リック・ドム
リック・ドム | |
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外国語表記 | Rick Dom |
登場作品 | |
デザイナー | 大河原邦男 |
スペック | |
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通称 | スカートつき (ホワイトベース側からの呼称) |
分類 | 宇宙戦用量産型モビルスーツ |
型式番号 | MS-09R |
頭頂高 | 18.6m |
本体重量 | 43.8t |
全備重量 | 78.6t |
主動力 | 熱核融合炉 |
ジェネレーター出力 | 1,199kW |
スラスター総推力 | 53,000kg |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
センサー有効半径 | 5,400m |
開発組織 | ツィマッド社 |
所属 | ジオン公国軍 |
主なパイロット | ジオン公国軍一般兵、他 |
概要[編集 | ソースを編集]
ツィマッド社が開発したジオン公国軍の量産型モビルスーツ「ドム」を宇宙戦仕様として改修した機体。
当時、公国軍内において次期主力空間戦闘用MSとして提出されていたプランは大きくわけて2つあり、ザクの最新型である06R-2プランと、新設計のMS-11が存在していた。しかし、連邦軍のガンダム出現により軍の要望として「ビーム兵器を運用可能なMS」という新たな要素が加わり、MS-11計画はMS-14計画へスライドする。ところが、MSが運用可能なビーム兵器開発の目処が立たず、次期主力MSの開発スケジュールは先送りされ、その隙間を埋めるため、生産性の高い空間戦闘用MSの量産が決定。こうして、本来陸戦用の機体として開発されたドムを空間戦闘仕様にしたリック・ドムが誕生する[1]。リック・ドムは戦局の悪化やゲルググの配備が遅れた事もあり、一年戦争末期には暫定的にではあるが宇宙での主戦力として相当数が生産され、活躍する事になった。
リック・ドムは機体スペースの多くを占めていた地上での稼働に必要な各種の装備を空間戦闘用の装備と換装しており、それに伴う設計変更も微々たるもので、基本フレームにはほとんど手は加えられていない。加えて、Dタイプ以外のドム系の機体はグラナダやジオン本国などに開発拠点を持ち、軌道上に展開する部隊への配備や生産ラインをそのまま振り分ける事が容易であった。
外見からはほとんど判別出来ないが、ドムとリック・ドムの最も大きな違いは脚部構造に集約されており、ドムでは推進用のスラスターや熱核ジェットエンジン及びそのインテークなども装甲内に装備されていたが、宇宙用装備に換装される際、足下のホバーユニットはブロックごと大口径の熱核ロケットエンジンへと換装された。加えて、主にインテーク周りの吸気機構や防塵装備のほとんどが不要になったため、代わりに大容量のプロペラントタンクなどが装備されている。また、大腿部の構造も重力下稼働を補償するための補助動力装備が実装されていたが、ブロックごと推進剤のリザーブ装備などに換装されている。
ドムのボディブロックの構造は、改装が不要なブロックは既成のユニットをそのまま使用でき、宇宙用装備への換装が容易となっっていた。リック・ドムの量産に伴い、スカートアーマーは大型化され、下半身ユニットそのものが全体として一つの集約型バーニアとして機能する事で、圧倒的な機動性を機体に与えていた[2]。
登場作品と操縦者[編集 | ソースを編集]
- 機動戦士ガンダム
- 初出作品。第31話から登場する。黒い三連星のドムから打って変わって、ザク同様、数が出ては墜とされるやられ役となっている。特に第33話ではホワイトベースと対峙したコンスコン隊が12機を投入しているが、アムロの駆るガンダムによって数分もしないうちに壊滅の憂き目に遭っている。その後はソロモンやア・バオア・クーにおいてもジオン側の主戦力として奮戦する様子が描かれている。
- 機動戦士ガンダム (小説版)
- 第2巻より登場。ザクに代わる主力機として開発され、主にシャア率いるニュータイプ部隊の主戦力として登場する。『1st』とは異なり、ビーム・バズーカとビーム・サーベルが主兵装となっているのが特徴である。
- 機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル
- 前半パートの戦闘で登場。ジムを撃墜した機体が漂っていたビームバズーカを手に取りユーグのジム・コマンドと交戦するも、ビーム・ガンの直撃弾を立て続けに受け撃墜されている。インタビュー記事[3]ではこの機体が「RS型」である事が明言されており、当初ビームバズーカを使用する予定は無かったものの、松尾監督の「ユーグにビームを避けさせたい」という要望を受け登場に至っている。
装備・機能[編集 | ソースを編集]
武装・必殺攻撃[編集 | ソースを編集]
- ジャイアント・バズ
- ドムから転用された大口径の実体弾兵器。一年戦争で使用されたMSの携行用火器としては最大級の武装。ヒート・サーベルと並んで、本機を代表する武装の1つ。
- ヒート・サーベル
- 近接白兵戦に用いられる加熱式の実体剣。サーベル部分が白熱化し、敵の機体を溶断する。発熱デバイスは高効率でエネルギーを熱に変えるが、消耗が激しいため基本的に使い捨て。非使用時は背部にマウントされる。
- 拡散ビーム砲
- 胸部に装備された内蔵式ビーム砲。地上と同様に目眩ましにしか用いられないが、ビーム・サーベルのIフィールドを崩壊させ、一時的に使用不能にする効果がある。眩惑についても、太陽光以外に高い光量の光源が存在しない宇宙空間では地上以上に有効と言われている。
- ザク・マシンガン
- ザクII等が用いるドラムマガジン式の120mmマシンガン。
『1st』作中で一部の機体が装備しているのが確認できる。 - ビーム・バズーカ
- 機体の全長を上回る長さの銃身を持つ大出力のビーム兵装。主にドズル・ザビ麾下のリック・ドム部隊において試験的に運用されたと言われている。
メガ粒子の縮退に連邦のエネルギーCAPとは異なる手法を用いている。連邦系MSやゲルググのビーム兵器の数倍の破壊力を発揮するが、エネルギーチャージに時間がかかる上、携行中の暴発事故なども多発したため、量産には至っていない。
『小説版1st』で使用し、後にガンプラ(MG)化した際、新たにデザイン・設定が用意された。 - ビーム・サーベル
- 『小説版1st』ではヒート・サーベルではなくこちらを装備している。ジオン軍が開発した試作ビーム兵器の1つで、連邦軍の物に比べ収束率が低く、刀身が太めの形状になっている。
対決・名場面[編集 | ソースを編集]
- スカートつき
- ドムの見た目をそのまま表した呼称「スカートつき」であるが、『1st』第32話で接近してくるキャメル艦隊のリック・ドムに対して、ホワイトベースのマーカーが「モビルスーツ、ドムタイプです。あのスカートつきの奴です」と発言したのが初。以降、ホワイトベース内で同様の呼称が用いられるようになった。「スカートつき」「太めの体形」という事もあってか、『ジオニックフロント』のCMや『GBFB』のリックドギャン子といったように、ドムを太めの女子として表現する作品も多い。
関連機体[編集 | ソースを編集]
別デザインなど [編集 | ソースを編集]
- リック・ドム (サンダーボルト版)
- 本機のサンダーボルト版デザイン。サンダーボルト宙域用にシーリング処理が施されている。
パーソナルカスタム機 [編集 | ソースを編集]
- シャア専用リック・ドム
- パーソナルカラーである赤に塗られたシャア専用機。
- ガトー専用リック・ドム
- パーソナルカラーである青と緑に塗られたガトー専用機。
- リック・ドム (ドズル・ザビ中将専用機)
- リック・ドムの初期生産型通産100号機をドズル専用機としてカスタマイズした機体。
系列機・派生機 [編集 | ソースを編集]
- リック・ドム (RS型)
- ジェネレーターを換装した強化改装機。
- ドム
- 原型機。
- リック・ドム[シュトゥッツァー]
- 残党軍が強化改造した機体。
- リック・ドムII
- リック・ドムを統合整備計画に基づいて再設計したもの。一年戦争末期、及びその後発生したデラーズ紛争において多数が投入されている。
- ドワス
- 本機の最終生産型。
- シュネー・ヴァイス
- ビットを運用すべく改修された機体。
- ペズン・ドワッジ
- 本機の後継機として開発された機体。
- ドライセン
- 設計思想を引き継いだ機体。「リック・ドムIII」とも呼べる機体である。
- ズオム
- 宇宙世紀0096年、ジオン残党の一部が本機をベースにして作成したハンドメイド機。
技術的関与のある機体 [編集 | ソースを編集]
- 宇宙用高機動試験型ザク
- 本機の脚部熱核ロケットエンジンのテスト機。
商品情報[編集 | ソースを編集]
ガンプラ[編集 | ソースを編集]
フィギュア [編集 | ソースを編集]
リンク[編集 | ソースを編集]
脚注[編集 | ソースを編集]
- ↑ なお、ドムを空間戦闘用に改装するプランはその本格量産よりも一ヶ月前に立案されていたとする説もあり、軍主導で行われていたメーカー間の極秘コラボレーションとされる。
- ↑ 「スカート付き」の異名もこれに由来する。
- ↑ 機動戦士ガンダム戦記・アバンタイトルインタビュー