「インパルスガンダム」の版間の差分

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==概要==
 
==概要==
[[ユニウス条約]]において制定された軍縮規定の下で充分な戦力を保有する為に[[ザフト軍]]が開発した次世代[[モビルスーツ]]シリーズ「[[セカンドステージシリーズ]]」の1機。開発は[[地球連合軍|連合]][[ストライクガンダム]]やザフトの[[リジェネレイトガンダム]][[テスタメントガンダム]]が基になっている。
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[[ユニウス条約]]において制定された軍縮規定の下で充分な戦力を保有する為に[[ザフト軍]]が開発した次世代[[モビルスーツ]]シリーズ「[[セカンドステージシリーズ]]」の1機。旧大戦時に開発された[[リジェネレイトガンダム|リジェネレイト]]、[[テスタメントガンダム|テスタメント]]の設計思想を受け継ぐ機体であり、建造には[[オーブ連合首長国]]から[[プラント]]に流出した技術も用いられている為、[[ストライクガンダム|ストライク]]にも通じるコンセプトを見る事ができる。
  
インパルス本体の機体構造は従来のものとは大きく異なる分離構造で、上半身「チェストフライヤー」、下半身「レッグフライヤー」、コクピット「コアスプレンダー」の3つのパーツから成り立っている。さらに、[[MS]]となった本体に換装式バックパックを装着して戦闘形態となる。
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ユニウス条約で[[ニュートロンジャマーキャンセラー]]の使用が禁じられたザフト設計陣は、核動力搭載型MSの量産を前提としたこれまでの開発プランの変更を余儀なくされた。これに対し、インパルスには核動力に代わるエネルギー供給システムである「[[デュートリオンビーム送電システム]]」を採用。これは、電力を指向性ビームに返還して機体に送電するシステムであり、母艦に帰投する事なく戦闘の継続が可能となった。
  
出撃時は他のMSと異なり、分離状態で発進して、その後で合体する。しかし、専用の運用艦である[[ミネルバ]]以外では分離状態では運用が出来ない為、ミネルバが使えなかった機体テスト中にナスカ級から出撃した際には合体した状態で出撃している。
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最大の特徴として、機体の合体・分離機構と[[シルエットシステム]]の採用があり、コアスプレンダーを中心にチェストフライヤー、レッグフライヤーの3機が合体・分離する事で、パイロットの生存率と機体の被弾時におけるパーツ換装が容易となり、運用性が向上した。また、シルエットシステムはニューミレニアムシリーズに採用された[[ウィザードシステム]]を発展させた物であり、3タイプのシルエットを換装する事で戦局の変化に対応する。こうしたシステムの採用により、単機で複数機の特性を獲得したインパルスは、ユニウス条約の制約をクリアすると同時に、極めて高い性能を獲得するに至った。
  
チェストフライヤーとレッグフライヤーはミネルバに予備が準備されており、戦闘中に破損しても即座に換装する事ができる。そのことを活かして損傷した部位をパージし、ミネルバから射出してもらった新しいパーツに交換しながら戦う作戦なども劇中では使われている。
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装甲材には[[フェイズシフト装甲]]の改良型である[[ヴァリアブルフェイズシフト装甲]]が用いられ、エネルギーの効率化が図られている。また、シルエットシステムの換装時に運用用途に応じ、装甲の色が変化する。
  
本機の換装式バックパックは「シルエットシステム」と呼ばれ、出撃の際にその時の任務や戦況に合わせて選択されたものを無人牽引機「シルエットフライヤー」の後部に接続して発進させる。その後、合体の際にシルエットフライヤーから切り離され、本体と合体する。これら分離合体機能やシルエットシステムの採用により本機は単機で従来のMS複数分の戦闘力を有しており、ユニウス条約の大きな制約の1つである「MS保有数の制限」をクリアする事に成功している。
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他のMSとは異なり専用母艦である[[ミネルバ]]での運用を前提としており、専用カタパルトから分離状態で発進後、戦闘時に合体を行う<ref>この為、[[ナスカ級]]でテスト運用を行った際には合体状態で発進している。</ref>。各フライヤーやシルエットはミネルバに複数搭載されており、戦闘中に破損しても即座に換装する事ができ、損傷した部位をパージし、母艦から射出されたパーツに交換しながら戦う事も出来た。
  
開発段階では同時期に開発されたカオス、ガイア、アビスの特性を持ったチェストフライヤーとレッグフライヤーも考えられておりインパルス1機で様々な局面に対応できるようにして最終的にはドラグーンシステムによりすべてのパーツをリンクして母艦に頼る事なくパーツの換装やエネルギー補給を行う事を可能にしてインパルス1機で局地制圧を可能とした究極の万能機として考えられていたが構想で終わり実現する事は無かった。
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開発段階では同時期に開発されたカオス、ガイア、アビスの特性を持ったチェストフライヤーとレッグフライヤーも考案されており、インパルス1機で様々な局面に対応できるようにして最終的には[[ドラグーンシステム]]によりすべてのパーツをリンクし、母艦に頼る事なくパーツの換装やエネルギー補給を行う事を可能にしてインパルス1機で局地制圧を可能とした「究極の万能機」の構想が練られていたが、結果として構想のみで終わり、実現する事は無かった。
  
その余りにも現実性のない構想に、話を聞いたカイト・マディガンは「'''夢物語'''」と評している。
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額には「X56S SEI」(SEI=イタリア語で数字の6)と刻印されている。これはインパルスを含むセカンドステージシリーズの型式番号が「X ''i j'' S(''i'' は開発コンセプトナンバー、''j'' は開発順序)」という形式で定められており、X56Sのインパルスは開発順序において6番目の機体だからである<ref>ちなみに、地球連合軍の開発した[[カラミティガンダム]]にも額に「SEI」が刻まれている。</ref>。
  
エネルギーの供給には、「デュートリオンビーム送電システム」が採用されている。これはユニウス条約により[[ニュートロンジャマーキャンセラー|NJC]]の軍事利用が出来なくなった為核動力を用いずにMSの活動時間を延長する事を目的としたシステムで、デュートリオンビームと呼ばれる粒子線ビームを機体の受信機に照射する事で、母艦に着艦せずにエネルギー補給を行う。これらの事から、インパルス自体がミネルバとの連携を前提に開発されているのが分かる。また、エネルギー供給の効率化を図った新型装甲システム「[[ヴァリアブルフェイズシフト装甲]]」が採用されている。
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=== コアスプレンダー ===
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インパルスのコクピットとなる小型戦闘機。元々人口が少なく、前大戦で有能なパイロットを多く失ったザフトにとってパイロットの生存性の向上は急務であり、しかし通常の脱出カプセルでは戦場において高い生存率を成し得ないと判断した技術陣が、脱出したパーツがそのまま戦闘機へと変形するシステムを考案し、これを発展させる形でコアスプレンダーが開発された。小型機ながらも、航空ミサイルランチャーや20mm機関砲など、通常の戦闘機にも引けを取らない武装を搭載している。
  
額には「X56S SEI」(SEI=イタリア語で数字の6)と刻印されている。これはインパルスを含むセカンドステージシリーズの型式番号が「X ''i j'' S(''i'' は開発コンセプトナンバー、''j'' は開発順序)」という形式で定められており、X56Sのインパルスは開発順序において6番目の機体だからである。ちなみに、地球連合軍の開発した[[カラミティガンダム]]にも額に「SEI」が刻まれている。
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=== シルエットフライヤー ===
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シルエットを母艦から運搬する為の無人機。通常は艦船や基地でしか行えない武装高官を戦場で実戦展開中に可能とする。シルエット換装後は、自動で母艦に帰還する。
  
上記の設定でも言及されているように、[[ストライクガンダム]]と外見は酷似しており、本機は正にザフト版ストライクと言うべき機体である。しかし様々な理由からストライクとは違い量産化はされていない。
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=== チェストフライヤー ===
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インパルスの上半身を構成するパーツ。MA-BAR72 高エネルギーライフルとMMI-RG59V 機動防盾を装備した状態で射出される。複雑な構造を持つ腕と、センサー系を内蔵する頭部を有する為、ランディング・ギアによる着艦・着陸時には、フライヤーではなくそれに付随するシールドの一部を変形させる事で対応している。
  
リアルタイム換装システムや、デュートリオンビーム送電システムといった所にはそれなりに有用性があるため、[[ヤキン・ドゥーエ戦役|前大戦]]から戦争再開までの期間がもっと長ければ、これらのシステムはより洗練されて最新鋭機に反映されていた可能性もある。
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=== レッグフライヤー ===
 
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インパルスの下半身を構成するパーツ。脚部は膝を鳥足のように曲げる形で縮まっており、合体時に展開。また、脛、股関節ブロックにランディング・ギアを内蔵している。
===[[シルエットシステム]]===
 
インパルスはストライクと同様の装備換装システムが取られており、性格の違うモビルスーツに変化できる。これらの装備は必要なエネルギーの量がそれぞれ異なっており、装着したシルエットによってヴァリアブルフェイズシフト装甲のカラーリングが異なる。これは、そのシルエット毎に装甲に掛ける電圧を調整し、エネルギー消費の更なる効率化を図っている為である。なお、ストライクのストライカーパックはバッテリーを内蔵していたため、換装するとエネルギーが回復したが、本機のシルエットはバッテリーを内蔵していないため、デュートリオンビームによる無線供給を受ける必要がある。
 
 
 
;[[フォースインパルスガンダム]]
 
:高機動バックパックを搭載し、大気圏内の空中戦にも対応した、汎用性の高い形態。色も外見もエールストライクに酷似。最も多用されたシルエットである。また、ビームサーベルも装備しており、格闘能力も向上させる。
 
;[[ソードインパルスガンダム]]
 
:対艦刀を装備し、格闘戦に対応した形態。機体色は白と赤。ビームライフルも装備できる為、中距離戦闘にも対応できる。
 
;[[ブラストインパルスガンダム]]
 
:火器を多数装備した、火力重視の形態。機体色は緑と白。対艦攻撃や火力支援に力を発揮する。
 
;[[デスティニーインパルスガンダム]]
 
:フォース、ソード、ブラスト全ての特性を併せ持つ形態。早い話がインパルス版[[ストライクガンダムI.W.S.P.|I.W.S.P.]]である。後の[[デスティニーガンダム]]の基となった。
 
  
 
==登場作品と操縦者==
 
==登場作品と操縦者==
 
;[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]
 
;[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]
:主なパイロットは[[シン・アスカ]][[ルナマリア・ホーク]]。劇中では基本的に各種シルエット装備で戦闘を行うため、この形態で戦闘を行ったのは第18話の[[地球連合軍]]ガルナハン基地のローエングリンゲート攻略作戦の時のみとなっている。この時、ローエングリン砲台を破壊するなどの戦果を挙げた。
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:初登場作品。当初は[[シン・アスカ]]が専属パイロットを務めていたが、彼が[[デスティニーガンダム]]に乗り換えてからは、[[ルナマリア・ホーク]]が搭乗した。劇中では基本的に各種シルエット装備で戦闘を行うため、このシルエット未装着の状態で戦闘を行ったのは第18話の[[地球連合軍]]ガルナハン基地のローエングリンゲート攻略作戦の時のみとなっている。この時、ローエングリン砲台を破壊するなどの戦果を挙げた。
 
;[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY]]
 
;[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY]]
 
:[[カオスガンダム]]、[[アビスガンダム]]、[[ガイアガンダム]]と共に運用試験や模擬戦などを行っていた。
 
:[[カオスガンダム]]、[[アビスガンダム]]、[[ガイアガンダム]]と共に運用試験や模擬戦などを行っていた。
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===特殊機能===
 
===特殊機能===
 
;[[ヴァリアブルフェイズシフト装甲]]
 
;[[ヴァリアブルフェイズシフト装甲]]
:[[フェイズシフト装甲]]の改良型。装甲に掛ける電圧を調整できるようになっており、エネルギー消費の効率化を図っている。その影響で装甲の色が変化するようになった。
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:[[フェイズシフト装甲]]の改良型。装甲に掛ける電圧を調整できるようになっており、エネルギー消費の効率化を図っている。その影響で、装備に応じて装甲の色が変化するようになった。
;デュートリオンビーム送電システム
+
;[[デュートリオンビーム送電システム]]
:MSにデュートリオンビームを照射してワイヤレスでエネルギーを供給するシステム。これにより、(母艦が存在する限り)帰艦する事なく戦い続ける事が可能となった。
+
:電力を指向性のビームに返還し、機体へ照射する事でワイヤレスでエネルギーを供給するシステム。これにより、母艦が存在する限り帰艦する事なく戦闘を継続ける事が可能となった。
 
;[[シルエットシステム]]
 
;[[シルエットシステム]]
:各種シルエットに換装可能。
+
:機体の背部装備を換装し、様々な運用用途に対応する。ユニウス条約によるMSの保有数が制限される中で、一機のMSで複数の用途に対応する目的で採用された。インパルスはミネルバからシルエットフライヤーを用いて射出、前線で装備を換装する。
;分離
 
:コアスプレンダーに分離する。
 
  
 
===武装・必殺攻撃===
 
===武装・必殺攻撃===
 
;MMI-GAU25A 20mmCIWS
 
;MMI-GAU25A 20mmCIWS
:胸部に2門内蔵された機関砲。敵機への威嚇・牽制やミサイル迎撃、対人戦に用いられる。有効射界が限定されるという欠点がある。
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:胸部に2門内蔵された機関砲。ミサイル迎撃などの防御や牽制、対人戦や対ソフトスキン目標への攻撃を目的としている。連射性能に優れ、至近距離ではMSの装甲を破壊したケースも確認されているが、搭載部位の関係上、有効射界が限定されるという欠点がある。
 
;M71-AAK フォールディングレイザー対装甲ナイフ
 
;M71-AAK フォールディングレイザー対装甲ナイフ
:両腰部に収納されている折りたたみ式ナイフ。実体剣と振動波を併用し、エネルギーをほとんど消費しないうえ、ダガーLの胸部装甲を易々と貫くほどの威力がある。
+
:ストライクの装備するアーマーシュナイダーのデータをベースに開発された格闘兵装。両腰部に1本ずつ、計2本を装備する。高硬度のブレードと振動波を併用し、一般的なMSの装甲であれば切断するほどの攻撃力を発揮する他、使用時に電力を消費しない。
 
;MA-BAR72 高エネルギービームライフル
 
;MA-BAR72 高エネルギービームライフル
:フリーダムやジャスティスに装備されたルプスの改良型。エネルギー消費効率が大幅に向上している。セイバーやカオス、ガイアのビームライフルも外観こそ違うが、基本設計は同一である。
+
:フリーダムやジャスティスに装備されたルプス・ビームライフルの改良型。マティウスアーセナリーMA製の最新モデルで、デュートリオンビーム送電システムによるエネルギー供給を前提として設計されている。連射性能や攻撃力などのバランスに優れる事から、主にフォースインパルスの主兵装として使用される。<br/>セイバーやカオス、ガイアのビームライフルも外観こそ違うが、基本設計は同一である。
 
;MMI-RG59V 機動防盾
 
;MMI-RG59V 機動防盾
:対ビームコーティングが施された実体盾。上下左右にスライドして有効防御面の拡大と取り回しを両立させている。
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:左腕部に装備されている装甲板式のシールド。伸縮機能を有しており、非使用時には縮小させ、使用時に装甲を伸長させる事で防御面積を拡大させるなど、機体の状態に合わせて使い分けられる。主にフォースインパルスでは展開した状態、ブラストやソードでは縮めた状態で使用される。
  
 
==対決・名場面==
 
==対決・名場面==
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=== 支援機など ===
 
=== 支援機など ===
 
;[[ミネルバ]]
 
;[[ミネルバ]]
:専用運用艦。
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:専用運用艦。各フライヤーの射出用カタパルトや、デュートリオンビーム送電システムを有する。
  
 
=== その他 ===
 
=== その他 ===
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*[[登場メカ]]
 
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2022年4月4日 (月) 18:52時点における版

インパルスガンダム
外国語表記 Impulse Gundam
登場作品
デザイン 大河原邦男
テンプレートを表示
スペック
分類 汎用試作型モビルスーツ
型式番号 ZGMF-X56S
全高 17.76m
重量 63.54t
主動力 バッテリー
装甲材質 ヴァリアブルフェイズシフト装甲
開発組織 ザフト軍
所属組織 ザフト軍
所属部隊 ミネルバ
主なパイロット
テンプレートを表示

概要

ユニウス条約において制定された軍縮規定の下で充分な戦力を保有する為にザフト軍が開発した次世代モビルスーツシリーズ「セカンドステージシリーズ」の1機。旧大戦時に開発されたリジェネレイトテスタメントの設計思想を受け継ぐ機体であり、建造にはオーブ連合首長国からプラントに流出した技術も用いられている為、ストライクにも通じるコンセプトを見る事ができる。

ユニウス条約でニュートロンジャマーキャンセラーの使用が禁じられたザフト設計陣は、核動力搭載型MSの量産を前提としたこれまでの開発プランの変更を余儀なくされた。これに対し、インパルスには核動力に代わるエネルギー供給システムである「デュートリオンビーム送電システム」を採用。これは、電力を指向性ビームに返還して機体に送電するシステムであり、母艦に帰投する事なく戦闘の継続が可能となった。

最大の特徴として、機体の合体・分離機構とシルエットシステムの採用があり、コアスプレンダーを中心にチェストフライヤー、レッグフライヤーの3機が合体・分離する事で、パイロットの生存率と機体の被弾時におけるパーツ換装が容易となり、運用性が向上した。また、シルエットシステムはニューミレニアムシリーズに採用されたウィザードシステムを発展させた物であり、3タイプのシルエットを換装する事で戦局の変化に対応する。こうしたシステムの採用により、単機で複数機の特性を獲得したインパルスは、ユニウス条約の制約をクリアすると同時に、極めて高い性能を獲得するに至った。

装甲材にはフェイズシフト装甲の改良型であるヴァリアブルフェイズシフト装甲が用いられ、エネルギーの効率化が図られている。また、シルエットシステムの換装時に運用用途に応じ、装甲の色が変化する。

他のMSとは異なり専用母艦であるミネルバでの運用を前提としており、専用カタパルトから分離状態で発進後、戦闘時に合体を行う[1]。各フライヤーやシルエットはミネルバに複数搭載されており、戦闘中に破損しても即座に換装する事ができ、損傷した部位をパージし、母艦から射出されたパーツに交換しながら戦う事も出来た。

開発段階では同時期に開発されたカオス、ガイア、アビスの特性を持ったチェストフライヤーとレッグフライヤーも考案されており、インパルス1機で様々な局面に対応できるようにして最終的にはドラグーンシステムによりすべてのパーツをリンクし、母艦に頼る事なくパーツの換装やエネルギー補給を行う事を可能にしてインパルス1機で局地制圧を可能とした「究極の万能機」の構想が練られていたが、結果として構想のみで終わり、実現する事は無かった。

額には「X56S SEI」(SEI=イタリア語で数字の6)と刻印されている。これはインパルスを含むセカンドステージシリーズの型式番号が「X i j S(i は開発コンセプトナンバー、j は開発順序)」という形式で定められており、X56Sのインパルスは開発順序において6番目の機体だからである[2]

コアスプレンダー 

インパルスのコクピットとなる小型戦闘機。元々人口が少なく、前大戦で有能なパイロットを多く失ったザフトにとってパイロットの生存性の向上は急務であり、しかし通常の脱出カプセルでは戦場において高い生存率を成し得ないと判断した技術陣が、脱出したパーツがそのまま戦闘機へと変形するシステムを考案し、これを発展させる形でコアスプレンダーが開発された。小型機ながらも、航空ミサイルランチャーや20mm機関砲など、通常の戦闘機にも引けを取らない武装を搭載している。

シルエットフライヤー 

シルエットを母艦から運搬する為の無人機。通常は艦船や基地でしか行えない武装高官を戦場で実戦展開中に可能とする。シルエット換装後は、自動で母艦に帰還する。

チェストフライヤー 

インパルスの上半身を構成するパーツ。MA-BAR72 高エネルギーライフルとMMI-RG59V 機動防盾を装備した状態で射出される。複雑な構造を持つ腕と、センサー系を内蔵する頭部を有する為、ランディング・ギアによる着艦・着陸時には、フライヤーではなくそれに付随するシールドの一部を変形させる事で対応している。

レッグフライヤー 

インパルスの下半身を構成するパーツ。脚部は膝を鳥足のように曲げる形で縮まっており、合体時に展開。また、脛、股関節ブロックにランディング・ギアを内蔵している。

登場作品と操縦者

機動戦士ガンダムSEED DESTINY
初登場作品。当初はシン・アスカが専属パイロットを務めていたが、彼がデスティニーガンダムに乗り換えてからは、ルナマリア・ホークが搭乗した。劇中では基本的に各種シルエット装備で戦闘を行うため、このシルエット未装着の状態で戦闘を行ったのは第18話の地球連合軍ガルナハン基地のローエングリンゲート攻略作戦の時のみとなっている。この時、ローエングリン砲台を破壊するなどの戦果を挙げた。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY
カオスガンダムアビスガンダムガイアガンダムと共に運用試験や模擬戦などを行っていた。

装備・機能

特殊機能

ヴァリアブルフェイズシフト装甲
フェイズシフト装甲の改良型。装甲に掛ける電圧を調整できるようになっており、エネルギー消費の効率化を図っている。その影響で、装備に応じて装甲の色が変化するようになった。
デュートリオンビーム送電システム
電力を指向性のビームに返還し、機体へ照射する事でワイヤレスでエネルギーを供給するシステム。これにより、母艦が存在する限り帰艦する事なく戦闘を継続ける事が可能となった。
シルエットシステム
機体の背部装備を換装し、様々な運用用途に対応する。ユニウス条約によるMSの保有数が制限される中で、一機のMSで複数の用途に対応する目的で採用された。インパルスはミネルバからシルエットフライヤーを用いて射出、前線で装備を換装する。

武装・必殺攻撃

MMI-GAU25A 20mmCIWS
胸部に2門内蔵された機関砲。ミサイル迎撃などの防御や牽制、対人戦や対ソフトスキン目標への攻撃を目的としている。連射性能に優れ、至近距離ではMSの装甲を破壊したケースも確認されているが、搭載部位の関係上、有効射界が限定されるという欠点がある。
M71-AAK フォールディングレイザー対装甲ナイフ
ストライクの装備するアーマーシュナイダーのデータをベースに開発された格闘兵装。両腰部に1本ずつ、計2本を装備する。高硬度のブレードと振動波を併用し、一般的なMSの装甲であれば切断するほどの攻撃力を発揮する他、使用時に電力を消費しない。
MA-BAR72 高エネルギービームライフル
フリーダムやジャスティスに装備されたルプス・ビームライフルの改良型。マティウスアーセナリーMA製の最新モデルで、デュートリオンビーム送電システムによるエネルギー供給を前提として設計されている。連射性能や攻撃力などのバランスに優れる事から、主にフォースインパルスの主兵装として使用される。
セイバーやカオス、ガイアのビームライフルも外観こそ違うが、基本設計は同一である。
MMI-RG59V 機動防盾
左腕部に装備されている装甲板式のシールド。伸縮機能を有しており、非使用時には縮小させ、使用時に装甲を伸長させる事で防御面積を拡大させるなど、機体の状態に合わせて使い分けられる。主にフォースインパルスでは展開した状態、ブラストやソードでは縮めた状態で使用される。

対決・名場面

ローエングリンを討て
『DESTINY』第18話より。ガルナハン基地のローエングリン砲台は広範囲をカバーしており、また、駐留部隊の中には陽電子リフレクターを持つモビルアーマー「ゲルズゲー」もいたため、ザフト軍マハムール基地のラドル隊は攻めあぐねていた。
グラディス隊がラドル隊を支援するにあたって、地元レジスタンスの少女コニール・アルメタによってもたらされたデータを元に、シンのインパルスが分離状態で砲台のすぐそばに繋がる洞窟を抜け、ローエングリンを破壊するという作戦が実行されることとなる。
シンは見事洞窟を抜け、ビームライフルの弾切れにも動じることなく、向かってきたダガーLをフォールディングレイザーで刺し、そのダガーLを砲台の方に投げつけてCIWSを使って誘爆させる。
ガルナハン基地は火に包まれ、作戦は成功に終わった。

関連機体

各種シルエット 

フォースインパルスガンダム
高機動戦闘用装備「フォースシルエット」を装着した形態。
ソードインパルスガンダム
近接格闘戦用装備「ソードシルエット」を装着した形態。
ブラストインパルスガンダム
砲撃戦闘用装備「ブラストシルエット」を装着した形態。
デスティニーインパルスガンダム
フォース、ソード、ブラストの三種の武装を統合した形態。
デスティニーインパルスガンダムR
デスティニーインパルスの開発を引き継いだ民間企業が開発した独自仕様の機体。
カオスインパルスガンダム
カオスガンダムの特性を持つ宇宙戦用形態。
アビスインパルスガンダム
アビスガンダムの特性を持つ水中戦用形態。
ガイアインパルスガンダム
ガイアガンダムの特性を持つ陸戦用形態。

系列機・派生機 

デスティニーガンダム
デスティニーインパルスで起きた諸処の問題を解決するために新規建造された後継機。
ストライクガンダム
背部ユニットの換装によって機体特性を大幅に変化させる機体の元祖。
テスタメントガンダム
本機と同様、バックパックの換装による形態変更を可能とするザフト製ガンダム。
リジェネレイトガンダム
単独での分離合体機構を有するザフト製ガンダム。コアスプレンダー、フライヤーシステムの元になる。
ザクスプレンダー
コアスプレンダー及びフライヤーシステムの実験機。
カオスガンダム / アビスガンダム / ガイアガンダム / セイバーガンダム
セカンドシリーズの他の兄弟機。
フリーダムガンダム / ジャスティスガンダム
初期のザフト製ガンダム。本機の武装に改良型が用いられている。

支援機など 

ミネルバ
専用運用艦。各フライヤーの射出用カタパルトや、デュートリオンビーム送電システムを有する。

その他 

忍パルスガンダム
GMの逆襲』に登場する本機ベースのガンプラ
インパルスガンダムアルク / インパルスガンダムランシエ
ガンダムビルドダイバーズ』に登場する本機ベースのガンプラ。
ガンダムエクスインパルス

余談 

  • インパルスガンダムの名称は、過去に模型誌「月刊モデルグラフィックス (1989年4月号)」掲載のガンダム・センチネル読者コンテスト「オペレーション・スペリオル」のC部門に「MSZ-117 インパルス・ガンダム」という形で登場している。

商品情報

ガンプラ

フィギュア 

リンク

脚注

  1. この為、ナスカ級でテスト運用を行った際には合体状態で発進している。
  2. ちなみに、地球連合軍の開発したカラミティガンダムにも額に「SEI」が刻まれている。