ジム・クゥエル

提供: ガンダムWiki
2024年12月13日 (金) 07:50時点におけるKeiten1201 (トーク | 投稿記録)による版 (→‎武装・必殺攻撃)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動
ジム・クゥエル
外国語表記 GM Quel
登場作品
デザイナー
  • カトキハジメ(0083)
  • 藤岡建機(A.O.Z)
  • テンプレートを表示
    スペック
    分類 汎用量産型モビルスーツ
    型式番号 RGM-79Q/ARZ-79GQ
    頭頂高 18.0m
    本体重量 39.8t
    全備重量 56.3t
    主動力 熱核融合炉
    ジェネレーター出力 1,420kW
    スラスター総推力 61,480kg
    装甲材質 チタン合金セラミック複合材
    開発組織 地球連邦軍
    開発拠点 ルナツー
    所属組織
    主なパイロット
  • アルファ・A・ベイト
  • ベルナルド・モンシア
  • チャップ・アデル
  • フォルド・ロムフェロー
  • アーネスト・マクガイア
  • ヒューイット・ライネス
  • ソウイチ・オビノ
  • テンプレートを表示

    概要[編集 | ソースを編集]

    主にジオン残党軍の掃討や治安維持活動に使用されたティターンズの初期の主力機。部隊の設立とほぼ同時に配備され、設立間もないティターンズの象徴として、暴徒の鎮圧や施設攻略に活躍した。機体名称の「クゥエル(Quell)」は「鎮圧」を意味する他、「地球の法と権限を行使する(Qualified to Use Earthly Law もしくは QUalified to Enforce the (Earth) Law)」の略称も含んだダブルミーニングともされている[1]

    この機体は元々U.N.T(Under Normal Tactical=非通常戦術)カテゴリーで開発されていた機体が原型にあり、ガンダムNT-1を原型とする「オーガスタ系」と呼ばれる機体郡に属する。そのうちの一つであるジム・カスタムは、開発と配備の時期からジム・クゥエルの直系にあたる機体であると見る事が出来る。

    ティターンズは連邦軍にMS用の部品を供給していた企業と連邦軍本隊とは別枠で契約を交わし、軍の防衛計画とは一線を画した武器調達を実施。この際、時期的にジャミトフ・ハイマンの政治生命を危うくするガンダム開発計画の成果を抱え込む訳に行かず、更にジャミトフのプライドとして、ジオン公国軍系の技術者を多数擁するアナハイム・エレクトロニクス社に依存した主力兵器と、その開発体系を持つ事は出来ず、かくしてジム・クゥエルの開発と生産は、ルナツー工廠で独自に行われる事になった。

    頭部構造は基本的にジム・カスタムと同等だが、よりコロニー内戦闘に配慮したデバイスに換装されている。光学端末も基本性能が向上し、広義の「対人センサー」など、公安任務にも対応可能な副次的な機能が追加されている。また、ガンダムタイプに匹敵するコ・プロセッサーフレームを組み込む事で、センサーの解析能力や処理速度を向上させており、側頭部のロッドアンテナも試作機並の送受信能力を持っていた[2]。また、脚部もジム・カスタムと同等のユニットを使用するが、コロニー内戦闘の他に対人運用も想定されていたため、膝部分のサブスラスターはオミットされ、脛部分下方にマルチセンサーが装備された。

    コクピットブロックは80年代前半に供給された既存の機体と同等の物であり、内装なども共通だが、狙撃任務に対応可能なよう、照準装備に若干の改装が施された。その後、0085年には全天周囲モニターリニアシート化された機体が配備されている。

    MSの生産性やメンテナンスを改善する改善策として、「装甲そのものと可動部分の構造を完全に分離する」という概念が発想され、ジム・クゥエルはそれを初めて採用された機体とされている。この構造はシミュレーションでは充分実用に堪え得る構造であるという結果が出ていたものの、完全に機能するかどうかは実戦投入で検証するしかなく、比較的加重や負荷が少ない腕部のみに限定して採用された。この構造はのちに開発されるムーバブルフレームの祖型となり、付随するオプションラッチやエネルギーサプライシステムなどの規格そのものの基本となった。

    その後、ティターンズに新鋭機が十分に配備されるようになってからは、連邦軍にも配備が進んでいったが、その時点で旧式も同然の状態だった。戦後は残存機が民間会社に払い下げられており、民間軍事会社テミスに配備された機体などが活躍している。

    カラーバリエーション [編集 | ソースを編集]

    ティターンズカラー
    ジム・クゥエルの標準カラーであるダークブルーや黒の塗装。その特徴的なフォルムと威圧感のあるカラーリングは、見るものに圧倒的な存在感を植え付け、ティターンズの象徴的カラーとして後のガンダムMk-IIなどにも採用された。
    連邦軍カラー
    主にコンペイトウ方面軍の機体に代表されるカラーリング。ジム改などと同様の赤と白のツートンカラーに塗装されており、ティターンズの作戦に連邦軍部隊が臨時編成された場合、その部隊用にこのカラーの機体が宛がわれている[3]。『マスターアーカイブ モビルスーツ』においては後々、一般部隊にも配備されていった旨が説明されているが、その頃には既にティターンズが新型の導入を進めている段階であり、同機は第一線級のMSとは呼べなくなっている状態であった。
    なお余談だが、本機を掲載している資料本の多くで、ジムII (連邦軍)カラーに塗られたジム改高機動型[4]の設定画が誤って用いられるケースが多い。
    テミス所属機
    民間軍事会社テミスの所属機。両肩が赤いなどといった違いが所々あるものの、基本的にはジムIIに近い配色となっている。左肩とシールドには社章が描かれているが、表に口外できない任務ではそれを消して運用している。
    レジオン所属機
    レジオンと合流したティターンズ残党のトリスタン派が建国戦争において運用した機体。かつてトリスタンが指揮したティターンズ秘密部隊「ブラックヘアーズ」の部隊カラーを継承した漆黒に塗装されている。建国戦争においてはレジオン所属である事を示すためシールドの一部が赤く塗装され、レジオンのエンブレムが描かれた。また、建国戦争後に「ウサギ狩り」で使用されたドナルド機は、紆余曲折を経てアーリー・ヘイズルへ改修され、輝ける星作戦で運用された。
    ティターンズ 第31教育中隊所属機
    『マスターアーカイブ モビルスーツ RGM-79 ジム Vol.2』に掲載されているカラーバリエーションの1つ。第一線を退いた後、パイロット訓練機などに使用されている機体で、機体の所々が黄色く塗られている。
    ジム・カスタムカラー
    ビルドファイターズトライ』第16話Bパート冒頭に一瞬登場したジム・カスタムカラーのクゥエル。ジンの76mm重突撃機銃らしき物を両手に携行しており、EXAMシステムか何かを搭載しているのかバイザーが赤く発光している。登場直後、相手チーム「疾風迅雷」のヴァイエイト (サーペントカラー)から放たれたであろうビームで首元から上を吹き飛ばされ、敢え無く爆散した。

    登場作品と操縦者[編集 | ソースを編集]

    機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
    初登場作品。最終回である第13話のラストシーンにMS用トレーラーに寝かされた状態で少しだけ登場している。実は映像に登場しているのは決定稿が決まる前のデザインであり、本編終了後に決定稿が完成している。そのため映像を確認すると、フェイス部分がジム改なジム・カスタム似の頭部、腕がジム改(前腕に溝があり、肘関節に円柱状のパーツがある)、脚部がジム・カスタムといったように決定稿と多少の差異がある。また、レイアウト用紙の1つ(C.384)には、頭部左側面にガンダムMk-IIのバルカンポッドシステムらしき物が描かれているのが確認できる。
    ガンプラ
    1999年12月発売の「MG 1/100 ジム・クゥエル」で初の公式立体化。インストでは「(クゥエルが「鎮圧する」の意味に加えて)地球の法と権限を行使するGM」と言う説もある」、「連邦軍のMS適性配備開発計画によって開発されていたものだが、ティターンズ設立に伴って計画が変更され、U.C.0083年12月、艤装中のアル・ギザに搬入、配備された」などの設定や、宇宙世紀0084年4月30日にエアーズ市で起こった暴動の鎮圧で活躍した事が解説されている。
    GUNDAM FIX INTERPRETATION THE WORK of KATOKI HAJIME
    ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに
    T3部隊で二機がガンダムTR-1[ヘイズル]ガンダムTR-1[ヘイズル2号機]へと改修されている。また、白と赤でカラーリングされたコンペイトウ方面軍所属機が設定されている。
    皇女陛下のレジェンドラ号
    ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者
    劇中序盤のティターンズ主力機としてアーネスト、ライネス、オビノが搭乗。ハイパー・バズーカやベース・ジャバ―も使用する。オビノ機は撃墜され、アーネスト機・ライネス機はマラサイへの機種転換に伴い退場する。
    劇場版 機動戦士Ζガンダム
    第1部『星を継ぐ者』に1シーンのみ登場している。シーンを見る限りアレキサンドリアの艦載機と思われる。
    GUNDAM LEGACY
    16話と17話に登場。エアーズ市で発生した暴動とそれに介入したジオン残党勢力の鎮圧にあたっている。その後発生したシルバー・ランス作戦にも阻止のために参加している。
    機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
    民間軍事会社「テミス」の機体として登場。テミスの裏の任務の他、ジャコビアス・ノードの僚機として運用された。
    A.O.Ζ Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-
    火星でレジオンに鹵獲された機体が登場。色はティターンズカラーから黒色に改められている。主に反逆した兵士を標的とした「ウサギ狩り[5]」に使用され、その残骸は反連邦の機運を高める目的で火星の地表に晒されている。
    本編以外では「A.O.Z Re-boot Vol.74」において仕様違いや装備違いのバリエーションが紹介されており、上記の0083本編映像で登場した時のデザインが初期配備型として設定されている。
    アナハイム・ラボラトリー・ログ
    第2話「アクシズからの帰還」にアル・ギザに所属する第7小隊の搭乗機が登場。エリアス大尉の乗る隊長機を含む2機とジム・スナイパーIIペイルライダーDIIの編成で月面を移動中のアクシズのモビルスーツ部隊と交戦した。その際、隊員のクゥエルが高機動型ガルバルディαのビーム・マシンガンを受け戦闘不能、エリアス機もガルバルディαにシールド・アタックで体勢を崩した隙を突かれ、ビーム・サーベルで撃墜された。
    ガンダムビルドダイバーズ
    有志連合マスダイバー間の戦闘(第10~12話)でマスダイバー側として登場。機体カラーは珍しく連邦軍カラー。戦闘中に突如、使用したブレイクデカールが暴走し、ダイバーの操縦を受け付けなくなるも、元凶であるビグ・ザムが撃破された事により事なきを得た。
    機動戦士ガンダムNT
    オーガスタ研究所の1シーンに登場している。直後のシーンとセットで語られる事が多く、印象に残りやすい。

    装備・機能[編集 | ソースを編集]

    特殊機能 [編集 | ソースを編集]

    対地マルチセンサー
    脛部分下方に設けられている対地対人制圧用センサー。対人運用も想定している本機に合わせて設けられた装備であり、代わりにジム・カスタムだと膝部分に設けられていたサブスラスターはオミットされている。

    武装・必殺攻撃[編集 | ソースを編集]

    60mmバルカン砲
    頭部に2門内蔵されている機関砲。連邦系MSの標準的な装備。
    ビーム・サーベル(XB-G-1065H)
    バックパック右側に1基装備している格闘兵装。80年代になって本格的に普及したセンター配置のベースユニットの規格に対応している。口径は既存のものと同じだが、エネルギーCAPシステムでもマニピュレーターを介してのエネルギー供給でも稼働が可能なデュアルサプライデバイスが採用されている。
    ジム・ライフル(HFW-GR・MR82)
    90mmケースレス弾を連続発射する射撃兵装。排莢機構がないため、高速で飛び散る空薬莢などで市街地や群衆に余分な被害を与える事がない。対MS戦を想定していない治安維持行動やコロニー内での運用時には、周辺施設への被害を抑える目的でこちらが選択される事が多いが、宇宙空間での銃撃戦などにおいても余分なモーメントが発生しないため使い勝手がよく、80年代初期に多用された。
    ビーム・ライフル (BR-S-85-C2)
    ジムII等が装備している物と同型のビーム・ライフル。ビーム・スプレーガンの生産ラインを流用して製造されている。規格的にはローエンドだが、フォアグリップの追加などによって使い勝手が向上し、稼働時間や出力も改善されたため、後の機体の標準装備となった。Eパック方式ではなく内蔵型エネルギーCAP方式を採用している。
    ビーム・ライフル (XBR-M84a)
    コンペイトウ方面所属機体が装備しているビーム・ライフル。Eパック方式が試験的に採用されている。なお、ガンダムTR-1[ヘイズル]はEパックが2連結方式の物を装備している。
    ハイパー・バズーカ
    ジム改などが携行しているバズーカ。『皇女陛下のレジェンドラ号』に登場するヴァルター機や『刻に抗いし者』のアーネスト機が装備。
    ロングレンジ・ビーム・ライフル
    ジム・スナイパーなどが携行している狙撃用ビーム・ライフル。テミス所属機が使用。
    シールド(RGM・M-Sh-ABT/S-0019S)
    耐弾性や耐ビーム機能よりも、運動エネルギーの減免や実体弾を跳弾させるための形状研究から開発されたシールド。一年戦争末期に基本設計が完成し、以後も改良を重ねている。表面には対ビーム・コーティングが施されている他、ジム・ライフルの30連マガジンを2つ装備可能。

    対決・名場面[編集 | ソースを編集]

    関連機体[編集 | ソースを編集]

    別仕様・装備バリエーション [編集 | ソースを編集]

    ジム・クゥエル (前期生産タイプ)
    ティターンズ設立初期に配備された機体。上述した所謂0083本編映像版デザインであり、腕部はジム改、脚部はジム・カスタムの物を使用しており、頭部や各部スラスター形状も正式仕様とは異なる。
    ジム・クゥエル (チョバムアーマー装備)
    アレックスで試用されたチョバムアーマーを胸部に装備した機体。T3部隊の試験内容を元に対ジオン残党戦を想定した装備。
    アーリー・ヘイズル
    ジム・クゥエルにガンダムヘッドを搭載した機体。クゥエル部隊の隊長機として設定されており、配備当初のヘイズル2号機もこの状態だった。後に火星においてレジオンに対し反旗を翻したティターンズ残党も、回収したジム・クゥエルに同様のガンダムヘッドを移植し戦力としている。
    ジム・クゥエル (ズサブースター・マリンタイプ装着型)
    ズサブースター・マリンタイプを装着した機体。

    系列機・派生機[編集 | ソースを編集]

    ジム・カスタム
    ベース機。生産ラインを転用している為、共通するパーツも多い。
    ガンダムTR-1[ヘイズル]
    TR計画」の試作1号機として本機をベースに開発された実験機。
    次世代試作機
    ジム・クゥエルをベースにしたガンダムMk-II開発の為の試作機。

    余談[編集 | ソースを編集]

    • 月刊ガンダムエース」2005年11月号掲載の『GUNDAM LEGACY』episode 13の戦闘シーンに、フォルドのクゥエルが左手でザク・マシンガンを跳ね返すシーンがある。フォルドは「そんな旧式で」と公言してはいるものの、さすがに無理があったのか、2009年1月号での再掲載時および単行本化した際にはシールドで受け止める描写に変更されている(なお、脇にいた隊長機は連載版・単行本版のどちらにおいてもザク・マシンガンで撃墜されている)。
    • 外伝作品で活躍する本機だが、実は映像作品での活躍シーンが全く無い。登場してもチラ見せレベルでしか出てこず、戦闘シーンすらないというバーザムより悲しい扱いを受けている。後にビルドシリーズでガンプラとして戦闘する場面があるが、大概はすぐに撃破されている。

    商品情報[編集 | ソースを編集]

    ガンプラ[編集 | ソースを編集]

    資料リンク [編集 | ソースを編集]

    リンク[編集 | ソースを編集]

    脚注[編集 | ソースを編集]

    1. 本機の英語表記は「GM QUEL」のため、前者から「L」が1つ足りない。後者はガンプラ「MG 1/100 ジム・クゥエル」のインストにおいて設定されたものであり、前述のLが1つ足りない事に対するフォローの可能性も考えられる。
    2. 機体のモニタリングはもとより、一説には遠隔操作も可能だったという説もある。
    3. これは連邦の一般部隊がティターンズカラーの機体を使用する事を快く思わなかったティターンズ上層部への配慮でもある。
    4. 右肩のダクトと脚部形状で判別可能。
    5. 反逆者をMSに乗せ、アリシア・ザビとその親衛隊と戦闘し、制限時間まで生き残れば復帰の権利が与えられるというもの。ただしエレノアによってスラスター飛行禁止の上、相手はガンダムTR-6。