ザクI

提供: ガンダムWiki
2024年5月12日 (日) 15:36時点におけるKeiten1201 (トーク | 投稿記録)による版 (→‎その他 )
ナビゲーションに移動 検索に移動
ザクI
外国語表記 Zaku I
登場作品
デザイナー 大河原邦男
テンプレートを表示
スペック
通称 旧ザク
分類 汎用量産型モビルスーツ
生産形態 量産機
型式番号 MS-05B
頭頂高 17.5m
本体重量 50.3t
全備重量 65.0t
主動力 熱核融合炉
ジェネレーター出力 899kW
スラスター総推力 40,700kg
装甲材質 超硬スチール合金
センサー有効半径 2,900m
開発組織 ジオニック社
所属 ジオン公国軍
主なパイロット
テンプレートを表示

概要

ジオン公国軍の量産型モビルスーツ宇宙世紀における実質的な戦闘用MSの始祖となる機体である。

宇宙世紀0070年3月、ミノフスキー粒子散布に伴う電波障害等の特殊効果に着目したジオン公国軍はその翌年に新型兵器の開発に着手。しかし、既存の宇宙兵器は姿勢制御の度に膨大な燃料を消費するため、公国軍の想定する要求値には到底及ばなかった。そこでAMBAC機動の有効性に着目したジオニック社は可動肢を持つ宇宙機動兵器のコンセプトを提示し、社内プロジェクト「S・U・I・T計画」を発足すると四肢を有する人体を模した兵器の開発を推進。そして小型熱核融合炉流体パルスシステムの完成を経て、宇宙世紀0073年にMSの基本形が完成した。MS-01から03[1]を経て稼働試験用のMS-04プロトタイプザクが完成し、そこに改良を重ねたMS-05「ザク」が0074年2月に完成。それまで機体外に設けられていた動力/制御関連の機器を全て最終装甲内に収め、同月5月に実戦仕様量産機がロールアウトした。

量産された機体の内、実戦仕様量産機を原型とする初期先行試作量産型(Aタイプ)が27機程生産され、数次に渡る訓練運用と実戦投入を経て、それら実働データを元に改良されたBタイプが793機、最終的に820機程が生産され、その多くが教導機動大隊の編成や初期の戦闘において使用された。しかし、ボディ内部の容積率の問題から動力系の性能向上が限界に達しており[2]、各種の戦術や部隊編成、大隊規模の作戦行動における稼働時間などの問題も表面化していた事から、性能を維持あるいは更新しつつ、生産性や整備性の一層の向上が求められた結果、機体の生産はA、Bタイプをあわせて約800機を超えた時点で終了。更なる高性能化を目的としたザクIIが開発され、そちらがジオン軍の主力を担う事になる[3]

ザクIIの生産が軌道に乗ると、ザクIを擁する部隊編成は随時更新されていき、輸送や補給部隊の護衛などといった兵站任務に就く事が多くなっていったが、宇宙世紀0078年10月、ジオン公国軍が宇宙攻撃軍と突撃機動軍に二分されると、それに伴って必要とされるMSの配備数も倍増し、ザクIも再び戦力として前線に狩り出される事になったという[4]

ザクIは後に繋がるMSの基礎とも言える機体であり、頭部はモノアイによる外部映像認識装置と、各種の複合センサーで構成され、この構造はザクII以降の機体にも踏襲されている。機体を駆動させる流体パルスシステムも、動力ユニットを全て内装したため、機体各部のレスポンスが低かったと言われているが、あくまで後の機体と比較してのことであり、システムとしては既に完成されている[5]

外見上の特徴として、頭部正面に保護ビーム(支柱)が設けられている事が挙げられる。これは、開発時にモノアイを保護するカバーの強度が不足していたため、耐衝撃・耐弾性を向上させつつ極力視界を確保するための措置であり、機体が正対している方向ならば各部の補助カメラでもモニター出来たため、それよりも走査端末として高性能のモノアイを周辺状況の哨戒に充てた方が懸命であるという判断から採用されている。

登場作品と操縦者

機動戦士ガンダム
初登場作品。第3話にガデムの搭乗機が登場した。放送当時は「ザクI」としての機体設定が無く、ガデム専用のザクという扱いだった。放送後は「ガンダムセンチュリー」などの書籍における設定が公式化し「旧型ザク」としてガンプラでの立体化なども行われた。
映画 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編
劇場版1作目でガデム機の戦闘シーンがカットされたものの、3作目におけるア・バオア・クー表層のワンシーンに一般機が登場。最新鋭機であるゲルググとのツーショットが見られる。
機動戦士ガンダムΖΖ
第40話にてスタンパ・ハロイが保有するレプリカコレクションの1つとして登場。屋敷の入り口に何故か金剛力士像に扮した灰色と赤の機体が置かれている。ジュドー達が屋敷から脱出する際にはスタンパの手下がザクIIカラーの機体に乗り登場。ジュドーのズゴックに背後からタックルするも続く攻撃をかわされ、反撃で突き飛ばされた。
機動戦士ガンダム 第08MS小隊
第6話のシローの回想シーンで本機がGGガス弾を使用。サイド2コロニーの外壁を破壊しコロニー内に侵入。そこから直接ガス弾を打ち込み住民を虐殺した。
第8話ではトップ小隊の隊長機が登場。敗残兵としてオデッサから部下のザクII2機を率いて逃走している最中にキキの村に食料確保のため訪れる。しかし、そこで住人とのトラブルが発生し戦闘へと発展。部下を失った挙句、本機もシローによってコックピットを破壊された。
機動戦士ガンダム外伝III 裁かれし者
STAGE 3に登場。非武装でありながら物陰から現れるなり、こちらに駆け寄ってタックルやオルテガハンマーで襲い掛かってくる。まさに格闘家。足が速くすぐに間合いを取る必要がある上、視界の悪い狭い通路という事もあり、不意打ちを食らう可能性もある。
機動戦士ガンダム MS IGLOO
『一年戦争秘録』第2話で第128物資集積所の歩哨を務めているが、同施設を訪れたセモベンテ隊の奇襲を受け、抵抗する間もなく撃墜されている。『黙示録0079』第3話ではア・バオア・クー表面に取り付いた後期型ジム2機を岩陰からの待ち伏せで撃墜した。漫画『MS IGLOO 603』ではヅダとのコンペティションのシーンや、エンマ・ライヒたち義勇兵の初期機体として登場している。
機動戦士ガンダム ゼロの旧ザク
主人公ニルス・テオレルの搭乗機として登場。このニルス機はソロモン守備隊の配備機であり、テスト的に新規格のコックピットを採用し、武装にも様々なカスタマイズが施されている。敗戦濃厚となった戦争末期において様々な困難に見舞われながらも終戦に至るまで戦い抜いた。
機動戦士Ζガンダム外伝 審判のメイス
デルフォイリニアシート全天周囲モニターを搭載した機体が作業用として配備されており、整備主任のJFKが搭乗する。戦闘用に配備された機体ではないが緊急時には戦闘にも参加しており、ガザCを撃退したり、シュツルム・ディアスにバズーカを命中させたりしている。審判のメイス作戦から2ヶ月後にはヨーンアイリスを迎えに行っている。なお宇宙世紀0089年時には既にコレクターズアイテムと化しており、稼働状態で艦艇に搭載されることは極めて珍しいケースとされる。

装備・機能

特殊機能

バズーカ・ラック
バズーカでの核弾頭射出時の反動から肩関節を保護するために右肩に増設された固定器。「コミックボンボン」の掲載の「SFプラモマガジン」において大河原氏により設定画が用意され、模型作例と共に掲載された。後にガンプラ「HGUC 1/144 ザクI」で公式に立体化を果たしている。

武装・必殺攻撃

ザク・マシンガン (105mm)
初期型であるドラムマガジン式の105mmマシンガン。いわゆる「ザク・マシンガン」のファーストモデル。ザクIのもっとも一般的な携行武装で、ドラムマガジンが銃身の横に装着されているのが特徴。一年戦争勃発までの戦闘において多用された。
ザク・マシンガン (120mm)
主にザクIIが装備するドラムマガジン式の120mmマシンガン。初期モデルの生産開始は、ザクIの生産がB型に以降してから後だった。
ザク・バズーカ
対艦用の280mmバズーカ。後にザクIIが使用する物と形状が異なる。初期の物は核弾頭の射出にも使用されており、そのための炸薬が強力であった為、肩関節の保護を目的にバズーカ・ラックが増設された機体も存在する。
核弾頭の他に徹甲弾や形成炸薬弾、粘着榴弾などの各種弾頭を射出する事も可能であった。また、開発当初はロケット弾の携帯サイロのようなタイプも使用されていた。
ヒート・ホーク Type3
加熱式の実体斧。ブレード部分が赤熱化し、敵の施設や装甲を溶断する。ただし、対MS戦は想定しておらず、あくまで軍事施設や敵機への攻撃牽制を目的としていた。

その他 

シュツルム・ファウスト
一年戦争後期に多用された使い捨てのロケットランチャー。自動追尾装置等はなく、移動する標的に命中させるのは難しいが、携帯用の武装としては強力な部類に入る。
スパイク・シールド
機銃などの防御用のシールドに打突用のスパイクを追加したもの。後にザクIIの機体の標準固定装備となるが、その際スパイクはショルダーアーマーに移設される事になる。
GGガス弾
2連装式の毒ガス弾。発射後に目標の上空で炸裂し、毒ガス「G2ガス」を散布する。一年戦争初期のコロニー制圧に用いられた。『第08MS小隊』第7話に登場する機体が使用。
Sマイン
対人近接防御兵装。機体各部の発射口から小型鉄球入りの弾頭を発射、敵の頭上で炸裂し小型鉄球の雨を降らせる。『第08MS小隊』第8話でトップ機が使用。
ザメル砲
ザメルの680mmカノン砲を改修した装備。『REBELLION』にてスキウレの土台部に接続したものがソロモン戦で使用され、閃光弾によって自走機雷を誘導している。
スレッジハンマー
整備用の大型ハンマー。JFK機が装備しており、本来は工具だがガザCを破壊する威力を発揮している。
クレイ・バズーカ
主にエゥーゴで運用されていた汎用バズーカ。JFK機が2挺持ちで装備し、シュツルム・ディアスに命中させている。なお本機では対応していないのか、ロックせずにマニュアル操作で射撃している。

対決・名場面

機動戦士ガンダム

ガンダム
第3話より。自身のパプアを沈められながらもシャアへの補給を完遂したガデムは、シャアの制止を振り切り、パプアを沈めたガンダムに素手のザクIで戦いを挑む。ビーム・サーベルの一撃を軽々と躱したガデムはガンダムに渾身のショルダータックルを食らわせ、実力の差を見せ付ける。立て続けにアッパーを繰り出そうとするも、取り押さえられた末にビーム・サーベルで胴体を斬られ敗北。実力ではカバーできない程の性能差に驚愕するガデムと共にザクIは爆散した。

関連機体

別デザイン 

ザクI (THE ORIGIN版)
『THE ORIGIN』の世界観におけるザクI。デザイン上の大きな差異は無いものの、武装バリエーションの追加、系列機の変化などがある。
シャア専用ザクI
パーソナルカラーである赤に塗装されている専用機。ザクIIの一部パーツを装備している。
ザクI (サンダーボルト版)
『サンダーボルト』の世界観におけるザクI。リビング・デッド師団の所属機にはデブリ対策用にシーリングが施されている。

パーソナルカスタム機 

ランバ・ラル専用ザクI
パーソナルカラーである青に塗装されている専用機。
黒い三連星専用ザクI
パーソナルカラーである黒と紫に塗装されている専用機。
ザクI (エリク仕様)
エリク・ブランケの搭乗機として改修が施された機体。
ザクI (ダーマック・バーロウ機)
ダーマック・バーロウの搭乗機。エミコの専用ザクII用の武装運搬役を担うため、左手と両肩にマウントラック付きのシールドを装備している。

別仕様・改修機

ザクI (YMS-05)
漫画『MS IGLOO 603』で登場。本機の試作機で、外見上の差は無い。主力機の座を賭けたツィマット社とのコンペティションで、同社のヅダ (EMS-04)と競い合った。
ザクIQ型
本機をレトロフィットした機体。
ザクI (ノリス・パッカード少佐機)
ノリス・パッカードの搭乗機として武装が改修された専用機。
ザクIS型
詳細不明。ギャビー・ハザードの最初の搭乗機とされている。
ゲラート・シュマイザー専用ザクI
ゲラート・シュマイザーの搭乗機として大幅に改修された専用機。
ザクI・スナイパータイプ
旧式化したザクIを、長距離支援用MSに改修したもの。
サブ・ジェネレーターを内蔵したバックパックとロングレンジ・ビームライフルを装備している。
ザクI・スナイパータイプ (カークス機)
カークスが独自に小改造した機体。
作業用ザク
ザクIIの他、本機のパーツが使用されている。
ザクタンク
『第08MS小隊』第5話に登場する機体は、胴体に本機の物を流用している。
アッザム改修型
本機が制御ユニットとして流用されている。

系列機・派生機 

プロトタイプザク
本機開発の礎となった機体。
ザクII
次世代機。

その他 

ギャバン専用ボルジャーノン
『∀』に登場するザクIに酷似した機体。ギャバン・グーニーの搭乗する黒い機体以外にも緑一色の一般機が登場している。
ザク量産試作型
『SEED』シリーズに登場するザクシリーズの機体。「9(きゅう)ザク」「モノアイレール中央にスリット」「主力機のザクより1つ前のモデル」といった共通点が見られる。

余談 

  • ガンプラの旧キットではザクIIよりも後発だった事もあり、関節部の可動域が向上している。特に股関節の可動域が優秀だった事もあり、ザクIのキットから股関節のみを抜き取ってザクIIに移植するという改造が盛んだったようだ。結果として股関部分を無くしたザクIが残される事に。

商品情報

ガンプラ

フィギュア 

リンク

脚注

  1. MS-01は外部制御・外部動力による稼働試験機、MS-02は制御機器内装による稼働実験機、MS-03は短時間ながら独立稼働が可能な試験機であった。
  2. ジェネレーターから出力される流体パルスシステムによる動力を最短で各ユニットへ供給しているため、脚部および腕部、頭部への関節部分の内部構造に余裕がなく、後の機体と比較してジェネレーターの性能向上や部品交換などが困難であった。ジェネレーターも当初M&Y公社とジオニック社が共同開発したMYFG-M-ES型を搭載する事を前提としていたが、量産開始から終了に至る期間の間にジェネレーターそのものは格段に進歩し、8種類ものバリエーションが生まれていたが、ザクIは機体内の容積のみならず形状そのものが固定されていたため、抜本的な改善は事実上不可能であった。
  3. そのため、単に「ザク」と呼ばれるのは後継機であるザクIIを指す場合がほとんどであり、MS-05は「ザクI」「旧ザク」と呼ばれるようになった。
  4. その時点でザクIは十分に耐用年数内だったが、実質的な性能差はいかんともし難く、防空や哨戒、護衛、工作任務での運用が多かった。
  5. 脚部の構造なども、それを踏襲したザクIIが地上で隆盛した事を見れば逆説的にその優秀さを証明していると言える。