ティターンズ
ティターンズ(Titans)
宇宙世紀0084年に結成された地球連邦軍の精鋭部隊。「地球圏の治安維持」を目的とし、その任務の中でも「ジオン軍残党の掃討」を(名目上の)至上命題としている。その実態はジャミトフ・ハイマンの目的を達成させる為の軍閥組織であり、反対派閥からは「ジャミトフの私兵集団」とも呼ばれている。
各方面から優秀な人材を招集して編成された名実揃ったエリート部隊であるが、構成員のほとんどは地球出身者で構成されている[1]。部隊の実権はバスク・オムなど地球至上主義者が握っており、スペースノイド軽視の作戦行動が目立つ。また、一部構成員はそのエリート志向を鼻にかけ、連邦軍一般部隊や民間人との間で確執を作る一面も見られた[2]。
その行動は次第にエスカレートしていき、スペースコロニーに毒ガスを注入した30バンチ事件を切っ掛けに本格的にスペースノイドの反感を買う。その結果、連邦内の反対派閥やジオン残党をエゥーゴ・カラバとして結束させ、グリプス戦役を勃発させる原因となった[3]。
開戦当初は情報操作によって「エゥーゴはジオン残党と反連邦組織の集まり」と印象付け、ジャブローの核自爆をエゥーゴによるものと発表する事で世論を誘導。一時は連邦軍を掌握する寸前まで勢力を拡大したが、ダカール演説でそれまでの横暴を暴露された事で地球出身者の支持を失い[4]、以降は毒ガスやコロニーレーザーによるコロニー攻撃など、その行動を過激化させていった。また、グリプス戦役もアクシズの参戦によって三つ巴の戦いに発展。戦局を優位に進めるべくアクシズと同盟を結ぼうと画策したが、最終的にアクシズとの交渉は決裂。その混乱でゼダンの門をはじめとする重要拠点やジャミトフ以下部隊の主要人物を失い、グリプスもメールシュトローム作戦でエゥーゴの手に落ちてしまう。指導者を失ったティターンズはシロッコ派とバスク派に別れ内紛を繰り返し、最終的に部隊の実権はシロッコが掌握するも、その時点で既にエゥーゴ、アクシズの両軍に対抗できるだけの戦力は残っておらず、更にエゥーゴの奪取したコロニーレーザーの砲撃で主力艦隊は消滅し、シロッコも戦死した事でティターンズは壊滅した。
グリプス戦役後は連邦内外から「反連邦組織」「テロリスト集団」として認定され[5]、生き残った構成員は原隊復帰したものの、一部はMSごと軍を脱走して敵対組織であるジオン系組織に身を寄せた[6]他、一部は軍を除隊し月面都市や民間軍事会社に身を寄せた。原隊復帰した隊員は戦後処理の際に連邦にとって不都合な罪を被せられ軍事裁判にかけられた事例があり、それ以外にもトリントン基地など新鋭機の配備もままならない僻地での勤務を命じられるなど、元ティターンズ故の冷遇は続いた。
サイド7やジャブローなど、宇宙・地球の各地に拠点を置き、当初はジャブローを本部としていたが、グリプス戦役序盤にエゥーゴを誘い込む為の罠として核自爆を決行する為に早々に放棄されている。グリプス戦役中期にはア・バオア・クー、ルナツー、グリプス2を集結させゼダンの門を構成した。また、グリプス戦役敗退後も軍に残された旧ティターンズの高官達は、ティターンズ系MS及び装備を隠匿する巨大保管庫「デビルズ・ネスト」をオーストラリアに建造している。
運用兵器は連邦軍の物も一部使用しているが、大半はルナツーやニューギニア基地等各拠点での独自開発であり、既存の連邦制式装備であっても配備に際して独自に採用評価試験を行っている[7]。更に各地のニュータイプ研究所やジュピトリスからの支援により、そこで開発された可変モビルアーマーや強化人間の配備も行われた。これら機体群も戦後は一部の例外を除き開発や生産を打ち切られ、多くは運用されることは無くなり連邦の「負の遺産」として廃止処分されている。ただし、一部は民間や民間軍事会社やジオン共和国に払い下げられる形で継続運用された他、様々な経緯を経てジオン系組織や犯罪組織に流れた機体も多い[8]。また、グリプス戦役後に連邦軍が運用したMSは、ガンダムタイプや鹵獲機を除いて大半がバイザー、ゴーグルタイプで統一されており、ジオン・ティターンズ系MSを連想させるモノアイの使用は禁止されている[9]。
登場作品
- 機動戦士Ζガンダム
- 初登場作品。一年戦争後に増長した連邦の急先鋒としてエゥーゴと敵対した。
- 機動戦士Ζガンダム (小説版)
- ジャミトフが地球圏統一を目論む真の目的について掘り下げられている。ゲーム『ギレンの野望』シリーズの一部作品ではそれを基にしたティターンズ編エンディングが描かれている。
- 機動戦士Ζガンダム A New Translation
- 作中での動向はTV版と概ね同じ。
- 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
- 連邦軍仕官時代のバスク・オムやジャミトフ・ハイマンが登場。最終話である13話ではティターンズ結成の様子が描かれた。
- GUNDAM LEGACY
- record 14でティターンズの名が知れ渡る所以となったエアーズ市でのジオン残党鎮圧の様子が描かれる。ティターンズ所属時のフォルド及びエイガーが登場し、record16~17では部下と共に独断で「シルバー・ランス作戦」の阻止に当たっている。
- 機動戦士ムーンガンダム
- 第1話の冒頭に登場。U.C.0091年にロンド・ベルがマラサイやバーザム、ゼク・アインを運用していたティターンズ残党と交戦している。
- ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに
- ティターンズが主役サイドの作品で、T3部隊視点でグリプス戦役が描かれている。
- A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ -くろうさぎのみた夢-
- 火星に逃げ延びたティターンズ残党が登場。ジオンマーズと共にレジオンを相手に一斉蜂起を行う。
構成人員
上層部、将校
パイロット
- ジェリド・メサ
- ヤザン・ゲーブル
- カクリコン・カクーラー
- エマ・シーン
- サラ・ザビアロフ
- レコア・ロンド
- アジス・アジバ
- マイク
- アドル・ゼノ
- カラ
- キッチマン
- ゲーツ・キャパ
- シドレ
- ソラマ
- ダンケル・クーパー
- デーバ・バロ
- マウアー・ファラオ
- ラムサス・ハサ
- アルファ・A・ベイト
- ベルナルド・モンシア
- チャップ・アデル
- フォルド・ロムフェロー
- エイガー
- アーネスト・マクガイア
- ロスヴァイセ
- ヒューイット・ライネス
- ソウイチ・オビノ
- エセルバート・ヒンカピー
- ユーイン・バーダー
- カムナ・タチバナ
- ドナ・スター
T3部隊
ティターンズ残党
その他
- マトッシュ
- ミスター・エンキドゥ
- ティターンズ残党にG-ドアーズを提供したとされる謎の人物。
拠点
宇宙
- グリプス2
- グリプスの片側を改装して建造されたコロニーレーザー。エゥーゴとティターンズの最終決戦の地となった。
- ゼダンの門
- かつてジオン軍の重要拠点であった旧ア・バオア・クーを改装し、ルナツー、グリプスで構成された周辺宙域の総称。旧ア・バオア・クーを指して用いられる場合もある。グリプス戦役後半に小惑星アクシズと激突して、崩壊した。
- コンペイトウ
- かつてジオン軍の重要拠点であった旧ソロモン。戦後はティターンズの技術本部が置かれ、宇宙における工廠の1つとしてTR計画が遂行された。
- ダカール演説と前後してエゥーゴ艦隊の襲撃と要塞内の反ティターンズ派将校らの決起を受け、駐留部隊は撤退を余儀なくされた。
地上
- ジャブロー
- 地球連邦軍の最高司令部。グリプス戦役時にはティターンズが基地の実権を握り、ジャブロー降下作戦を展開したエゥーゴに対し地下に埋設した核爆弾による核攻撃を敢行している。
- ニューギニア基地
- 建造途中の軍事拠点。バーザムの開発拠点であり、宇宙世紀0087年7月にカラバによる攻撃を受けている。
- キリマンジャロ基地
- ティターンズ及び連邦軍最大の軍事拠点。宇宙港施設及びニュータイプ研究所が併設されている。エゥーゴ・カラバの部隊による襲撃作戦が展開され、壊滅した。
- ダカール
- 地球連邦政府の首都。議会が所在しており、ティターンズの防衛隊が配備されている。
- デビルズネスト
- グリプス戦役後に旧ティターンズ系高官によって建造された兵器格納庫。ジオン残党系組織に横流しして高官達が私腹を肥やす企図でティターンズ系MSや装備を備蓄していたが、0094年に連邦軍と袖付きの部隊による襲撃作戦によって、壊滅。
関連用語
- 地球連邦軍
- 所属組織。最盛期には連邦軍の全権をティターンズが掌握する法案を成立させようとしたが、エゥーゴ・カラバによって阻止された。
- ニューディサイズ
- ペズンに駐留する地球連邦軍の教導部隊。アースノイド至上主義を掲げ、ティターンズに共感していた事から、エゥーゴによる政権奪取に反発し武装蜂起し、ペズンの反乱を引き起こした。月面エアーズ市でティターンズ残党と合流し、その後一部戦力はネオ・ジオン艦隊に回収された。
- 30バンチ事件
- ティターンズが過去に引き起こしたコロニーの住人をG3ガスで抹殺した事件。
- TR計画
- コンペイトウで進められたティターンズの次期主力機開発計画。
- エゥーゴ
- 同じ連邦軍内の敵対する別軍閥組織。上記の30バンチ事件を切っ掛けに結成された。
- カラバ
- 地球における敵対組織。
- ロンド・ベル
- エゥーゴ・カラバ等の戦力を再編した後継組織。ティターンズでの失敗を踏まえ、連邦軍の外郭組織として編成されている。
- キュクロープス
- 宇宙戦国時代に誕生したティターンズの末裔を自称する連邦軍の軍事組織。
商品情報
ADVANCE OF Ζ―ティターンズの旗のもとに
電撃コミックス
- 著
- みずきたつ
リンク
脚注
- ↑ エリアルド・ハンターなど、一部ではあるがスペースノイド出身者も在籍している。
- ↑ しかし、アジス・アジバ中尉を始めとしたダカール防衛隊やドナ・スター、オットー・ペテルゼンのように、スペースノイドに偏見を持っていなかったり、一般兵や民間人にも紳士的な態度で接する人物も中にはいる。
- ↑ これらの専横はバスク等一部の暴走であり、30バンチ事件のような強攻策も、ジャミトフが難色を示している。
- ↑ これは演説中にダカールを連邦の首都と認識しながらも、その防衛ではなく敵部隊の撃破に走り市街地や友軍のアッシマーや議事堂に攻撃を加えてしまったジェリド・メサのミスが、演説の内容に説得力を与える結果となってしまった事も大きい。
- ↑ 実際、シャアの反乱時にシャア・アズナブルは演説でティターンズを「反連邦運動」と断じており、ロンド・ベルのブライト・ノアやアムロ・レイも同じく「反連邦の連中」と称している。
- ↑ ジオン系組織に身を寄せる理由としては、自分達を利用するだけ利用して、ティターンズが敗北したら「反連邦組織」のレッテルを貼り切り捨てた連邦政府への復讐や、エゥーゴによる処罰・迫害を恐れた等が挙げられる。
- ↑ ジムII配備の為にジム改高機動型を評価試験用に開発する等。
- ↑ ネオ・ジオンやレジオンなどが顕著な例。ティターンズ残党がジオン系組織に参画した際に手土産として譲渡するケースが大半であるが、ネオ・ジオンがダカールを制圧した際に接収した機体も同様に運用されている。
- ↑ ただし、ティターンズ製MSでも、バイアラン・カスタムやバージムのようにモノアイを連邦系のセンサーユニットに換装する等、継続運用の為の条件は提示されており、また、運用兵器のノウハウや技術もジェガンやアンクシャ、ラー・カイラム級戦艦等に引き継がれている。