ゲルググ

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ゲルググ
外国語表記 Gelgoog
登場作品
デザイナー 大河原邦男
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スペック
分類 汎用量産型モビルスーツ
型式番号 MS-14A
頭頂高 19.2m
全高 19.6m
本体重量 42.1t
全備重量 73.3t
主動力 熱核融合炉
ジェネレーター出力 1,440kW
スラスター総推力 61,500kg
装甲材質 超硬スチール合金
センサー有効半径 6,300m
開発組織
所属 ジオン公国軍
ジオン残党
主なパイロット
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概要[編集 | ソースを編集]

ジオン軍が第二期主力MS開発計画の一環として、ザクIIに代わる主力機として開発したモビルスーツ地球連邦軍ガンダムを強く意識し、それを超えるべく開発されており、同時期のMSの内でも屈指の完成度を持つと評されている。次期主力機選定でギャンに大差を付けて勝利し[1]、ジオン軍末期の主力機として採用された。

ゲルググにはこれまでに蓄積されたMS開発に関連するノウハウが全て投入されており、ジオン軍において初めてビーム兵器を標準装備している。ビーム兵器の搭載は開発の前提条件として検討され、その稼働に対応した高出力ジェネレーター[2]と高い近接戦闘能力を有し、対MS戦闘を本格的に想定した機体となった。単独での大気圏突入こそ出来ないものの、生産性を含めたトータルな意味での「工業製品」としては実質的にはガンダムを凌駕していたと言っても過言ではない。

ゲルググの名を冠する機体は、まずYMS-14として25機の先行量産型がロールアウトし、直ちにシャア・アズナブルキマイラ隊などのエースパイロットのもとに配備された。そして、充分な完熟訓練の猶予もなく、パイロットたちは最新鋭機を駆って実戦の中で稼働データを本国に送り続けた。その稼働に際しては、構造上の大きな問題もなく、部分的な改修やレイアウトの整理といった量産に移行するための多少の見直しを持って、YMS-14はMS-14という形式番号とともに生産ラインに乗せられた。だが、この時点で連邦軍との主戦場は地球上から宇宙へと移った事でゲルググの生産と配備は急務となっており、ジオン本国、グラナダを始めとし、各地に点在するMS工廠のラインはほとんどすべてがこの生産に切り替えられた。しかし、結局は予定された定数を満たす事は叶わず、戦略レベルで大量に参戦出来たのはア・バオア・クー戦においてであり、多くの機体が学徒動員兵などの未熟なパイロットによって運用されたため、ゲルググは確たる戦果を挙げるには至らなかった。一説には、優秀なパイロットに適正配備された場合、一年戦争の結末は違っていたと評価されている。

ゲルググの頭部モジュールは基本的にザクの構造を小型・高密度化したものであり、指揮官機並みの通信機能を持った高性能センサーの集合体となっている。また、マルチプルノズルから後頭部に至る動力パイプは内部にコンポーネントされた事で耐弾性と耐久性が向上している。胴体部はビーム兵器の稼働に要するジェネレーターを収める目的で3分割されたモジュールによって構成され、これは機体の運動性を高めるためにも有効であったが、実際にはパイロットの生存性を高めるために採用された構造であり、生産性や整備性の面からも歓迎された。機体背部にランドセルは装備されておらず、主推進器は腰部スカート内に配されている。この構造は装備の換装を容易とし、任務に応じてランドセルを追加装備する事が可能であった。各部関節部分に採用されている駆動装置はザクと同程度の能力のものを小型・高速化し機体そのものの反応速度が改善されており、機体の運動性も飛躍的に向上した。また、前腕部の補助推進ユニット(熱核ジェットエンジン)は基本的には地上戦用の装備あり、コロニーなど大気が存在する無重量領域では有効であったが、空間戦闘においてはデッドウェイトである事には代わりはなく、宇宙空間での運用が確定している機体に対しては、代わりに110mm連射砲など武装を搭載するケースも見られた。

なお、開発計画はかなり早い時期から存在しており、当初は「MS-11」のコードナンバーで開発が進められていたものの、高度な汎用性の獲得やビーム兵器の開発が難航し、実戦投入は一年戦争末期となった[3]

登場作品と操縦者[編集 | ソースを編集]

機動戦士ガンダム
初出作品。第42話からのア・バオア・クー戦に複数機登場。量産機は目立った活躍はせず、学徒兵によって運用されている旨がトワニングによってキシリア・ザビに説明されている。
機動戦士Ζガンダム(TV版)
第26話にてグワジン級の残骸内に遺棄されていたゲルググが登場。艦内に入り込んだカツによって発見され、ヤザンに追い詰められていたカミーユの危機を救った。その後、ネモ1機分の部品で修理され、レコア・ロンドのジュピトリス潜入任務や百式のメガ・バズーカ・ランチャーのエネルギーチャージに利用された。
機動戦士ガンダムΖΖ
第26話にマサイ・ンガバの恋人タグが使っていた赤いゲルググが登場し、他にも第30話に「青の部隊」のディート・カルトハが搭乗する青いレプリカ機が登場した。
機動戦士ガンダムF91
ロイの戦争博物館内部に展示されているのが確認できる。
機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ラスト・リゾート
フラナガン機関の被験者を乗せたムサイ級の護衛機が3機登場。地球軌道上で地球連邦軍と交戦し最終的に全滅してしまうが、コムサイの脱出に成功したため護衛の任は果たしている。コムサイ内にも1機搭載されていたが、損傷が激しくまともに起動しない状態であった。地球降下後は密林の川辺に横たわった状態で置かれており、ナギナタで湯を沸かすなど被験者である子供達に生活必需品として用いられていた。
機動戦士ガンダム THE ORIGIN
原作『1st』とは違い、ソロモン防衛戦から早々と登場している。特に活躍しないのは原作と同様。
機動戦士ガンダム MS IGLOO
『黙示録0079』第3話に多数登場。全機が簡易的な高機動パックを装備している。
機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル
エリク・ブランケ機が登場。ガンキャノンガンダムと立て続けに交戦しながら辛くも生き残った。
機動戦士ガンダムUC
袖付き仕様として登場。緑色に塗装されており、両手首と胸部中央に袖付き所属を表す装飾が施されている。ギラ・ドーガ用のビーム・マシンガンを装備しているため、ある程度の近代化改修を受けていると思われる。

装備・機能[編集 | ソースを編集]

特殊機能[編集 | ソースを編集]

換装
ゲルググはランドセルを持たない構造を特徴とし、用途に応じたランドセルの換装が可能だった。また、基本的な規格さえ適合すれば、その部品単位でアイデンティファイする事が可能であり、ザクの改造や追加武装のように、その度ごとに稼働ソフトのアップデートやパワーサプライの微調整を行う必要がなかった。
腕部熱核ジェットユニット
前腕部に装備された熱核ジェットエンジン。地上戦を想定した補助推進ユニットであり、スペースコロニーなど大気が存在する無重量領域で有効な装備であったが、宇宙空間においてはデッドウェイトであるため、宇宙空間での運用が確定している機体に対しては、補助的な追加武装や防御装備などが施された。

武装・必殺攻撃[編集 | ソースを編集]

ビーム・ライフル
ジオン軍が初めて量産に成功した携行ビーム兵器。ガンダムの使用するそれに勝るとも劣らない性能を持ち、高性能センサーにより高い照準値を誇る。しかし、開発・生産が遅れたことで前線への本武装の配備が遅れ、ジャイアント・バズや120mmマシンガンを装備する機体もあった。
連邦軍から入手したエネルギーCAP技術を利用している[4]が、そのシステムは連邦系のものとはアプローチがやや異なっていたとされる。
余談だが、媒体によってトリガーガードのサイズにバラつきがあり、ガード内に入る指が人差し指のみ、人差し指と中指、親指以外の3種類に分かれる。
グレネードランチャー / バイポット
ガンプラMG 1/100 量産型ゲルググ Ver.2.0」に付属する模型オリジナル設定のオプション装備。グレネードランチャーは銃身下部、バイポットは銃身上部に装着して使用する。
ジャイアント・バズ
ロケット推進で360mm口径の実弾を射出するバズーカ。ドムからの流用装備であり、ビーム・ライフルの代替装備として用いられる場合もあった。『Ζ』第26話に本装備の機体が遺棄された状態で登場している。
120mmマシンガン
ザクIIの主兵装となるマシンガン。所謂ザク・マシンガンと呼ばれる装備。
110mm速射砲
腕部に装備可能なオプション兵装。宇宙空間での運用など、前腕部の補助推進ユニットを使わない場合は代わりに前腕部に装備していた。
ビーム・ナギナタ
ゲルググが装備するビーム・サーベルは、ナギナタ状のビーム刃をユニットの両端で発生させるツインソードが採用されている。ビーム刃を片側のみ発生させ、サーベルとして使用する事も可能。両刃を展開した状態でマニピュレータごと回転させて攻撃するといった運用も可能であった。
シールド
アーモンド型に象られた防御装備。耐ビームコーティングが施されており、ビーム攻撃にもある程度耐える事ができた。非使用時は背中にマウントが可能。
ビーム・マシンガン
ギラ・ドーガ用のビーム・マシンガン。袖付き仕様が装備。

対決・名場面[編集 | ソースを編集]

関連機体[編集 | ソースを編集]

別デザイン・カラーバリエーションなど [編集 | ソースを編集]

ゲルググ (サンダーボルト版)
本機のサンダーボルト版デザイン。背部にビーム・ジェネレーターとプロペラントタンクが一体となったバックパックを装備している。
タグのゲルググ
『ΖΖ』第26話にてマサイ・ンガバが搭乗する機体。かつて亡き恋人タグが搭乗していた機体で、アンテナが無い事以外はシャア専用機と瓜二つの外見となっている。
ゲルググ (青の部隊所属機)
『ΖΖ』第30話~第31話に登場する青の部隊の所属機。砲身にホロを付けたジャイアントバズーカを携行している。

パーソナルカスタム機 [編集 | ソースを編集]

ゲルググ (エリク・ブランケ専用機)
一年戦争時にエリク・ブランケが搭乗した専用カラーの機体。後に彼が搭乗する専用の高機動型ゲルググとはショルダーアーマーの配色が異なる。
シャア専用ゲルググ
先行量産型ゲルググのシャア・アズナブル専用機。
ガトー専用ゲルググ
先行量産型ゲルググのアナベル・ガトー専用機。武装に試作型ビーム・ライフルが含まれている。
ゲルググ (ヘルベルト・フォン・カスペン機)
パーソナルカラーのグレーを基調に塗装されたヘルベルト・フォン・カスペン専用機。
ゲルググ(ロバート・ギリアム専用機)
パーソナルカラーのスカイブルーを基調として塗装されたロバート・ギリアム専用機。『ギレンの野望』シリーズに登場するゲームオリジナル機体。
ゲルググ(ランバ・ラル専用機)
パーソナルカラーの青を基調に塗装されたランバ・ラル専用機。アッガイに使用されているものと同種のレーダー吸収素材を塗料に使用し、ゲリラ戦に対応した機体となっている。『ギレンの野望』シリーズに登場するゲームオリジナル機体。

系列機・派生機など [編集 | ソースを編集]

高機動型ザクII (R-3型)
先行試作型ゲルググとも呼ばれる、ゲルググシリーズの原型機。
ゲルググ (バーニア増設タイプ)
リアスカート表面にバーニアユニットを3基増設した後期生産型。ガンプラ「MG 1/100 量産型ゲルググ」のオリジナル設定・オリジナル造形であり、インストにおいては第二期生産型以降の標準仕様となり、基本構造はJG型やF型を始めとする後発機体にも継承されたと解説されている。
先行量産型ゲルググ
本機の先行量産型。エースパイロットに支給された。
高機動型ゲルググ
背部に増加スラスターパックを装備した機体。名だたるエースパイロットに愛された傑作機の1つ。
高機動型ゲルググ改
脚部をスラスターユニットに換装し、より機動性を向上させた機体。
ゲルググキャノン
背部にビーム・キャノンパックを装備した機体。
ゲルググキャノン1A型
稼働時間を延長した機体。
ゲルググL
背部に簡易バックパックを装備し、大型ランスと大型シールドを携行した親衛隊仕様。推力と運動性を活かした迎撃を行う。
デザート・ゲルググ
本機の砂漠専用機。砂中に潜行することを考慮してスコープが取り付けられている。
陸戦型ゲルググ
地上戦に対応するためにスラスターの調整や防塵処理をされた機体。
ゲルググG
陸戦型ゲルググの砂漠戦用機。デザート・ゲルググとは別物。
ゲルググM
ゲルググの海兵隊仕様機。背部のプロペラントタンクが特徴。
シーマ専用ゲルググM
シーマ・ガラハウ専用機。プロペラントタンクが増設されている。
ゲルググ[シュトゥッツァー]
ジオン残党軍がゲルググMを独自に改修した機体。
ゲルググR「リベリオン」
イフリート・ナハトと共通のパーツを使用して改修された強襲機動型仕様。
ゲルググJ
統合整備計画によって再設計された性能向上機。宇宙空間での運動性や機動力、通信系が強化されている。
リゲルグ
第一次ネオ・ジオン抗争当時の最新技術で再設計・生産されたゲルググの改修機。
リゲルグ(オーラフ・デール機)
ゲルググJをベースにしたオーラフ・デール専用のリゲルグ。
ゲルググ・ウェルテクス
キマイラ隊仕様機。リゲルグのウイング・バインダーをバックパックに移設した機体。
RFゲルググ
オールズモビルが開発したゲルググのリファイン機。
シャルル専用ゲルググ
シャルル・ロウチェスター専用のRFゲルググ。ゲルググの最終形であると同時に唯一のビーム・シールド搭載機。

技術的関与のある機体 [編集 | ソースを編集]

ギャン
次期主力候補の競合機。
ガルバルディα
ゲルググとギャンの設計を統合した後継機。
アクト・ザク
開発ベースとなった機体の1つ (の完成形)。本機の開発当初のコードナンバーである「MS-11」が引き継がれている。

その他 [編集 | ソースを編集]

ガンダムアストレイ レッドフレーム マーズジャケット
外装の形状や武装など、本機をオマージュしたと思われる要素がいくつか見られる。
ゲルググメナース
SEED FREEDOM』に登場する本機のオマージュ機体。ザクウォーリアの後継機。

商品情報[編集 | ソースを編集]

ガンプラ[編集 | ソースを編集]

【1st版】

【UC版】

フィギュア [編集 | ソースを編集]

リンク[編集 | ソースを編集]

脚注[編集 | ソースを編集]

  1. 選定試験そのものを形式的な物であったとする資料も存在する。
  2. 水陸両用MSや開発初期の物をベースとしたモデル。
  3. MS-11のナンバーはビーム兵器開発の遅延やガンダム出現による計画の抜本的見直しなどを理由にアクト・ザクに譲られる事になった。
  4. 公国軍情報部がサイド6経由で入手したとも、戦場で投棄されたガンダムのビーム・ライフルから獲得したとも言われている。