応しいと考えられた為とされる。
基本的な運用法としては、まず随伴機のジェスタが周囲の敵MSを片付け、その後にデストロイモードの本機がターゲットである敵ニュータイプ専用機と一騎討ちを行い撃破する。また、デストロイモード終了後の本機のインターバルもジェスタにカバーしてもらう事が前提のようである。
ビームマグナムを初めとした強力な武装を瞬間的に行使する事で対象を破壊するという戦闘スタイルを採っており、それ故に継戦能力がかなり低いという欠点も持っている。
正式名称は「RX-0 ユニコーン」で、「ユニコーンガンダム」は変身後の姿から付けられた愛称である。ガンダムタイプのMSとなっているのは、「ジオン根絶の絶対的象徴としてガンダム以外に考えられない」というプロパガンダ的な意味が込められていた。それ故なのか、かつてジオンを戦慄させたRX-78-2 ガンダムが「白い悪魔」の異名で呼ばれていた事を意識してか、1号機である本機は、全身が「白」でほぼ統一されているという夜間や宇宙では、目立ちすぎるといえるカラーリングになっている。
デストロイモード時にはサイコフレームが赤く発光するが、バナージがNTとして覚醒してからは、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」でνガンダムが発したような「翠の燐光」を放つようになった。
また、本機にはカーディアス・ビストの意向で教育型OSに「La+プログラム」が組み込まれており、NT-Dシステムと連動して作動する。
登場作品と操縦者
- 機動戦士ガンダムUC
- パイロットはバナージ・リンクス。
インダストリアル7にてテストが行われ、ビスト財団から袖付きに譲渡される予定であったが、直後に発生した戦闘で交渉が決裂。その後、カーディアスからバナージの手に託される事となった。これ以降、バナージと共に各地を転戦していく事となる。 - 機動戦士ガンダムUC バンデシネ
- 擬似NT-Dを用いたテストが実施され、4機のシルヴァ・バレトと模擬戦を行っている。だが、システムがテストパイロットに過剰な戦闘行為を強いてしまい、機体が暴走。それによって3機のシルヴァ・バレトを撃破しているが、乗っていたテストパイロットも死亡してしまった。
装備・機能
特殊機能
- NT-Dシステム
- 本機に搭載されているOSで、「エヌティーディー」と呼称する。名称は「ニュータイプ・ドライブ」の略称とされているが、実は「ニュータイプ・デストロイヤー」の略称で、ニュータイプを抹殺するために開発されたシステムである。発動させる条件は敵機のパイロットがニュータイプか強化人間である事。発動するとデストロイモードに変形し、機体性能を飛躍的に向上させたり、サイコミュ・ジャック(後述)が可能となる。しかし、パイロットや機体にも負担が大きく、5分間が限度とされる。システム起動時の負担を軽減する為にシートが変形してパイロットの体を固定するようになっており、パイロットスーツも専用の物を用意して薬理的にGを軽減する機能を付加している。
当初は危機的状況に陥った際等によく発動していたが、終盤にはバナージの意志に従って発動させられるようになった。アニメ版ではそれを表す為か、Episode 4以降はシステムが発動してシートが変形してもバナージの体は固定されなくなっている。
また、ある一定数値を超えた思念波を感知すると、サイコフレームの色に関係なく、エメラルドグリーンの光を放つようになり、機体を覆うように燐光を発する。それにあわせてコクピット内部の操作パネルが変形し、色もあわせてグリーンに変化。この状態では、稼動限界までのカウンターが正常に作動しなくなる。OVA版ではこの数値が減ったり増えたりし、デストロイモードが解除されない描写がある。
ニュータイプやそれに類する存在に反応する事、ニュータイプ殲滅を目的としている事など、一年戦争時にごく少数のMSに搭載されたEXAMシステムとよく似た特徴を持っているが、関連性は不明。 - 擬似NT-Dシステム
- 漫画「バンデシネ」で搭載されていたシステム。
その名のとおり、NT-Dを擬似的に再現しており、デストロイモードへの変身も可能である。外部からシステムを起動させる仕組みで、実機によるデストロイモードでの運用試験の為のものだったと思われる。 - La+プログラム
- 「ラプラスプログラム」と読む。
本機のみが搭載しているシステムで、「ラプラスの箱」の在処を示す「鍵」である。また、パイロットの生体認証も兼ねており、現在は生態データが登録されているバナージ以外の人間には本機を動かす事は出来ない。更に本機のパイロットがニュータイプかどうかを判別する機能もあり、強化人間が乗り込んだ場合はNT-Dが発動しないようになっている。逆説的に、パイロットがニュータイプであれば自分自身の感応波を感知させることで任意にNT-Dを発動させることができる。 - インテンション・オートマチック・システム
- デストロイモード時に発動する、サイコフレームにパイロットの脳波を直接反映するシステム。ユニコーンモード時でも機能を制限された状態で稼働している。要は「考えるだけで機体を動かせる」というもので、離れた位置に置かれた機体を思考による遠隔操作で呼び寄せるといった芸当も可能。また、自分以外にも敵の脳波を傍受できる。
その反面、乗っているパイロットをシステムに取り込んで「制御」してしまう危険性も孕んでいて、過剰な戦闘・破壊行為をパイロットに強制させる事も度々あった。 - フル・サイコフレーム
- その名の通り、全身のムーバブルフレームをサイコフレームで構成したもの。本機に従来機とは比べ物にならない程の高い追従性を持たせている。サイコフレームの特性であるサイコミュの制御機能も有する。
- Iフィールド
- 対ビームバリア。シールドから発生させる。ユニコーン、デストロイ両形態で使用可能。
- 変形
- ユニコーンモードからデストロイモードへ変形する。見た目と機体性能が同一機体と思えないほど変化するため、「変身」という表現がされている。また、NT-Dが稼動レベルが制御域の数値を超えた場合、オートで第三形態であるデストロイ・アンチェインドモードへと変形する。
- サイコミュ・ジャック
- ファンネルのコントロールを奪う等、敵のサイコミュシステムを自分の制御下に置く事を可能とする機能。デストロイモード時にのみ行える。
ちなみに変身する際に角が割れるのは、送信能力を高める事でこの機能をより効果的に使う為。 - サイコフィールド
- デストロイモードで発動するエネルギーフィールド。パイロットやパイロットに関わった人物、機体の周囲にいる周囲の人物の意志に反応し、様々な挙動を見せる。
主な現象はバリアー(ビームを湾曲させて機体への直撃を回避する)、サイコフレームの物理的強度の向上、物体への干渉(対象物の捕縛、破壊、移動)など超能力(念力)的なものが多い。その力の上限は未知数で、ガランシェールの牽引やコロニーレーザーの無力化などが確認されている。
余談だが、過去にはνガンダムとサザビーに搭載されたサイコフレームが共振した事によってサイコフィールドを発生させ、アクシズ・ショックを起こしている。
武装・必殺攻撃
- 60mmバルカン砲
- 頭部に2門内蔵。主に牽制等に使用されるが、パイロットの技量次第では相手に致命傷を与える事も可能とされる。5発に1発曳光弾が仕込まれている。
チェック漏れにより当初のデザイン画では描かれていなかったが、後に修正された。 - ビームマグナム
- 本機の主兵装で、エネルギーのスパーク光を帯びた強力なビーム弾を発射する。このスパーク光はビームサーベルのような効果があり、触れる物全てを両断できる。この為、MS程度なら掠っただけでも撃破可能。1発で通常のビームライフル4発分の威力があり、大型MA相手でも一撃で撃破出来る。その分、1発撃つだけで通常のエネルギーパック1つ分のエネルギーを消費してしまう為、「マグナム・カートリッジ」と呼ばれる5つを連結した特別製のエネルギーパックからエネルギーを供給するようになっている(発射するごとにエネルギーパックは1つずつ排莢される)。威力は前述の通りMSの携帯火器としては非常に強力だが、強力が故に威力がありすぎてパイロットのバナージが威力があり過ぎる事を嫌い、使い所が限定される事や一発にエネルギーパックを一つ使う為、戦闘継続能力が低い欠点がある。
不使用時は背部や腕部に装着可能。予備カートリッジはリアスカートに2つまで装着できる。 - ビームサーベル
- 背部に2本、両腕部に1本ずつの計4本を装備。ユニコーンモード時は基本的に腕部の物を外して使用する。デストロイモードになると、背部の物は展開されてガンダムらしい外観を作る要因となり、腕部の物はビームトンファーとして使用できるようになる。また、OVAのEP5ではアンクシャの物を奪って使用している。
- ビームトンファー
- 両腕部にマウントされたビームサーベルを外さずにそのまま使用した状態。ユニコーンモードでは使用出来ない(当初は使用可能とする予定だったが、デストロイモードとの差別化を図る為にこの設定となった)。
首相官邸「ラプラス」の史跡での戦闘で巨大な残骸をも一刀両断するという開発時の想定以上の威力を発揮した事もあるが、これは何らかの外的要因が働いたのが原因であると考えられている。実際、出力がかなり増大していた。 - ハイパーバズーカ
- 背部に装着可能な実弾兵器で、ユニコーン用の武装として仕様変更された物。弾頭は通常弾ではなく散弾を標準搭載している。砲身にはオプション装備を装着する事も可能。
ビームマグナム同様、予備カートリッジはリアスカートに2つまで装着できる。 - ビームガトリングガン
- 本来はクシャトリヤ用に開発された武装で、アナハイムと同じ規格品を使っている為、本機でも使用可能。ヤクト・ドーガのメガ・ガトリングガンをベースに改良が加えられており、U.C.0096時の標準的な携行式ビーム兵器と同等の威力のビーム弾を高速で連射するようになっている。手に持って使う以外に、シールドの裏側に2基装着可能。
威力の大きすぎるビーム・マグナムを補助するための武装としてたびたび使用されている。 - シールド
- 実体式の防御兵装。これにもサイコフレームが使われている。デストロイモード時には中央部がスライドしてサイコフレームをX字状に展開し、Iフィールドジェネレーターが現れる仕組みとなっている。Iフィールドはユニコーン形態のままでも使用可能で高い防御力を持つ。
- アームドアーマーDE
- 漫画「バンデシネ」で登場する追加装備。
増加サイコフレーム兵装の一つで、複数ある「アームド・アーマー」の中で最も初期に造られた。
シールドの上から被せる形で装着され、その機能を拡張する事に主眼が置かれている。また展開式スラスターとメガキャノンを内蔵しており、前者は機体の機動力を強化する。後者は広範囲への攻撃を可能とする他、ビームマグナムの扱い辛さをカバーする事が可能である。 - ビームマシンガン
- ギラ・ズールの主兵装で、ベレット状になったビームを連射する。集弾率や連射性は標準的だが、基本設計の優秀さから銃身に大型センサー等を追加する事ができ、拡張性に優れている。なお、下側にあるバナナ型のマガジンはフォアグリップとしても機能する。
アニメ版にて、ガランシェールを押し上げる際に腰部に1挺マウントしていた。 - 格闘
- OVAのEP5ではガルダへの移送の為に装備を外された為、素手で戦う事になった。また、EP7ではネオ・ジオングのサイコシャドーソードで装備を全て破壊された為、素手で戦った。
- シールド・ファンネル
- インテンション・オートマチック・システムとの連動により、シールドに装備されているサイコフレームがMS本体と共鳴して独自に推進力を得る事で、スラスターは一つも付いていないはずのシールドがまるでファンネルのように機体の周囲を移動して敵からの攻撃を防ぐ……というものである。多くの技術者達にとっては当然この運用は想定外であったが、とある技術者はこのような機能性が存在しているという可能性を仄めかしていたらしい。アニメ版ではビームガトリングガンも装備した状態で使われており、まさに「ファンネル」として攻撃や防御に使用されていた。
対決・名場面
関連機体
- フルアーマー・ユニコーンガンダム
- 武装強化形態。
名称こそ「フルアーマー」だが、追加装甲の類は装着されていない。 - ユニコーンガンダム2号機 バンシィ
バンシィ・ノルン - 2号機。
- ユニコーンガンダム3号機 フェネクス
- 3号機。
- シナンジュ・スタイン
シナンジュ - 兄弟機。
- ジェスタ
- 支援機。
- フルアーマーユニコーンガンダム・プランB
- タクヤが考案したもう一つのフルアーマー形態。トライエイジに登場している。
- ユニコーンガンダム アルミラージュ
- ガンダムビルドファイターズ炎トライに登場するガンプラ。通称「ユニコーンガンダム極」