ボール

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ボール
外国語表記 Ball
登場作品
デザイナー 大河原邦男
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スペック
愛称
  • ボールさん (小説版1st)
  • ミスター・ボール (同上)
俗称 アジアのスイカ (MS IGLOO)
分類 支援用量産型戦闘用ポッド
型式番号 RB-79
VX-76 (小説版1st)
全高 12.8m
本体重量 17.2t
全備重量 49.0t
主動力 燃料電池
ジェネレーター出力 400kW
スラスター総推力 24,000kg
装甲材質 チタン合金(設計上はルナ・チタニウム合金
センサー有効半径 4,000m
開発組織 地球連邦軍
所属 地球連邦軍
主なパイロット
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概要[編集 | ソースを編集]

地球連邦軍が開発した戦闘ポッド[1]熱核融合炉やビーム兵器などは装備しておらず、その名の通り、球形のコントロールブロックに2本のマニピュレータと大型キャノン砲などを装備した宇宙用のワンマンポッドであり、一年戦争後期に大量に実戦投入された。

ジムと同じく集団戦を想定しており、ジム1機をリーダーとし、2機のボールをその支援に充てて最小単位とする戦闘ユニットが大量に投入された。これは、旧世紀における戦闘機の編隊構成などに採用されたハイ・ローミックス構想に近い運用法であったとされる。また、本機の大量投入による飽和攻撃は、特に一年戦争終盤の情勢を左右した宇宙要塞の攻略などにおいて有効だった。

連邦軍の主力MSとして生産されたジムであったが、生産性を優先した結果、スペックが要求基準に達していない機体が多く、軍首脳部も宇宙での戦力はジムのみでは不充分と考えていた。また、生産数そのものも想定より不足していたため、その埋め合わせとして宇宙空間における作業用として官民問わず使用されていたスペースポッド「SP-W03」を兵器化して開発されたのがボールである。宇宙世紀0079年6月にプロトタイプが完成し、テストに並行して量産が行われ、ソロモン海戦からア・バオア・クー攻略に至る期間中に1200機が参戦している。

ボールは、SP-W03の設計を流用しつつ、パイロットのサバイバビリティを向上させるため、コクピット(原型機のメインフレーム)周りをトラスフレーム構造で覆い、戦闘レベルまで強化。そこに燃料電池やプロペラントタンクなどを追加した上で必要充分な装甲を施している。コクピットブロックや生命維持装置、制御機器はSP-W03の物がほぼそのまま流用され、基礎OSにも殆ど手は加えられていない[2]

メインスラスターとして高機動バーニアシステムを搭載し、姿勢制御は機体各所に配置されたサブスラスターで行う。これは、一種の指向性爆薬に近い固体燃料ペレットを爆発的に燃焼させる事で瞬間的に大推力を発生させるもので、燃料の消費は激しいが、メインスラスターを使わずに機体を自在に移動出来る利点があった。

ボールは燃料電池を動力源としているため、MSレベルの運動性や機動性を確保出来る訳でもなく、AMBAC機動もビーム兵器のドライブも不可能であるが、帰還後の機体冷却設備などが不要であり、ボールのみならば軽武装艦やただの輸送艦も空母として運用出来た。

また、設計当初から生産時期や施設による多少の仕様違いは織り込み済みであり、マニピュレータの仕様や武装にもいくつかのバリエーションが存在する。特にそれぞれの生産拠点や運用部隊による塗装バリエーションは多岐に渡っており、実際の稼働や任務に支障がない限り、部隊単位で独自の塗装も認められていたという。中でも旧世紀の戦闘機に倣った、いわゆる「シャークマウス塗装」は、実戦投入当初から多くのパイロットに好まれた塗装パターンの一つであった。

MSと比較した場合、戦力としては心許なく、連邦兵からは「丸い棺桶」や「一つ目のマト」と揶揄される事もあった。戦闘以外では本来の用途である作業目的で活用され[3]、一部は武装を廃して民間に払い下げられた機体も存在する。また、原型機が元々過酷な宇宙環境での作業を目的としていたこともあってか、センサー類に関してはザクはおろかジム以上、場合によってはガンキャノン並の性能があるとされる。

登場作品と操縦者[編集 | ソースを編集]

機動戦士ガンダム
初出作品。第35話から登場するが、他の連邦軍機と同様に専らのやられ役である。しかも当時からある設定に反し長距離支援せずにジムと一緒に行動する描写が殆ど。とはいえ物量作戦の一翼を担って勝利に貢献したのは確かである。
機動戦士ガンダム (小説版)
PART 9から登場。「ボールさん (ミスター・ボール)」というあだ名がつけられている他、マニピュレーターにビーム・ライフルを保持している。
GUNDAM EVOLVE
「EVOLVE../11」にカトキ版デザインが登場。主人公のヒデンが所属するボール部隊が終戦後のア・バオア・クー内部で索敵任務についていたが、突如謎の敵から攻撃を受ける。味方機が攻撃される中、残されたヒデン機は敵の正体であるザクIIを発見。辛うじて撃破に成功している。
機動戦士ガンダム MS IGLOO
やられ役なのは相変わらずだが、『一年戦争秘録』第3話では、シャークマウスのノーズアートが施されたオハイオ小隊の機体が登場する他、地球から脱出したものの地上用のため無重力下ではまともに動けない陸戦型ザクIIを一方的に痛めつける等、それまでのイメージとは異なる「強いボール」が描かれる。
なお、ヨーツンヘイムの識別表にフィフティーンキャリバー装備機がK型として表示されているが[4]、同兵装の機体が作中設定でK型なのか、はたまたジオン側でK型として登録されているだけなのかは不明。
機動戦士ガンダム THE ORIGIN
役割は『1st』とほぼ同じ。
機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
MATERIAL-A003のブロイ・リゲラの回想に登場。第24哨戒艦隊所属機でボールM型の護衛機として登場するが、プリムス艦隊のMS部隊によって艦隊共々撃破された。
機動戦士ガンダム アグレッサー
第54話から第23独立艦隊におけるアグレッサー部隊の機体として登場。基本的に支援機として運用されており、損害は出ていない。なおデザインはカトキ版となっている。
ガンダムビルドファイターズ
第3話で本機のガンプラをレイジが操縦。ガンプラバーの常連のガンプラをアーム一本で軽く打ちのめした。その後、逆上した常連5人を一度に相手にしたため追い込まれるが、フェリーニの加勢により助けられる。

装備・機能[編集 | ソースを編集]

特殊機能 [編集 | ソースを編集]

アーム
原型機の作業用宇宙ポッドの装備を軍用基準まで強化した汎用マニピュレータ。無重力空間における機体保持や繋留の他、前線では各種作業にも活用された。マニピュレータ出力は540hp前後で、作業用としての使い勝手は上々であった。
機体がベース機より幾分大型化されたため、民生用の規格としてひとクラス上の作業能力が付与されており、先行量産された機体に装備されたサブアームもその一つであったが、本格的に量産された機体からはこれがオミットされている。これは、実際の運用を通じた検証によって不要だと判断されたとする説と、とにかくコストを下げるために排除されたとする説がある。なお、後期生産型と呼ばれる機体群では、このサブアームを装備した機体も多い。

武装・必殺攻撃[編集 | ソースを編集]

180mm低反動砲
機体上部のターレットにマウントされた実体弾砲。2列式弾倉を採用し、装弾数は21発。いくつかのバリエーションがあり、砲身を2門装備する機体も相当数生産されたと言われているが、実戦での運用例は確認されていない。
180mm砲搭載型が最も多く量産されたが、調達の問題から120mm砲を搭載した機体もあったほか、試作機のRX-76にはガンタンクから流用した120mmキャノンが搭載されていたとされる[5]
『1st』作中ではドムを一撃で破壊している他、開発経緯を考えれば射程は長いと思われる。なお、『小説版1st』ではハイパー・バズーカと呼称されている。
2連装キャノン砲
俗に15(フィフティーン)キャリバーとも呼ばれる連装キャノン砲。主に補給艦の護衛機に採用され、ゼロ距離射撃も可能であった。ジオン軍の識別データでは「ショートレンジ・マシン・キャノン」と表記されている。
速射性能は180mmキャノンに勝っていたと見られ、ボールのみで戦闘小隊を編成する際には本武装を装備した機体を混成する例が多かった。
『MS IGLOO 黙示録0079』や『THE ORIGIN』に登場した一部の機体が装備。

その他 [編集 | ソースを編集]

格闘
格闘戦用の装備は搭載されていないため、『MS IGLOO 黙示録0079』第2話など敵機に接近された際に回転しながらの体当たりやアームによる打撃を行った事例も確認できる。Gジェネシリーズなどゲーム作品では体当たりなどが実装されているが、映像作品では逆に蹴り飛ばされたり投げつけられたりと敵に武器として扱われる事がしばしば。
ナックル・ダガー
ストライカー・カスタムの使用するトンファー状の近接戦闘用武装。『カタナ』でマーキュリー機が使用し、その後ストライカー・カスタムに渡されている。
ビーム・ライフル
『小説版1st』でアームに装備。

対決・名場面[編集 | ソースを編集]

機動戦士ガンダム MS IGLOO 黙示録0079 [編集 | ソースを編集]

オッゴ

関連機体[編集 | ソースを編集]

別デザイン [編集 | ソースを編集]

ボール (サンダーボルト版)
サンダーボルト』の世界観における本機。アームにマシンガン、機体下部にスキッドが追加されている。

系列機・派生機 [編集 | ソースを編集]

スペースポッド
本機のベースとなった作業用ポッド。
プロトタイプ・ボール
RX計画で開発されたとされるボールの試作機。ガンタンクの120mmキャノン砲を転用したバージョン。
ボールK型
ボールの先行量産機。オレンジ色の機体色が特徴。
ボールF型
ボールの損耗率を下げるべく装甲と機動性を強化した機体。
ボールG型
キャノン砲をクレーンアームに換装した作業用の機体。
ボールM型
機雷散布ポッドを装備した機体。
フィッシュアイ / 水中型ボール / フロッグ・ボール
ボールをベースに水中用に改修した機体群。
ボール改
0083』に登場。サブアームが増設された本機の改良型。
ボール・スプレーミサイル
ガンキャノンのスプレーミサイル・ランチャーを装備した機体。
133式ボール
宇宙世紀0133年に量産型F91部隊の運用コスト調整と支援を目的に開発された機体。
Bガンダム
ウモン・サモンによってガンダムフェイス風の増加装甲を取り付けられたボール。
ボール・ボーイ
GXREX社がジャンクから作成したハンドメイドMS。ボールに手足を生やしたシルエットを持つが、オリジナルとはサイズが異なる。

その他 [編集 | ソースを編集]

シャア専用ボール
シャア用にカスタマイズされたギャグ機体。
ポリポッドボール
ガンダムビルドダイバーズ GIMM&BALL’S WOULD CHALLENGE』に登場する本機ベースのガンプラ。4脚が追加され、全領域に対応可能となっている。
キャノン・ボール
ボールとガリクソンを合わせた機体。
NT試験用ジム・ジャグラー
本機をベースとする攻撃ユニットを搭載した機体。
ドータップ
機動新世紀ガンダムX』の登場機体で本機をモチーフにしている。
ドータップ水中型
ドータップの水中型。
ミストラル
機動戦士ガンダムSEED』の登場機体で本機をモチーフにしている。

商品情報[編集 | ソースを編集]

ガンプラ[編集 | ソースを編集]

リンク[編集 | ソースを編集]

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. 一般的には本機は「モビルポッド」とされるが、これは駆逐モビルポッド「オッゴ」の登場により普及した分類であり、ゲーム等では「モビルアーマー」に、プラモデルの解説書では「戦闘ポッドであり、簡易型MS」と表記される。
  2. 基本プログラムに機能拡張やアプリケーションをいくつか追加するだけで必要充分な性能を発揮したと言われている。なお、ハード及びソフトの検証はソロモン攻略戦以降も続けられていた。
  3. 『0083』でソーラ・システムII展開作業を行っている機体など。
  4. 『黙示録0079』第2話、マイ中尉が6機のボールを確認するシーン
  5. ガンプラ「MG RB-79K ボール 第08MS小隊版」説明書。この解説は、口径が180mmだけでなく120mmや90mmと、資料によってバラつきが生じていることに対する辻褄合わせと思われる。