サナリィ
サナリィ(S.N.R.I.)
「機動戦士ガンダムF90」、「機動戦士ガンダムF91」、「機動戦士クロスボーン・ガンダム」等に登場する組織。
旧西暦時代のスペースコロニー開発企業「宇宙島建設企業連合体」を前身とする半民・半官組織。宇宙世紀改暦後、地球連邦軍による買収と再編成を経て連邦所属の公社「戦略戦術研究所」となった。戦略戦術研究所は地球連邦政府や地球連邦軍へ軍事面での出費や技術開発を提供し、連邦へ大きく貢献。宇宙世紀93年に連邦軍直轄の「海軍戦略研究所(Strategic Naval Research Institute)」として再編された。
宇宙世紀0102年、サナリィは大規模戦乱の終結に伴う軍事費削減を提案し、その一環として「モビルスーツの小型化」を提出した。連邦軍はこの提出案を実行に移し、当時連邦軍のモビルスーツ開発を一手に引き受けていたアナハイム・エレクトロニクス社に小型モビルスーツの開発を発注。その5年後にヘビーガンがロールアウトするが、ヘビーガンはサナリィの提唱した小型モビルスーツの要求スペックを満たしておらず、この結果に苛立ちを募らせたサナリィは、自社によるモビルスーツの独自開発を決断した。
宇宙世紀0109年にアナハイムによるMS市場の独占を危惧する連邦政府の後押しもあり、小型モビルスーツ開発計画「フォーミュラ計画」をスタート。そして、宇宙世紀0111年にガンダムF90を完成させた。F90は連邦軍の次期主力機トライアルでアナハイムのMSA-120に勝利した事で小型MSの有用性とサナリィの技術力をアピールし、以後連邦軍の主力モビルスーツ「ガンダム」の開発はサナリィがその一任を得た。
しかし、連邦軍上層部はアナハイムとの関係悪化を恐れ、積極的にサナリィとの技術交流を図っている[1]。当初は互いに腹の探りあいを行う険悪な仲であったが、宇宙世紀0130年頃には互いの技術が同水準に追いついた事もあり、交流を深めたとされるが、不明な点が多い[2]。
なお、宇宙世紀140年頃にザンスカール帝国が建国した際には、サイド2支社が連邦駐留部隊と共にベスパとして再編され、帝国の主力MSの開発に尽力した[3]。一方で、ザンスカールに反発した本社・支社のスタッフがリガ・ミリティアに合流しており、結果同一組織の技術者が敵味方に分かれて兵器開発を行う構図が形作られた。
サナリィのMSは上腕や大腿部など、曲面を取り込んだデザインのMSが多い。先進技術の開発と研究に力を注いでいる[4]ものの、所謂「技術屋」として開発機の性能を追求する性分が強く、機体の生産性や信頼性、そして純粋な工業生産力についてはアナハイムに譲る。
登場作品
- 機動戦士ガンダムUC
- 小型特殊MSとしてロトを開発・生産。熱核融合炉のダウンサイジングに成功しているが、出力はザクIIと同程度。
- 機動戦士ガンダム Twilight AXIS
- グリプス戦役後期にガンダムAN-01"トリスタン"を入手。しかし、パイロットであったクァンタン・フェルモの叛乱にあい機体は強奪され、その後ブッホ・コンツェルンが確保した同機はバーナムによりアクシズの捜索任務に投入され、サナリィも秘密裏に同計画に参画している。
- 機動戦士ガンダムF90
- ガンダムF90を開発。1号機、2号機による訓練中にオールズモビルによって2号機が強奪された事を契機に第一次オールズモビル戦役が勃発。2号機は火星での戦闘で連邦に回収され、その後ガンダムF90IIへ改装された。
- 機動戦士ガンダムF90FF
- 『ガンダムF90』以前のF90の開発の様子が描かれている。2号機の試験中にランデッガー重工の介入を受けた。
- 機動戦士ガンダムF91
- ガンダムF91を開発。モニカ・アノーによって開発されたバイオコンピューターは、彼女の息子シーブックによって性能を発揮している。
- 機動戦士クロスボーン・ガンダム
- F97を開発し、全4機をデータ収集目的で宇宙海賊クロスボーン・バンガードに譲渡。内1機は輸送中の事故により喪失、X2は木星帝国に鹵獲された上で撃墜され、X3もディビニダドとの戦闘で失われた。残存したX1は改修を受けながら海賊の戦力として継続運用された。F97の量産モデルであるフリントも開発しているが、F97諸共海賊によって地球圏で運用された[5]事が連邦の知る所となり、海賊との関係追及を避ける為にF97は不採用となった。
- 機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート
- 機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人
- F97のパーツを流用し、初のミノフスキードライブ搭載型MSであるF99レコードブレイカーを開発。月面工場でテストを行っていたが、神の雷計画を進める木星帝国の襲撃を受け、生産工場及び試作機は全て破壊された。
- 機動戦士Vガンダム
- サイド2支社がザンスカール帝国に吸収されている。一方で、帝国に反発した元スタッフがリガ・ミリティアに合流し、Vガンダムを開発した。
関連人物
開発関係者
- ジョブ・ジョン
- 元ホワイトベースクルー。0110年代における代表取締役。
- オムル・ハング
- 元ホワイトベースクルー。サナリィ立ち上げ初期のメンバー。
- アルマイア・グッテンバイガー
- 元々は大学教授で、「フォーミュラ計画」にはアドバイザーとして参加。
- モニカ・アノー
- オーティス・アーキンズ
- ミューラ・ミゲル
パイロット
- パッツィ・アンゲリカ
- ギデオン・ブロンダン
- デフ・スタリオン
- ベルフ・スクレット
- ナナ・タチバナ
- シーブック・アノー(キンケドゥ・ナウ)
- トビア・アロナクス
- ミノル・スズキ
- ヨン・サン・ニー
- ユリシーズ・レオパルド
- ミッチェル・ドレック・ナー
主な開発モビルスーツ
既存機種の改修型
- RGM-89系
- RGM-89ST2 STガン
- RX-78系
- RX-78AN-01 ガンダムAN-01"トリスタン"
- D系機体
- D50C ロト(F5系統の基になった機体)
F系機体(フォーミュラ計画/フォーミュラプロジェクト)
※次期主力機開発計画「フォーミュラ計画」で開発された機体にはFのコードが付けられる。
- F5系(AFV型MS)
- F50D (RX-107, RXR-44) ガンタンクR-44
- F7系(中距離支援用MS)
- F8系(汎用量産型MS)
- F9系
- F90シリーズ(主力MS)
- F91シリーズ
- F97シリーズ
- F97-X1 (XM-X1) クロスボーン・ガンダムX1
- F97-X2 (XM-X2) クロスボーン・ガンダムX2
- F97-X3 (XM-X3) クロスボーン・ガンダムX3
- F97-E (XM-10) フリント
- F99 レコードブレイカー
- F99R
リガ・ミリティア系機体
- E系機体
- LM111E02 ガンイージ
- V系機体
関連用語
- フォーミュラ計画
- サナリィによるMS開発計画。
- 地球連邦軍
- 上位組織。MS開発参入以前より、軍に対して様々な提言を行ってきた。
- アナハイム・エレクトロニクス社
- 同業他社。商売敵であり、MS小型化計画の実行以降、次期主力MS開発でシェアを争う。
- ヤシマ重工
- 技術提携を行っており、F90開発においてマイクロハニカム技術の提供が行われている。
- ナムスド研
- ティターンズのTR計画に参加した研究者を多く受け入れている研究機関。宇宙世紀107年にサナリィに吸収合併された。
- クロスボーン・バンガード / バーナム
- ブッホ・コンツェルンの私兵部隊。政治的な繋がりがあり、水面下で協力体制を敷いていたケースも見られる。
- 宇宙海賊クロスボーン・バンガード
- 木星帝国に対する反抗組織。地球連邦の目が届かない木星で主に活動する事を理由に、試作兵器の提供を行っていた。
- リガ・ミリティア
- 過去にサナリィに入籍していたスタッフが多数参加している。
- ザンスカール帝国
- サイド2で勃興したスペースコロニー国家。運用兵器にサナリィの技術を導入している。
- ベスパ
- ザンスカールの軍隊。サナリィのサイド2支社を母体とし、それ故に高い技術力を有する。
- スーパーサイコ研究所
- ザンスカール帝国のニュータイプ研究施設。元々はフロンティアIに設立されたサナリィの医療施設であり、倫理委員会による監査も定期的に行われていた。
脚注
- ↑ GキャノンのOEMなどがその一例。
- ↑ リガ・ミリティアの機体はサナリィの技術にアナハイムの生産力が組み合わさった物であるとされている。
- ↑ マリア主義に賛同するスタッフも多く、徴用そのものは強制ではなかったとされる。
- ↑ ヘビーガンがあくまで既存のMSをそのまま小型化した物であるのに対し、サナリィは新技術の積極的採用によるMSの構造の根本的な見直しを提言している。
- ↑ 辺境である木星で運用していれば連邦側からのお咎めはなかったものの、結果的に戦線が地球に及んでしまっている。
- ↑ ガンダムF90のプロトタイプとして逆算的に位置づけられたナンバリングの為、実際のF8系とは系譜が異なる。
- ↑ 『グレートメカニック.DX 7(2008 winter)』内でのインタビューで機動戦士Vガンダムの文芸設定を担当したサンライズ企画室室長の井上幸一氏が「サナリィはサナリィで、F91のような特殊な機体ではなくもっと汎用性のあるMSとして、ヴィクトリーやガンイージ(紙面でガンイージーと誤表記をしている)といったMSを作っています。」と述べている。
- ↑ 『ニュータイプ100%コレクション21 機動戦士VガンダムVOL.1 ÜSO'S BATTLE』角川書店、58頁。