「ムーバブルフレーム」の版間の差分

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[[ガンダムMk-II]]で本格導入され、以降の[[モビルスーツ]]に標準化されているフレーム構造。可動型内骨格、駆動式内骨格とも。[[ガンダリウム合金|ガンダリウムγ]]、[[リニアシート]]、[[全天周囲モニター]]とともに第二世代モビルスーツの必須条件とされている。
 
[[ガンダムMk-II]]で本格導入され、以降の[[モビルスーツ]]に標準化されているフレーム構造。可動型内骨格、駆動式内骨格とも。[[ガンダリウム合金|ガンダリウムγ]]、[[リニアシート]]、[[全天周囲モニター]]とともに第二世代モビルスーツの必須条件とされている。
  
それまでのモビルスーツは装甲が構造体を兼ねる[[モノコック]]構造(あるいは[[セミ・モノコック]])を前提に設計されていた。これは、ペイロードや生産性に優れるという利点はあったものの、装甲の破損状況によっては行動不能に陥る恐れがあった。また、機体の拡張性も低く、仕様変更が必要な場合には機体を支える装甲外殻の設計変更も必要になるなどのデメリットもあった。
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それまでのモビルスーツは装甲が構造体を兼ねる[[モノコック]]構造(あるいは[[セミ・モノコック]])を前提に設計されていた。これは、ペイロードスペース確保や生産性に優れるという利点はあったものの、装甲の破損状況によっては行動不能に陥る恐れがあった。また、機体の拡張性も低く、仕様変更が必要な場合には機体を支える装甲外殻の設計変更も必要になるなどのデメリットもあった。
  
一方、ムーバブルフレームは基本フレーム自体が自重を支える構造体として機能し、そこに装甲や武装を外装していく構造になっている。これによってモノコック構造を採用した機体と比較して高い整備性と拡張性を獲得。また、フレームと装甲が分離している事から、機体そのものの可動域も大幅に向上した。また、外装部を純粋な装甲としての機能に特化させられる分、装甲強度の向上や、軽量化にも貢献している。
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一方、ムーバブルフレームは基本フレーム自体が自重を支える構造体として機能し、そこに装甲・内装品・武装を付けていく構造になっている。これによってモノコック構造を採用した機体と比較して高い整備性と拡張性を獲得。また、フレームと装甲が分離している事から、機体そのものの可動域も大幅に向上した。また、外装部を純粋な装甲としての機能に特化させられる分、装甲強度の向上や、軽量化にも貢献している。
  
人間のように各部を連動させた動作を円滑に行う為にフレームそのものが制御システムによって統合制御されている。これはメインプロセッサーからのトップダウン式の命令のみならず、各部センサーやコ・プロセッサーからもたらされる情報をフィードバックするボトムアップ式も併用されている。
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人体の様に、あるいはそれ以上のレベルで各部を連動させた動作(特に可変機の変形モーション)を円滑に行う為にフレームそのものが制御システムによって統合制御されている。これはメインプロセッサーからのトップダウン式の命令のみならず、各部センサーやコ・プロセッサーからもたらされる情報をフィードバックするボトムアップ式も併用された双方向的な管制システムである。
  
類似技術として[[リック・ディアス]]などに採用されているブロックビルドアップ方式がある。これは[[アナハイム・エレクトロニクス社]]が[[アクシズ]][[ガザC]]のブロック構造から着想を得て発展させた技術であった<ref>資料によってはムーバブルフレームと同一とされる物もある。</ref>。
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類似技術として[[リック・ディアス]]などエゥーゴ系機体に採用されている[[ブロックビルドアップ]]構造がある。これは[[アナハイム・エレクトロニクス社]]が[[アクシズ]]製の[[ガザC]]のブロック構造から着想を得て発展させた機体構造技術であった<ref>資料によってはムーバブルフレームと同一ないしは初期形式のムーバブルフレームと解釈される場合も有る。</ref>。
  
 
== 登場作品 ==
 
== 登場作品 ==
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:モビルスーツ用の構造部材として[[サイコフレーム]]が登場。これを機体の一部に組み込む事で[[サイコミュシステム|サイコミュ]]の効率化や小型化が図られた。
 
:モビルスーツ用の構造部材として[[サイコフレーム]]が登場。これを機体の一部に組み込む事で[[サイコミュシステム|サイコミュ]]の効率化や小型化が図られた。
 
;[[機動戦士ガンダムUC]]
 
;[[機動戦士ガンダムUC]]
:技術進歩によって[[サイコフレーム]]で全身のムーバブルフレームを構成するフルサイコフレーム構造が確立されたが、サイコフレームの力の大きさが原因で技術の封印が決定される。
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:技術進歩によって[[サイコフレーム]]で全身のムーバブルフレームを構成するフルサイコフレーム構造が確立されたが、サイコフレームによるサイコミュ超常現象の規模などが原因で技術の封印が決定される。
 
;[[機動戦士ガンダムF90]]
 
;[[機動戦士ガンダムF90]]
:[[ガンダムF90]]がマイクロハニカム技術によって、ムーバブルフレームや装甲の断面が従来機の30%薄くなり、機体の軽量化を実現。
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:[[ガンダムF90]]がマイクロハニカム技術によって、ムーバブルフレームや装甲の断面が強度を維持したまま従来機の30%薄くなり、機体の軽量化を実現。
 
;[[機動戦士ガンダムF91]]
 
;[[機動戦士ガンダムF91]]
 
:本格的な第二期モビルスーツの時代。連邦や[[クロスボーン・バンガード]]の機体は基本構造にムーバブルフレームを採用しているが、[[ガンダムF91]]はMCA構造の採用によってより高密度な機体構造を成すようになっていった。
 
:本格的な第二期モビルスーツの時代。連邦や[[クロスボーン・バンガード]]の機体は基本構造にムーバブルフレームを採用しているが、[[ガンダムF91]]はMCA構造の採用によってより高密度な機体構造を成すようになっていった。
  
 
;[[機動戦士ガンダムSEED]]シリーズ
 
;[[機動戦士ガンダムSEED]]シリーズ
:作中に「ムーバブルフレーム」の語は登場しないが、[[ストライクガンダム]]などのGAT-Xシリーズが、共通技術で開発されたフレームを採用している設定。[[ガンダムアストレイ]]も、技術盗用によって同様のフレーム構造を採る。
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:世界観が違う為、作中に「ムーバブルフレーム」の語は登場しないが、[[ストライクガンダム]]などのGAT-Xシリーズが、共通技術で開発されたフレームを採用している設定。[[ガンダムアストレイ]]も、技術盗用によって同様のフレーム構造を採る。
 
;[[機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ]]
 
;[[機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ]]
:作中のモビルスーツは基本構造体となるフレームに装甲や武装を取り付けるなどムーバブルフレームを意識した構造になっており、プラモデル等でもそのシステムが再現されている。フレームの名称は「ガンダム・フレーム」や「グレイズ・フレーム」など機体名を冠する物も多い。
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:こちらも世界観が違う為「ムーバブルフレーム」の語そのものは登場しないが、作中のモビルスーツは基本構造体となるフレームに装甲や武装を取り付けるなどムーバブルフレームを意識した構造になっており、プラモデル等でもそのシステムが再現されている。フレームの名称は「ガンダム・フレーム」や「グレイズ・フレーム」など機種名を冠する物も多い。
 
== 関連用語 ==
 
== 関連用語 ==
 
;[[コアブロックシステム]]
 
;[[コアブロックシステム]]
 
:MS用の緊急脱出システム。ムーバブルフレームは、本システムの制御系を機体の四肢に延長させるという発想から実現したと言われている。
 
:MS用の緊急脱出システム。ムーバブルフレームは、本システムの制御系を機体の四肢に延長させるという発想から実現したと言われている。
 
;[[全天周囲モニター]]/[[リニアシート]]
 
;[[全天周囲モニター]]/[[リニアシート]]
:ムーバブルフレーム方式の機体の大半で採用されているコクピット方式。ガンダリウムγの採用とともに第二世代モビルスーツの必須条件となっている。
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:ムーバブルフレーム方式の機体の大半で採用されているコクピット方式。ガンダリウムγの採用と共に第二世代モビルスーツの必須条件技術となっている。
 
;[[ガンダリウム合金|ガンダリウムγ]]
 
;[[ガンダリウム合金|ガンダリウムγ]]
 
:アクシズで開発されたガンダリウム合金系の新素材。これによってMSの装甲は軽量化と強度確保の両立が可能となった。
 
:アクシズで開発されたガンダリウム合金系の新素材。これによってMSの装甲は軽量化と強度確保の両立が可能となった。

2019年7月19日 (金) 19:38時点における版

ムーバブルフレーム(Movable Frame)

ガンダムMk-IIで本格導入され、以降のモビルスーツに標準化されているフレーム構造。可動型内骨格、駆動式内骨格とも。ガンダリウムγリニアシート全天周囲モニターとともに第二世代モビルスーツの必須条件とされている。

それまでのモビルスーツは装甲が構造体を兼ねるモノコック構造(あるいはセミ・モノコック)を前提に設計されていた。これは、ペイロードスペース確保や生産性に優れるという利点はあったものの、装甲の破損状況によっては行動不能に陥る恐れがあった。また、機体の拡張性も低く、仕様変更が必要な場合には機体を支える装甲外殻の設計変更も必要になるなどのデメリットもあった。

一方、ムーバブルフレームは基本フレーム自体が自重を支える構造体として機能し、そこに装甲・内装品・武装を付けていく構造になっている。これによってモノコック構造を採用した機体と比較して高い整備性と拡張性を獲得。また、フレームと装甲が分離している事から、機体そのものの可動域も大幅に向上した。また、外装部を純粋な装甲としての機能に特化させられる分、装甲強度の向上や、軽量化にも貢献している。

人体の様に、あるいはそれ以上のレベルで各部を連動させた動作(特に可変機の変形モーション)を円滑に行う為にフレームそのものが制御システムによって統合制御されている。これはメインプロセッサーからのトップダウン式の命令のみならず、各部センサーやコ・プロセッサーからもたらされる情報をフィードバックするボトムアップ式も併用された双方向的な管制システムである。

類似技術としてリック・ディアスなどエゥーゴ系機体に採用されているブロックビルドアップ構造がある。これはアナハイム・エレクトロニクス社アクシズ製のガザCのブロック構造から着想を得て発展させた機体構造技術であった[1]

登場作品

機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
コアブロックシステムを有するガンダム試作1号機の四肢を駆動させる為にムーバブルフレームの前身的技術が取り入れられている[2]。また、ジム・クゥエルも腕部に限定した形で同様の技術が採用された。
ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに
ガンダムTR-1[ヘイズル2号機]のトライ・ブースター・ユニットに前身技術が取り入れられている。
機動戦士ゼータガンダム1/2
ガンダムMk-IIハーフガンダムの実弾訓練の際、フランクリン・ビダンが装甲と駆動部を分離させた事で機体の生存性を向上させているとする旨の発言をしている。
機動戦士Ζガンダム
初出作品。ガンダムMk-IIの機体構造に採用されたのを皮切りに、エゥーゴティターンズ双方の機体にまたたく間に普及した。特に可変モビルアーマー可変モビルスーツの場合、可変機構を組み込む際にその構造が大いに活用された。
ガンダム・センチネル
ムーバブルフレームを使用した機体の中でも特に高度な拡張性を発揮した機体としてSガンダムが登場。機体の基礎を兼ねるのみならず、武装やオプションパーツをフレームを介して接続・換装する方式を取っていた。
機動戦士ガンダムΖΖ
アナハイムとの取引によって技術がネオ・ジオンに渡り、ムーバブルフレームを採用したジオン系の機体が多数開発された。
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
モビルスーツ用の構造部材としてサイコフレームが登場。これを機体の一部に組み込む事でサイコミュの効率化や小型化が図られた。
機動戦士ガンダムUC
技術進歩によってサイコフレームで全身のムーバブルフレームを構成するフルサイコフレーム構造が確立されたが、サイコフレームによるサイコミュ超常現象の規模などが原因で技術の封印が決定される。
機動戦士ガンダムF90
ガンダムF90がマイクロハニカム技術によって、ムーバブルフレームや装甲の断面が強度を維持したまま従来機の30%薄くなり、機体の軽量化を実現。
機動戦士ガンダムF91
本格的な第二期モビルスーツの時代。連邦やクロスボーン・バンガードの機体は基本構造にムーバブルフレームを採用しているが、ガンダムF91はMCA構造の採用によってより高密度な機体構造を成すようになっていった。
機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
世界観が違う為、作中に「ムーバブルフレーム」の語は登場しないが、ストライクガンダムなどのGAT-Xシリーズが、共通技術で開発されたフレームを採用している設定。ガンダムアストレイも、技術盗用によって同様のフレーム構造を採る。
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
こちらも世界観が違う為「ムーバブルフレーム」の語そのものは登場しないが、作中のモビルスーツは基本構造体となるフレームに装甲や武装を取り付けるなどムーバブルフレームを意識した構造になっており、プラモデル等でもそのシステムが再現されている。フレームの名称は「ガンダム・フレーム」や「グレイズ・フレーム」など機種名を冠する物も多い。

関連用語

コアブロックシステム
MS用の緊急脱出システム。ムーバブルフレームは、本システムの制御系を機体の四肢に延長させるという発想から実現したと言われている。
全天周囲モニター/リニアシート
ムーバブルフレーム方式の機体の大半で採用されているコクピット方式。ガンダリウムγの採用と共に第二世代モビルスーツの必須条件技術となっている。
ガンダリウムγ
アクシズで開発されたガンダリウム合金系の新素材。これによってMSの装甲は軽量化と強度確保の両立が可能となった。
サイコフレーム
サイコミュとしての機能を持ったマイクロチップを組み込んだ構造部材。ムーバブルフレームの一部に組み込まれて使用される場合が殆どだが、ユニコーンガンダムのように全身をサイコフレームで構成するフルサイコフレーム構造を採用した機体や、現場改修で外装部にサイコフレームを取り付けたナラティブガンダム C装備のような例も存在する。
ドラムフレーム
アッシマーガンダムTR-6に用いられているドラム状の構造体。信頼性と拡張性に優れるシステムで、ムーバブルフレームと折衷させた機体も存在する。

リンク

脚注

  1. 資料によってはムーバブルフレームと同一ないしは初期形式のムーバブルフレームと解釈される場合も有る。
  2. ただし、ガンダム開発計画そのものが闇に葬られており、ブロックビルドアップの設定も加味した場合ここで培われた技術は封印されたものと思われる。