ヴェスバー

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ヴェスバー (V.S.B.R.)[編集 | ソースを編集]

サナリィが開発した可変速型ビーム・ライフル(Variable Speed Beam Rifle)。その名の通り、ビームの射出時に加速器側から粒子に干渉し、その射出速度と収束率を無段階連続帯域レベルで調節する機能が盛り込まれている。メガ粒子砲は射出時の磁場干渉などによって初速・貫通力・爆発力などが大きく変化する性質があり、ヴェスバーはこれをリアルタイムで適切な形にアジャストすることによって、発射効率を最適化するシステムである。この機能によって低速・低収束だが破壊力に優れるビームから高速・高収束で貫通力の高いビームまでその性質を変更し必要に応じて撃ち分けることが可能であり、最適な調整を行えればU.C.120年代の戦艦主砲クラスの威力を効率よく発揮できる。

ガンダムF89で理論検証段階の物が開発され、その後宇宙世紀0112年2月にロールアウトしたガンダムF90-Vタイプで初の実用化を見た後、F90の後継機であるガンダムF91には更にその改良型が標準装備されているが、一定以上の大出力メガ粒子砲でないとエネルギーロスが大きく実用に耐えないため、エネルギーCAP式のビーム・ライフルには採用出来ず、ジェネレーター直結型ビーム砲にのみ導入可能な技術であった。

アイデアそのものは新しいものではなく、メガ粒子砲が開発された一年戦争以前には既に理論は完成していたが、不安定状態のメガ粒子をリアルタイムに制御する粒子加速技術をモビルスーツサイズに縮小することは困難を極め、ガンダムF90のホロ・キューブ型シナプスコンピュータの実用化を以てようやく実現に至った。そのため、サナリィ製のヴェスバーはその火器管制システムと不可分であり、サナリィと連邦軍参謀本部が民間の野放図なMS開発をコントロールしようという意図から、火器管制システムをブラックボックスとして技術公表を行わず、その詳細は社外秘とされた。しかし、アナハイム・エレクトロニクス社は宇宙世紀0116年5月にヴェスバーの技術を入手。ほぼ同時期にブッホ・コンツェルンも同様の技術文書を入手しており、オールズモビルによるフロンティアI襲撃の折に技術流出があったことが示唆されている[1]

F91のヴェスバーは大容量メガコンデンサ[2]を内蔵し、本体から外した状態でも数発なら発射可能であったが、接続コネクタによる脱着可能な仕様が逆に装備のウィークポイントとなる場面も見られた。一方のアナハイム製ヴェスバーはハーディガンに搭載されたものは完全にコピーし得たわけではなく、F91と同等と呼び得るヴェスバーの完成はシルエットガンダムを待つことになった。また、アナハイムとブッホはヴェスバーの大容量メガコンデンサの再現には至っておらず[3]、いずれもジェネレーター直結型を採用している[4]

なお、ハーディガン以降、ジェネレーター直結型メガ粒子砲に何らかの速度可変機構を盛り込むことは一般化しており、「ビーム・キャノン」や「メガ粒子砲」と呼称される兵装であっても、実質的にヴェスバーであると言って良いが、宇宙世紀0153年にはV2ガンダムのオプションやバイラリナの主兵装としてフル規格のヴェスバーが採用されている。

搭載部位は機体によって異なるが、宇宙世紀120年代の機体は概ねバックパックの左右にアームを介して接続され、発射時にはアームを稼動させ脇下を通して抱える様な発射形態を取る。この装着方式は、非使用時にはヴェスバーをAMBAC作動肢としても使用する事ができるなどの利点があった。

登場作品 [編集 | ソースを編集]

機動戦士ガンダムF91
初登場作品。ガンダムF91に搭載されている。ジェガンヘビーガンのライフルではCVのMSのビーム・シールドを貫通できなかったが、F91のヴェスバーは可変速機能による高貫通モードの射撃によってこれを可能としていた。またバイオコンピューターの高管制力のおかげで背面待機状態で発射し後方に迫るバグを撃破する場面も見られた。
機動戦士ガンダムF90
F91に先んじる形でガンダムF90-Vタイプが開発され、テストが行われている。
機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91
アナハイム・エレクトロニクス社がサナリィから入手したデータを基にヴェスバーの再現を試み、シルエットガンダムに搭載された。また、アナハイムを通じてブッホ側もこの技術を入手している。
アナハイム側は更に入手した技術を基にハーディガンGキャノン・マグナで廉価版ヴェスバーとも呼べるビーム兵器を実装。更にヴェスバーを独自発展させたG-バードをネオガンダムに装備させている。
機動戦士Vガンダム
V2アサルトガンダム用のオプション兵装として登場。従来のヴェスバーとは異なりバックパックに搭載されたモジュール武装ではなくサイドスカートにハードポイントを介して接続され、解放バレル式が採用されている。
機動戦士クロスボーン・ガンダム
量産型ガンダムF91は原型機同様ヴェスバーを装備。開発から10年以上経ってもなお、その威力は高い。後発機であるクロスボーン・ガンダムX1改ですら、ビーム・シールドを二枚重ね、更にビーム・ザンバーをシールド代わりにしなければヴェスバーのビームを防ぎ切る事はできず、更にそれでも完全にダメージを防ぐ事ができずセンサーに損傷を負っている。
機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト
バイラリナの脚部にメガ粒子ビームの収束率を上げ絞り込む事で出力面の負荷を軽減しつつ高貫通力・高連射性・長射程を実現した「ニードル・ヴェスバー」が採用されている。
機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST
バイラリナの量産モデルであるバイラリナ・マスが木星で生産ラインに乗せられている。地球圏でのビーム兵器技術の大幅な衰退に伴い、ヴェスバーの優位性を優先している事がうかがえる。また、ガンダムF89のビーム・キャノンも試作品の更に試作品としてヴェスバーの機能が備えられていたが、3発使用すると機体がシャットダウンする欠陥を備えていた。
機動戦士ガンダムF90FF
F90のVタイプが宇宙世紀0115年末時点で実用段階にあり、フロンティアI襲撃事件の裏でフォンセ・カガチボリノーク・サマーンを使用してサナリィにハッキングを仕掛け、ヴェスバーなどの情報を入手し、アナハイムやブッホに流出させている。また、物語終盤にはVタイプの混成装備が複数登場しており、トリムールティの主砲も同様にヴェスバーとしての機能を備えている。
月刊モビルマシーン
VOLUME29において一年戦争以前から既に理論が存在していたこと、宇宙世紀0130年代時点ではメガ粒子砲やビーム・キャノンに簡易ヴェスバーとしての機能が盛り込まれていることが語られた。

関連技術 [編集 | ソースを編集]

メガ粒子砲
基幹技術。実用化されて間もない頃に既にヴェスバーの理論は完成していたが、その機能を盛り込むには長い時間を費やすことになった。
ビーム・ライフル
ヴェスバーの前段階となるビーム兵装。取り回しの面ではこちらに部があり、引き続きMSの基本装備として採用され続けている。

リンク [編集 | ソースを編集]

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. サナリィはこれを自社の特許侵害として法廷に持ち込んだが、アナハイムの弁護団がこれを粉砕している。
  2. メガコンデンサ」はメガ粒子を直接貯留するエネルギーCAPの上位技術であり、ΖΖガンダムのハイ・メガ・キャノン等に用いられる第四世代MSの特徴的機構であった。サナリィはそれを改良した大容量の物を自社独自技術としていた。
  3. ただし大容量メガコンデンサの採用はヴェスバーそのものの必須要件ではなく、あくまで大容量メガコンデンサはF91用ヴェスバーの取り回し改善などの付加要素達成の為のパーツに過ぎない。
  4. いずれもヴェスバーをクランクアームを介して本体に接続するF90Vタイプ方式を模倣。ただし、シルエットガンダムは動作不良時のフェイルセーフティとしてビーム砲を同軸併設し、ビギナ・ゼラはスラスターやセンサーの増設を行う独自の発展を遂げている。