「リック・ディアス」の版間の差分
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腕部は既存のMSの機能を集約し、トルクと反応速度は当時のMSの平均的スペックを上回っている。基本的に、ほとんどの装甲は基礎フレームから浮いた状態で可動に干渉しないよう配慮されており、この構造はのちの機体にも影響を与えた。 | 腕部は既存のMSの機能を集約し、トルクと反応速度は当時のMSの平均的スペックを上回っている。基本的に、ほとんどの装甲は基礎フレームから浮いた状態で可動に干渉しないよう配慮されており、この構造はのちの機体にも影響を与えた。 |
2023年6月23日 (金) 23:49時点における版
リック・ディアス | |
---|---|
外国語表記 | Rick Dias |
登場作品 |
|
デザイナー | 永野護 |
スペック | |
---|---|
開発コード |
MSA-099 γガンダム |
分類 | 攻撃用量産型モビルスーツ |
型式番号 | RMS-099 |
頭頂高 | 18.7m |
全高 | 21.6m |
本体重量 | 32.2t |
全備重量 | 54.7t |
主動力 | 熱核融合炉 |
ジェネレーター出力 | 1,833kW |
スラスター総推力 | 74,800kg |
装甲材質 | ガンダリウムγ |
センサー有効半径 | 11,500m |
開発組織 | アナハイム・エレクトロニクス社 |
所属 | エゥーゴ |
主なパイロット |
クワトロ・バジーナ アポリー・ベイ ロベルト アムロ・レイ 他 |
概要
エゥーゴとアナハイム・エレクトロニクス社の旧ジオン系技術者が共同開発[1]した攻撃用重モビルスーツ。その外観は旧ジオン軍の重MS「リック・ドム」を思わせるものになっているが、基本構造は連邦系の技術も融合されている。本来の型式番号はMSA-099だが、地球連邦軍の目からエゥーゴの動向を欺くためにRMS-099とされた。
機体にはクワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)を通じてアクシズから提供された技術が導入され、MSとしては初めて装甲材にガンダリウムγを採用。ガンダリウムγの使用により旧世代の機体に比べ大幅な軽量化が達成され、重量軽減分を推進剤に割いており、また各部スラスターやバインダーによって大幅な機動力の向上を実現している。
機体構造はガザCのブロック構造を発展させたブロックビルドアップ構造[2]を採用。頭部にコクピットブロックと制御系を、腹部に動力系の中枢を分散配置する。コクピットは脱出用のイジェクションポッドを兼ね、脱出を確実にするために意図的に頭部を爆破する機構もあった。
頭部にはメインカメラとして公国軍が開発したモノアイを多機能化したユニットが採用されている[3]。このモノアイは、走査した超広角画像を補正し、直視に近い画像を全天周囲モニターに投影する他、露出する可動部が少ないため、耐弾性・整備性に優れる。
腕部は既存のMSの機能を集約し、トルクと反応速度は当時のMSの平均的スペックを上回っている。基本的に、ほとんどの装甲は基礎フレームから浮いた状態で可動に干渉しないよう配慮されており、この構造はのちの機体にも影響を与えた。
ガンダリウムγを使用した事からは当初は「ガンマガンダム」のコードネームをエゥーゴ指導者ブレックス・フォーラ准将から与えられていたが、その外見を見たクワトロによって宇宙用の機体を意味する「リック」と喜望峰の発見者「バーソロミュー・ディアス」[4]を組み合わせて「リック・ディアス」と名付けられた。
当初は赤いカラーリングのクワトロ用の先行量産機[5]と黒いカラーの一般機が存在していたが、クワトロが百式に乗り換えて以降はクワトロの活躍にあやかり一般機の大半も赤いカラーリングに変更された[6]。
ガンダムMk-IIと比べても互角と言われる程の優れた性能を秘めており、ティターンズの新鋭モビルスーツとも対等に渡り合っている。技術的にはガンダムMk-IIと対称的な部分が多い為かMk-II開発者の一人であるフランクリン・ビダンは自分の開発したMk-IIよりこちらを褒める様な発言をしており、性能は両陣営の技術者が認める所であった。しかし生産コストが高く、量産は士官用の少数に留まった。
カラーバリエーション
- 一般機 (黒)
- 全身が黒く塗装されている一般カラー。落ち着いた全身の黒色に対し、赤く塗装された頭頂部がいいアクセントになっている。
- クワトロ機
- かのシャア・アズナブルであるクワトロに合わせ、赤く塗装された先行量産機。一般カラーでは黒だった部分の大半が赤く塗装されている。一般機に比べ性能が若干上回るとされているが、フランクリン・ビダンによる強奪時に大破したため最終的なスペックについては不明となっている。
- 一般機 (赤)
- クワトロ機と同様のカラーに塗装された一般機。上述の通り、クワトロが百式に乗り換えた後、主にアーガマ隊所属機が同様のカラーに塗装された。
- アスナ機
- アスナ・エルマリートが搭乗した機体。装甲が白く塗られているのが特徴。
- ガトー機と思わしき機体
- 『ガンダムトライエイジ』のカード「BG3-005 ガンダム試作2号機」のイラストに掲載されているアナベル・ガトーが乗っていると思わしきIF機体。彼のパーソナルカラーである青と緑に塗装されている。
- グリーンカラー
- 『ビルドファイターズ』第3話に登場した緑色の機体。ビーム・ピストルを二挺連結した状態で右腕に装着している。
- 第七機甲師団所属機
- 『ビルドダイバーズ』のプロローグなどに登場する白い機体。
登場作品と操縦者
- 機動戦士Ζガンダム
- 初出作品。クワトロ・バジーナやアポリー・ベイ、ロベルトなどアーガマ隊に所属するパイロット達が搭乗し、第1話から終盤までエゥーゴを象徴するモビルスーツとして活躍した。ロベルト戦死後はアーガマにアポリー率いるリック・ディアス隊が結成されている。
- 序盤ではクワトロ、地上編ではアムロが搭乗しており、長いガンダムの歴史の中で、アムロとシャアが共通して搭乗した事がある初のMSとなった。
- 機動戦士ガンダムΖΖ
- 第4話に数カットのみ登場。アーガマ格納庫内に2機待機していた。貴重な戦力のはずだが、登場したのはこのシーンのみであり、実際に出撃する事は無かった。
- ガンダム Gのレコンギスタ
- 第2話に登場。キャピタル・ガード養成学校の学術研究ライブラリー内に前世紀のクラシック・コレクションの1つとして展示されていた。
- ガンダムトライエイジ
- カード「BG3-005 ガンダム試作2号機」にガトーの搭乗機と思わしき青と緑に塗られた機体が描かれている。
- 機動戦士ガンダムNT (漫画版)
- 第13話~第14話でコロニー・メーティスのコロニー防衛隊の1機として登場する。シナンジュ・スタインと交戦するも至近距離からのバルカン砲を受け撃墜された。ただ、撃墜の描写に監修ミスと見られる箇所が見られる(余談の項を参照)。
- 機動戦士ガンダム サンダーボルト
- 第3部にてルナツーでの視察が予定されていた機体の1つとして「ガンマ・ガンダム」の名前が登場。その後、第165話にてAE社が製造中の機体の1つとしてリック・ディアスの実機も登場した。
装備・機能
特殊機能
- ライドレーザーラック
- リック・ディアスはバックパックを持たず、代わりにバインダーの接続部と携行兵装のマウントを兼ねたライドレーザーラックと呼ばれる機構を持つ。ビーム・サーベル、クレイ・バズーカ、ビーム・ピストルをマウントするウェポンプラットホームとしての機能を有し、両端のクランクマウントにはバインダーを接続する。
- マルチプル・ディスチャージャー
- マニピュレータの付け根にある多目的ランチャー。トリモチやダミーバルーン、信号弾等を発射可能。
武装・必殺攻撃
- バルカン・ファランクス
- 頭部に内蔵されている近接防御用の実体弾機銃。使用時には頭頂部のヘッドカバーを開き、砲身を展開する。名称の由来となったのは古代の重装歩兵による密集陣形と、それを語源とする旧世紀の防空火器システムで、本兵装も後者と同じく近接防御に主眼を置いている。
- ビーム・サーベル
- ライドレーザーラックに1基マウントされる近接戦闘用兵装。出力は0.4MW。本機のために開発された新設計デバイスが用いられたとされているが、性能自体は既存の物と大差無い。ビーム発振ユニットの歩留まりが安定していたため、同様の装備をネモや百式も装備する。
- BP-L-86 ビーム・ピストル
- 背部ライドレーザーラックに2挺マウントされている[7]ビーム射撃火器。百式のライフルと同型のスネイル型Eパックが採用され、通常は二挺を装備する。一般的なビーム・ライフルとは異なりビームをパルス状に射出する。エネルギーロスが少なく、射線から自機の位置を測定されづらいという特徴があった。また、ラック収納状態のまま手に持たずに背面に発射する事もでき、射角は限られるが即応性の高い火器として機能した。
- AE/ZIM.C-BAZ-531 300mmクレイ・バズーカ
- リック・ディアスの主兵装として運用されたMS用携行無反動砲。エゥーゴの汎用バズーカとしてAEツィマットで開発された。敵機の鹵獲を重視するエゥーゴの初期戦術に沿って、敵機そのものではなく内部破壊による動作不良を目的とした粘着榴弾が多用された事から「クレイ(粘土)」の名称がつけられた。
カートリッジ方式を採用し、散弾や通常弾[8]も発射可能。装弾数は7+1発とも、5発とも言われている。
非使用時にはバインダー取付部のクランクにマウントされる。
その他
対決・名場面
機動戦士Ζガンダム
- 対アッシマー
- 第16話「白い闇を抜けて」にて。ブラン・ブルタークのアッシマーに対し、カミーユのガンダムMk-IIとアムロのリック・ディアスが交戦する。この戦闘はアムロの搭乗するリック・ディアスの独壇場で、アムロの優れた技量がブランのアッシマーを追い詰めていく。窮地に立たされたブランはカミーユのMk-IIに取り付き、ビームサーベルを奪ってカミーユを道連れにしようとするが、アムロがアッシマーの右腕を切断し、続け様に胸部にサーベルを突き刺して撃墜した。
関連機体
別仕様・パーソナルカスタム機など
- リック・ディアス[シュトゥッツァー]
- 試作された追加装備「シュトゥッツァー・ユニット」を装着した機体。
- リック・ディアス[デルフォイ所属機]
- サラミス改級デルフォイに配備された機体。バインダーが両腕にも装備されている。
系列機・派生機など
- プロトタイプ・リック・ディアス
- 本機の試作型。
- シュツルム・ディアス
- リック・ディアスの強化型。一説には強襲型として開発されていたと言われている。
- リック・ディアスII
- 本機の性能向上を目指して開発された機体。
- レッテン・ディアス
- 本機をニュータイプ専用に改修した機体。
- リック・ディアスS
- 強化型バックパック「Dディフェンサー」との合体機能を有する試作機。
- スーパーディアス
- リック・ディアスSとDディフェンサーの合体形態。
開発関連の機体
- ガンダム試作2号機
- 本機の開発データがリック・ディアスに活かされている。
- ドワス改
- 一年戦争後、AE社に渡った本機が上述のプロトタイプ機を経て本機リック・ディアスの原型になったとされている。
- ネモ
- 本機と百式の開発を経て設計された基本フレームを採用している。肩部形状に類似点が見られる。
その他
- グラ・ディアス
- 宇宙戦国時代のミキシングビルドモビルスーツの1機。本機の上半身が使用されているが、センサーは頭頂部に別の物が備わっている。
- ブレイク・ディアス
- 『ガンダムブレイカー3』に登場する本機のビルドカスタム機。
- ビルドΓガンダム
- 『ガンダムビルドダイバーズ ブレイク』に登場する本機のビルドカスタム機。
余談
- イジェクションポッドを兼ねた頭部コックピットを有する本機だが、『Ζ』劇中ではどういう訳か、胴体に直撃弾を受けたのにも関わらず脱出機能が作動しないまま機体ごと爆散する描写が多々見られる[9]。劇中で唯一、脱出描写が描かれたのはエマ機(第21話)のみである。
- 月刊ガンダムエース2020年4月号に掲載された機動戦士ガンダムNT (漫画版)第14話においてシナンジュ・スタインと交戦し、撃墜されるシーンがあるのだが、明らかにコクピットが胴体にあるような描写で描かれてしまっている[10]。同作では同様にディジェのコクピットも胸部にある描写がなされており、おそらく監修ミスの可能性が高い。この事はネット上でも指摘されており、これを受けて同誌の2020年8月号では大森氏がコメントで単行本で修正する旨を伝え、胴体を攻撃するコマを切り詰め、隣に頭部を続けて攻撃するコマが追加された。
- 余談ではあるが、『機動戦士Ζガンダム (小説版)』第一部ではリック・ディアスのコックピットが腹部に存在する記述が見られる。
商品情報
ガンプラ
フィギュア
リンク
脚注
- ↑ アナハイムグラナダ工場のZIONIC系開発陣(第2開発事業部)と先進開発事業部(クラブ・ワークス)が同時に開発に携わった共作でもある。
- ↑ ムーバブルフレームとはコンセプトが一致している為「最初期のムーバブルフレーム」と解説される事もある。事実、ムーバブルフレームの基礎はリック・ディアス以前の機体にも採用されている。なお、アクシズとの接触は全天周囲モニターとブロック構造との技術交換であったと言われている。
- ↑ ガザ系の物に類似しており、技術的な交流を伺わせる。
- ↑ クワトロが機体の外見を見て初代ガンダムに申し訳がないと感じたことが由来とされる。また、この名前にはエゥーゴの活動が折り返し地点に到達したという意味が含まれている。
- ↑ この「先行量産機」は機体構造の一部を変更しチューンナップが施されており一般機に比べ性能が若干上回ると一部資料で解説されている。
- ↑ 全機がリペイントされた訳ではなく、黒カラーの機体も一部で運用されている。また、パイロットや部隊毎にパーソナルカラーを採用した機体も存在する。
- ↑ マウント時はEパックへの粒子リチャージも行われる
- ↑ 一部資料で「通常弾=HEAT弾」と解説されている。
- ↑ フランクリン・ビダン、ロベルト、アポリー・ベイ、バッチが該当。
- ↑ 流れとしては「シナンジュが頭部を抑える→胴体を頭部バルカンで攻撃→パイロットが蜂の巣に→沈黙」。また、ガンダリウムγ製の装甲が頭部バルカンでいとも容易く撃ち抜かれるという描写にも疑問点が見られる。