TR計画
TR計画(TR Project)[編集 | ソースを編集]
宇宙世紀0084年にティターンズが立案した次期主力機開発計画。「TR」とは「TRANCE・R(万能化換装)」、「トライアル」、そして「トライステラー」の略称から取られている。表向きは次期主力機の開発計画であるが、その裏では「トライテスラー計画」と呼ばれる真の目的も隠されていた。
コンペイトウを開発拠点として、装備換装によってあらゆる局面に対応する万能型MSを開発しており、その最終目的は決戦兵器である「ガンダムTR-6[インレ]」の開発であった。開発予算は地球連邦軍からの優遇処置とガンダム開発計画の残余予算が使用されているため、あまり考慮されていない[1]。
TR計画は、「インレ」の開発を最終目標としているが、この機体をいきなり開発するのは技術的にも困難であった。そのためまずはTR-1~TR-5までの試作機を開発。これをT3部隊で試験運用し、これらの試作機のデータを元にガンダムTR-6[ウーンドウォート]を初めとする機体や強化ユニットが開発された。また、計画で開発された技術は他の開発拠点にもフィードバックされており、ティターンズ内でのMS開発における影響は大きい。
ガンダムTR-6の開発は一年戦争におけるガンダムの伝説の再現という一種の狂気によって成り立っているとも言われている。一年戦争後からグリプス戦役までのモビルスーツの性能向上は目まぐるしく、初代ガンダムの様にたった一機で戦況を変えるのは不可能に近いとされるものの、その狂気を実現する為に万能化換装システムやBUNNySも導入され、「エリア・ドミナンス(領域支配)機」と呼ばれるカテゴリーも新たに規定された。
また、TR-6開発時には万能化換装システムを利用した機種統合計画が発案されており、TR-6はこれにも対応している。しかし、機種統合計画を目的とした設計変更が結果としてTR-6の完成の妨げとなり、ティターンズのグリプス戦役敗北を決定付ける要因の一つとなった。
登場作品[編集 | ソースを編集]
- ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに
- 初出作品。T3部隊でTR計画の試作機が運用され、実戦で様々な戦果をあげた。グリプス戦役終盤、ティターンズ上層部によって計画の集大成であるガンダムTR-6の実戦投入が決定されるが、この時点で既に大勢は決していたため、無用な混乱を避ける目的でオットー・ペデルセンは独断でTR-6の破壊命令を同機パイロットであるエリアルド・ハンターに下し、エリアルドもこれに応じる形で機体を破壊した。また、TRシリーズの実験データも、コンペイトウ攻防戦の最中に破棄されている。
- A.O.Ζ Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-
- グリプス戦役終盤、反シロッコ派をまとめ上げたトリスタンの手によって、火星にTR-6を始めとするティターンズ系装備が齎された。レジオンはこれを徴用し、レジオン建国戦争でジオンマーズに勝利。その後、TR計画の機体を含むティターンズの機体が再生産され、インレの修復と改修が行われた。インレの力は火星の開拓に用いられており、そこにTR計画の真の目的の一端を見る事が出来る。
- 月刊モビルマシーン
- 計画に携わった技術者がその後ナムスド研や火星に身を寄せており、それによって各勢力にその技術が浸透していったことが度々語られている。特にナムスド研はブッホ・コンツェルンと共同で既存機体の改修を行い、その後サナリィの傘下となりF80の設計を行うなど、両者との繋がりを有している。
開発された機体[編集 | ソースを編集]
TR-1[編集 | ソースを編集]
- ガンダムTR-1[ヘイズル]
- ジム・クゥエルをベースに開発された機体。インレのコア・ユニットの試作機として開発された。
- ガンダムTR-1[ヘイズル改]
- ヘイズルを強化改修した機体。
- ガンダムTR-1[ヘイズル改]イカロス・ユニット試作プラン
- 下記イカロス・ユニット装備の試作案。
- ガンダムTR-1[ヘイズル改]イカロス・ユニット装備
- 大気圏内飛行用オプション「イカロス・ユニット」を装備した形態。
- ガンダムTR-1[ヘイズル2号機]
- ヘイズルの予備機。
- ガンダムTR-1[アドバンスド・ヘイズル]
- ヘイズル改と同等の強化を施した機体。
- ガンダムTR-1[ヘイズル・ラー]
- ヘイズル改及びアドバンスド・ヘイズルに「フルドド」を装着した形態。
- ガンダムTR-1[ヘイズル・アウスラ]
- ヘイズルに「プリムローズ」を組み込んだ形態。
- ガンダムTR-1[ヘイズル・ラーII]
- 「フルドドII」を装着した形態。
- ガンダムTR-1[ファイバーII]
- 「フルドドII」を介して「ファイバーII」を装着した形態。
- ガンダムTR-1[ハイゼンスレイ]
- TR-1の最終発展型。TR-6と同等の機能を有する。
- ガンダムTR-1[ハイゼンスレイ・ラーII]
- 「フルドドII」を装着した形態。
TR-2[編集 | ソースを編集]
- バイザックTR-2[ビグウィグ]
- ハイザック先行量産型をベースに開発された機体。「インレ」の主武装の試作型として開発された。
TR-3[編集 | ソースを編集]
- プロトタイプアッシマーTR-3[キハール]
- アッシマーの試作機をベースに開発された機体。「インレ」の艦載機の試作機として開発された。
TR-4[編集 | ソースを編集]
- TR-4[ダンディライアン]
- ロゼットをベースに開発された機体。「インレ」の下半身を構成するパーツの試作機として開発された。
TR-5[編集 | ソースを編集]
- ギャプランTR-5
- ギャプランをベースに開発された機体。「インレ」の上半身を構成するパーツの試作機のコア・ユニットとして開発された。
- ギャプランTR-5[フライルー]
- TR-5に「フルドドII」を装着した形態。上記のTR-5もフライルーと呼ばれるが、区別のためこちらをフライルーと呼称とする。
- ギャプランTR-5[ファイバー]
- TR-5に超音速侵攻をコンセプトとした武装を装着した形態。
- ギャプランTR-5[アドバンスド・フライルー]
-
- TR-5の最終発展型。新開発されたパーツで強化されている。
TR-S[編集 | ソースを編集]
- ガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]
- ヘイズル・アウスラの再設計機。開発中に「機種統合計画」が発案されたため、コア・ユニットの座はTR-6に譲ることになった。
- バーザム (A.O.Ζ Re-boot版)
- ヘイズル・フレアの簡易量産機。
- アクア・バーザム
- 強化パーツ「アクア・ハンブラビII」を装備した水中戦仕様。
- バーベイン
- 下半身をハイゼンスレイII形態用のパーツと交換した高機動仕様。
- バーベイン・ラーII
- バーベインと「ハンブラビII」が合体した強化形態。
TR-6[編集 | ソースを編集]
- ガンダムTR-6[ウーンドウォート]
- コア・ユニットとして開発された機体。この状態でも非常に高い性能を誇る。
- ガンダムTR-6[ウーンドウォート・ラー]
- ウーンドウォートに「フルドドII」を2機装備した形態。
- ガンダムTR-6[アクア・ウーンドウォート]
- ウーンドウォートに「アクア・ハンブラビII」を合体させた形態。
- ガンダムTR-6[ウーンドウォート]サイコ・ガンダムII ギガンティック・アーム・ユニット形態
- ウーンドウォート・ラーにガンティック・アーム・ユニット及びギガンティック・レッグ・ユニットを初めとしたユニットを装備した形態。
- ガンダムTR-6[ハイゼンスレイII]
- 次世代可変機として開発された形態。ガブスレイの後継機にあたる。
- ガンダムTR-6[ハイゼンスレイII・ラー]
- ハイゼンスレイIIに「フルドドII」を装着した形態。
- アクア・ハイゼンスレイII
- ハイゼンスレイIIに複数の「アクア・ハンブラビII」を装着した形態。
- ガンダムTR-6[リハイゼ]
- レジオンがハイゼンスレイIIを改修した機体。
- ガンダムTR-6[クインリィ]
- ウーンドウォートに拠点防衛を目的としたパーツを装着した形態。
- ガンダムTR-6[ファイバーII]
- ウーンドウォートに「ファイバーII」を装着した形態。
- ガンダムTR-6[ダンディライアンII]
- ウーンドウォートに「ダンディライアンII」を装着した形態。
- ガンダムTR-6[キハールII]
- ウーンドウォートに「キハールIIユニット」を装着した形態。
- ガンダムTR-6[キハールII]EWAC形態
- ブースト・ポッドをレドーム・ユニットに換装した形態。
- ガンダムTR-6[アドバンスド・キハールII]
- 「アドバンスド・ユニット」を装着した形態。
- ガンダムTR-6[フライルーII]
- アドバンスド・フライルーと同じ強化パーツを装備した形態。
- ガンダムTR-6[フライルーII・ラー]
- フライルーIIに「フルドドII」を2機装着した形態。
- ガンダムTR-6[ヘイズルII]
- 火力と加速力を重視した形態。
- ガンダムTR-6[ハイザックII]
- ジオン系の機体を模した形態。デチューンされているが、扱いやすくなっている。
- ガンダムTR-6[ギャプランII]
- パーツ試験用の形態。
- ガンダムTR-6[バーザムII]
- バーザムを模した形態。
- ガンダムTR-6[ジムII]
- ジム系の機体を模した形態。バーザムIIの下位互換にあたる。
- ガンダムTR-6[ハンブラビII]
- ハンブラビIIと合体し余分な装備を排除した、ハンブラビのMS形態の代替形態。
- ガンダムTR-6[インレ]
- TR計画の最終到達点。「ファイバーII」と「ダンディライアンII」が合体した形態。
- ガンダムTR-6[サイコ・インレ]
- インレにサイコミュを組み込んだ形態。
強化ユニット[編集 | ソースを編集]
- フルドド
- Gパーツと呼ばれる強化ユニット。宇宙戦闘機としても運用可能。
- フルドドII
- TR-6用の強化ユニット。フルドドの後継機。
- ハンブラビII (ハンブラビ・フラカ)
- ハイゼンスレイII用のオプションパーツなどを装着した、ハンブラビのMA形態の代替形態。
- アクア・ハンブラビII
- ハンブラビIIの水中戦仕様。
エンブレム[編集 | ソースを編集]
TR計画の開発機体にはT3部隊のカール・マツバラによってそれぞれ独自のエンブレムが考案されており、ウサギをモチーフにそれぞれの機体の特性を表したものとなっている。『A.O.Ζ』の企画では後から加筆修正が行われたものもあるため、物によってはデザイン違いが数種類ある場合がある。
- ブラックオター小隊 / T3部隊 / ウーンドウォート
- カールが自身の所属するブラックオター小隊のエンブレムとして提案し、ジム・スナイパーIIIのシールドやエリアルド・ハンターのヘルメットに描き込むなどの経緯を経て部隊章として定着したもの。後にウーンドウォートのエンブレムとしても用いられた。シールドを背景に跳ねる白ウサギをモチーフとしている。これは宇宙と地上の双方で活躍するティターンズ実験部隊を示しているが、自分達がウサギと同じ実験動物であるという暗喩でもある。
- ヘイズル
- TR-1 ヘイズル用のエンブレム。増加装甲の装着をイメージした、飛行帽とゴーグルを装着したウサギがモチーフとなっている。デザインが2通りあり、飛行帽とゴーグルの色、顔の毛色などに差異がある。
- ヘイズル2号機
- 元々、高機動型ガルバルディβ用に用意されたエンブレム。機体が失われたためヘイズル2号機に用いられた。ウサギのバニーガールで、大きな耳は2基のシールド・ブースターを表している。
- アドバンスド・ヘイズル
- アドバンスド・ヘイズル用のエンブレム。悪魔のように、耳がコウモリの翼になったダークカラーのウサギで、天使をイメージしたフライルーやファイバーのエンブレムと対になっている。体色の変化(白→紫)はヘイズルがティターンズカラーに変わった事を示している。また、右耳に巻かれた包帯は強化シールドを表している。
- ヘイズル・アウスラ
- ヘイズル・アウスラ用のエンブレム。赤いリボンが巻かれた箱の上に白ウサギが乗っている。ロールアウトを記念したデモンストレーション時に付されたとされており、機体が赤と白に塗り分けられたなどの点から模型誌「電撃ホビーマガジン」2007年1月号に掲載された模型作例「ガンダムTR-1[ヘイズル・アウスラ]スペシャルカラー」がモチーフ元と思われる。
- ギガンティック・アーム・ユニット装備機
- [ヘイズル・アウスラ]ギガンティック・アーム・ユニット装備や各種ギガンティック・アーム・ユニット装備機用のエンブレム。旧式化したヘイズルを死体妖怪のキョンシーに見立て、各種兵器で武装強化して戦力化している事を表している。耳はギガンティック・アーム・ユニットを表すように巨大な手になっており、両脇にはウィンチ・ユニットを示した人魂が描かれている。
- フルドド / フルドドII
- フルドド及びフルドドII用のエンブレム。二羽の白ウサギがシンメトリーに配置されており、ヘイズルとGパーツが合体した状態と2機一組でその真価を発揮する事を示している。
- ビグウィグ
- TR-2 ビグウィグやビグウィグ・キャノン用のエンブレム。スパイク付きヘルメットを被ったウサギはハイザックを、抱えた長銃はビグウィグ・キャノンを表している。デザインは2通りあり、白ウサギが紫色のヘルメットと長銃を身に着けているものと、ウサギと身に着けている物全てが緑色のものがある。
- キハール / キハールII
- TR-3 キハールやキハールII用のエンブレム。宇宙用と地上用でデザインに違いがあり、宇宙用ではUFOの上にウサギが乗ったデザインなのに対し、地上用ではUFOにカモメの顔と翼が付け加えられたデザインとなっている。
- ダンディライアン / ダンディライアンII
- TR-4 ダンディライアンやダンディライアンII用のエンブレム。フライパンの上で焼かれる白ウサギがモチーフで、フライパンは大気圏突入形態のダンディライアン、周囲の炎は大気圏突入時の高温を表している。ウサギの表情も他のエンブレムとは大きく異なっており、肋骨らしきものも描かれている。
- フライルー / フライルーII / ファイバー / ファイバーII
- TR-5 フライルー、フライルーII、ファイバー、ファイバーII用のエンブレム。耳がひと際大きな翼になった白ウサギをモチーフとしており、長大な槍を持っている。ギャプランTR-5は単機での高高度迎撃などを行う機体であるため、天罰を与えるために天空から降臨した天使をイメージしたものとなっている。デザインは2通りあり、初期のデザインでは槍の先にヒヨコらしきものが突き刺さっていたが、後に「ガンダムデカールDX 09」が発売された際にリデザインが行われ、刺さっている物が人参に変更されている。
- ハイゼンスレイ / ハイゼンスレイII
- ハイゼンスレイやTR-6 ハイゼンスレイII用のエンブレム。兜を装着したウサギの騎士がモチーフで、羽根兜のように耳が翼になっている。
- クインリィ
- TR-6 クインリィ用のエンブレム。機体名が示す通り、女王をモチーフとしており、ドレスと王冠、杖を身に着けた白ウサギが描かれている。左右に大きく広がった長い髪(耳)はウェポン・コンテナを表しているとも見て取れる。
- インレ
- 決戦兵器インレ用のエンブレム。耳が大きな翼になった黄色のウサギが描かれており、中央には赤い星が描かれているなど、ティターンズの鷹のエンブレムを模したデザインとなっている。実験動物のウサギが鷹へと生まれ変わったとも思える意匠だが、これは実験機であったTR計画機がティターンズの最終兵器であるインレとして完成した事を示している。
- ヘイズル・フレア
- TR-S ヘイズル・フレア用のエンブレム。全身に甲冑をまとった黒ウサギの騎士が大剣を突き出している。ウサギは影のような漆黒の体に赤い目や青い後ろ髪が際立っており、耳は翼になっている。ヘイズル・フレアの完成を見越して予め制作されていた。元となったデザインは元々ウーンドウォート用に描かれたラフであり、「ガンダムデカールDX 09」でヘイズル・フレア用のエンブレムとして完成した。
関連用語 [編集 | ソースを編集]
- マニキュア
- TRシリーズで使用されているマニピュレータ。各種テストの為のセンサーが内蔵されており、通常のマニピュレータと判別する為に指先が赤く塗られている。
- TRシリーズ共通新型ジェネレーター
- 次世代を見据えたハイブリットタイプのジェネレーター。TRシリーズの主に追加パーツ部分に主に補機として搭載されているが、ガンダムTR-6ではメインジェネレーターとして使用されている。内部は機密扱いになっており、解説でも「TOP SECRET」と記載されている[2]。
- ドラムフレーム
- 原動力を発生させるコアユニットを中心に、複数の円盤状のレールを重ね合わせドラム状にした構造体。拡張性や整備性に優れ、作業機械を始め様々な機械に用いられて来た事から「宇宙世紀の万能軸受け」とも呼ばれている。TR計画ではガンダムTR-6の機体構造の中心に組み込まれている。
- OMECHA (OMerectoronics and CHarkitecnics)
- コンペイトウの技術本部が用いているプロダクトマーク。本部謹製の兵器や装備、部隊章などに刻印されている。元ネタは藤岡建機氏の参加しているサークルから。
- ナムスド研
- グリプス戦役後、TR計画研究者を受け入れた研究機関。ブッホ・エアロダイナミクス社と共同でバーザムからバージムへの改修を行い、宇宙世紀107年にはサナリィに吸収された。
余談 [編集 | ソースを編集]
- 本計画で開発された機体にはそれぞれ独特なペットネームが付けられているが、これはイギリスの作家リチャード・アダムスによる児童文学「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」の登場キャラクターや専門用語が元ネタとなっている。T3部隊で用いられている部隊章にウサギがデザインされているのもそれに因んだものである。