ジオン残党
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ジオン残党(Zeon Remnants)
一年戦争後、ジオン公国の敗北を認めなかったジオン公国軍部隊が各地に潜伏したもの。その目的は部隊によって様々[1]であり、目的や思想の違いによって同じジオン残党同士での戦闘も行われているが、地球連邦政府と地球連邦軍に敵対しているという点では概ね一致している。
その大半は主要な軍事拠点を持たず、廃村や戦艦の残骸等で生活し、ありあわせの装備[2]を用いたゲリラ活動に終始しているが、アクシズのように大規模な生産施設を擁し新型のモビルスーツやモビルアーマーを開発する組織も稀に存在する。また、組織によってはジオン共和国の反連邦派(風の会や隠れジオン派等)やアナハイム・エレクトロニクス社からの支援を受けるケースもある。
各地で武装蜂起や抵抗活動を行うこれら残党組織の存在は連邦にとっては重大な社会問題であり[3]、宇宙世紀0080年代から0120年代までの間に大小様々なジオン残党組織が勃興。連邦軍もこれらを掃討・鎮圧する為にティターンズやロンド・ベルを編成し、対抗した。
一方で連邦の中にはジオン残党を軍の予算確保に最適な仮想敵と見なしている派閥もおり、敢えてその存在を黙認する場合もある[4]。
登場作品
- 機動戦士ガンダム戦記 (PS3版)
- 一年戦争終結から間もない宇宙世紀0081年に月のマスドライバー施設による地球への直接攻撃、「水天の涙」作戦を実行するべく残党軍が武力蜂起を行っている。後の0083年に武力蜂起を行うデラーズ・フリートも作戦の支援を行った。ただ、ゲームの仕様上とはいえ残党組織とは思えないほど大規模の戦力が投入されている他、作戦自体にも実現性に乏しい部分が見られる(漫画版ではある程度補完されている)。
- 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 特別編
- 「アルテイシア 0083」にてウィリー・マッチョ率いる残党部隊「ドノバン小隊」、「アムロ 0082」にてウラガン率いる残党部隊「ウラガン中隊」が登場する。
- 機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ
- 中東最大のジオン残党拠点ヘルズゲートと、サイド4『ロディニア』宙域を根城とする残党部隊「ファラク」が登場する。
- 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
- 残党組織としてデラーズ・フリートが登場。キンバライド基地の将兵など、各地の残党部隊・勢力もその活動を支援している。
- ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに
- 「シュトゥッツァー」シリーズを運用するガブリエル・ゾラ率いる残党部隊などが登場。グリプス戦役時にはエゥーゴに合流し、T3部隊と交戦した。
- ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者
- ケラウノスがティターンズへの反攻作戦の為に残党部隊の協力を仰いでおり、ニューギニア基地攻略戦等で共闘。
- GUNDAM LEGACY
- 第13話~第17話において、残党軍によるエアーズ市占拠事件が発生し、ティターンズによる鎮圧作戦が行われた。また、これと前後してジオン共和国を標的としたテロ作戦「シルバー・ランス作戦」が実行されている。
- 機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像
- ア・バオア・クーからアクシズへと撤退した残党勢力が、穏健派と強硬派の派閥抗争を経て、大規模組織「アクシズ」へと発展していくまでの過程が描かれている。
- 機動戦士Ζガンダム
- 残党狩りを至上命題とするティターンズの存在が語られ、ジオン残党の存在が明かされている。また、物語中盤からは大規模な残党組織としてアクシズが登場した。ただ、ゲリラ組織としての残党部隊が登場する描写は無い。
- 機動戦士ガンダムΖΖ
- ロンメル隊等の残党部隊が登場。また、ジオン共和国軍にも「ジャムルの3D」に代表される「隠れジオン派」が潜伏しており、ネオ・ジオンへの参加・支援を行っている。
- 機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
- キマイラ隊が一年戦争後、連邦に投降する事なく潜伏し、行方不明となったジョニー・ライデンの捜索を行っていた。また、この際ユーマ・ライトニングらは連邦軍籍を取得し、表向きは連邦軍部隊として振る舞っていた。
- 機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ
- 第三話でマリアナに潜伏するドムやザクの系列機で構成された小隊が登場。残党狩り部隊と交戦しつつ逃走を試み、途中で二機が撃破されるも一機は海岸沿いへと逃走に成功、機体の放棄を試みるが量産型ΖΖガンダムに撃墜され、全滅した。
- 機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン
- 第1話から敗残兵達が居を構えるムサイ級軽巡洋艦メイルメルが登場。連邦軍の多目的輸送艦アンヴァルの襲撃に端を発して、連邦軍のフェネクス争奪戦に巻き込まれていく。
- 機動戦士ガンダムUC 戦後の戦争
- 連邦軍と残党軍の癒着についての描写があり、登場人物のカルロス・クレイグが過去に残党軍への物資の横流しを黙認した事が原因で妻子を失っている。
- 機動戦士ガンダムUC
- ネオ・ジオン残党組織「袖付き」に対し、シンブ根拠地隊(アニメではカークス隊)などの残党部隊・勢力が参加・支援を行っている。また、カークス隊は各地に潜伏している他の残党部隊にも協力を呼びかけている。
- 機動戦士ガンダムUC 星月の欠片
- 第1話で宙賊化したネオ・ジオン残党のドーベン・ウルフ・リゲルグ隊が民間のシャトルとオアシスの部隊を襲撃したが、救援に現れたスタークジェガンに圧倒され全滅した。また第4話では、武器保管庫を警護するドライセン部隊がマイオス達の撃退を試みるものの撃破されている。第5話ではガルスJ、ガルスK隊が町を襲撃するがジュン・ビオレッタのネモIIIによって鎮圧された。
- 機動戦士ガンダムF90FF
- 第6話などに第一次ネオ・ジオン抗争~ラプラス事変までの機体を運用する残党が登場。第29話ではオイ・ニュングがまとめた主な残党のリストがピックアップされ、シャルル・ロウチェスターの経歴も含め、オールズモビルの発生までの流れが描かれている。
- 機動戦士ガンダムF90
- 火星独立ジオン軍によるガンダムF902号機強奪事件から第一次オールズモビル戦役が勃発。第二次ネオ・ジオン抗争以来のジオン系組織による武力蜂起となった。
- 機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122
- ブッホ・コンツェルンによる支援を受けたオールズモビル残党によって第二次オールズモビル戦役が勃発。同戦役がジオン系組織による大規模戦乱としては最後の物となった。
- 機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91
- 正規住民の存在しない7バンチコロニーに隠れ住むネオ・ジオン難民が登場。裏でクロスボーン・バンガードとも通じているがあくまで組織としての意向は「中立」である。U.C.0123年にはジオン残党も生きる権利を連邦政府によって保証されており[5]、残党狩りは禁止されている。接触した際にも戦争状態は終結している事と民間人としての生活の権利が保証されている事を伝え保護する事になっている。しかし、バズ・ガレムソン大佐は、自らの私欲で抵抗、無抵抗問わず、残党狩りを敢行。本編の6年前に副官のリディア・ドーフマン大尉と共に306部隊を率いて同コロニーを襲撃し、レイラ・ラギオールの両親などが犠牲となった。宇宙世紀0123年2月に発生したゼブラゾーン事件においては再び306部隊の襲撃を受け、住人がコロニーからの脱出を余儀なくされている。
関連部隊
- インビジブル・ナイツ
- エリク・ブランケ率いる残党部隊。他の残党軍と共に質量弾投下作戦「水天の涙」を実行した。
- ドノバン小隊
- ウィリー・マッチョ率いる残党部隊。彼のかつての隊長であるドノバン・マトグロスの名を冠する部隊で、幽閉中のセイラへ帰軍を懇願するべく接見を試みた。
- ウラガン中隊
- 連邦軍のニュータイプ、アムロ・レイの討伐を掲げる残党部隊。ウラガン含めマ・クベの元部下で構成されている。ハヤト達と共に山陰出雲へ観光に訪れていたアムロ・レイの暗殺を図るも、地元民に扮した警備部隊により刺客が悉く返り討ちにされてしまったため、最後の切り札ギャンもどきを投入。しかし、粗雑な出来ゆえに直後に自壊してしまい、敢え無く全滅に追い込まれた。
- 狼の鉄槌
- 小惑星基地「ロードス」を根城とし、ジオン共和国へのテロ攻撃「シルバー・ランス作戦」を画策する残党部隊。グラナダ特戦隊の元メンバーも実行部隊として参加している。
- ロンメル隊
- デザート・ロンメル率いる残党部隊。使用機体はドワッジやディザート・ザク、ザクタンカー等。
- シュツルム・ディアス隊
- シュツルム・ディアスを主力とするジオン共和国軍のMS部隊。隊長のサトウをはじめネオ・ジオンシンパが在籍し、ネオ・ジオンに合流を試みた。
- シンブ根拠地隊
- ヨンム・カークス(バンデシネではキャンドル)率いる残党部隊。袖付きのガランシェール隊と連携してラー・カイラム及びトリントン基地に甚大な被害を負わせた。一年戦争からネオ・ジオン抗争までの機体が10機程度の寡兵集団であり、最終的にトライスターやバンシィの猛攻によって全滅した。
『バンデシネ』では、OVA版に登場した機体が逆輸入される形で戦力が大幅に追加され、戦死したカークスと隊員のハビエールを除き全員が撤退に成功している。 - カークス隊
- ヨンム・カークス率いる残党部隊。袖付きの支援や各地の残党部隊の協力でトリントン湾岸基地を襲撃した[6]。トリントン基地戦後は敗残兵達を基地に受け入れたものの、基地の場所を海賊に特定されこれと交戦。トリントンで敵対したバイアラン・カスタムの協力もあり、基地を犠牲に海賊を殲滅した。
関連組織
ジオン系組織
- ジオン共和国
- 戦後に連邦の承認のもと設立されたジオン系国家。多くのジオン残党兵は同国を連邦の傀儡国家と認識しており、攻撃対象になる場合も多い。
- デラーズ・フリート
- ギレン派のエギーユ・デラーズを領袖とする残党組織。0083年に星の屑作戦を決行した。地球圏最大のジオン残党勢力だが、保有戦力は最盛期のジオン軍には遠く及ばない。
- シーマ艦隊
- シーマ・ガラハウ率いる元海兵隊で構成された艦隊。戦後は海賊行為を繰り返すようになり、0083年にはデラーズ・フリートの要請を受け合流。表向きは協力しながらも、裏工作などで暗躍した。
- ファラク
- サイド4宙域を中心にテロ活動を行う残党組織。蛇の意匠を持つ部隊章が特徴で、所属機もその多くが蛇の鱗を模したペイントを施されている。
- アクシズ
- 一年戦争後に小惑星アクシズへ逃れた残党により結成された、ハマーン・カーン率いるジオン系組織。各方面からの敗残兵の流入が続いた事により、戦後のジオン残党軍の勢力としては最大規模を誇る。
- ネオ・ジオン
- グリプス戦役後、アクシズの改称した組織。またはシャア・アズナブルが結成した同名の組織。後者は「新生ネオ・ジオン」と呼ばれる場合もある。
- ジオンマーズ
- キシリア派の残党を母体とし、火星を拠点とするジオン系組織。後にオールズモビルに発展。
- レジオン
- ギレン派の残党を母体とするジオン系組織。デラーズ・フリート残党のうち、火星に落ち延びたものが他のジオン残党を武力で併合して結成された。ティターンズ系装備を使用する点で他の残党組織と異なる。
- 袖付き
- フル・フロンタルを領袖とするネオ・ジオンの残党組織。所属機に「袖」を思わせるエングレービングが施されているのが特徴。
- 火星独立ジオン軍 (オールズモビル)
- 火星を根拠地とする残党組織。クロスボーン・バンガード (ブッホ・コンツェルン)がスポンサーとして支援しており、火星基地壊滅後に戦力の更なる増強が行われている。実質的に、最後のジオン残党組織。
連邦系組織
- 地球連邦軍
- 残党軍にとって絶対悪である敵対組織。利害の一致から連邦から装備や物資を横流しされる場合もある。
- ティターンズ
- ジオン残党の掃討を至上命題とする連邦軍の精鋭部隊。一部構成員及びMSはネオ・ジオンやジオン残党部隊に合流した。
- エゥーゴ / カラバ
- ティターンズに対抗するべく結成された反地球連邦組織およびその支援組織。構成員にはジオン残党からの参加者も多い他、終戦後にジオン系組織に鞍替えした構成員もいる。
- エグム
- エゥーゴの連邦軍帰化に反発し同組織から離脱した過激派により構成された反地球連邦組織。主に旧ジオン系の人員で構成されており、ジオン残党軍のスポンサーも担当。残党軍から第二世代以降の機体の引き取りも行っている。
主な拠点
宇宙
- 火星
- 太陽系4番目の惑星。一年戦争後に敗残兵が潜伏し、ジオンマーズやレジオンなどのジオン系組織へと発展している。
- 茨の園
- デラーズ・フリートがスペースコロニーや戦艦の残骸を使い建設した宇宙基地。暗礁宙域に位置する事もあり特定が非常に困難。更に補給施設のみならずMSの生産工場も有しており、ドラッツェが少数生産されている。ただし、スペースデブリの集合体のため、居住性は劣悪であった。デラーズ紛争後はアナハイムの管轄となる。
- アクシズ
- 火星~木星間に位置する小惑星基地。一年戦争以前から資源採掘用の拠点として運用されていたが、一年戦争後に敗残兵が集結し、大規模組織「アクシズ (ネオ・ジオン)」へと発展。同組織の軍事拠点として機能している。
- パラオ
- サイド6に位置する小惑星基地。元々はアクシズ同様資源採掘用の拠点として運用されていたが、ラプラス戦争時には袖付きの本拠地として機能していて、哨戒・防衛用に多数のMSが配備されている。宇宙世紀0096年にロンド・ベルと交戦し、甚大な被害を被った。
- メイルメル
- サイド7周辺宙域に潜伏するムサイ級巡洋艦。様々な事情を抱えた敗残兵が集まり、長年に渡って共同生活をしている。また、旧ジオンのMS以外にも独自改修を施したMSを複数有している。宇宙世紀0096年に一年戦争終結の記念式典に参加していた多目的輸送艦アンヴァルを襲撃するも、それを切欠に連邦軍のフェネクスとナイトロを巡る戦いに巻き込まれた。
地上
- アフリカ
- ヨーロッパの南に位置する大陸。一年戦争後に多くの敗残兵が集結・潜伏し、抵抗活動が長年に渡って行われた。
- ヘルズゲート (第一三一採掘基地)
- 中東に位置する採掘基地。テロ活動の一大拠点として機能している他、ある連邦軍高官との裏取引により連邦兵の謀殺の場として利用されている。
- グレイファントム級強襲揚陸艦
- アジアの山岳地帯に放棄されていたグレイファントム級強襲揚陸艦の残骸。ラプラス事変の際にはトリントン基地襲撃の為に戦力が供出された。損傷が激しく航行は不可能だが、カタパルト等の機能の一部は健在。また、関係者や残党兵の家族は艦の上に家を建て生活していた。
- シンブ基地
- ニューギニア島東部シンブ州に位置する南太平洋最大の拠点。シンブ根拠地隊の拠点であり、周囲にも残党が多数潜伏していたが、残党軍によるダカール襲撃の煽りを受けエグムに支援を打ち切られてしまい、止む無く放棄された。
第二世代以降の機体については様々な手段を用いてニューギニア島から運び出されエグムに引き取られているものの、対象外の機体については連邦軍の点数稼ぎの見返りである身柄の保証を目的に自前での処理が命じられている。
『バンデシネ』ではシンブ州の山岳部に存在する村が潜伏先として描写されており、多数の残党兵と現地の住民が共存していた他、付近に多数の機体が秘蔵されている。 - カークス隊基地
- 海沿いの洞窟に作られた地下基地。簡単な整備が出来る等、基地としての最低限の機能は備わっている。トリントン基地戦後に残党勢力が集結した際、海賊に追跡された為、これを殲滅させる為に自爆・放棄された。