ガンダムNT-1

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ガンダムNT-1
外国語表記 Gundam NT-1
登場作品 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
デザイナー 出渕裕
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スペック
通称 アレックス
分類 ニュータイプ専用試作型モビルスーツ
生産形態 試作機
型式番号 RX-78NT-1
頭頂高 18.0m
本体重量 40.0t
全備重量 72.5t
主動力 熱核融合炉
ジェネレーター出力 1,420kW
スラスター総推力 174,000kg
姿勢制御バーニア数 19
装甲材質 ルナ・チタニウム合金
センサー有効半径 5,900m
開発組織 地球連邦軍
開発拠点 オーガスタ基地
所属組織
所属部隊 G4実験部隊
主なパイロット
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概要[編集 | ソースを編集]

ガンダムの実戦データを元に、地球連邦軍オーガスタ基地ニュータイプ専用機として再設計したモビルスーツ。一説には「G-4計画」と呼ばれるプロジェクトに組み込まれていたとも言われる。「アレックス」の通称を持ち、これは型式番号の「RX」をもじったものとも、「Armor Layered EXamination=装甲積層試験」の略とも言われている。

開発は宇宙世紀0079年8月から始まり、その翌月にはホワイトベース隊からもたらされたアムロ・レイのデータも参考とされた。これらのデータを活かして開発されたNT-1は、連邦軍のNT感が色濃く現れていた。ジオン公国に比べてNT研究は大きく遅れていた当時の地球連邦軍は、NTの存在に懐疑的だった事もあり、感応波のようなNT特有の能力や、それを兵器に転用するといった発想には至らず、「常人離れした高い反応速度」に注目しているのみであった。開発そのものは極秘裏に進められていたため、アレックスには正規の軍事行動ではない事を示す「U.N.T=Under Normal Tactical(非通常戦術)」と「SPACY=SPecal Assortment Construction Yard(特別分類建造場)」のマーキングが施されている[1]

ニュータイプとされるパイロットの能力を活かすため、全天周囲モニターリニアシートといった新技術が投入されている。更に設計段階からマグネットコーティングを採用した事で、既存の機体の3倍以上の反応速度を獲得するに至った。また、ジェネレーター出力も約30%の強化がなされた他、装甲も従来の一体成型から積層型への変更により、関節部の可動域の拡大に成功している。他にも、ランドセルのスラスターの大型化や肩部をはじめ全身各所に姿勢制御用バーニアやスラスターを増設する事により、高度な機動性と運動性が付与されている。

頭部は部品調達の問題の他、制御系統のコンセプトの刷新などの理由により、ガンダムのシルエットを模しつつもほぼ別系統のユニットになっており、各種デバイスやセンサー類は機能を維持したまま小型化され、新システムのモニターに対応した空間走査用の端末が追加実装されている。これらの新規の部品調達にはケベックオンテックやコロラドサーボ、ノーフォーク産業など後にアナハイム・エレクトロニクス社の関連企業となる企業が参与している。

腕部もガンダムなどの試作機の実戦投入によって得られた運用データが反映されている。特に携行武装の消耗、損壊した場合の戦闘能力の低下を指摘する声があったため、固定武装を追加装備する試みとして腕部フィールド・モーターを小型化し、内部に90mmガトリングが装備されている。また、当初からフルアーマーオペレーションを想定した機体であったため、機体の機動性を損なわないよう、脚部には公国軍系MSの多くが採用していた「脚部自体を巨大なバーニアユニットに見立てる」というコンセプトを援用し、レッグユニットにサブスラスターとプロペラントタンクを一体化したユニットを装着している。これは、ガンダムの実働データから脛部分の応力解析が進み、予想されていた金属疲労係数が当初危惧されていた機体損壊をもたらすほどのものでないことが判明したため採用された経緯があり、[2]その検証実験の意味もあって大容量のプロペラントタンクが標準で実装されている。

アレックスは従来の教育型コンピュータを更に高度化した「NICNシステム」を搭載し、その自己学習型AIの機能によって機体制御を統括している。また、ナビゲート・システムのプロセッサを3基に増設する事でキャパシティを強化した結果、一般的なパイロットでは扱いきれないほどの反応速度を実現した。

こうして完成したアレックスは、反応性を除きニュータイプ専用機としては特筆すべき点の無い機体であった。しかし、極めて高い基本性能と、第2世代MSへと繋がる技術が投入された点においては大きな役割を果たし、その基本構造は戦後に生産されたジム系の機体に積極的に採用され、俗に「オーガスタ系」と呼ばれる機体系統を生み出した。

オーガスタ基地での建造後、北極からサイド6リボー・コロニーへ移送され、そこでアムロ・レイの搭乗を前提とした調整が行われた後、星一号作戦に投入される予定だったが、サイクロプス隊との戦闘で大破。戦場でその性能を発揮する機会を失った機体は、修復の為にルナツーへと送られ、ホワイトベース隊に届けられる事が無いまま終戦を迎えた。なお、機体はその後オーガスタへと送られ、後にトリスタンと呼ばれる機体の雛形となった。

登場作品と操縦者[編集 | ソースを編集]

機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
初登場作品。テストパイロットとしてクリスチーナ・マッケンジーが搭乗し、本機を敏感過ぎると評している。一応、主役機ではあるが、物語中盤まではパーツ状態での登場に留まり、物語終盤になってようやく起動するという、それまでの主役ガンダムとは一風変わった立ち位置にある。
機動戦士SDガンダム MARKーIV
同作に収録されている『夢のマロン社・宇宙の旅』に登場。『0080』以前の設定であるRX-78 ガンダムのリデザイン機として登場している。カラーリングはガンダムと同様のトリコロールカラーで、ガンダムのビーム・ライフルとシールドを装備、ガトリング砲未装備、脚部スラスターや肩部のフック状のパーツが無い等、本来のアレックスと異なる部分がある。
機動戦士ガンダム カタナ
反連邦組織「シン・フェデラル」によって新造された赤いNT-1が登場。フルアーマー・アレックス状態で運用されたが、連邦軍特殊部隊『BGST』に鹵獲された際に増加装甲を外され、ムラサメ研究所から取り寄せたパーツを使いネティクスへと改修された。
機動戦士ガンダム Twilight AXIS
改修機であるガンダムAN-01"トリスタン"の登場に伴い、一年戦争後の経歴が新たに設定された。

装備・機能[編集 | ソースを編集]

特殊機能[編集 | ソースを編集]

教育型コンピュータ
ガンダム等に搭載されている教育型コンピュータの発展形であるNICNシステムを搭載。機体制御の統括を自己学習型AIに担わせていた。
マグネットコーティング
フィールド・モーターの反応速度を向上させる為に駆動系に処理された磁気塗膜。ガンダムとは異なり設計段階から採用され、従来の3倍以上の反応速度を実現している。
全天周囲モニター
パイロットの周囲を取り囲むように配置された全周モニター。当初の目的としては搭乗者の死角をなくすという目的で開発されたものだが、パイロット自身がMSそのものであるかのような視点を得ることが可能である事が判明し、ニュータイプ能力の発露に有効ではないかと考えられ、採用された。球形のコクピットブロックそのものが脱出、あるいは機密された生存用のブロックとしての機能も搭載されている。
チョバムアーマー
アレックス用に開発された追加装甲。被弾時に破壊される事で衝撃を吸収し、本体へのダメージを軽減する為の装備。

武装・必殺攻撃[編集 | ソースを編集]

頭部バルカン砲
60mm口径の実体弾を射出する近接戦闘用の固定兵装。連邦製MSの標準兵装となっている。弾頭の形状や素材、炸薬が異なる新仕様だったとする説がある。
腕部ガトリング・ガン
左右の両前腕部に内蔵された90mm口径の射撃兵装。駆動部のフィールド・モーターが小型化され、内部スペースが確保された事で搭載が可能になった固定兵装。隠し武器としての性格が強く、装弾数も多くはないが、MSの装甲を容易に貫通する威力を有している。携行兵装の補助として有用性は高かったものの、複雑な構造から整備性とコストの問題があったため、一般的な兵装にはならなかった。ただし、後に同様の機構を持つ公国系の機体もあったことから、その有効性は無視できないだろうとも言われている。
Blash・XB-B-09 ビーム・サーベル
近接格闘用装備としてバックパックに2基を装備。ビーム刃の発振部の形状が従来とは異なる新仕様とされている。非使用時はランドセル上部にマウントされ、そのコネクター部がブラッシュ社製だった事が発振部の形状変更の理由だったと言われている。
Bauva・Norfolk XBR-L Type-3 ビーム・ライフル
ビームの収束装置やユニットなどに独自のデバイスが用いられた専用ビーム・ライフル。性能や形状が独特のものになっている。ビーム発振器はボウワ社製だが、収束装置とハウジングはノーフォーク産業が担当。リボ―・コロニーでの最終調整に間に合わず、戦闘では使用される事はなかった。
形状は実在のアサルトライフル「FAMAS」に類似しており元ネタの可能性がある。
RX・C-Sh-05 UBC/S-0003 シールド
オーガスタの開発陣が、チョバム・アーマーの構造を流用したものに耐ビームコーティングを施したシールド。ビームコーティングの基本レシピはのちのGPシリーズ等の一部の連邦系機体にも流用された。上部にはなぐり書きのような字体で「ALEX」の文字がマーキングされている。バズーカ、ライフルと同じく戦闘で使用される事はなかった。
ガンプラ「MG 1/100 ガンダムNT-1 Ver.2.0」では新たにシールドの青い部分が展開するギミックが追加されており、シールドを保持したままガトリング砲の発射が可能となっている。後にアニメ『ビルドダイバーズRe:RISE』に出演した際にもこのギミックが使用されていた。

その他 [編集 | ソースを編集]

ハイパーバズーカ
本機専用のバズーカ。連邦軍で運用されているハイパーバズーカをベースにスコープ付きの防楯が追加されている。元々は模型誌「月刊モデルグラフィックス」Vol.61の模型作例用に明貴美加氏が描き下ろした武器であり、設定資料で本機の設定画と共に掲載される事もある他、立体物やゲーム作品で本機の武装として採用されるケースがある。
ビーム・ライフル (ガンダム用)及びガンダムシールド
ガンダムの携行装備。『夢のマロン社』に登場した機体が使用。
専用ショットガン (ケンプファー用)
ケンプファーの主兵装。『ビルドダイバーズRe:RISE』第1話でアカツゲーと交戦したモブダイバーの機体が使用。

対決・名場面[編集 | ソースを編集]

ケンプファー
『0080』第4話より。ジムや量産型ガンキャノンを次々と撃墜したケンプファーと対決。チョバムアーマーを着込んだ状態で戦う。チェーンマインの直撃を受けるものの、アーマーとアンテナを破壊されただけで、返り討ちにしてしまった。
ザクII改
『0080』最終話。市街地での戦闘を避けるため、ザクII改の誘いに乗り森林地帯で戦闘を行う。しかし、相手のパイロットがバーニィだとは気付かずに…。

関連機体[編集 | ソースを編集]

装備バリエーション・別形態[編集 | ソースを編集]

ガンダムNT-1 (チョバムアーマー装着型)
本機にチョバムアーマーを装着した形態。
フルアーマー・アレックス
フルアーマーガンダムと同様のコンセプトを反映し、武装強化を兼ねた装甲を装備した形態。

別仕様・改修機[編集 | ソースを編集]

ガンダムNT-1プロト
オーガスタ基地がアレックスの移送後に、データ収集のために建造した同一仕様の実用試験機。ジムに準じた視認偽装が施されている。
ガンダムNT-2
アレックスの仕様変更機。外観に変化はないが、グレーと青の2色で塗装され、コア・ファイター採用を前提とした設計のために全天周囲モニターではなく、通常型のコックピットとなっている。
ガンダムAN-01"トリスタン"
アレックスをベースに、ブッホ・コンツェルンが改修を加えた機体。組織が擁する特殊部隊「バーナム」の指揮官機。

系列機・派生機[編集 | ソースを編集]

G-3ガンダム
下地となったと言える機体。
NT専用プロトタイプガンダム
アレックスをベースにムラサメ研究所が開発した機体。
ネティクス
『GGENERATION』シリーズのオリジナル機体。アレックスの発展機でニュータイプ専用機。

技術的関与のある・疑われる機体[編集 | ソースを編集]

ジム・カスタム / ジム・クゥエル
アレックスのデータをフィードバックして開発されたジム系列機。
ジム・キャノンII
チョバム・アーマーの概念を採り入れた装甲を採用したジム・キャノンの後継機。

その他[編集 | ソースを編集]

ガンダム4号機
RX-78シリーズの4号機。本機も当初は同様の設定だったが、この機体の存在により変更を余儀なくされている(後述)。資料によってはガンダム5号機も含めG-4計画の機体に位置づけられている。
ガンダムGT-FOUR
G-4計画において空軍主体で開発された可変機。
陸戦型ガンダム
この機体にガンダムの試験データを反映させ再設計したのが本機とする資料が存在する。

余談[編集 | ソースを編集]

  • 元々、本機は「ガンダム4号機」として設定された機体であったが、本機以前に『M-MSV』でガンダム4号機が設定されていたため設定が重複してしまい、設定を変更した上でNT-1へと改訂された。機体各部にある「4」の表示や所属部隊名(G4部隊)などにその頃の名残が見られる。
  • 一部資料には「ガトリング砲などは試験用の装備であり、ホワイトベースへ受け渡した際に外される予定だった」という記述があるが、ガトリング砲を装備していない本機として『夢のマロン社』に登場したリデザイン版ガンダムが挙げられる。可能性の話ではあるが、同機を意識して設定された記述、と考えてみると面白いかもしれない。

商品情報[編集 | ソースを編集]

ガンプラ[編集 | ソースを編集]

フィギュア [編集 | ソースを編集]

リンク[編集 | ソースを編集]

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. この表記はある時期の連邦軍における極秘計画のコードとして使用されていたモノで、後の80年代まで使用されたと言われている。この表記自体はアレックスが搬出るされる際に旧国連宇宙戦術局(U.N.T.S.)を偽装したものだとも言われている。
  2. 当時の連邦系MSの多くがいわゆる「脹脛」状のシルエットを持つのは、それより下にプロペラントタンクを装備するのは危険だと考えられていたためで、事実上それが杞憂であった事が証明された形となる。