機動武闘伝Gガンダム
機動武闘伝Gガンダム(Mobile Fighter G-Gundam)
- 1994年4月1日~1995年3月31日放映(テレビ朝日) 全49話
概要
未来世紀60年。地球を汚染しつくした人類は、支配階級主導のもと地球を脱出し、各国がそれぞれスペースコロニーを建築。国家中枢もコロニーと共に移転している。 これらコロニー国家連合の政策の主導権を賭けて行われる「ガンダムファイト」と、その裏側に隠された真実をめぐる物語。
宇宙世紀の世界観から離れ、富野氏の手によらない初めてのガンダムシリーズ。初代ガンダムからの時系列と区別するため、「アナザーガンダム」とも呼ばれる。
宇宙世紀ものと違い人類の変革を扱わず、また大規模な戦闘という意味での戦争を取り扱わない。放映当時ブームだった格闘ゲームや香港映画などのオマージュを取り込んだ事について賛否両論があった。
その一方で、本作品に登場するガンダムファイター達はニュータイプのような力を持たないものの「拳を通して互いの心を理解することができる」存在として、新人類への革新によらない相互理解の形が描かれている。
また、本作終盤で主人公は「ファイターではない(=相互理解の力が通じない)相手と心から理解し合うためにはどうしたらいいのか」という問題に直面することとなる。
ガンダムの『人の想いを体現してくれるマシン』といった要素は大袈裟であるものの残っており、必ずしも『ガンダム』が無視されている訳ではない。また、国家同士の大規模な戦闘行為の描写はないが、ガンダムファイトという各国の代表を戦わせる「代理戦争」という形で戦争のない世界を逆説的に表現している。
主要登場人物が未熟で多感な少年達だった従来のシリーズと比べ、本作の中心となるのはそれぞれが信念と情熱的な心を持つ大人達となっており、これまでの「少年少女の自分探し」「思春期の若者の」というものとは異なる新機軸を打ち出した、とも言える。
こうしたバトルアクション路線は、今までのガンダムファンからは拒絶反応を引き起こした。一方で、ガンダムという枠組みに囚われない破天荒な内容に魅了されたファンも多く、放映から20年経った今でもフィギュアやプラモなども生産され、根強い人気を持っている。
そもそもにして、本作が格闘アニメになったのは、富野監督の『次にガンダムやるならプロレスやれ』という無茶ぶりを正直にそのままやった結果であり、更に言うなら、その「ガンダムの本質を感じられないオールドタイプ」こそ富野監督が嫌ったもので、そう考えるなら、本作を否定する者こそがガンダムを理解していない人間と言えるのかもしれない。(勿論それを理解した上でなお否定したくなるのも仕方ない事だろうが……)
そのためか、一世を風靡したプロレス漫画「キン肉マン」に大きな影響を受けたであろう部分が多く見られるという。
作中でガンダムが黄金に輝く場面が見られるが、これは単なる演出ではなく、本作におけるガンダリウム合金の特性により実際に装甲表面が金色に変質しているためである。
ストーリー
未来世紀60年、地球の覇権を賭けた代理格闘戦「第13回ガンダムファイト」。ドモン・カッシュはネオジャパンコロニー代表としてガンダムファイトに参加する。だが、彼の真の目的は、科学者である父が造った「デビルガンダム」とそれを操る兄・キョウジを見つけて倒すことだった。
登場人物
主要キャラクター
- ドモン・カッシュ
- 主人公。ネオジャパン代表。無愛想で無鉄砲。
- レイン・ミカムラ
- ヒロイン。ドモンの幼馴染。原作終盤でデビルガンダムのコアとなる。
- 東方不敗(マスターアジア)
- ドモンの師匠。先代のキング・オブ・ハート。その実力は生身でモビルスーツを撃破するほど。
- チボデー・クロケット
- ネオアメリカ代表。100連続K.Oという輝かしい戦歴を持つボクサー。
- サイ・サイシー
- ネオチャイナ代表。第3回大会優勝者サイ・フェイロンの孫。少林寺再興を目指す。
- ジョルジュ・ド・サンド
- ネオフランス代表。ネオフランスの名門・サンド家の若き当主。
- アルゴ・ガルスキー
- ネオロシア代表。元・宇宙海賊の囚人ファイターで、ネオロシア政府によりガンダムファイトに強制参加させられている。
- シュバルツ・ブルーダー
- ネオドイツ代表。「ゲルマン忍術」を使う謎の覆面ファイター。
- アレンビー・ビアズリー
- ネオスウェーデン代表。本作のサブヒロイン。
- ウルベ・イシカワ
- ネオジャパンの軍人。ドモンにガンダムファイトへの参加とデビルガンダムの捕獲を命じる。
ガンダムファイター
- ミケロ・チャリオット
- ネオイタリア代表。ドモンの最初の対戦相手。
- アンドリュー・グラハム
- ネオカナダ代表。元・宇宙刑事だったが、アルゴが起こした事故のために妻を失い、復讐のためにガンダムファイターとなった。
- ジェントル・チャップマン
- ネオイングランド代表。過去にガンダムファイトを3連覇した栄誉を持つ。
- キラル・メキレル
- ネオネパール代表。ガンダムファイトに恨みを持つ盲目の暗殺者。
- ロマリオ・モニーニ
- ネオポルトガル代表。相手の技をそっくりそのままモノマネして戦う。
- マーキット・クロノス
- ネオギリシャ代表。ガンダムファイト決勝大会初戦のドモンの対戦相手。
- ハンス・ホルガー
- ネオデンマーク代表。限界を迎えたマーメイドガンダムでサイ・サイシーに挑む。
旧シャッフル同盟
- クイーン・ザ・スペード(マックス・バーンズ)
- ジャック・イン・ダイヤ(ナシウス・キルヒャ)
- クラブ・エース(アラン・リー)
- ブラック・ジョーカー(トリス・スルゲイレフ)
その他
- キョウジ・カッシュ
- ドモンの兄。デビルガンダムを持ちだしたとされていたが……。
- ライゾウ・カッシュ
- ドモンの父親でアルティメットガンダム(後のデビルガンダム)開発者。ウルベの策略により冷凍刑になっていたが、原作終盤にミカムラ博士の命と引き替えに目を覚まし、デビルガンダム撃破のヒントを息子に教えた。
- ミカムラ博士
- レインの父。シャイニングガンダムやゴッドガンダムなどを開発した。ライゾウに対する嫉妬心をウルベに利用され、彼に唆されて全ての事件の遠因を作ってしまう。
- カラト
- ネオジャパンのガンダムファイト委員長。
- チボデーギャルズ(シャリー・レーン、ジャネット・スミス、キャス・ロナリー、バニー・ヒギンズ)
- ネオアメリカの女性クルー。チボデーを慕っている。
- 恵雲、瑞山
- ネオチャイナの拳法僧。サイ・サイシーのお目付け役。
- マリアルイゼ
- ネオフランス首相の娘。ジョルジュにベタ惚れ。
- ナスターシャ・ザビコフ
- ネオロシアの軍人。アルゴの監視役。
- ウォン・ユンファ
- ネオホンコン首相。己の野望のためにデビルガンダムを狙う。
- ハン、ミン、ホイ
- ネオホンコンのジャンク船に住んでいる老人と孫達。居候しているドモンと仲が良い。
登場メカ
モビルファイター
- シャイニングガンダム
- ゴッドガンダム
- ライジングガンダム
- クーロンガンダム
- ガンダムマックスター
- ドラゴンガンダム
- ガンダムローズ
- ボルトガンダム
- ガンダムシュピーゲル
- ノーベルガンダム
- ネロスガンダム
- ランバーガンダム
- ジョンブルガンダム
- マンダラガンダム
- ジェスターガンダム
- ゼウスガンダム
- マーメイドガンダム
- ネーデルガンダム
旧シャッフル同盟
デビルガンダム軍団
- デビルガンダム(アルティメットガンダム)
- マスターガンダム
- 風雲再起
- ガンダムヘブンズソード
- グランドガンダム
- ウォルターガンダム
- グランドマスターガンダム
- デスアーミー
- デスビースト
- デスバーディー
- デスネービー
- デスマスター
- デスドラゴン
- デスボール
モビルスーツ・モビルアーマー
艦船・その他
用語
- ガンダムファイト
- 各コロニーの代表者によって行われるモビルスーツ格闘戦。優勝したコロニーはその後4年間地球の支配権を得る。
- ガンダム・ザ・ガンダム
- ガンダムファイト優勝者個人に贈られる称号。
- ガンダムファイト国際条約
- ガンダムファイトにおいての規定上のルールの事。
- ガンダムファイター
- モビルファイターの搭乗者。主に凄腕の格闘家が国によって選抜される。
- モビルファイター
- ガンダムファイト用に開発されたモビルスーツの総称。モビルトレースシステムで操縦する。
- モビルホース
- 風雲再起が搭乗する馬型のサポートメカ。
- シャッフル同盟
- コロニー格闘技集団。その目的は「戦争平定」
- DG細胞
- 「デビルガンダム細胞」の略。これに感染したモノは、人間・動物・機械を問わず、デビルガンダムの支配下に置かれてしまう。
商品情報
DVD
漫画
余談
- 主役機のNGデザインが、次作『新機動戦記ガンダムW』のウイングガンダムにそのまま流用された。最終盤のガンダム連合にはウイングガンダムやV2ガンダムなどの歴代ガンダム、果てはダイターン3やザンボット3まで混ざっていた。
- これまでのガンダムシリーズと異なり、パイロットが巨大化したりロボットの顔がパイロットのものになったり、かなり大胆な比喩的な表現がされていた。これは監督である今川泰宏氏の作風で、圧倒的な威圧感や迫力を視覚的に描写したためである。今川氏の出世作である「ミスター味っ子」では、「料理」を題材にしており、目と耳でだけしか情報をやり取りできないテレビという媒体でこれらを視聴者に伝えるために、食通の味皇が巨大化したり大阪城を破壊したり、口から炎を吐く、宇宙空間を飛行するなど「良くわからないけどとにかくすごい」というインパクトを与える手法を多用したためである。